人参を長持ちさせる保存方法とは?正しく保存して鮮度をキープしよう!
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。
人参を保存していたら、シワシワになってしまった…なんだか表面にぬめりがある…という経験をしたことはありませんか?
頻繁に使う野菜だからこそ、正しい保存方法を知っておくことは大切です。人参は正しく保存すれば、長い期間鮮度をキープできる野菜でもあります。多くの料理に活用することができ、彩りも綺麗な人参。しかし、正しい保存方法を知らないという方も多いことでしょう。
そこで今回は、人参の正しい保存方法についてお話します。人参を保存する上で注意しておきたいポイントなどもお伝えしているので、ぜひ参考にしてくださいね。
- 人参の保存方法について知りたい方
- 野菜の正しい管理方法の知識を深めたい方
- 人参を使った料理をよく作る方
目次
人参の基本
様々な料理に使うことができ、食卓でも出番の多い人参。人参には、春(4月から7月頃)に収穫される「春夏人参」や、秋から冬(9月から12月頃)に収穫される「冬人参」などがあります。
また、涼しい地域では夏に収穫される「秋人参」もあり、一年を通して食卓で活躍する野菜です。一年中スーパーなどでも手に入る野菜というイメージですが、その中でも特に秋冬が旬の時期と言われています。
カレーや煮物、サラダや汁物など、日本人に馴染み深い多くの料理に使われている人気の食材です。
サラダなど、生で食べるのにもおすすめです。
人参に含まれる栄養素
人参は栄養も豊富な野菜です。特にβーカロテンやカリウム、食物繊維などが多く含まれており、視力の回復やむくみの予防、便秘の解消などに効果的だと言われています。
人参に多く含まれているβーカロテンは、強い抗酸化作用を持ち、体の中に入ると必要に応じてビタミンAに変換される栄養素です。ビタミンAは髪の毛や皮膚、目などの健康維持にも役立つものだと言われており、免疫力のアップなどが期待できます。βーカロテンは、油と合わさることで吸収率が上がるため、人参を油で炒めた料理や、マヨネーズやドレッシングなどの調味料と共にサラダで食べることで吸収力もアップすることでしょう。
人参は身近な野菜ながら、多くの栄養素を摂取することができる野菜なので、日々の食卓に積極的に取り入れていきたいですね。
- βーカロテン・・・ビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保つ働きがある。
- カリウム・・・ミネラルの一種であり、ナトリウム(塩分)の体外排出や筋肉の収縮、血圧の上昇などを防ぐサポートをしてくれる。
- 食物繊維・・・食後のコレステロールの吸収や、血糖値の急激な上昇を抑える作用がある。
- ビタミンC・・・体の酸化を防ぐ働きや、コラーゲン生成を助ける働きがある。
- 葉酸・・・ビタミンB12とともに赤血球の生産のサポートや、たんぱく質の生合成を促進する。
人参を保存する際の注意点
人参を保存する際には、「湿気」に注意が必要です。人参は湿気や水分に弱く、付着することで傷みやすくなります。
人参を保存する際には、湿気がつかないように新聞紙に包んだり、立てて保存するなどの工夫が必要です。また、季節によっても最適な保存方法が異なるため、季節に合わせた保存方法を選択するということも大切です。
人参の保存方法とは?
