自分好みの株に仕立てよう!パキラの剪定方法をご紹介
5〜7枚のボート型の葉が放射状に広がるパキラ。艶のある美しい緑の葉がゆらゆらと揺れる様子が素敵な観葉植物です。幹にも特徴があり、下の方が膨らんでいたり、面白い形に枝分かれしていたり、数本が編み込まれていたりと個性的。おしゃれなインテリアプランツとして人気です。
比較的生長のスピードが速く次々に新芽が出てきますが、そのままにしていると見た目が悪くなるだけでなく、さまざまなトラブルが起きてしまいます。そこで今回は、パキラを育てる上で欠かせない剪定についてお伝えします。剪定のタイミングや具体的なやり方、そして、株を増やす方法についてもまとめていますので、どうぞ最後までお読みください。
- 育てやすい観葉植物を探している方
- パキラの剪定にはどんな方法があるのか詳しく知りたい方
- パキラの株を増やしてみたい方
目次
パキラはどんな植物?
パキラといえば、手のひらをパッと広げたような形の葉が印象的ですね。1年を通して瑞々しい緑色を楽しめて、病害虫にも比較的強く、初めて観葉植物を育てる方にもおすすめです。サイズもさまざまで、卓上サイズから大人の身長くらいのものまで販売されています。
花言葉は「快活」や「勝利」。その昔、パキラを販売することで貧困から抜け出し、富を得たというサクセスストーリーからつけられたそうです。また、風水でも金運を上げる「Money Tree」とされていますから、個人のお宅のほか開業祝いなどにもぴったり。オフィスやショールーム、カフェなどでもよく見かけますね。
葉が下を向いていたり、株全体のバランスが悪かったり、弱々しい印象を受けたりするものは避けましょう。
パキラの育て方
おしゃれな見た目のパキラは繁殖力旺盛。あちこちから新芽が出る様子は可愛らしくもあり、観葉植物を育てる楽しさを味わえますよ。
肥料は与えなくてもよく育ちますが、大きな株に育てたい場合は、春から夏にかけて緩効性の固形肥料や液肥を使用しましょう。固形肥料は粒状のものやタブレットがあります。土の上に置くだけでいいので使いやすいですね。一方、液肥は即効性があり、水に混ぜて使用するタイプが多いです。肥料を使う場合は、説明書に記載されている分量を守り、株の状態に合わせて使用してください。
それでは、ここから基本の育て方をご紹介していきます。パキラの購入をご検討中の方も参考になさってください。
置き場所と水やり
パキラは暖かくて日当たりと風通しのいい場所を好みます。ただし、直射日光が当たると葉焼けしますので、必要であればレースのカーテンや遮光ネットを使用してください。逆に、光が十分に届かない場所で育てると、茎や葉がひょろひょろと伸びて間延びした見た目になります。光量が不足する場合は、週に3日ほどは明るい場所に移動させたり、植物用のLEDライトを使用したりしましょう。
また、風通しが悪いと土の中が蒸れ、根腐れを起こしやすくなります。空気が循環する場所を選んで配置してください。なお、エアコンの風が直接当たる場所も、植物にとっては負担になるので避けましょう。
冬は窓際から離して、常に5℃以上をキープできる場所で育ててください。
水やりは、ほかの観葉植物と同様に、土が乾いたら鉢底から出るくらいたっぷり与えてください。秋になると生長がゆっくりになり始めるので、水やりの頻度を下げましょう。冬は土の表面が乾いてから3〜4日経ってから水やりを。なお、真冬に冷たい水を与えると枯れる原因になります。15℃前後になるように調節した水を与えてください。
パキラは葉が大きいので、葉水も効果的です。霧吹きで水を噴霧すると、埃やゴミを洗い流せるだけでなく、害虫予防にもなります。
なぜ剪定が必要?
