花屋をネットで始めよう!個人で開業するための準備とは
生花店というと思い浮かぶのは、路面店やビルの中などにある実店舗ですよね。ところが近年は、実店舗を持たずネットショップで花を販売する人も増えています。数年間生花店に勤めて仕事のノウハウを学んでから独立するケースもありますし、フラワーアレンジメント教室で資格を取得し、ネットショップでの開業を選ぶケースもあります。
自分の店を持つことに憧れていても、実際に開業するのは簡単ではありません。ですが、実店舗を持たないのであれば、さまざまな点で花屋を始めるハードルが下がります。では実際、どのような準備が必要なのでしょうか。今回は、花のネットショップを運営することのメリットや、個人で開業するまでの準備についてご紹介します。
- ネットショップを開設することに興味がある方
- 個人でネットショップで仕事をするメリットを知りたい方
- 実店舗を持つか、ネットショップで開業するか、迷っている方
目次
個人でネットショップを運営するメリット
雇用されて働くのではなく、個人で開業することのメリットのひとつは、すべて自分の思いどおりにできることでしょう。仕事の仕方やコンセプト、販売する商品一つひとつまで、誰にも気兼ねすることなく自分で決められます。それまでに培った知識や経験をフルに活用して仕事ができるのは、大きな喜びであり誇りでもあるでしょう。
営業の形態も自由に決められるわけですが、店舗を構える場合、物件探しに始まり、内装工事や店内のディスプレイまで、多くの手間と費用がかかります。一方ネットショップは、パソコンとカメラがあれば開設が可能。実店舗に比べて気軽に始められます。
ほかにも、実店舗とネットショップでは異なる部分が多くあります。ここからは、ネットショップを運営することのよさを考えてみましょう。
経費を削減できる
実店舗は、店の前を通りがかったお客様に気軽に立ち寄って購入していただけるのが大きなメリット。ですが、賃貸料や駐車場代、更新費用、光熱費など、店舗を運営するのにかかる費用を毎月払い続けなければなりません。
一方、ネットショップはそのような経費がかかりません。自宅にある程度の設備を整えれば、営業が可能です。また、規模が大きくなければスタッフを雇用する必要もないので、人件費も浮きます。このようにさまざまな経費、人件費を負担せずに済むのは、大いに節約になります。
もちろんネット環境を整え、ホームページの作成や宣伝をすることは必須です。さらに売り上げを伸ばすために有名なECサイトなどに出店するとなると、そのぶん費用はかかります。ですが、賃料や人件費がないことを考えれば、負担は相当軽く済むでしょう。
花を余らせずに済む
生花店を続けていくコツは、廃棄する花をできるだけ抑えることともいわれています。実店舗の場合、花が売れ残ることを恐れて仕入れを減らすと、店頭が寂しい雰囲気になってしまいます。花があまり並んでいないような生花店では、買い物する気が起きませんよね。かといって、売上に見合わない量を仕入れ続けると、赤字になってしまいます。
一方、ネットショップは生花を常に用意しておく必要がありません。注文が入ったらその都度仕入れて配送することができるので、無駄がないのです。また、必要以上にたくさんの花を置いておかずに済むため、仕事をするスペースを最小限にできるのもメリットのひとつです。
花が無駄にならないだけでなく、販売できる期間が伸びます。
時間を有効に使える
お客様や仕入れ先とのほとんどのやりとりはメールなどで行えます。実店舗と異なり対面するわけではないので、1日に数回メールをチェックするなど、自分のタイミングで対応すれば事足りるのがポイント。時間に縛られず柔軟に対応できます。
また、商品の投稿やホームページ・SNSの更新は、時間を気にせずいつでも可能。フラワーアレンジメントのレッスンを行う場合も、スケジュールは自分で管理できるため、自分のペースで仕事を進められます。営業時間も店休日も自由に決められますね。
受け取る日時も指定できるため、お客様も時間を有効に使えますね。
実店舗とは異なり、通勤に時間を割く必要もありませんし、仕事の合間に家事や育児もこなせる点は魅力的。もちろん仕事にかける時間が大幅に減れば、売上にも影響はあるでしょうが、時間を自由に使いたい人にとっては理想的な働き方といえるでしょう。
開業に必要な準備とは