ここからは人参の正しい保存方法について詳しくご紹介していきましょう。人参の保存方法は主に「常温保存」、「冷蔵保存」、「冷凍保存」などがあります。
保存できる期間や、保存方法に関する手順についてお伝えしているので、ぜひ参考にしてくださいね。
常温保存
人参は、秋から冬の比較的涼しい季節であれば常温での保存が可能です。ただし、暖かくなり気温が高くなってきたら冷蔵保存をするようにしましょう。
常温での保存は通常は冷暗所で保存しますが、土に埋めて保存するという方法もあります。土の中に埋めて保存をする場合には、庭の一部に穴を掘って保存したり、プランターや鉢などを利用して人参を埋めてもOKです。気温の低い冬場などは凍ってしまう恐れがあるため、ビニールシートなどをかけて寒さや凍結対策をしましょう。また、土の中に埋めて常温保存する場合も。暑い夏場は避けるのが賢明です。
常温保存の手順
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STEP. 1
人参を水洗いする
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STEP. 2
人参についた水気をしっかりと拭き取る
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STEP. 3
新聞紙やキッチンペーパーなどで人参を包む
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STEP. 4
床下収納などの冷暗所に保存する
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STEP. 5
完了
水分が残っている状態で保存すると、人参が早く傷んでしまう原因となります。
人参を千切りや乱切りなどにカットし、1日〜2日ほど干したらジッパー袋などに乾燥剤とともに入れておけば完成です。
干した人参は1週間以上の保存が可能となります。炊き込みご飯の具材や、マリネなどのサラダにもアレンジができ、便利ですよ。
冷蔵保存
多くの方は、人参を冷蔵庫に入れて保存していることでしょう。人参を正しく冷蔵保存した場合の保存期間は約2〜3週間程となります。正しい方法で保存すれば、長い期間新鮮な状態をキープすることも可能です。しかし、保存方法を間違えてしまうと、すぐに表面がシワシワになってしまったり、ぬめりが出てきてしまうので注意しましょう。
人参は冷蔵保存する場合でも「土の中で育った状態」に近づけた環境にしてあげることが大切です。キッチンペーパーや新聞紙などで人参を包み、乾燥から防ぐなどのちょっとした一手間が、長い期間鮮度を保ちながら保存できる秘訣となりますよ。
冷蔵保存の手順
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STEP. 1
人参を水洗いする
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STEP. 2
葉っぱがついているものは切り落としておく
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STEP. 3
人参についた水分をしっかりと拭き取る
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STEP. 4
人参を一本ずつ新聞紙やキッチンペーパーで包む
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STEP. 5
ポリ袋や保存袋に入れる
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STEP. 6
冷蔵庫の野菜室に人参を立てて保存する
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STEP. 7
完了
立てて保存するのが難しい場合には、100円ショップなどでも購入できるケースなどを利用するのがおすすめです。
3日〜4日程度での交換を目安にしてください。
使いかけの人参を保存する場合は?
使いかけの人参を保存する場合には、人参をラップで包み野菜室で保存しましょう。
カットした人参は断面部分から乾燥し、劣化が進んでいくので、断面をしっかりとラップで覆うことがポイントです。
また、カットした人参は乾燥が進みやすく、食感も悪くなるため、なるべく早く食べ切るのがおすすめです。3日〜4日を目安に使い切るのがよいでしょう。
冷凍保存
人参は冷凍保存をすることも可能です。しかし、一般的には人参などの根菜類は繊維が多く、冷凍保存したものを解凍すると筋っぽい食感になってしまうとも言われています。そのため、一本丸ごとの状態での冷凍保存するのは味や食感が落ちてしまうためあまりおすすめでいません。
しかし、一度加熱したものを冷凍保存したり、カットした状態での冷凍保存であれば味を損なうことなく冷凍保存をすることができます。人参は冷凍保存であれば約2ヶ月ほどの保存が可能です。
冷凍した人参は、炒め物や汁物などに凍ったままの状態で調理することができます。人参を冷凍保存する場合には、美味しさを損なわない方法を選択し、料理などの時短にも役立てたいですね。
冷凍保存の手順:生の人参の場合
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STEP. 1
