ほんのひと手間で切り花が長持ち!あじさいの基本的なお手入れ方法をご紹介

記事の監修

一瀬 美里

「FLORIST Classic Bouquet」代表

【経歴】
某大手ファーストフードチェーン店 ショップマネージャー
IT企業 管理運営部 リーダー

2019年7月に福岡県福津市にて「FLORIST Classic Bouquet」創業。花屋歴17年 (2021年現在)。

あじさいは、梅雨の時期にキレイに花を咲かせる季節を感じる植物としても人気ですね。見ごろになると、あじさいの名所に人が集まるのもまた風流です。植えられているものや鉢植えで見かけることが多いあじさいですが、切り花として楽しむのも素敵ですよ。

そこで今回は、あじさいの切り花を長持ちさせるポイントについてご紹介します。

この記事はこんな人におすすめ

  • あじさいの切り花をできるだけ長く飾って楽しみたい方
  • あじさいは好きだけどお手入れの仕方がわからないという方
  • 自宅で育てているあじさいを部屋でも飾ってみたい方

PICK UP

目次

あじさいは手入れ次第で長持ちする花

あじさいは手入れ次第で長持ちする花

あじさいを切り花にするイメージがあまりないという方も多いのではないでしょうか。そのため、切り花にしたときに生け方がわからないという声もよく聞かれます。確かに、あじさいはバラやガーベラなど切り花としてよく出回る花に比べると、切り花にして飾るのは珍しいかもしれません。

しかし、花屋さんでも5~6月のシーズンには切り花で販売されているのですよ。お手入れのコツさえ押さえておけば、自宅でもきれいな状態で長持ちさせることができます。

あじさいを切り花にするメリット

あじさいを切り花にするメリット

鉢植えや地植えで育てたあじさいも、やがて枯れてしまいますよね。そこで、花の咲いたタイミングでカットして室内で生ければ鑑賞する機会を増やすことができます。花屋さんで販売されるものも含め、あじさいはとてもボリュームがある花なので切り花を一輪飾るだけでかなり存在感がありますよね。季節感のあるインテリアとしてもぴったりではないでしょうか。

さらに、鉢植えや地植えのあじさいを切り花にすることには他にもメリットがあります。

それは、新鮮な花をカットすることで、さらに新しい花に栄養がいきわたりやすくなり、また、株に体力を残すことができます。そしてあじさいは、咲き終わると新しい花が咲きます。あじさいは咲き終わったら茎の部分から短く剪定する切り戻しという作業を行うのが一般的です。そうすることで、翌年、翌々年にまた新芽が膨らみ新しい花が咲きます。

カットするタイミングは、花が新鮮な時です。次の年に花が咲く体力を株につけておきましょう。

切り戻しをする際の注意点
あじさいの剪定は、新芽が枝に残るように行うのが基本です。あまり切りすぎると花が咲かなくなってしまうこともあるため気をつけましょう。

あじさいの切り花は水落ちしやすいの?

あじさいは花びらが薄く繊細な花というイメージもあり、切り花にしてもすぐにしおれてしまうのでは?と思う人も多いのではないでしょうか。確かに、あじさいは他の種類の切り花と比較しても水が落ちやすい(しおれやすい)花ではあります。そのため、水揚げがうまくいかないとすぐにしおれてしまい、長持ちさせることは難しくなってしまいます。

でも、逆に言えば水揚げさえきちんとできれば長持ちする花でもあるのです

あじさいが水落ちしやすい理由
あじさいは枝から茎が出ている特殊な形状が特徴です。そのため、導管から水を吸い上げ花に届けるまでの距離が長いことや、吸水の妨げになるような障害物が含まれやすいことなど、水落ちしやすい要因がどうしても発生してしまいます。そこで、手を加えることにより水落ちを防ぎ水揚げを促すことが重要なのです。
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長持ちさせるポイントは水揚げ

長持ちさせるポイントは水揚げ

あじさいの切り花を長持ちさせるには、正しい水揚げが肝心。そこで、基本の水揚げの方法を学んでいきましょう。水をしっかり吸えるようにするためには、茎に手を加えて水を吸いやすくするのを助けてあげることが大切だとお伝えしました。あじさいに限らず他の花に関しても、基本的には断面が広くなるよう茎を斜めにカットすること・断面が潰れないよう鋭利な刃物でスパッと切ることを心がけましょう

