多肉植物の水やりのポイントとは?失敗しない育て方のコツもご紹介
ぷっくりと可愛らしい見た目のものや、鋭い葉っぱでかっこいいものなど数多くの種類が存在する多肉植物。小さな鉢植えで育てられるものも多く、お部屋に飾ってもおしゃれな植物ですよね。多肉植物は乾燥に強く育てやすい植物だといわれていますが、水やりは必要です。ただし毎日必要というわけではないため、かえってどんなタイミングで水やりをしたらよいのかわからないという方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、多肉植物の水やりについてご紹介します。頻度やタイミング、多肉植物の様子からわかることなど、基本となるポイントをお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
- 多肉植物を育てたい方
- 多肉植物の水やりのタイミングがわからない方
- 多肉植物などの植物が好きな方
目次
多肉植物には水やりが必要?
多肉植物は「乾燥気味」に育てるとよいといわれていますが、水やりが不要というわけではありません。水を全く与えないと水分不足が原因で葉っぱや茎が萎れていき、枯れてしまう場合もあります。多肉植物の状態をよく観察しながら、必要に応じて適切な水やりを行うことが、多肉植物を上手に育てるためのポイントなのです。
多肉植物の場合、一般的には過剰な水やりは避けて、土がしっかりと乾くまで待ってから水を与えるのが望ましいとされています。ただし、ある程度の目安はあるものの、実際は多肉植物の様子を見て判断することが重要です。植物の生長状況や湿度・温度などの環境条件、植木鉢のサイズや土の状態などを確認しながら、適切なタイミングで水やりを行うようにしましょう。
多肉植物の生育型とは?
多肉植物を育てる際に必ず知っておきたいのが生育型です。多肉植物には「春秋型」「夏型」「冬型」と呼ばれる3つの生育型があり、それぞれに生育期と休眠期というものが存在します。この生育型によって、水やりの頻度やタイミングなども変わってきます。どの生育型の場合でも、基本的には「生育期には多肉植物に水を与え、休眠期には断水する(水を控える)」のが望ましいとされています。
休眠期に水を控えるのはなぜ?
一般的には、植物には毎日水やりを行うことが、元気に育つ秘訣だといわれています。しかし、多肉植物の場合は例外です。多肉植物には「休眠期」というものが存在し、この期間に水を与えるとかえって植物を枯らしてしまう原因となる場合があります。
休眠期は多肉植物の生育自体が鈍くなるため、水分を与えても茎などに水が吸水されません。その為、土の中に水分が貯まり根腐れが起きてしまい、カビが生えるなどの病気にもかかりやすくなるのです。
土が湿っている状態が続いたら、徐々に水やりの頻度を控えるなど、休眠期に向けた水やり方法にシフトしていくといいでしょう。
生育型ごとの水やりのポイント
ここからは、多肉植物の生育型ごとに異なる水やりのポイントについてお伝えしましょう。生育型ごとに生育期や休眠期が違うため、適切なお世話の仕方も変わってきます。これから育てたい多肉植物や、今育てている多肉植物がどの生育型に属しているかを把握し、その特徴などを理解することで、水やりに関する失敗も軽減することができるでしょう。
春秋型の多肉植物
春秋型の多肉植物の場合は、春と秋が生育期となります。生育期となる春から秋にかけては、完全に土が乾いてから鉢底から水が流れるくらいにたっぷりと水を与えましょう。具体的には3月ごろから徐々に水やりの回数を増やしていくのがよいでしょう。休眠期となる夏や冬には、水やりの頻度を1ヶ月に1〜2回程度に抑えるか、断水をするようにしましょう。
- セダム
- エケベリア
- グラプトペタルム
