見て、育てて、癒される!多肉植物の育て方
水分をたっぷり蓄えた葉が特徴的な多肉植物。ぷっくりと丸みを帯びているものや、シュッと細身でとげとげしいもの、石のようにゴツゴツとしているものなど、ほかの植物とは異なる独特の見た目に、思わずじっと見つめてしまうという方も多いのではないでしょうか。寄せ植えも人気があり、カフェや美容院などでもインテリアプランツとして飾られているのをよく見かけます。
比較的丈夫なうえ、繁殖力も旺盛。あまり手間をかけずに育てられる植物ではありますが、いざ自宅で育てるとなると二の足を踏むという方もきっといらっしゃるでしょう。そこで今回は、多肉植物の基本的な育て方をご紹介します。後半では寄せ植えの作り方や株の増やし方もお伝えしますので、どうぞ最後までお読みください。
- 多肉植物を育ててみたい方
- 多肉植物にはどんな種類があるのか知りたい方
- ご自宅に植物を飾ってみたい方
目次
多肉植物とは
多肉植物は南アフリカやメキシコ、マダガスカルなどの乾燥した高原や海岸、岩場が原産地。一説には2万種以上あるともいわれるほど多種多様です。色は緑のほか、紫や黄色、赤、青、黒などもあり、とてもカラフル。また紅葉するものや花が咲く種類も多いです。
見た目だけでなく、サイズも直径5㎝程度の植木鉢に入った小さなものから、両手で抱えきれないほど大きなものまでさまざま。個性豊かな株ばかりですから、育っていく様子を見るのも楽しめそうです。
ただし、準絶滅危惧種となっているものもあるので、見つけても採取はせず、眺めるだけにしておきましょう。
多肉植物の生育型別の特徴
多肉植物は、生育が盛んになる季節によって春秋型・夏型・冬型の3つに分けられます。生育する時期には水や肥料が必要ですが、そうでないときに与えると害になることもあるので、育てる際にはしっかり確認しておきましょう。
どの生育型にも共通して大切なのは、風通しの良さと日当たり。特に風通しが悪いと、蒸れてすぐに株が弱ってしまうので、栽培する場所は注意して選んでください。また真夏の直射日光が長時間当たる場所は苦手です。移動させるのが難しい場合は、遮光ネットを使いましょう。
ここからは、各生育型の特徴や育て方、そしておすすめの品種をご紹介します。ご自分で育てるとしたらどの多肉植物を選ぶか考えながらお読みくださいね。
春秋型の育て方
春と秋によく生長しますが、夏はそのスピードがゆっくりになり、冬には休眠する種です。春と秋は日当たりのいい場所に置き、土が乾いたら鉢底から出てくるくらいたっぷり水を与えましょう。
夏は30℃を超える場所だと弱ってしまうので、屋外の日陰か室内に移してください。水やりは根腐れを起こさないよう、週に1回程度で量はかなり控えめに。冬は断水、または月に1回葉水をする程度にしましょう。冬の窓際は、朝晩は温度がかなり下がることもあるので、避けてくださいね。
水分を与える役割があるほか、葉につく虫を流したり、ホコリを取り除いたりすることもできます。
春秋型のおすすめの品種
春秋型の多肉植物から、エケベリア、セダム、コチレドン、ハオルチアの4種類について詳しくご紹介します。
エケベリア
肉厚の葉がまるでバラのように重なり合っている人気の多肉植物です。紅葉したり小さな花が咲いたりするので、一年中変化を楽しめます。直径3㎝くらいの「ミニマ」から40㎝にもなる「ギガンテア」までサイズが豊富。色も赤、ピンク、オレンジ、緑、茶、黄色などさまざまあります。
セダム
小さくて肉厚な葉を持つ可愛らしい見た目のセダムは、たくましくてよく生長します。グランドカバーに使われるほか、植木鉢をカラフルな株で埋め尽くす寄せ植えも人気。初夏に黄色い花をつけるものも多いです。和名は「万年草」といい、「ミセバヤ」や「キリンソウ」は日本原産です。
コチレドン
短い毛に覆われた丸くて肉厚の葉の先に爪のように見える棘がついているのは、コチレドンの一種「熊童子(くまどうじ)」。まるで熊の手のようで可愛らしい見た目をしています。ほかにも小さな葉がたくさんついている「ペンデンス」や、銀白色で葉先が波打っている「銀波錦」など、興味深い形をしているものが多いです。