パキラは茂りすぎると葉や茎が密生します。すると、見た目が悪くなるだけでなく、生長に必要な栄養や水分が全体に行き渡らなくなり、株の状態が悪くなってしまいます。ですから、剪定は必須。不要な枝を間引いて樹形を整えると、見栄えが良くなるのはもちろん、必要な養分がすみずみまで届き力がみなぎることから、新芽も出やすくなります。
また、剪定によって茎や葉の間に空間が生まれると、風通しがよくなります。植物にとって蒸れは大敵。カビや害虫が発生する原因にもなるので、この点でも剪定は大事ですね。また、光が届きにくかった葉にも日が当たるようになるので、株全体の生長にプラスに働きます。
室内でパキラを育てている場合は特に、株が大きくなりすぎるのは困りものです。限られたスペースの中で美しい樹形を保つためにも、剪定は有効です。
剪定のタイミング
パキラの葉が増えて重なり出したら要注意です。日が届かない部分が出て、偏った伸び方をしていたり、全体的に弱々しい印象になったりしたら、剪定しましょう。
パキラは生命力が強いので、真夏と真冬を避ければ剪定できます。ですが、剪定は植物にとって負担が大きいことに変わりないため、回復力のある生育期に行うのがベスト。剪定後に芽が出て樹形が整うまで2週間〜1ヶ月かかることを考えて、5月から7月の間に行うことをおすすめします。
とはいえ、少し葉を落とす程度に止め、大掛かりな剪定は翌年まで待った方がいいでしょう。
剪定バサミのお手入れ
剪定する際は、切れ味のいい剪定バサミを使用してください。スパッと切れないと、枝の断面の組織が潰れてしまうため、再生しにくくなります。
剪定バサミには「バイパスタイプ」と「アンビルタイプ」があります。バイパスタイプは2枚の刃を擦り合わせて切るため、切れ味が鋭いです。一方、アンビルタイプは片方の刃で切り、もう片方で受けるようになっているもので、固い枝や太い幹を切るのに向いています。このため、パキラの剪定にはバイパスタイプの方がおすすめです。
剪定した後は、ハサミが劣化しないよう、お手入れするのが大事です。ヤニやシブなどの植物の樹液は専用のクリーナーを使って落としてください。動きが悪い場合は、ネジの部分に油を差しておきましょう。切れ味が悪くなったら専門の方に頼んで研いでもらうと、長く使えますよ。
剪定バサミを使ったら必ずきれいに洗って、消毒しましょう。
成長点を意識して
パキラの茎をよく見ると、節のようになっていて茶色い線が入っているところがあります。それが成長点です。新しい芽は成長点から出てくるので、剪定する際は成長点の2㎝ほど上で切りましょう。うっかり成長点がないところで切ってしまっても、パキラは丈夫なのでいずれは新芽が出ます。時間はかかりますが、あまり心配せずに待ちましょう。逆に、あまり大きくならないで欲しいときや、同じ箇所から新芽が出て欲しくない場合は、成長点より下でカットしてください。
パキラはどっしりとした1本の幹のもののほか、枝がくねくねと曲がった樹形のものもあります。剪定の後、どんな形に伸びて欲しいかを考えながら、どの成長点を残すか検討してください。
剪定は「切り戻し」と「丸坊主」の2種類
通常、観葉植物を剪定する際は余分な枝を落としますが、パキラは再生する力がとても高いため、全ての枝を切ってしまう強剪定も可能です。そこで、ここでは「切り戻し」と「丸坊主」の両方のやり方をご紹介します。
どちらも手順自体は難しくありませんが、剪定後の管理は普段よりも慎重に行いましょう。葉の数が減ると葉から蒸発する水分量も減るため、剪定前よりも土が乾くまで時間がかかるようになります。日当たりと風通しがいい場所に置き、株をよく観察して、水やりをタイミングよく行ってください。また、肥料を与えるのは新芽が出た後にしましょう。
それでは、切り戻しからご説明します。
