多肉植物とサボテンの違いとは?見分けるためのポイント

記事の監修

安田 拓也

「midorito」店主

デザイン専門学校を卒業後、都心の小売店にて10年近く修行がてら従事。
その後インテリアコーディネーターの元で基礎を学び再び花業界に。10年近く大手生花店のブライダル装花・イベント装花などを経験し、2019年世田谷・二子玉川に「midorito」を開店。

多肉植物とサボテン。どちらも、肉厚な茎や葉が特徴的で、ユニークな見た目に癒される人も多い人気の植物ですよね。両者の違いについて、これまであまり気にしたことがなく、多肉植物もサボテンも同じものと思っている人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、多肉植物とサボテンの違いについてご説明します。この記事を読めば、簡単に自分で見分けることができるようになりますよ。

この記事はこんな人におすすめ

  • 多肉植物とサボテンの違いがよくわからない、自分で見分けられるようになりたいという方
  • 自分で多肉植物やサボテンを選び育ててみたい方
  • 多肉植物やサボテンについての知識を深めたい方

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目次

多肉植物とサボテンは見た目が違う?

多肉植物とサボテンは見た目が違う?

多肉植物とサボテンは、どちらも非常に種類が多く、パッと見ただけでは多肉植物と呼ぶべきかサボテンなのか、わかりにくいものもたくさんあります。そんなとき、見分けるポイントはトゲの有無だと思っている人も多いのではないでしょうか。

確かにサボテンはトゲがあるというのが大きな特徴ですよね。しかし、多肉植物にもトゲのあるものはあります。有名なもので言えば、アロエなどはチクチクとした太いトゲがありますね。つまりトゲの有無だけでは判断ができないのです。そこで見分けるポイントとなるのが「刺座(しざ・アレオーレ)」です

見た目の違い=トゲの有無ではない!

トゲがあるのがサボテン、それ以外が多肉植物というのは誤解です。トゲのある多肉植物、トゲのないサボテンもあります。見た目の違いで見分けるなら、刺座をチェックしてみましょう。

特徴の違いは刺座(アレオーレ)の有無

特徴の違いは刺座(アレオーレ)の有無

「刺座(アレオーレ)」とは、サボテンのトゲの付け根にある綿毛のような器官です。刺座は植物の枝に当たる部分だといわれており、サボテンには必ずついているのですが、多肉植物にはありません。トゲのある多肉植物も、付け根をよく見てみると刺座が見当たらないことがわかります。

逆に、トゲがないサボテンにも刺座は必ずあります。つまり、チクチクしていてサボテンそっくりの多肉植物でも、刺座がなければサボテンではないということ。多肉植物とサボテンの違いを見分けるときには、それぞれのトゲの付け根に注目してみるといいでしょう。

刺座(アレオーレ)で確実に区別できる!

刺座(アレオーレ)のないサボテンは存在しません。トゲではなく、トゲの付け根にある刺座をチェックすれば、多肉植物なのかサボテンなのか見た目で区別することができます。基本的にはふわふわとした綿毛のような座布団のような特徴の器官です。

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生息地の違い

多肉植物とサボテンは生息地がそれぞれ異なるという点も大きな違いといえるでしょう。生息地=植物の育ちやすい環境とも言い換えることができます。生育地が違うということは、育ち方にも自然と違いが出てくるというわけですね。多肉植物は世界の広い地域で生息しているのに対し、サボテンは限られた地域でしか見ることができません。

それぞれの生育地

  • 多肉植物の生育地…アフリカ大陸に多く、世界各地に広く分布
  • サボテンの生育地…メキシコなど南北アメリカ大陸、限られた地域

それでは、もう少し詳しく生息地の違いについて見ていきましょう。

多肉植物の生息地

多肉植物の生息地

多肉植物の主な生息地はアフリカ大陸をはじめ、世界各地に広がっています。そもそも、多肉植物の種類自体が非常に多く、特徴や成長期も様々です。これは生育地が広いことが原因なのですね。日本で手に入る多肉植物も、世界の様々な場所から集められてきたものなのです。

姿かたちが様々でユニークな多肉植物は、それぞれの生まれ故郷が異なるため、育ち方や好む環境もバラバラということ。好む温度も湿度も皆同じというわけではなく、生息地の違いにより様々な異なる特徴を持っているのです。