- ハオルチア
夏型の多肉植物
夏型の多肉植物は、春から秋にかけてが生育期となります。生育期となる春から秋は、完全に土が乾いてから鉢底から水が流れるくらいにたっぷりと水を与えましょう。ただし、真夏となる7月から8月頃にかけての時期はやや生育が鈍くなります。水を与える量や回数を減らすのがよいでしょう。冬は休眠期となり生長も止まるため、断水するようにしましょう。
- アガベ
- アロエ
- カランコエ
- 夏型クラッスラ
冬型の多肉植物
冬型の多肉植物は、冬から春にかけてが生育期となります。春秋型や夏型の多肉植物と同様に、生育期となる冬から春にかけては、完全に土が乾いてから鉢底から流れるまでたっぷりと水を与えてあげましょう。ただし、真冬となる1月から2月頃にかけては多肉植物の生長が鈍くなるため、水を与える量や回数を減らすようにしましょう。
また、冬型の多肉植物は夏場が休眠期となります。夏は日差しも強いので水を与えたくなりがちですが、冬型の多肉植物の場合は水やりは控えるようにした方がいいでしょう。
- コノフィツム
- リトープス
- アエオニウム
- 四海波
- 春秋型・・春と秋が生育期、夏や冬は休眠期
- 夏型・・・夏が生育期、冬が休眠期
- 冬型・・・冬〜春頃が生育期、夏は休眠期
多肉植物の水やりの基本
多肉植物に水を与える際には、多肉植物や土の状態をしっかりと確認しながら、適切な時期に適切な量の水を与えることが大切です。水を与えるタイミングを間違えると、それまで順調に育っていた多肉植物でも元気がなくなり、悪化すると枯れてしまうこともあるため注意が必要です。ここからは、水の与え方や注意しておきたいポイントについて具体的にお伝えしていきます。
水やりは土が乾いてから
まず大切なことは、多肉植物の場合は、「土が乾いてから」水を与えるということ。土が湿った状態で水を与え続けてしまうと、根腐れにつながって、多肉植物を傷めてしまいます。土の乾き方をチェックする際は、土の表面だけでなく、土の中も乾いているかを確認することがポイントです。
目安としては、生長期であれば水を与えてから3日ほど、生育期の終わり頃であれば1週間ほどの間隔を空けて水やりを行うといいでしょう。ただしあくまでも目安の日数ですので、しっかりと土の状態を見てから水を与えることが重要です。目安となる日数が経過していても、土が乾いていない状態であれば、水を与えるのは控えておいた方が賢明でしょう。
竹串などを土に挿して、土の乾燥状態を確認してみましょう。土が竹串についてくるようであれば湿っている状態です。湿った土がついてこなくなるまで、水やりは控えてください。
葉っぱには水をかけない
多肉植物の種類にもよりますが、水を与える際にはなるべく多肉植物の葉っぱではなく、土の部分に直接かけるようにしましょう。グラプトペタルムやエケベリアのような種類の多肉植物は、密集している葉っぱの部分に水が溜まりやすい品種となります。これらの品種の場合、溜まった水が原因で葉っぱや根元が蒸れて、多肉植物が弱ってしまうこともあるため注意が必要です。
葉っぱ部分に水が溜まってしまった場合には、ティッシュなどで水分を拭き取る、ストローを使って息を吹きかけて水を飛ばしてあげるなどの対策をして、蒸れなどを防ぐようにしましょう。
品種によっても水の与え方は異なるので、複数の種類を育てる場合はそれぞれの特性をしっかりと把握しておきましょう。
鉢は水が抜けるものを使用
多肉植物を植えている鉢の素材やデザインも、実は水やりにおいて確認しておきたいポイントとなります。鉢は底に穴が開いていて、水分が抜けるようになっているものを選ぶのがおすすめです。ただし、穴が開いている鉢でも、受け皿を併用すると蓋をしたような状態になり、水が抜けきれずに溜まってしまうことも。