ハオルチア
透き通った葉が特徴的で愛好家も多いです。透明感のある葉が美しく「雫石」とも呼ばれる「オブツーサ」や、葉に網目模様がありシャープな印象の「竜鱗(りゅうりん)」などは人気がある品種です。また爬虫類を思わせるゴツゴツした葉が螺旋状に伸びていく「鬼瓦(おにがわら)」や、細長い緑の葉に白い縞模様が入った「十二の巻(じゅうにのまき)」などもあります。姿だけでなくネーミングも面白いですね。
夏型の育て方
夏型の多肉植物は乾燥に強いのが特徴。水やりは春から秋にかけては土が乾いたらたっぷりと、冬は休眠期なので月に1〜2回程度にしましょう。基本的には日当たりのいい場所を好みますが、40℃に迫るような真夏の高温には耐えられない品種も多いです。また直射日光が当たりすぎると葉焼けをするので、夏は明るい日陰に移しましょう。冬は室内で管理してください。
気温が高すぎて起こるケースもあります。
葉焼けしてしまった部分は残念ながら元に戻ることはないので、取り除くようにしましょう。
夏型のおすすめの品種
夏型の多肉植物から、ユーフォルビア、カランコエ、アガベの3種類について詳しくご紹介します。
ユーフォルビア
棘のないサボテンのように丸くて可愛らしいフォルムの「オベサ」や、細い枝のようなパーツがあちこちに向かって伸びている「バリダ」は、ユーフォルビアの一種です。ほかにも、さまざまな色・形を持つものが多肉植物に限らず、一年草、多年草、低木にまで広がっていて、全部で2,000種類以上あるといわれています。
この液体に触れるとかぶれることがあるので、手などについてしまったときは、すぐに洗い流しましょう。
カランコエ
赤やピンク、オレンジなど明るい色の小さな花が咲く多肉植物です。開花させるためには冬の過ごし方が重要。温度が10℃を下回らず、夜は電気の光も当たらない場所に置くようにしましょう。室内で育てる場合は、夕方から朝まで段ボールをかぶせるなどして暗い環境を作ると、花が咲きやすくなります。
アガベ
テキーラの原料で「竜舌蘭(リュウゼツラン)」とも呼ばれます。先が尖った葉が重なる様子がバラのようで、インテリアプランツとしても人気です。直径5㎝ほどのものから5mを超える巨大なものまで、サイズも種類も豊富。白い繊維が葉先から伸びているものや、斑入りの葉もありますよ。一度だけ花を咲かせ、その後は枯れてしまうという、少し切なさを感じる植物でもあります。
冬型の育て方
冬型の多肉植物がよく育つのは気温5〜20℃くらいの環境。涼しい気候の秋・冬・春が生育期です。ただし、決して寒さに強いわけではなく0℃に近くなると枯れてしまうので、寒冷地では冬は室内に移しましょう。
秋から春までは日光をよく当て、土が乾いたら水をたっぷりあげてください。なお真冬は寒さで少し生育が鈍るので、水やりも控えめに。夏は休眠するので水やりはせず、半日陰に移してください。
木漏れ日のように日向と日陰が混じっている場所や、一日のうち数時間だけ日向になるようなところを指します。
ただし、西日は植物の成長を阻害することがあるので、西に置くのは避けた方がいいでしょう。
冬型のおすすめの品種
冬型の多肉植物から、アエオニウム、リトープス、コノフィツム、フォーカリアの4種類について詳しくご紹介します。
アエオニウム
エケベリアと同様に、バラのような形に広がる多肉植物です。茎の先に広がる黒っぽい葉が印象的な「黒法師」や、内側は緑、外側は紫に色づく「カシミヤバイオレット」などが人気です。小ぶりな葉がいくつも重なる「小人の祭り」も可愛らしいですよ。
リトープス
まるで石のような変わった姿をしています。普段の見た目からはイメージしにくい菊に似た形の小さな花を咲かせる点や、脱皮をするところのも興味深い植物。色や柄も豊富で美しく、「生きた宝石」と呼ばれることもあります。成長がゆっくりなので、長い期間育てることを楽しめそうです。
コノフィツム