断面が広いとそれだけ水を吸う面積が広がりますし、断面が潰れないことで導管が塞がれることもなくスムーズに吸水できます。斜めにカットすれば垂直に切るよりも断面も潰れにくくなりますよ。特に、あじさいの旬の時期は湿度も気温も上がりやすい蒸し暑い季節。切り花の傷みやすい時期でもありますので、こまめなメンテナンスが重要です。

カットは毎日行うのがベスト
あじさいは茎が長いままの状態よりも、短めにカットしてあげた方が水揚げがしやすいです。導管が短い方が効率よく水を花に届けられるからですね。そのため、水落ちしやすいあじさいはできるだけ毎日カットして水揚げを行うのが長持ちさせるコツなのです。

あじさいの水揚げの仕方は独特

あじさいの水揚げの仕方は独特

ここまでは他の切り花のお手入れとほとんど変わりません。あじさいの場合はさらにもうひと手間加えます。茎を斜めにカットしただけでは、まだ水落ちしやすい状態は改善されていないのです。花屋さんで購入した切り花は、すでに水揚げされていますのでこれからご紹介する下処理も済んでいることがほとんどです。

自宅で育てている鉢植えや地植えのあじさいは、茶色い枝の部分がついている場合はナイフでこそぎ落とすように表皮を剥きましょう。そうすることで吸水しやすくなります。

あじさいの葉にもひと手間を
霧吹きを使ってあじさいの葉の裏側に「葉水(はみず)」をします。葉水とは、植物の葉に水を与える方法。
葉水をすることであじさいが、シャキンと元気になります。

あじさいの水揚げ方法

  • STEP. 1

    茎を斜めにカットする

     

    花用のナイフやカッターで斜めにカットします。花用のナイフが無ければ果物ナイフで代用できます。

    切れ味が良いナイフやカッターを使って下さい。切り口に錆がつくと吸い上げが悪くなるので注意して下さい。

    カットの際に、縦半分に切り込みを入れると水揚げがしやすくなり効果的です。

  • STEP. 2

    ワタ取りをする

     

    茎の中にワタが入っているのでナイフやカッターを使って綺麗に取ります。

  • STEP. 3

    茶色い皮の部分を剥ぐ

     

    さらに水揚げを良くするために茶色い皮の部分を剥いでいきます。

  • STEP. 4

    新聞紙で花と葉の部分を巻く

     

    茎から吸収した水分が葉から蒸発しないように新聞紙を巻いていきます。

    花の部分は優しく巻き、葉と茎の部分はしっかりと巻きます。この時、葉は上を向くように花を逆さまにして巻いてください。

    新聞紙が取れないように根元をセロハンテープで止めます。

    水に浸かりそうな葉は取りましょう。

  • STEP. 5

    水に浸ける

     

    水は量ではなく深さが大切です。

    水圧の勢いによって水の上がりが良くなるので水は深水にしましょう。

    花瓶の4分の3くらいの水に2〜3時間ほど浸けます。

  • STEP. 6

    完成

焼き揚げという方法もある
あじさいの茎の切り口から2~3㎝ほどの範囲を真っ黒になるまで焼くことで、水揚げを促すことができます。切り口を炭化させることにより雑菌の繁殖を防げる・空気が押し出され吸水力が上がるという二つの効果が期待できます。
花や葉など焼かない部分にまで熱が伝わらないよう、濡らした新聞紙をしっかりと巻き保護してから行いましょう。

ワタ取りで吸水力をアップ

あじさいの茎を切ってみると中に綿のようなものが詰まっていることがわかります。この綿を掻き出すように取り除くのです。こうすることで、吸水を妨げるものがなくなり、より水を吸い上げやすくなるというわけです

綿を取る作業は多少手間に感じる部分もありますが、これをするのとしないのとでは持ちが全然違います。季節限定のお世話と思って、楽しみながらあじさいに触れましょう。ちなみに、お庭などで育てているあじさいをカットして部屋に飾る際は、新しいものよりも古いものの方が水揚げしやすく切り花に向いているようです。

ワタ取りはスピードが大事!
この作業はスピードが大事です。切り口が空気に触れてる時間が長いほど水上がりが上手くいかないので注意が必要です。もし、早く作業ができる自信が無い方は、水の中で茎を切って下さい。水切りでも十分水を吸収してくれますので、慣れないうちは水切りで水揚げをして下さい。