水やりの際には水がしっかりと抜けるまで受け皿を外して下部を空けておく、カゴなどに入れて水分が流れ出るようにするなどの工夫をすることが大切です。雨により受け皿に水が溜まった場合は、溜まった水をその都度流すようにしましょう。そのままにしておくと根腐れの原因にもなるので気を付けてくださいね。穴が開いていない鉢やプランターを使用する場合には、水やりの際に鉢自体を傾けて余分な水が流れるようにしておきましょう。
たっぷりと水を与えることで、重力の作用で鉢底に水が落ちやすくなります。上部から水が乾いていき、根っこが水を求めて伸びやすくなります。
水やりは夕方〜夜がおすすめ
多肉植物に水を与える時間帯についても意識してみましょう。多肉植物への水やりは、気温が下がって涼しくなる夕方から夜に行うのが望ましいといわれています。多肉植物は日中に気孔を閉じる性質を持つため、気孔の閉じている日中に水やりをしても水分の吸収率が下がってしまうからです。吸収されなかった水分は土の中に残ってしまい、根腐れの原因にもなります。
また、日中は土の温度自体も上がっているため、水を与えることでさらに鉢の中の温度が上昇しやすくなり、蒸れやすくなってしまいます。水やりは涼しくなった夕方以降を目安に行うようにしましょう。
水滴でできたレンズが太陽の光を直接通すことで、葉っぱが黒くなったり茶色く枯れたりする「葉焼け」が起きてしまうことも。
葉焼け防止のためにも、水やりの時間帯には注意しましょう。
霧吹き(葉水)だけでもOK?
多肉植物の水やりに霧吹きを使うことは問題ありませんが、「霧吹きだけ」で水やりを済ますのはあまり好ましくありません。霧吹きを使って水を与える「葉水」は、時期や多肉植物の状態に合わせて取り入れるようにしましょう。例えば、エアコンや暖房の使用により乾燥した室内で育てている場合や、休眠期で断水をしている時期などに、上手に霧吹きを使い葉水を行うようにすると効果的です。
また、霧吹きで行う葉水は、水分補給だけでなく、多肉植物についたほこりや汚れを取り除いたり、カイガラムシやアブラムシなどの病害虫の被害を防いだりする役割も果たしてくれます。多肉植物の状態を観察しながら、霧吹きで行う葉水を上手に取り入れるようにしましょう。
- 梅雨の時期は葉水は避ける・・・湿度が高い時期なので、葉水を行うことで湿気がこもりやすくなり病気にもつながりやすくなるため
- 夏場は夕方から夜の涼しい時間帯に・・・日中は気温が高く、葉っぱに水がつくことで葉焼けの原因になるため避ける
- 風通しの良い場所に置く・・・水分が残っていると湿気の原因になるため、葉水を行った後は風通しの良い場所に置くことが大切
水やりと一緒に知っておこう!肥料の与え方
多肉植物は、基本的には乾燥気味に育てるけれど、タイミングよく水やりをすることで水分を補う必要があることをお伝えしました。肥料に関しても同様で、適切に与えることによって多肉植物に栄養を補うことができます。
多肉植物の原産地は、主にアフリカ南部やメキシコなどの北米南部、マダガスカル島など。世界中に分布しますが、いずれも乾燥した地域です。砂漠や砂利の多い荒れ地で育つ植物ですので、栄養豊富な土でなくても問題ないのでは…と思われがち。ですが、家庭で育てる際には肥料を使用するのがおすすめです。
多肉植物に肥料を与えるメリット
植物が自生する自然の土地は、有機的な栄養分が豊富です。これは、落ち葉、虫などの死骸、動物のフンを微生物が分解するというサイクルが自然界にできているから。自然の中で自生する植物は、絶え間なく作り出される栄養素を吸収しながら育っています。この環境を一般家庭の庭や植木鉢、プランターで再現するのは難しいため、肥料を使って栄養を補う必要があるのです。