愛らしいフォルムで人気の多肉植物です。足袋のような形の「オランダ・アウデビリデ」や、中央に少し切り込みが入って丸く膨らんでいる「ウィルヘルミー」、また水玉模様のものもありますよ。コノフィツムも脱皮をします。その間は断水し、様子を見守りましょう。
フォーカリア
ノコギリのようにとげとげしい三角形の肉厚の葉を持っていて、口を開けた怪獣のようにも見える存在感抜群の多肉植物です。一方で可愛らしくピンクに紅葉したり、たんぽぽのような黄色や白の花を咲かせます。「怒涛(どとう)」「巌波(いわなみ)」「四海波(しかいなみ)」など勇ましい和名がつけられた種もあります。
多肉植物の水やりの仕方
多肉植物の健康状態を守るには、水やりが重要です。冒頭でもご紹介してきたように、多肉植物には水分を蓄える性質があるため、水やりは不要と誤解される方もいらっしゃるかもしれません。ですが、水やりをまったく行わないと他の植物と同様に水分不足となり枯れてしまいます。
生育型別の育て方でもお伝えしましたが、生育期にはタイミングよく水やりを行い、休眠期には頻度をかなり落とすか断水するというようにメリハリをつけることが大切です。では、どのような点に気を付けながら水やりをすればいいのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
多肉植物は乾燥気味に育てよう
生育期でも、基本的に土が乾いていなければ水やりは見送るようにしましょう。土が湿っている状態で水やりを行うと、水分過多となり多肉植物が傷んでしまうからです。根腐れが起こり生育できなくなったり、土にカビが生えてしまったりする原因にもなります。多肉植物に水やりは必要ですが、お世話のし過ぎもNG。日頃から乾燥気味に育てることを意識するとちょうどいいかもしれません。
生育期の水やりの頻度は、一般的には2~3日に一度のペースといわれています。ただし、多肉植物のサイズや季節によっても土の乾き方は異なります。日数に縛られるのではなく、実際に育てている多肉植物と土の状態を見て、水やりの頻度や量を調整することが大切です。
水やりするタイミングの見極め方
水やりをするべきか判断するには、土の表面だけでなく中の方も乾いているか確かめる必要があります。表面だけを見ると乾いていても、中は湿っているということも少なくありません。水やりをした直後の鉢の重さをだいたい覚えておくと、鉢を持ったときに軽ければ乾いているとわかりますよね。持ち上げられるようなサイズの多肉植物なら、持った感覚で簡単に判断できるでしょう。
重さだけではわかりにくいという場合は、土に割り箸などを挿してみて湿った土がついてこないかチェックする方法もおすすめです。土があまりついてこない場合は乾燥気味のため、水やりを行いましょう。
根を突いて傷つけてしまうことのないよう、鉢の端の方で下向きにまっすぐ挿すようにしてください。
また、土だけでなく多肉植物の茎や葉の状態もチェックしてみてください。水分が足りなくなると、葉のハリやツヤが失われ、茎も柔らかくなってきます。そのままにしているとシワシワになって色もくすんでいってしまいますので、ハリがなくなってきたかな…というタイミングで水を与えるといいでしょう。
上手な水やりのコツ
多肉植物に水やりをする際は、鉢の中の土全体に水を行きわたらせるように、たっぷりと与えるようにしましょう。タイミングだけでなく量に関しても、与えるときは鉢底からあふれるくらいにしっかりと、そして乾くまでは与えないというメリハリが大切です。多肉植物が水を欲しているタイミングで十分な量をあげることで、吸水しやすくなりよく育ちます。
特に葉っぱが根元で密集するタイプの品種の場合は、葉に水がかかると蒸れて弱ってしまうため注意が必要です。
屋外で育てている場合は、雨の翌日など水が葉に溜まっていたら取り除いてあげてください。
