サボテンをインテリアに加えよう!おすすめの品種と育て方
お部屋に植物があると気持ちが和みますね。緑色にはリラックス効果があるともいわれていますので、観葉植物やエアプランツなどのインテリアグリーンを育てていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。緑の葉の美しさを楽しむ植物も素敵ですが、少し個性的なフォルムの植物を加えてみると、おしゃれな雰囲気が一層高まりますよ。
そこで今回は、ユニークな形が魅力のサボテンについてくわしくお伝えします。丈夫であまり手がかからないうえに、株を増やすことも比較的簡単にできます。植え替えの仕方や寄せ植えの作り方もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
- お部屋に個性的な植物を取り入れたい方
- 留守がちで植物の世話をするのは難しいとお考えの方
- サボテンのおすすめの品種を知りたい方
目次
サボテンとは
サボテンは多肉植物の一種で、サボテン科に属するもののことをいいます。北アメリカと中央アメリカを中心に広く分布し、なんと2,000種以上あるといわれています。乾燥した地域に育つものが多いですが、一部は温帯や冷帯にも自生しています。ほとんどの品種は耐寒性はあまりありませんが、意外にも氷点下でも育つものもあるそうですよ。
サボテンの特徴のひとつである棘は、葉が変化したものと考えられています。面積の広い葉を無くしたことで水分の蒸散が防げ、一旦吸収した水分を太くなった茎に貯めておくことができるのです。乾燥した場所で生き抜くのにふさわしい生態ですね。
このことから「石鹸のようなもの」を表す「石鹸体(シャボンテイ)」から「サボテン」になったという説があります。
サボテンの刺座(しざ)と棘の役割
一般的なサボテンは、ボールや柱のような形をしている茎と、棘を持っています。ですが、茎の部分がとても薄くなっているものや、棘が退化してなくなっている種もあり、見た目では多肉植物かサボテンか判断が難しいタイプもあります。
その判別のポイントとなるのが、棘が出る器官である「刺座」です。「アレオーレ」とも呼ばれ、棘の付け根にある綿毛で覆われた部分を指します。棘がないサボテンにも刺座はあるので、判断に迷ったらここを見てみましょう。
刺座から出る棘は長さ・太さ・形状どれもさまざまです。中には棘というよりも長い毛のようなものもありますよ。棘は動物に食べられることから身を守るほか、動物の体にくっついて運ばれ、落ちた先で根付くという繁殖の手段でもあります。さらには、棘を密生させることで砂嵐や強い直射日光、冷気から身を守ることもできますし、棘に空気中の水分を結露させ、体内に取り込む役割も持っています。
まるで芋のように太くなるものもあるそうですよ。
根は茎と同様に貯水組織が発達していて、耐乾性に優れています。
おすすめの品種
先述のとおり、サボテンにはとても多くの種類があります。日本で流通しているものの中にも、丸くてころんとした形の「玉サボテン」、丸くて平たい団扇のような形の茎が連なっている「団扇サボテン」、太くまっすぐに上に向かって伸びていく「柱サボテン」、星のように切れ込みが入った形の「星型サボテン」などバラエティ豊か。サイズも5㎝ほどのものから数mになるものまでありますよ。お好みの株を探すのが楽しくなりそうですね。
一方、ミニサボテンは1年で1㎝ぐらいと、ゆっくり生長します。
購入の際は、生長するスピードも考えて株を選ぶことをおすすめします。
ここでは初心者の方にもおすすめの品種をご紹介します。サボテン選びの参考になさってくださいね。
金鯱(キンシャチ)
金色で長い棘が伸びている姿が印象的で「サボテンの王様」といわれています。平均寿命は30年ほどですが、中には100年を超える株もあるのだとか。日本でも伊豆シャボテン動物公園で樹齢約170年の株が育てられています。自生地では1mぐらいまで大きく生長する大型種で、その堂々とした姿で人気があります。
「儚い夢」は、30年の寿命のうち最後の10年にしか開花のチャンスがないことから選ばれた花言葉だといわれています。
白頭扇(ハクトウセン)
白くてふわふわの棘を持つ楕円形の薄い茎が、まるでうさぎの耳のように見えることから「バニーカクタス」とも呼ばれています。15㎝ほどの小型のものをよく見かけますが、30㎝ぐらいまで大きくすることが可能です。品種によっては2mになるものもあるそうですよ。
可愛らしい見た目のサボテンですが、触らないようにしましょう。
小柄ながら強健な種ではありますが、全体を棘に覆われているため、病害虫の被害を見つけにくいというデメリットがあります。水やりのときなどに丁寧にチェックするようにしてください。
墨烏帽子(スミエボシ)