落ち葉や虫の死骸、動物のフンと微生物を土に混ぜ込むのは大変な作業ですが、市販の肥料なら手を汚すこともなく簡単ですね。小さな植木鉢やプランターに植えた多肉植物には、肥料で栄養補給することでより健康に生育させられますよ。ここからは、多肉植物に使える肥料の種類と基本の与え方について、詳しく見ていきましょう。
自然界の土の状態にできるだけ近付けるために、肥料で栄養補給しながら育てましょう。
肥料の種類
植物用の肥料には、一般的に粒状の「緩効性肥料」や液状の「速効性肥料」といった異なるタイプのものがあります。いずれを使う場合も、生育に必要な三大要素である窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)がバランスよく配合されているものを選びましょう。
- 窒素(N):葉や茎の生育を促す働きがある
- リン酸(P):開花を促し、花数・実つきを充実させる
- カリ(K):茎や根を丈夫に育て、耐暑性・耐寒性を高める
緩効性肥料と速効性肥料は、成分は同じでも役割が異なります。それぞれをうまく使い分けることで、多肉植物の生育を上手にサポートできますよ。多肉植物専用の肥料も販売されていますが、一般的な草花用の肥料を使用しても問題ありません。
こちらは不溶性の肥料で、微生物により分解されることにより効果が出るものです(施肥してから約1ヵ月後)。
微生物の力が必要で効果が出るまで時間がかかるため、主に冬に施す肥料(寒肥)や植え付け前の肥料(元肥)として用いられています。
肥料の与え方
肥料を与えるタイミングは、多肉植物の生長期であることが原則です。生育が緩やかになる休眠期に肥料を与えると、傷みやすくなってしまいますので避けましょう。特におすすめのタイミングは、多肉植物の植え替えや植え付けのとき。植え替えや植え付けも生長期に行うのが原則ですので、覚えやすいですね。
植え替えの際に、緩効性肥料を土に混ぜ込めば簡単に栄養補給ができます。肥料入りの土を使う場合は、さらに肥料を加える必要はありません。1~2年に一度を目安に植え替えを行い、その際に緩効性肥料を与えるといいでしょう。文字通り、緩やかに栄養補給していく肥料ですので、一度混ぜ込めば長くサポートしてくれます。
数か月のものもあれば1年以上持つものもありますので、パッケージの表示を確認しましょう。
速効性肥料は、与えてから効き目が出るまで早いですが、持続性はありません。緩効性肥料の効果が切れる頃に、水やりの水に混ぜて与えるといいでしょう。殺虫剤入りの商品もあります。
こちらは、多肉植物が弱ったときや色ツヤをよくしたいときに使うと、サプリメントのような役割が期待できます。
多肉植物の水不足や病気のサイン
多肉植物は、おしゃれで愛らしい姿から、毎日眺めたくなる植物でもあります。日頃から多肉植物を観察しておくことで、癒されるだけでなくちょっとした変化にも気づきやすくなりますよ。「いつもより元気がないな」「葉姿が前と違うな…」と感じたら、病気を発症している可能性もあるので注意が必要です。ここからは、多肉植物に起こりやすいトラブルと対処法についてお伝えしていきます。
葉っぱがシワシワになった
多肉植物の葉っぱがシワシワになっているな…と感じたら、乾燥して水不足になっているサインです。植物の内部から乾いてきている可能性がある為、まずはたっぷりの水を与えてあげましょう。
その後は、直射日光の当たらない風通しの良い場所で、乾燥気味な状態で管理しながら様子を見ましょう。1週間ほど経っても変わらずにシワが寄っている状態が改善しなければ、根腐れを起こしているか病気にかかっている可能性があります。根腐れの場合は、腐った部分をカットして元気な部分の断面を乾燥させて新しい土に植え替えれば復活できるかもしれません。
土が乾燥している場合には、水分不足が原因の可能性が高くなります。
ブヨブヨになったときは?