人参を水洗いする
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STEP. 2
葉っぱがついているものは切り落としておく
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STEP. 3
人参についた水分をしっかりと拭き取る
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STEP. 4
人参を使いやすい大きさにカットする
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STEP. 5
保存袋などに平になるように人参を入れる
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STEP. 6
冷凍室で保存する
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STEP. 7
完了
また、乱切りは硬さが気になってしまうため冷凍保存には不向きです。
冷凍保存の手順:下茹でした人参の場合
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STEP. 1
人参を水洗いする
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STEP. 2
葉っぱがついているものは切り落としておく
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STEP. 3
人参を使いやすい大きさにカットする
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STEP. 4
カットした人参を少し硬めに茹でる
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STEP. 5
粗熱をとる
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STEP. 6
水分をしっかりと拭き取る
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STEP. 7
ジッパー袋や保存袋に平になるように入れる
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STEP. 8
冷凍室で保存する
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STEP. 9
完了
冷凍した人参をそのまま活用したおすすめ料理
冷凍した人参はそのまま炒めたり、スープや煮込み料理などに活用することができるので便利です。さらに時間がない時にもう一品欲しいと言う時には、加熱調理で茹でた人参を冷凍保存したものを使って、子どもから大人まで食べやすいにんじんしりしりなどを作ってみるのもおすすめですよ。
その他にも、すりおろした人参を冷凍しておけば、ドレッシングなどにも利用することができます。ドレッシングは市販しているものを購入するという方も多いかもしれませんが、自宅にある調味料を使って意外と簡単に作ることができます。すりおろし人参であれば、人参嫌いの方でも食べやすくなるかもしれませんね。
- にんじんしりしり
- 人参のポタージュ
- 人参ドレッシング
調理した状態で人参を保存する
人参を調理してから保存するという方法もあります。人参のピクルスや人参のグラッセなどは保存期間も長く、お弁当などにも活用できるため、たくさんの人参がある時には、一部を調理して保存しておくのもよいでしょう。
副菜作りは意外と時間もかかるので、保存期間が長めのものをまとめて作っておくと、忙しい時にも便利ですね。
人参のピクルス
ピクルスは、野菜をお酢につけて作る保存食で、人参でも作ることができますよ。
- 人参
- 酢・・・200㏄
- 水・・・150㏄
- 砂糖・・・50g
- 塩・・・4g
- ローリエ・・・1枚
- 白コショウ・・・少々
ピクルス液の作り方
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STEP. 1
小鍋に酢、水、砂糖、塩、ローリエ、白コショウを入れ、沸騰させる
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STEP. 2
沸騰したら「5秒」ほど強火にかける
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STEP. 4
完成
人参のピクルスは、約1ヶ月の保存が可能となります。上記で紹介したピクルス液を作っておけば、あとは人参を漬けるだけでOK。輪切りや千切り、乱切りなどにカットして、瓶に入れ、ピクルス液を注ぎ、冷蔵庫などで保存しておけば完成です。
保存する容器は、煮沸消毒した瓶を利用しましょう。
作り方もとても簡単で長期保存も可能なため、おすすめですよ。ぜひ作ってみてくださいね。
深めのお鍋に水を入れて、瓶と蓋をその中に入れて沸騰させ、そのまま2、3分煮ます。
清潔な布巾やキッチンペーパーを敷いておき、その上に瓶を取り出しで自然乾燥させれば完了です。
熱いので取り出す際にはトングなどを使用しましょう。
人参の葉っぱはどうする?