これまで上記でご紹介したあじさいの水揚げ方法について、わかりやすくまとめられた動画をご紹介します。下記の動画を参考にしてみて下さい。

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たっぷりの水と延命剤の活用

たっぷりの水と延命剤の活用

あじさいは花の特徴と季節柄、水替えを毎日行うのが理想的です。そして、水揚げしやすい状態にお手入れすると花瓶に入れた水もどんどん減っていくため、水は十分な量をキープすることも大切。こまめに水替えするのは難しい…という場合は延命剤を活用すればあじさいを長い間飾って楽しむことができるでしょう。その場合も、水が足りなくなって枯渇しないように気をつけながら、できる範囲で水替えを行うようにして下さい。

葉っぱも取り除いた方が花は持つ
あじさいには大きな葉っぱがついていますが、葉っぱがたくさんついている状態では水や養分が花よりも葉に取られがちに。花瓶に浸かる部分の葉はすべて取り除き、外に出る部分も1~2枚程度にしておきましょう。

こまめな水替えで鮮度を保つ

切り花にとって水の鮮度を保つことは非常に重要です。いくらあじさい自体を水揚げしやすい状態にしても、水が雑菌だらけだったら吸水できずしおれてしまいます。常に清潔な水を与えることが切り花を長持ちさせるための基本と覚えておきましょう

細い花瓶では水が枯渇する可能性がありますので、せめて一日放置しても水がなくならない程度の量が入る花瓶を用意しましょう。空き瓶などを代用してもOKです。水替えを行う際には併せて水切りも行うことで、きれいな水をたっぷり吸わせることができます

花瓶や茎も清潔に!
水をこまめに入れ替えても、花瓶の内側が汚れていたら雑菌は繁殖しやすくなってしまいます。また、あじさいの茎がヌルヌルしている状態をそのままにするのもNG。水替えだけでなく、花瓶の洗浄や茎をカットしヌメリを取り除くことも同時に行うようにしましょう。

延命剤と代用品

水はたっぷりとあげるのが理想的ですが、多すぎると雑菌が繁殖するリスクも高くなってしまいます。延命剤にはそのリスクを下げる役割もあるのです。花に栄養を与えるだけでなく、水の鮮度を保ちやすくする効果があるものがほとんどですので、上手に活用することであじさいの寿命を延ばすことができるでしょう。延命剤がない場合は、10円玉を入れて銅イオンを発生させたり微量の漂白剤を垂らして雑菌を抑えるという方法もあります。

延命剤は衛生面を目的に活用しよう

代用品としては砂糖や炭酸水を加えるといった方法もありますが、こちらは栄養補給が目的となっています。あじさいの場合はどちらかというと水の鮮度を保つ方が効果的ですので、衛生面を目的にした方法で長持ちさせましょう。

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涼しい場所で管理

涼しい場所で管理

できるだけ水を清潔に保つのが、あじさいに限らず切り花を長持ちさせるための基本とお伝えしました。そのために重要となってくるのが温度です。あじさいも他の切り花と同様に、涼しい場所を好みます。逆に気温や湿度が高い場所に花瓶を置いておくと雑菌には好都合、花は傷みやすくなってしまいますよね。

あじさいの旬である6月も、気温が上がり始める時期ですので温度管理には気をつけたいところです。できるだけ涼しく風通しのよい場所を選んで管理するようにしましょう。

直射日光もNG
梅雨時ですので切り花が直射日光にさらされることは少ないかもしれませんが、晴れ間には要注意。南側の窓際などに花瓶を置いておくとあっという間に花瓶の温度も上がってしまいます。
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まとめ

あじさいの切り花を長持ちさせるには、いかに十分に水揚げさせることができるかということにかかっているのですね。他の花とは違った特徴もあり、その個性に合わせたお世話の仕方が大切ということも分かりました。これで、いつでもあじさいをお部屋の中でも楽しむことができるのではないでしょうか。

鉢植えを購入してお庭で育てながら、育ったあじさい切り花としてインテリアに取り入れてみてはいかがでしょう。

この記事のまとめ

  • あじさいの切り花を長持ちさせるには水揚げをしっかり行うことが重要
  • あじさいの水揚げ方法は特殊!茎の切り目を大きくし綿を取り除いて吸水力を上げよう
  • 水の鮮度を保つために延命剤の利用や温度管理を心掛けることで長持ちさせられる

記事の監修

一瀬 美里

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