多肉植物の葉っぱがブヨブヨになってしまった時には、水や肥料を与えすぎているサインです。場合によっては、根腐れを起こし病気になっていることもあります。葉っぱがブヨブヨになった時期が梅雨や夏場の場合には、高温多湿による根腐れが原因の場合が多くなります。また、冬場の場合は寒さや霜にあたってしまったことが原因と考えられます。
葉っぱがブヨブヨになってしまった時には、まずは傷んだ葉っぱの部分を取り除きましょう。ピンセットなどを使うと簡単に取り除くことができます。症状が進んでいるものの場合、少し触っただけでポロポロと葉っぱが落ちてきてしまうかもしれません。
ブヨブヨの葉っぱを取り除いてもまだ茎の部分が硬い状態であれば、直射日光の当たらない風通しの良い場所に移して乾燥気味に管理をしながら1週間ほど様子を見ましょう。ただし、基本的にはブヨブヨになってしまっている時点で根腐れが進んでいる場合が多く、残念ながら状態が改善しない場合がほとんどです。
その場合は、硬く元気な部分の茎や葉っぱを利用して、「葉挿し」や「挿し木」という方法を試してみるとよいでしょう。
- 水や肥料の与えすぎ
- 高温多湿によるダメージ(梅雨時期や夏場に多い)
- 霜にあたる(冬場に多い)
- 病害虫による被害
葉っぱの色が悪くなる
購入当時は色鮮やかだった多肉植物が、いつの間にか色が抜けているように感じる…という経験をされた方もいるかもしれません。多肉植物の色が悪くなってきたり、極端に薄くなってきたりした場合には、根詰まりや日照不足、肥料不足などいくつかの原因が考えられます。
多肉植物は小さなサイズのものが多く、光を受けることができる面積が少ないです。そのため、室内に飾っている場合は照明だけではうまく光合成をすることができません。多肉植物の色が薄くなるなどの変化を感じたら、まずは日中にしっかりと日光浴をさせて光合成を促せるようにしましょう。
葉っぱが黄色っぽくなっている場合には、根詰まりが原因のことも多いです。その場合は、古い根っこをカットして整えてから、土替えをすることで改善するかもしれません。また、葉っぱの色が全体的に薄くなってきている場合には、肥料不足の場合が多いため、液肥などを与えてあげるといいでしょう。
- 葉っぱの色が薄くなる・・・日照不足や肥料不足が原因
- 葉っぱの色が黄色っぽくなる・・・根詰まりが原因
- 葉っぱの色が灰色っぽくなる・・・寒さが原因
- 葉っぱの色が濃くなる・・・肥料の与えすぎ
このように、色の変わり方によって考えられる原因は異なります。原因により対処方法が異なるため、どんな風に色が悪くなってるのか細かく観察することも大切です。速やかに正しい対処法を施せば改善される場合も多いので、色が悪くなっても諦めずに様子を見ながら対処法を試してみましょう。
また、ここでご紹介したものはあくまでも「主に考えられる原因」ですので、必ずしもすべての多肉植物に該当するとは限りません。日頃のお世話の仕方や通常の様子を把握しておくことも重要。「水が多すぎたかな?」「最近日に当てていなかったかな?」などの気付きがあれば、状態に合わせてお世話の仕方も変えてみてくださいね。
カビや害虫にも注意
多肉植物の変色や元気がなくなってしまう原因には、カビや害虫も考えられます。いずれも早い段階で発見して適切に対処すれば、元気な状態に復活させられるかもしれません。多肉植物に異変が見られたら、カビや害虫も疑ってみてください。カビや害虫の発生の仕方により対処法は異なりますので、まずはしっかり観察することが大切です。
ここからは、カビと害虫への対処法について詳しくご紹介していきます。発生してからの対策だけでなく、できるだけ被害に遭わないよう予防するためにできることについても、併せて見ていきましょう。
カビの主な原因は水やりのしすぎ