人が両手を挙げているように見える形から「バンザイサボテン」と呼ばれ、進学や開業などのお祝いの品として贈られることもあります。棘がないのでお子様やペットを飼っているお宅でも栽培しやすいですね。また、刺座が水玉模様のようにも見え、ユーモラスな形と相まって人気がある品種です。よく日に当てると黒っぽい緑色になり、味わい深い見た目になりますよ。生長スピードが早い品種なので、どんどん大きくなる姿が見たい方におすすめです。
ですが、落ちた子株は挿し木で育てることができるので、新しい鉢に植えて栽培しましょう。
(挿し木の仕方は後述します。)
鸞鳳玉(ランポウ/ランポー ギョク)
アストロフィツム属で、棘はなく、縦に稜線が入った星型サボテンです。小さな白い斑点がたくさん入っているため全体的に白っぽく見えます。星のように5つに分かれているもののほか、3つや4つのタイプもあります。生長するにつれて稜線が増えて、8〜10本入ることもありますよ。比較的丈夫で花もつきやすいですが、単独で大きくなる種で、子株が出ることはありません。
白い斑点が大きい「恩塚(おんづか)鸞鳳玉」や、凸凹した形が興味深い「亀甲(きっこう)鸞鳳玉」、武士の兜のような「兜丸」、ゴツゴツとした姿の「ウルトラモンストランポー玉」など、名前も興味深いです。
植木鉢選び
カラフルな鉢でポップな雰囲気に、あるいは、ダークな色で大人っぽくなど、植木鉢で印象は大きく変わります。個性的な見た目のサボテンを素敵な鉢に入れて置くと、インテリアもワンランクアップしそうですね。
植木鉢の素材は素焼き、テラコッタ、プラスチック、陶器などいろいろありますが、どれを選んでも問題ありません。ただ、サボテンは土の中が湿っていると株が弱るので、必ず鉢底に穴が空いているものを選びましょう。
植木鉢が大きすぎたり深すぎたりすると、土の量に対して根が少ない状態になるため、土の中の水分が十分に吸収されず、なかなか乾きません。そのままにしておくと土の中の酸素の量が少ない状態が続くので、根が酸欠状態になり根腐れを起こします。そうならないよう、植木鉢は株の大きさに見合った直径で、深すぎないものを選んでくださいね。
ですから、黒い鉢がいいという意見もありますが、よく日が当たる場所であれば何色の植木鉢でも順調に育ちます。
鉢を置く環境に合わせて色を選ぶといいかもしれませんね。
元気な株の見分け方
サボテンは園芸店やホームセンター、100円ショップなどで購入できます。比較的長く付き合える植物ですから、形やサイズ、棘の形状などにもこだわって、気に入ったものを選びたいですね。
健康なサボテンは色艶とバランスがよく、安定感があってどっしりとしています。歪んで育っていたり、変色している部分があるものは、生育環境が整っていなかった可能性があるので、避けた方が無難です。
害虫のついた株を持ち込むと、自宅で育てているほかの植物にまで被害が及ぶことがあります。
サボテンの育て方
棘があるサボテンは、風水では邪気を跳ね除ける厄除けの植物とされています。一方で、良い気が入ってくるのをブロックしてしまうという説も。気になる方は、運気の入り口である玄関ではなくベランダや窓際でサボテンを育てましょう。窓は外部の邪気が入って来る場所とされているので、棘のおかげで侵入を防げるかもしれませんね。
季節で考えると、春と秋はサボテンがよく育つ生育期。そして、夏と冬は生育スピードが鈍る休眠期です。暑さには強いイメージがありますが、自生地と異なり日本の夏は湿度が高く、また、夜になっても砂漠ほどの寒暖差がないため、サボテンにとって理想的な環境とはいえません。サボテンが生育しやすいように、まずは場所選びから始めましょう。
置き場所
サボテンは、日当たりと風通しのいい場所で育てましょう。なお、直射日光に当たると葉焼けすることがあります。室内であればレースのカーテン越しの光が届く明るい場所を選んでください。屋外で育てる場合は、必要であれば遮光ネットを使用しましょう。また、雨ざらしになるのも避けた方がいいです。梅雨の間は湿度をコントロールできる室内に移動させることも検討してください。
屋外で育てている場合は、気温が10℃を下回るようになったら室内に移動させてください。
そうすれば、冬越しが可能です。
水やり
生育期である春と秋には土が乾いたら鉢底から水が出てくるまでたっぷり水を与えましょう。夏は土が乾いてから2〜3日したら水やりをしてください。ただし、日中に行うと暑さで土の中が高温多湿になり、根が傷む可能性があります。水は夕方から夜に与えましょう。
秋の終わり頃になると休眠期に入る準備が始まります。水やりは2週間に一度程度に減らしてください。冬は1ヶ月に一度くらいまで頻度を下げても問題ありません。冷たい水を与えると、根が傷んだり根腐れを起こしたりする原因になります。気温が高い日中に、できれば15℃くらいのぬるめの水をあげるといいでしょう。
水やりをするときはたっぷりと、そして、土がしっかり乾くまで待ってから次の水やりをするようにしましょう。
植え替え