水やりの時間帯に関しては、夕方から夜の涼しいときに行うのがおすすめ。多肉植物は、日中の気温の高い時間帯には乾燥し過ぎることを避けるために気孔を閉じ、夕方以降に開く性質を持っています。気孔の開いている時間帯に水やりを行うことで、水分を効率よく吸収することができるのです。涼しい時間帯なら土の温度も下がっているため、蒸れを防ぐこともできますね。
葉水も取り入れよう
観葉植物にもよく行われる葉水は、水やりの補助的な役割として取り入れるのがおすすめです。前述のように、葉水には水分補給だけでなくホコリや虫を取り除く効果もあります。特に、断水中に水分をほどよく補ったり、エアコンの使用で乾燥した室内で育てている場合に乾燥し過ぎを防いだりするためには、葉水をときどき行うといいでしょう。
ただし、多肉植物の葉水はあくまでも乾燥のし過ぎを防ぐことが目的ですので、やり方やタイミングを間違えると逆に傷める原因になることも。梅雨時など湿度の高い時期や、夏場の気温の高い時間帯に行うのは避けてください。一般的な水やりと同様に、水が溜まらないようにすることも重要です。葉水を行ったあとは、風通しのいい場所に置いて湿気がこもらないようにしましょう。
そのままにしていると蒸れてしまうため、溜まった水はティッシュなどで取り除いてあげましょう。
多肉植物への肥料の与え方
多肉植物にタイミングよく肥料を与えると、生長をサポートすることができます。水やりと同じく生育期に与え、休眠期には控えるのが基本です。これから詳しくご紹介しますが、多肉植物が順調に育つと植え替えが必要になるときが来ます。その植え替えのタイミングで肥料を与えるのが最もおすすめです。植え替えの際に新しい土に緩効性肥料を混ぜて多肉植物を植え付ければOK。肥料入りの土を使用する場合は、別に肥料を用意する必要はありません。
植物の主要な栄養素である窒素・リン酸・カリを一定以上含む肥料に対し、活力剤にはそのような基準がありません。
サプリメント的な存在として、多肉植物に元気を与えたいときに使うといいでしょう。
大きく育ったら植え替えよう
植物は生長すると植木鉢の中で根が伸び、だんだんと窮屈になってきます。株が大きくなったら、ひとまわり大きなサイズの鉢に植え替えましょう。そうすることで根が育つ場所を確保でき、元気に生長を続けられます。
多肉植物は品種により生長のペースが異なりますが、概ね1〜2年に1回のペースで、生育期の直前に植え替えましょう。春秋型なら3〜5月、夏型なら4〜5月、冬型なら9〜10月ごろがおすすめです。下の方の葉が枯れていたり、鉢底から根が出てきたり、茎から細い根(気根)が伸びてきたりしていたら、植え替えのサインです。
植え替えの手順
- 新聞紙かビニールシート
- 一回り大きい通気性のいい鉢
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 多肉植物用の培養土
- 移植ゴテやスコップ
- 清潔なハサミ
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STEP. 1
新聞紙やビニールシートを敷く
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STEP. 2
鉢から株をそっと抜いて、根についた土をやさしく落とす
茶色や黒に変色している根は傷んでいます。
それらはハサミで切って取り除きましょう。
健康な白くて太い根を残してください。
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STEP. 3
ひと回り大きい鉢に鉢底ネット、鉢底石を敷き詰め、鉢の1/3くらいまで土を入れる
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STEP. 4
鉢の中央に多肉植物を置き、鉢の縁の下2cmほどまで土を入れる
株は根を広げて土の上に置くと安定します。
その後、土を隙間なく入れます。
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STEP. 5
完成
植え替えをしないとどうなる?
