目指すは開業!ガーデンデザイナーとして独立するまでの道のり
自宅で過ごす時間が増え、人気が高まっている趣味のひとつにガーデニングがあります。緑や花が好きな方の中には、いつかこの趣味を仕事につなげられたら…とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。そんな方にご紹介したいのが「ガーデンデザイナー」です。ガーデンデザイナーは、さまざまな知識やセンスを活かして美しい庭をデザインする専門職。活躍の場も広がっている、注目の職業です。
そこで今回は、ガーデンデザイナーが実際にどのような仕事をするのか、また、どうしたらなれるのか、特別な資格が必要なのかなどをご説明していきます。企業などに所属するだけでなく、独立して自分の好きなやり方で仕事を進めることに興味のある方も、ぜひ最後までお読みください。
- 植物に関する仕事をしたい方
- ガーデンデザイナーの仕事内容に興味がある方
- 好きなことを仕事にして、自分のペースで働きたい方
目次
ガーデンデザイナーとは
ガーデンデザイナーは名前の通り、依頼主の意向を踏まえて庭のデザインをする職業です。専門知識と感性を活かし、植物の選定、給排水設備計画、外構工事も含め、庭全体を設計します。主な勤務先は造園会社や建設会社の造園部門、設計事務所、エクステリアメーカー、園芸店など。また、独立してフリーのガーデンデザイナーとして活動している人もいます。
仕事の流れとしては、まず現場に足を運び、環境を調査します。その上でお客様の希望を聞き取り、デザインを決めたら、設置物や植物を発注。造園業者など現場で作業をする方々と打ち合わせを行い、施工、完成までを見届けます。また、庭が完成した後も引き続きメンテナンスを担当することがあります。
お客様や造園業者、メーカーと綿密にコミュニケーションをとりながら、一緒に庭を作り上げていきます。
仕事に必要な知識
ガーデンデザイナーは植物や土壌、給排水設備に関する深い知識はもちろん、測量や設計図を作る能力も身につけておく必要があります。このため、造園・園芸系の学科がある大学や専門学校で学んだ人が多いです。卒業後は企業などでガーデンデザインの経験を積みながら、必要な知識とスキルをさらに蓄えていきます。
一方、独立して成功すると1,000万円以上稼ぐことができる可能性も。ガーデンデザインの賞を取っているような有名デザイナーの中には、さらに高額の収入を得ている人もいます。
喜びを感じられる仕事
ガーデンデザイナーは、花や緑が好きという気持ちや庭に関する知識と経験が生かせる魅力的な仕事です。取り扱うものは植物だけではありません。噴水や池、ベンチ、テーブル、アーチなど、あらゆるものを使って空間を演出します。毎回違うものを生み出す作業はとてもクリエイティブで、飽きのこない仕事といえるでしょう。
完成までは試行錯誤の連続かもしれません。ですが、自分が作った計画や設計図を元に仕事が進められ、庭が実際にできあがった時には、大きな達成感を得られるでしょう。また、実際に作業を行う造園業者の方々と連携しながら庭を作り上げていくことで、充実感が高まります。お客様から喜んでもらえることも、やりがいにつながりますよね。
仕事を通して、たくさんの人に幸せを届けられるのも大きな喜びなのではないでしょうか。
デザインする場所はさまざま
ガーデニング人気も手伝って、個人宅の庭やベランダをデザインする機会は増えています。また、オフィスビルなどの屋上におしゃれな庭園を設置することもありますし、屋外のイベントでも緑を多用したデザインは人気があります。さらにはビルの室内やカフェのインテリアなど、植物を使った装飾を手がけることも。ほかには、公園や公共施設の庭園、植物園などの広い敷地を専門にするガーデンデザイナーもいます。
独立までの準備
幅広い知識とセンスが売り物のガーデンデザイナー。現場で経験を積み、お客様の要望に応えてデザインしてきた実績があれば、独立して開業することもできます。
とはいえ、やみくもに独立するとたちまち行き詰まってしまうかもしれません。ガーデンデザイナーとして開業する前に、しっかりと準備しておくことが大切です。ここからは、開業までに考えておくといいことをお伝えしていきます。
また、税制上のメリットが多い青色申告もできるようになるので、開業届は出しておいた方がいいでしょう。
「所得税の青色申告承認申請書」も併せて提出しましょう。
資格は必要?