サボテンは1〜2年に一度を目安に、ひとまわり大きな鉢に植え替えましょう。鉢底から根が出てきたり、植木鉢とサボテンのバランスが悪くなるほど大きくなったり、水はけが悪くなったりしたら植え替えのサインです。できれば生育期に入る3月〜4月に、遅くとも5月には植え替えを終えるようにしましょう。そうすると順調に根づく可能性が高いです。
1号=3㎝と考えますので、例えば3号の鉢は直径9㎝になります。
植え替えの際には、それまでより直径が3㎝大きい鉢を選んでください。
なお、販売店によっては土の表面を糊で固めていることがあります。長期間そのまま育てると生長に影響が出ることがあるので、購入後早めに植え替えることをおすすめします。
植え替えの手順
植え替えの1週間ほど前から水やりは控えましょう。土が湿っていると、根に土がくっついて、土を落とす際に根を傷める可能性があります。また、棘が刺さらないよう、通常の園芸用グローブではなくレザーやラバーのついたものを着用することをおすすめします。
- サボテン
- ハサミ(消毒済みのもの)
- ひとまわり大きな植木鉢
- 鉢底石
- サボテン用の用土
- 緩効性の化学肥料
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STEP. 1
サボテンを元の鉢から抜く
土が乾燥していることを確認してから、植木鉢からサボテンを抜きます。
根を傷つけないように注意しながら、土を落としましょう。
変色している根があればハサミで切り取ってください。
そのまま風通しのいい日陰に4〜5日置いて、根を乾かします。
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STEP. 2
新しい鉢の準備をする
植木鉢に鉢底石を入れたあと、サボテン用の用土を鉢の半分くらいまで入れておきましょう。
緩効性の化学肥料を鉢にひとつまみ混ぜておくと、その後、追肥の必要はありません。
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STEP. 3
サボテンを植えつける
植木鉢の中央にサボテンを配置し、用土を加えます。
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STEP. 4
完成
日当たりのいい場所に置き、10日ほど経ったら水やりを再開してください。
挿し木で株を増やそう
多くのサボテンは、順調に生長すると子株が出てきます。2㎝ほどの大きさになったら、株分けして挿し木で増やすことができますよ。こちらも生育期に行うといいので、植え替える際に一緒に挑戦してみてはいかがでしょう。子株を外すことでエネルギーを温存できるため、親株が元気になるというメリットもあります。
まず、子株を左右に揺らして根本から取ります。そのまま風通しのいい場所に2〜3日置いて、切り口を乾燥させます。その後、切り口を下にして用土に植えつけましょう。水やりは植え替えと同様、10日ほど経ってから行ってください。
また、根本から外すことが大事です。
茎が途中で切れないように注意してください。
なお、一度に複数の子株を親株から取っても問題ありません。
寄せ植えを作ろう
小さなサボテンをひとつの植木鉢に一緒に植えて、おしゃれな寄せ植えを作るのも楽しいですよ。見た目が大きく異なるものを組み合わせると面白みが増します。配置に迷ったら、背が高いものを奥に、小さいものを前にしましょう。バランスよく収まりますよ。
寄せ植えを作る際は、1週間ほど前から水やりを控えましょう。状態の悪い根があれば切っておいてくださいね。植え替えの時と同様に根がしっかり乾燥したら、新しい用土に植えつけます。水やりは10日ほどしてから始めましょう。
また、小さな動物のフィギュアを乗せてみたり、白・グレー・黒などの色のついた化粧砂を用土の表面に加えたりするのもおすすめです。
株の色が引き立ちますよ。
まとめ
サボテンは独特の見た目と育てやすさで人気がある植物です。たくさんの種類があるので、好みのフォルムやサイズの株を見つけて育ててみてはいかがでしょう。日当たりと風通しのいい場所に置き、乾燥気味に育てるのがポイントです。ただし、水が必要なときにはたっぷりと与えてください。
株が大きく育ったら、ひとまわり大きなサイズの鉢に植え替えましょう。その際は一般的な植物と異なり、根をしっかり乾燥させてから行うことをお忘れなく。また、子株が出ていれば、挿し木で株を増やすのもおすすめですよ。小さな株をひとつの植木鉢に集めて寄せ植えするのも素敵ですね。植木鉢のデザインや株の配置、おしゃれな小物も追加して、こだわりの一鉢を作ってみましょう。お気に入りのサボテンを育てて、緑のある暮らしを楽しんでくださいね。
- サボテンは種類もサイズもバラエティに富んでいるうえに比較的育てやすい
- サボテンを育てる際は日当たりと風通しのいい場所で乾燥気味に管理する
- 挿し木や寄せ植え作りにも挑戦して、サボテンを育てることを楽しもう