多肉植物にカビが生えるのは、水やりのしすぎや雨に当てっぱなしにしたことによる水分過多が主な原因です。水を与えたら、風通しを良くしておかなければなりません。ジメジメとした環境に長期間放置するとカビが生えやすくなってしまいます。カビは放置すると増殖し、多肉植物全体さらに別の植物にまで広がってしまうため、見つけたらすぐに除去しましょう。
カビが部分的に見られる場合は、カビのついた葉を取り除きます。切り口に薬剤を塗布しておくとより安心です。カビが広範囲に見られる場合は、流水でカビを洗い流しましょう。洗っている段階で株が崩れるほど傷んでいる場合は残念ながら修復不可能です。カビがきれいに落ちて元気な場合は、しっかり乾燥させてから土に戻せば再生できるでしょう。
奥の方にも見られたら、すべて新しい土に替えましょう。その場合は、植木鉢をたわしなどできれいに洗って、乾燥させてから新しい土を入れます。
害虫の予防と対処法
ジメジメとした場所に多肉植物を長期間置いておくと、カビだけでなく害虫が発生しやすくなります。別の植物に発生した害虫が多肉植物についてしまう場合もあるでしょう。また、土の内部に虫の卵が産みつけられて増殖することも考えられます。
- 見つけやすいもの:ナメクジ、ヨトウムシ、アリなど
- 見つけにくいもの:アブラムシ、ハダニ、ネジラミ、コナジラミなど
ハダニやシラミなどは非常に小さくて見つけにくいため、多肉植物に発生してから気付くまでが遅くなってしまいがち。日頃から、よく観察しておくことが見落とさないためには大切です。前述のように風通しをよくしたうえで葉水を行い、虫がつきにくい状態にしておくことも対策の一つです。また、防虫剤や殺虫剤を使うのもいいでしょう。害虫を見つけたら、面倒でもその都度取り除くようにしてください。
寄せ植えした多肉植物の水やりとお世話のポイント
多肉植物は寄せ植えにするととても可愛らしく、お庭やお部屋のインテリアの素敵なアクセントになります。ただし、単体で植え込むよりも土の表面が露出しにくいため、水やりにはコツが必要。土全体にムラなく浸透するよう、株と株の隙間を狙ってしっかりと水を与えましょう。細口のジョウロを使うと簡単です。
また、水やりをしたらしばらくは乾燥気味にしておくことも大切。寄せ植えの場合は、1週間程度空けてから与えるくらいがちょうどいいでしょう。たっぷり与えて十分に乾かすことで、どの株にもほどよく水分や栄養が行き渡ります。
休眠期なのに水を与えてしまったり、逆に生育期なのに水やりができなかったりして、お世話が大変に。
ご自身で寄せ植えする場合には、必ず生育期が同じものを選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は、多肉植物の水やりについてお伝えしました。多肉植物の場合、毎日水を与えるのが良いわけではありません。水を与えすぎるとかえって枯らしてしまう原因にもなるので注意しましょう。育てている多肉植物の生育型を知り、生育期・休眠期のサイクルをしっかりと理解しながらメリハリをつけた水やりを心がけることで、元気な多肉植物を育てることができますよ。
また、日頃から多肉植物や土の状態をチェックすることで、根腐れや病気を防ぐこともできます。ちょっとした変化に早く気付けたらトラブルが起きてもすぐに対処できるため、多肉植物が元気な状態に復活する可能性も高まります。
今回お伝えした水やりの頻度は、あくまでも目安となります。水やりのタイミングや適量を見極める1番のポイントは、多肉植物の様子を実際に見て、水を必要としている状態を把握すること。水やりのサインを見極めながら、元気な多肉植物を育ててくださいね。
- 多肉植物の水やりは、生育型によって異なる。「春秋型」「夏型」「冬型」の3つの生育型ごとの水やりのタイミングを正しく理解することが大切
- 生育期には完全に土が乾いてから鉢底から流れるまでたっぷりと水を与え、休眠期は断水する(水を控える)のがポイント
- 多肉植物は水を与えすぎると、根腐れや蒸れの原因となり枯れてしまうことがあるので注意が必要。やや乾燥気味に保つことが、多肉植物を上手に育てるコツ