多肉植物に限らず、植物は見えている部分だけでなく土に埋まっている根の部分も生長しています。サイズの合っていない鉢で育て続けていると根がパンパンになってしまいます。その結果、水はけが悪くなり根腐れを起こしたり、水分や土の栄養を根がうまく吸収できなくなったりと、劣悪な状態になってしまうのです。より長く楽しむためにも、サイズアウトする前に適切な大きさの鉢に植え替えてあげましょう。
寄せ植えを作ろう
多肉植物を数種類組み合わせたり、カラフルな株を集めたりして作られた寄せ植えはとても人気があります。市販のものもいいですが、自分好みに作ってみませんか。株の大きさの違いでメリハリをつけたり、高低差を意識して植え付けたり、植木鉢のデザインに凝ってみたりするのも楽しそうですね。
生育型ごとに育て方が異なるため、揃っていないと多肉植物がうまく生長できません。
寄せ植えの作り方
- 新聞紙かビニールシート
- 植木鉢
- 多肉植物
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 多肉植物用の培養土
- 移植ゴテやスコップ
- ピンセット
-
STEP. 1
新聞紙やビニールシートを敷く
-
STEP. 2
植木鉢に鉢底ネット、鉢底石を敷き詰め、土を鉢いっぱいに入れる
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STEP. 3
多肉植物を植え付ける
大きいものから植えるとデザインしやすいです。
細かいものはピンセットを使って挿し、ぐらぐらしないようにそっと周りの土を押さえておきましょう。
1週間ほど経ったらたっぷり水を与えてください。
-
STEP. 4
完成
株を増やそう
多肉植物は繁殖力旺盛です。株が大きくなったら、伸びすぎた部分をカットしましょう。元の株はすっきりとして見栄えがよくなりますし、窮屈ではなくなるので一層育ちやすい環境になります。またカットしたものを別の株として育てたり、葉や茎から発根・発芽させることも可能ですよ。
ここでは「株分け」「葉挿し」「挿し木」という、3つの方法をご紹介します。植え替えのときに一緒にやってみるのもいいですね。それぞれの方法に向いている品種も記載しているので、参考になさってください。
株分け
株分けは、元の株の周りに生えてきた子株を別の植木鉢に植える方法です。ハオルチア、アガベ、クラッスラ、コノフィツム(メセン類)、セダムなどは株分けできる種です。
前回の水やりから少なくとも1週間は空けておきましょう。
株分けの方法は、まず株全体を植木鉢から一度抜き、根についている土を取ります。その後、消毒したハサミを使って子株を根がついた状態で親株から切り分け、別の鉢に植え付ければ完成です。水やりは1週間ほど待ってから開始しましょう。
葉挿し
葉挿しは葉から発芽・発根させて株を増やす、多肉植物ならではの増やし方。エケベリアやコチレドン、パキフィツムなどで可能です。
まず親株についている葉を1枚持ち、左右に優しく揺らして取ってください。その後、乾いた土の上に、もいだ葉を置きます。切り口が土に軽く触れるようにするのがポイントです。そのまま明るい日向に、水は与えずに置いておきましょう。早いものは数日、遅いものは2ヶ月ほど経つと子株ができ、根が生えてきます。根が出たら霧吹きなどで水を与え、株が少し生長してしっかりしたら鉢に植えて育ててください。
大事なのは、付け根からきれいに取れていること。
途中で切れた葉には成長点が無いため発根しません。
付け根の部分が直線的ではなく丸くなっているものでやってみましょう。
挿し木