多肉植物は基本的には乾燥を好む

多肉植物は海岸で育つものもあり生育地は広いですが、基本的には乾燥気味の環境で育つ植物です。日本で育てる際にも水やりは土が乾くまで行いません。特徴も好む環境も様々ですが、総合的には乾燥気味に育てる植物と思って間違いないでしょう。

サボテンの生息地

サボテンの生息地

一方、サボテンはメキシコなど南北アメリカ大陸が生息地で、他の場所ではあまり見られません。多肉植物と比べて限定された土地で生息しているため、サボテンは多肉植物のようにものによって好む環境が異なるということはありません。メキシコや南北アメリカ大陸は暖かく乾燥した気候が特徴です。

そのような地域で育つサボテンの仲間は、いずれも乾燥に強いといった特徴があります。

サボテンも乾燥を好む

多肉植物よりも限定された地域で生息するサボテンも、多肉植物との共通点は乾燥気味の環境を好むということ。そう考えると、多肉植物とサボテンは一緒に育てることができそうですね。

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育て方の違い

育て方の違い

多肉植物とサボテンは生息地が違うということで育て方も異なってきます。サボテンの生息地である南北アメリカという場所は夜の冷え込みがわりと強く、高地は夏場も涼しいです。サボテンはそのような場所で育つ植物のため寒さにも比較的強いのですが、多肉植物は世界各地の温かい場所が生息地のため、サボテンほど寒さに強くありません

多肉植物を育てる場合は寒さ対策にはより気を付ける必要があるでしょう。

丈夫な多肉植物も寒さには弱い

暖かい気候のもとで育つ多肉植物は、乾燥には強いけれど寒さには弱いという特徴があります。日本のように季節や朝晩で寒暖差がある環境では、屋外に置きっぱなしにするのは危険。特に冬は室内の暖かい場所で育てるようにしましょう。またサボテンも比較的寒さに強いとはいえ、暖かい場所に置く方が望ましいです。

共通点としては、多肉植物もサボテンも乾燥気味に育てることに加え、日当たりのよい環境に置くことで育ちやすくなります。室内で育てる場合も暗い場所ではなく、日光の当たる窓際など明るい環境に置くようにするといいでしょう。しかし、「葉焼け」の原因になるため直射日光は避けて飾るようにしてください。

葉焼けとは?
強い日光を浴びすぎて葉が部分的に茶色くなったりして葉色が悪くなること。葉焼けによって株全体が弱り、枯れる原因になることもあります。葉焼けをしてしまった場合は、レースカーテン越しなどの光の弱い場所に移動させましょう。
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成長期が異なる

成長期が異なる

また、植物には成長する季節を意味する成長期というものがあり、その時期に水やりや追肥をすることで成長を促すことができます。この成長期が多肉植物とサボテンでは異なります。

成長期とは

生育期とも呼ばれるこの時期は、栄養を吸収して茎や葉がぐんぐん育つ時期です。多肉植物やサボテンの場合は、茎が伸びるとともに葉にも光と水を蓄えぷっくりと張りが出ます。適切な頻度の水やりと十分な日光を与えることで成長を促します。

サボテンの成長期は夏です。夏に育つという植物には乾燥に強いという特徴がありサボテンも該当します。乾燥には強いですが成長期には水を多めに与える必要がありますので、夏場はサボテンの水やりを普段より多めに行うようにするといいでしょう。

一方、多肉植物は夏に育つものもあれば冬に育つものもあります。生育地がバラバラなため成長期もそれぞれ異なるのです。多肉植物を育てる際には、あらかじめ成長期を把握しておくことが必要なのですね。

多肉植物の成長期

  • 春秋型…10~25℃で育ち、冬は休眠。ハオルチア、セダム、パキフィツムなど
  • 夏型…20~30℃で育ち、春秋は緩慢に、冬は休眠。カランコエ、アガベ、サンセベリア、アロエなど
  • 冬型…5~20℃で育ち、春秋は緩慢に、夏は休眠。リトープス、コノフィツム、アエオニウムなど