ガーデンデザイナーとして仕事をする上で、資格は必須ではありません。ですが、身につけた知識を証明する材料になるので、独立を目指すなら持っていた方が有利です。それに、資格取得のために勉強する内容は、ガーデンデザイナーとして実際に働くときに役立つものが多いです。学んで損はないでしょう。
ガーデンデザイナーにおすすめの資格としては「ガーデンデザイナー認定試験(※1)」や「グリーンアドバイザー資格(※2)」などがあります。また、美観と機能を備えた建物の外構工事に関わる資格「エクステリアプランナー(※3)」や、造園に関する国家資格である「造園施工管理技士(※4)」あるいは「造園技能士(※5)」も取得しておくといいでしょう。資格を持っていると、信頼を得られるだけでなく、自信にもなりますね。
ガーデンデザイナーとして仕事をする上で必要な基本の知識や技術を身につけられそうですね。
参考ページ
※1:日本ガーデンデザイナー協会「ガーデンデザイナー認定試験」
※2:公益社団法人 日本家庭園芸普及協会「グリーンアドバイザー」
※3:公益社団法人 日本エクステリア建設業協会「エクステリアプランナー」
※4:建設管理センター「造園施工管理技士」
※5:一般社団法人 日本造園組合連合会「造園技能士」
※6:株式会社日本創芸教育「庭園デザイナー養成講座」
それぞれの資格の難易度や受験資格には幅があります。ですが、独学で合格が狙える資格や通信講座を受けられるものもあり、働きながら資格を取ることも可能です。現場で経験を積むと同時に、資格取得も目指してみてはいかがでしょう。
※上記の資格に関する情報はいずれも2022年3月時点のものです。
働く環境を整える
ガーデンデザインの仕事をするのは、パソコンを置いて設計図を作成できる場所があれば可能です。広いスペースが必要なわけではないので、自宅の一室でも開業できます。なお、現場で実際に作業することもある場合は、必要な道具・機材を保管する場所も確保しておきましょう。また、行動範囲が広いため、車両はあった方がいいでしょう。
また、庭の下見や土壌調査は日中の方がいいですが、レストランや結婚式場などライトアップやイルミネーションとの兼ね合いもある現場であれば、夜にも現場に赴くことになります。
独立後、仕事を得るために必要なこと
環境への配慮から、緑化を推進する傾向は長年続いています。また、自宅で過ごす時間が増え、庭への関心が高まっていることもあり、今後もガーデンデザイナーの仕事は注目されるでしょう。
とはいえ、独立直後から継続的に仕事を得るのは簡単ではありません。実績のある大手企業やほかのガーデンデザイナーにはない魅力を打ち出し、粘り強く伝えていく必要があります。ここからは、仕事を得るための具体的な方法をお伝えします。
アピールポイントを作る
お客様に選ばれるガーデンデザイナーになるには、他の人とは違う自分だけのアピールポイントがあると有利です。自分の強みや、どんな仕事がしたいのかということを明確にしておきましょう。「渋い雰囲気が得意」「温かみのあるデザインならおまかせ」「おしゃれで現代風な庭を作るのがうまい」といった、得意なテイストをわかりやすく伝えられるような画像や文章を準備しておくと、売り込みやすくなります。
また、ガーデンデザイナーは個人の住宅や公共施設、店舗のインテリアなど、取り扱う現場は多岐にわたります。どんな案件でも引き受けるのか、あるいはある程度絞るのかといった分野の選択によっても、アピールの仕方は変わってきます。自分の実績や好み、対象エリアの傾向などもよく考えて決めてください。
常に市場を分析し、需要が起こりそうなものを敏感にキャッチできるようにしておきましょう。先駆けて準備できれば、大幅な売り上げアップも期待できます。
積極的な宣伝活動
集客のためには宣伝は欠かせません。そのための有力な営業力となるのがホームページです。ターゲットに訴えるようなデザイン画像や文章、全体の構成を研究しましょう。
開業前後は大変忙しいため、高額にはなりますが、ホームページ制作を専門の業者に依頼するのもひとつの方法です。一方で、コンテンツ制作用のソフトウェアを使って自作することも可能です。時間と手間はかかりますが、自分のセンスを活かしたホームページができあがります。後々こまめに手を加えられるのもメリットです。
また、同じく欠かせないのがSNSの活用です。自分のデザインの特長や得意分野をクローズアップしたり、施工例を載せたりして、絶えずアピールし続けましょう。
デザイン力だけでなく、人柄や丁寧な仕事で信頼してもらえると、「お得意様」となっていただける可能性が高まります。
学び続ける
植物にも人気の波はありますし、環境は変化を続けています。常にお客様のニーズに応えられるようにするためにも、インプットは欠かせません。国内・海外の植物園やガーデンショーを訪れたり、ほかのガーデンデザイナーの作品を見たりすることも勉強になります。
また、感性を磨くために美術館に出かけたり、建築物を見て歩いたりすることも刺激になります。デザイン論、植物学、環境学、庭園史などの学術的なことに触れるのもいいでしょう。茶道や生け花もデザインのヒントになるかもしれません。さまざまなものに触れることでセンスが磨かれ、柔軟な発想にもつながります。
まとめ
ガーデンデザイナーは、植物に限らずさまざまな専門知識やセンスが必要な仕事です。お客様の希望を聞いて庭を設計し、多くの人とコミュニケーションをとりながら、植物を使った空間を作り上げていきます。
ガーデンデザイナーとして独立すると、会社で守られて働くのとは違った難しさを感じるでしょう。ですが、その分自分のデザインを自由にアピールしたり、得意分野に絞った働き方ができたりと、仕事の仕方を自分で決めていけるメリットがあります。
独立後の仕事を安定させるためには、顧客の確保がとても重要です。デザインの実績だけでなく、営業力や人柄が集客につながります。新しい情報を求めて常に知識やセンスに磨きをかけながら、自分にしかできない作品を作り上げましょう。
- ガーデンデザイナーとして仕事をするには、多くの専門知識を身につけることが不可欠
- 活躍の場は個人宅の庭から大きな公共施設まで幅広い
- 独立して仕事をするには自分のアピールポイントを見つけ、それを広く伝えることが大事