カランコエ、セダム、コチレドン、アエオニウムなど長い茎を持っているものに向いている方法です。株が大きくなって剪定するときに挑戦してみてはいかがでしょう。
まず伸びた茎を3〜5㎝の長さでカットし、風通しのいい明るい日陰で切り口を乾燥させます。数日経って根が生えてきたら、鉢に植えましょう。1週間ほど経ったら水やりを始めてください。
葉の部分がひっかかるくらいの目の粗さの網を伏せて置き、茎を挿すといいですよ。
また、ペットボトルの上部をカットして、いくつか穴を開け、飲み口のところに茎を挿すのもおすすめです。
かかりやすい病気と害虫
多肉植物は比較的育てやすいですが、残念ながら病気や害虫と無縁というわけではありません。日頃のお手入れのときに注意して見て、早期に見つけるようにしましょう。症状と対処法をまとめましたので、参考になさってください。
うどんこ病
初夏から秋にかけて発生しやすいです。葉や茎に白い粉をふりかけたようなカビがつき、やがて一面を覆うように広がっていきます。そのままにしておくと周りに伝染するので、カビがついた部分は切り取りましょう。使用したハサミの消毒もお忘れなく。残った株には農薬を散布しておくといいでしょう。
軟腐病
梅雨時に発生しやすい病気です。細菌が傷口から侵入し、繁殖すると葉や茎が溶けたように柔らかくなり、腐敗して悪臭を放ちます。ほかの株に感染する前に軟腐病にかかった株は抜き取り、土ごと処分しましょう。苦土石灰粉をまいておくと予防できるかもしれません。
ハダニ
体長0.5mm程度のハダニは、葉の裏に寄生して汁を吸います。数が多くなると次第に葉に白い斑点が増え、被害がさらに進むと葉が茶色に変化していきます。ハダニは水に弱いため、定期的に葉の裏にも葉水をするのが有効です。殺ダニ剤も販売されています。
ナメクジ
ナメクジは夜の間に出てきて植物を食べます。また這った跡が残るため美観を損ねます。短時間で大きな被害になることもあるので、特に梅雨の時期や雨の日はナメクジがいないか鉢底まで確認し、見つけ次第除去しましょう。市販の忌避剤や誘引剤を使って予防するのもおすすめです。
土にカビが生えてしまった場合
多肉植物そのものだけでなく、土にカビが生えるケースもあります。これも、水分過多による蒸れが主な原因です。カビが生えた土をそのままにしていると、他の植物に胞子が移り被害が広がってしまうことも。カビを見つけたら、早めに対応することが大切です。
まずは、カビの範囲をチェックしましょう。表面だけなのか、中の方まで生えているのかを見て、カビの生えている部分をすべて取り除く必要があります。いずれの場合も多肉植物ごと一旦鉢から出し、表面またはすべての土を新しいものと入れ替えます。中の方にもカビが生えていた場合は、植木鉢もきれいに洗って乾かしてから土を入れましょう。
カビの胞子を取り除き、一旦乾燥させてから新しい土に植え付けることで、また元気に育つことができます。
まとめ
ユニークな見た目で人気の多肉植物は、春秋型・夏型・冬型の3つの生育型に分けられます。それぞれの特徴に合わせた育て方を理解して環境を整えましょう。水やりの回数は一般的な植物よりも少なくて済みますし、生長する時期に合わせて日当たりと風通しのいい場所を選べば、大きく育てることもできます。
自分でデザインして寄せ植えを作ったり、株分けや葉挿し、挿し木で株を増やしたりするのも面白そうです。気に入った品種を選んで、多肉植物のある生活を楽しんでみてください。
- 多肉植物は生育型ごとに育て方が異なるため、それぞれの生育型を把握しておくことが大切
- 基本的には乾燥気味に育てるのが多肉植物の育て方の基本。水やりのし過ぎには気を付けよう
- 大きく育ったら株を増やすことも可能。株分けや葉挿し、挿し木で多肉植物を増やして楽しもう