伸びすぎた枝を取り除く「切り戻し」
樹形が崩れてきたなと感じたら、株全体を見てバランスの悪い枝葉を切り落としましょう。高すぎる枝や、横に広がりすぎた枝を剪定すれば、すっきりとした見た目になり、きれいなフォルムを保てます。
切り始める前に完成形を思い描いておくと、作業を進めやすいです。まずは理想の高さと幅、樹形を決めてから始めましょう。
あらかじめティッシュなどを用意しておいて、カットするたびに拭き取りましょう。
また、皮膚につくとかぶれることがあるので、手袋を着用することをおすすめします。
切り戻しの手順
- パキラ
- 剪定バサミ(消毒済みのもの)
- 園芸用手袋
-
STEP. 1
変色した枝や枯れた枝を落とす
根元からカットしましょう。
-
STEP. 2
バランスの悪い枝を落とす
まず、ひょろひょろと細長く伸びている(徒長している)枝を切ります。
次に、上や横に伸びすぎている枝を切ってください。
理想の形に近づくように、いろいろな角度から株を見て、不要な枝を切り取りましょう。
-
STEP. 3
内側の茎を間引く
葉が多すぎると、茎同士が絡んでしまっていることがあります。
そのままでは蒸れてしまうので、数本切り取って風通しが良くなるようにしましょう。
-
STEP. 4
完成
樹液を拭き取って、乾燥した後で癒合剤を塗ってください。
全ての枝をカットする「丸坊主」
あまりに枝が伸びすぎて樹形が崩れてしまったときは、全ての枝を落としてリセットすることも可能です。成長点がなくなるため、切り戻しに比べると芽が出るまでに時間を要しますが、樹形をゼロから整えられるメリットがあります。
ただし、同じ株を何度も丸坊主にするのは、パキラにとって負担が大きいので控えましょう。通常は切り戻しでも十分に樹形を保てます。丸坊主は大幅に樹形を変える必要がある場合に限って行うことをおすすめします。
場合によっては、幹の途中まで切ることもありますが、適切に行えば再生できることが多いです。
丸坊主の手順
作業する数日前から水やりは控えましょう。先述のとおり、葉から水分が蒸発する「蒸散」が全く行われなくなるため、丸坊主にした後は土が乾くまで時間がかかるようになります。根腐れを起こすこともあるので、あらかじめ土の水分量を少し減らしておくことが重要です。
- パキラ
- 剪定バサミ(消毒済みのもの)
- 園芸用手袋
-
STEP. 1
全ての枝を切る
株の形によっては、中央の幹だけでなく、太い枝を1、2本残すことも可能です。
その場合は断面付近から新しい芽が出ることが多いので、剪定後の樹形を想像しながら切りましょう。
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STEP. 2
明るく風通しのいい場所に置く
新芽が出るまで水やりは控えめに。
土がしっかり乾くまで待ってから水を与えてください。
-
STEP. 3
新芽が出るのを待つ
2週間〜1ヶ月ほどで新芽が出ます。
その後は、通常の水やりの頻度に戻しましょう。
-
STEP. 4
完成
芽が小さいうちに間引いておく「芽かき」をすると、残った枝が順調に伸びやすくなります。
編み込みパキラが枯れてしまったら
数本の幹を絡ませて作られた編み込みパキラは、生長に伴い鉢の中のスペースを奪い合うことになるため、枯れてしまう株が出ることがあります。そうなったら、枯れた株を剪定して取り除きましょう。土は乾燥している方が作業しやすいので、水やりは数日前から控えてください。
まず、ハサミを入れられるところを探して数カ所で幹を切り、抜いていきましょう。その際、傍にある元気な幹を傷つけないように気をつけてください。根も慎重に除去します。枯れた株を取り除いた後は、土に開いた穴に土を追加してから水やりをし、残った株を安定させましょう。