いずれにしても、基本的に成長期には水やりを多めに行わなければなりませんが、多湿は苦手ですので根腐れには十分気を付け風通しのいい環境で管理しましょう。それぞれの多肉植物の成長期に合わせて水やりの頻度を変えながら育てるのがポイントです。逆に成長を休む季節(休眠期)には水やりをしても吸水しませんので、水やりは控え乾燥させておくことが大切です。

休眠期は枯れないよう注意

成長期は日当たりのよい場所で水やりを行いながら育てるのが基本ですが、休眠期には日光の当て過ぎが枯れる原因になることも。水やりを控えるとともに、直射日光の当たらない涼しい場所で管理するといいでしょう。水やりの頻度も落としますが、葉にしわができてきたら行うといいでしょう。

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分類の仕方の違い

分類の仕方の違い

見た目や生育地、育て方の違いをご説明してきましたが、そもそも多肉植物とサボテンは分類の仕方に違いがあります。多肉植物とは、肉厚な葉や茎などの特徴的な見た目を持つ植物の総称です。つまり、「見た目による分け方」で分類されたものと言えるでしょう。一方サボテンは、「サボテン科」という「植物の分類学」で分けられているため、サボテン科に分類されるものはすべてサボテンと言えるのです。

多肉植物とサボテンの分類

  • 多肉植物…見た目による分け方
  • サボテン…植物の分類学による分け方(サボテン科)

見た目の分類と生物学的な分類

多肉植物とサボテンを分類する際に、刺座の有無で見分けることはありますが、「見た目の分け方」「生物学的な分け方」というように分類の仕方に違いがあることはあまり知られていないようです。そして、さらにいえば見た目の分類を基準にして分けられた多肉植物の中には、サボテンも含まれているのです。多肉植物=サボテンではありませんが、サボテンは多肉植物の仲間ということ。サボテンだけでも非常に種類が多いので、多肉植物と別で取り扱われるようになったと考えていいでしょう。

サボテンは多肉植物の中の一つ

多肉植物には様々な種類があり、いくつもの科に分類されています。サボテンはそのうちの一つの科に属する植物ということ。サボテン科の他には、代表的なものとしてベンケイソウ科、ツルボラン科、ツルナ科、キク科、パイナップル科などがあります。

サボテンは多肉植物の仲間

サボテンは多肉植物の仲間

園芸店などでも、サボテンはサボテン専用のコーナーが設けられ、多肉植物とは区別されて取り扱われていることがほとんどではないでしょうか。先ほどもお伝えした通り、サボテンは多肉植物の仲間として位置付けられてはいますが、サボテン科に属するということで別物として扱われているのです。

サボテンは便宜上別カテゴリーとなっている

様々な科のある多肉植物の中でも、特にサボテンは種類が豊富で人気のある植物です。そのためサボテン科は独立させて扱う園芸店や植物館が多いのです。

多肉植物ほど多様ではないにしても、サボテンにも見た目の異なるものが多々あります。中には多肉植物と区別できないような姿のものや、逆に肉厚ではなく多肉植物には見えないような姿のものもあります。 そういった様々なタイプのサボテンや多肉植物が混在すると選ぶ時に混乱してしまいますよね。そうならないように、サボテン科のものはサボテン、それ以外の肉厚な植物は多肉植物として分けられているのです。限りなく見た目がサボテンに近いものでも、サボテン科に属していなければサボテンではありません

寄せ植えにする植物を選ぶ際の注意点

サボテンや多肉植物は寄せ植えにしても可愛いです。ただし、成長期の異なるもの同士を寄せ植えにすると管理が難しく育てにくくなってしまいます。同時期に成長期を迎えるものを選ぶようにしましょう。

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まとめ

多肉植物とサボテンの違いについてお伝えしてきました。サボテンには刺座がある・生息地が南米アメリカである・サボテン科に属すという特徴があり、それ以外の肉厚な植物は多肉植物として区別します。そして、サボテンも多肉植物の一種です。

パッと見ただけでは見分けられないような似たようなものもありますが、これからはきっと見分けられますね。

この記事のまとめ

  • 見た目の特徴の違いは刺座(アレオーレ)があるのがサボテン、ないのが多肉植物
  • 多肉植物のうちサボテン科に属する植物がサボテンである
  • 多肉植物もサボテンも乾燥気味に育てることと、成長期に合わせた水やりと環境を配慮することが共通して重要である

記事の監修

安田 拓也

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