人参は葉っぱにも栄養が多く含まれていると言われています。そのため、捨てずに調理して食べるのもおすすめですよ。
人参の葉っぱに含まれている主な栄養素は、ビタミンAやタンパク質、カルシウム、ビタミンE、カロテン、鉄分など。人参に負けないくらい栄養もたっぷりと含まれています。
人参の葉っぱを保存しておく場合には、あまり日持ちはしないため、なるべく早く食べ切ることを心がけましょう。
また、葉っぱと人参はカットして別々に保存をすることも大切です。切り離さずに保存してしまうと、根っこ部分の水分が抜けやすくなってしまい鮮度が落ちやすくなります。
人参の葉っぱの保存方法
まずはタッパーの底にキッチンペーパーを濡らしたものを敷いておきます。人参の葉っぱを3cmほどにカットしてタッパーに入れ、更に上からも濡らしたキッチンペーパーをかけて冷蔵庫に保存しておけば完了です。この方法であれば2日〜3日程、保存が可能となります。
人参の葉っぱと共に、ちぎったレタスや人参の千切り、ハーブ類などもあらかじめ一緒に混ぜて保存をしておけば、そのまますぐにサラダとして食卓に出すこともできますよ。
その他にも、瓶に少量の水を入れておき、人参の葉っぱを立てて保存するという方法もおすすめです。
また、人参の葉っぱは冷凍保存も可能です。人参の葉っぱをある程度の長さにカットし、ジッパー袋などに入れて冷凍庫に保存するというシンプルな方法で保存することができます。冷凍した人参の葉っぱは簡単に粉々になるので、スープのトッピングにしたり、ディップに混ぜるなどパセリのような使い方をすることもできます。
- 人参の葉っぱのお浸し
- ふりかけ
- スムージー
新鮮な人参の見分け方
新鮮な人参を選び、正しい方法で人参を保存することで、より長持ちができるようになります。
ここからは、新鮮な人参の見分け方のポイントについてご紹介しておきましょう。いくつか特徴がありますが、人参の色が鮮やかでオレンジ色が濃いものや、表面に艶があるもの、ヒゲ根が少ないものなどが新鮮な人参だと言われています。
スーパーなどで人参を選ぶ際などにぜひこれらのポイントを覚えておくと良いでしょう。
- 色が鮮やかでオレンジ色の濃いもの
- 表面に艶があるもの
- ひげ根が少ないもの
- 葉っぱの切り口が黒くないもの
傷んだ人参はどうなる?
人参は日にちが経過して鮮度が落ちてくると、表面がシワシワになってきます。中には茎や根が出てくるものなどもあります。茎が出てきた人参は、茎の部分を取り除きさえすれば食べることは可能です。しかし、茎に栄養を取られてしまっているため、味は落ちてしまうでしょう。
さらに日にちが経つとぬめりが出てぶよぶよとした感触になったり、中には傷んで異臭が出てくるものもあります。ぬめりや異臭がある場合には取り除いて食べるなどはできないため破棄するしかありません。また、ぬめりが出てくるだけでなく、白カビなどが生えてきてしまう場合もあります。白カビも一部であれば取り除いて食べることも可能ですが、広い範囲に渡ってカビが繁殖しているものに関しては破棄するようにしましょう。
上記で説明しているような人参の正しい保存方法を取り入れながら、鮮度が保たれているうちに食べ切るようにしましょう。
- シワが出てくる
- 水分が抜けて乾燥して小さくなる
- ぬめりや異臭が出てくる
- 白カビが生える
- 黒ずむなど変色する
まとめ
今回は、人参の正しい保存方法についてお伝えしました。数多くの料理に使われている人参。栄養も豊富で、料理に積極的に取り入れたい食材の一つです。
人参は、保存方法さえしっかりと覚えておけば長い期間、鮮度を保つことが可能になります。冷蔵保存などの一般的な方法の他にも、土の中に埋めて保存したり、カットしたり、加熱調理をして冷凍保存をするなど、様々な方法を知っておくことで多くの料理に人参を活用することができるようになりますよ。
また、新鮮な人参を選ぶことが人参の長持ちにもつながります。艶があり、色が濃い人参を選ぶなど、購入する時から新鮮な人参を選ぶことを意識しておきましょう。
様々な人参の保存方法をお伝えしているので、ぜひ実践してみてくださいね。
- 人参や人参の葉っぱには、β-カロテンやビタミンC、など多くの栄養素が含まれており、目や髪の毛などの健康維持に役立つ野菜だと言われている
- 人参を保存する際には、「湿気」に注意が必要。湿気から守るために、人参を一つ一つ新聞紙に包んだり、立てて保存するなどの工夫をすると良い
- 人参の主な保存方法は、常温保存・冷蔵保存・冷凍保存など。そのまま保存するものもあれば、カットしたり調理するなど一手間加えて保存することでより長い期間保存できるものもある
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。