ですが、普段室内で育てている植物を短時間でも直射日光に当てると、葉焼けする可能性があります。
作業は日陰や軒下などで行ってください。
もし状態のいい枝があれば、挿し木にして発根させることが可能です。以下の内容を参考にして、挑戦してみてください。
剪定した枝は挿し木に
挿し木は、枝を土や水に挿して発根させ、株を増やす方法です。剪定した中で色艶がよく元気な枝があれば、挿し木してみましょう。1〜2ヶ月で新しい苗として植えつけることができますよ。
剪定した枝は、切り口が乾燥しないよう、すぐに水につけておきましょう。その際、斜めに切っておくと水を吸い上げやすくなります。枝の長さは3節分あれば大丈夫です。小さな植木鉢に鉢底石と挿し木用の土を入れて苗床を作り、水をかけたら準備完了です。ひとつの鉢に間隔をあけて数本挿しても問題ありません。
挿し木の手順
- 剪定したパキラの枝
- 園芸用のハサミ(消毒済みのもの)
- 水を入れた器
- 苗床
- 割り箸などの細長い棒
- 園芸用手袋
-
STEP. 1
葉を減らして水揚げする
葉が多いと水分が蒸発しやすくなるので、一番上の1〜2枚を残してほかの葉は茎の付け根から切り落としましょう。
さらに、残した葉も1/2〜1/3のサイズになるように葉先を切ってください。
そのまま1時間ほど水に挿しておきましょう。
-
STEP. 2
土に小さな穴を開け、パキラの枝を挿す
細長い棒を使って土の表面に穴を開けたら、パキラの枝を土に挿します。
1節分くらいは土の中に埋めるようにしましょう。
その後、土の表面を軽く押して、安定させてください。
-
STEP. 3
水やりをする
底から水が出るくらいたっぷり水を与えましょう。
-
STEP. 4
完成
編み込みパキラに仕立てる
パキラが30㎝ほどの高さまで生長したら、人気の編み込みパキラを作ってみませんか?こちらも5〜7月に行えば、比較的うまく育ちやすいです。逆に8月以降だと、ストレスから枯れる株が出てくることがあるので、真夏より前に編み込むことをおすすめします。
編み込みパキラは2〜5本の苗でできますが、ここでは3本のパキラで三つ編みにする方法をご紹介します。
- パキラの苗3本
- 植木鉢
- 鉢底石
- 観葉植物用培養土
- 園芸用のハサミ(消毒済みのもの)
- スコップ
- 麻紐
- 支柱
- 園芸用手袋
-
STEP. 1
植木鉢を準備する
植木鉢に鉢底石を入れたら培養土を加えます。
-
STEP. 2
パキラを植える
下の方に枝がついている場合は落としてください。
その後、3本のパキラを10〜15㎝の間を開けて円形になるように植木鉢に植えます。
-
STEP. 3
幹を編み込む
きつく編むと生長したときに幹が折れやすくなるので、空間に余裕を持たせて編んでください。
編み終わりは麻紐で軽く結びましょう。
-
STEP. 4
支柱を立てる
真ん中に支柱を立て、麻紐を使ってパキラを固定してください。
-
STEP. 5
完成
まとめ
パキラは繁殖力旺盛なため剪定が不可欠です。枝を間引くことで見た目が良くなるだけでなく、株全体に栄養や水分が行き渡りやすくなる、全ての葉に日が当たるようになる、風通しがよくなるといったメリットがあります。
剪定には、不要な枝だけを落とす「切り戻し」と、全ての枝を切ってしまう「丸坊主」があります。いずれも生育期である5〜7月に、よく切れる剪定バサミを使って行いましょう。剪定した枝は挿し木にして株を増やすことが可能です。剪定によってパキラをお好みの形に仕立てて、観葉植物を育てる暮らしを楽しんでくださいね。
- パキラの剪定には「切り戻し」と「丸坊主」の2種類がある
- パキラは丈夫なので、思い切った剪定も可能
- 剪定した枝を挿し木して、株を増やしたり、編み込みパキラを作ったりする楽しみもある