ネットショップを開設すること自体はすぐにできても、趣味レベルではなく仕事として軌道に乗せるのはそう簡単ではありません。学ぶべきことはいろいろとありますし、計画を立てて必要な準備をし、着実に進めることが大事です。
また、流行を意識したり、季節に先駆けて新商品を企画したりと、戦略的な発想もできた方がいいでしょう。
実際にネットショップで生花店を始めるにはどんな準備が必要なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
必要な資金の割出しと調達
自宅で開業する場合、作業台やフラワーキーパー(生花用の冷蔵保管庫)が置ける場所があれば仕事ができます。また、フラワーアレンジメントのレッスンもする場合は、テーブルや椅子のある部屋が使えれば問題ありません。ただ、リフォームが必要な場合、あるいは配達や仕入れに必要な車両や高額な備品を購入するのであれば、まとまった資金が必要になります。
また、ホームページやネットショップを開設するため、パソコンやネット環境を整えることは必須。そして、当然のことながら、花材やラッピングペーパー、リボン、配送用の段ボールなど、細々とした消耗品を揃えるのにも費用がかかります。貯蓄で賄える場合はいいですが、融資を受ける際にはどこから借りるか、申請にはどのような準備が必要かをしっかり検討しておきましょう。
ネットショップの開設
ネットショップを開けるサイトはいくつもあります。それぞれに特色があるので、条件面や顧客層などを吟味しておきましょう。また、ひとつに絞らず複数のサイトに開設すると、それだけ人の目に触れる機会が増えます。
小規模であれば、無料サイトを利用するのもいいでしょう。商品の登録は無料で、商品が売れたときにサイト側に販売手数料を支払います。また、有料のECサイトは一般的に利用客が多く、発注を受けられる可能性が高まります。しかし、出店料や利用料が毎月かかるので、一定数の販売を維持する必要があります。
魅力的な商品を作るとともに、ショップに掲載する画像や説明文も、常に改善し続ける努力が欠かせません。
ホームページを作る
ネットショップでの販売だけでなく、オーダーメイドの注文を受けたり、仕事の幅を広げたりするためには、ホームページの開設が欠かせません。
CMSというシステムを使えば、初心者でも文章や画像を入力することでホームページを自作できます。ですが、膨大な手間と時間がかかるうえ、できあがったホームページがシンプルなものにとどまることも考えられます。ホームページの見た目や内容は集客に直結する部分でもあるので、より魅力的なサイトにしたければ、専門の業者に依頼することを検討しましょう。
費用には幅があり、十数万円で請け負う業者もいれば、100万円を超えるところも。また、一度作って終わりではなく、継続的に内容を更新していかなければなりません。自分で更新することが可能か、手を加えるたびに追加費用がかかるのか、毎月定額でメンテナンスをしてもらえるのかなど、サポートの内容もよく検討して、依頼する業者を決めてください。
商品コンセプトやサービスの内容、ターゲット層、ページ構成などを書き出しておくと、打ち合わせがスムーズに進むでしょう。
また、「こんな雰囲気で作って欲しい」と気に入った既存のサイトも伝えておくと、完成イメージを共有しやすくなります。
その他にもやることは山積み
生花店としては当然のことながら、花の仕入れ先を確保しておく必要があります。一般的には花市場や仲卸業者と契約することが多いです。加えて、花の生産者から直接仕入れることもできますし、数が多くなければフラワーショップで調達した方が便利なケースもあります。仕入れる量や購入したい品種のことも考え、しっかり検討しておきましょう。
また、花だけでなく、ラッピングペーパーやリボン、メッセージカードや領収書なども、決まった契約先があれば卸価格で仕入れられます。デザインや購入のしやすさ、契約の条件などを考えて、最適な契約先を選んでください。
そして、欠かせないのがSNSの活用です。多くの人に自分の生花店を宣伝できるツールなので、いち押しの花や作品の画像を頻繁に投稿し、存在を広く知ってもらえるようにしましょう。開業前のできるだけ早い時期から始め、1人でも多くの人にフォローしてもらえるよう、まめに投稿することをおすすめします。
税制上優遇される青色申告ができる、屋号で銀行口座を開設できるなどのメリットがあります。
まとめ
ネットショップで花屋を開業することには、経費が削減できる、花を無駄にせずに済む、時間の融通が利くなど、さまざまなメリットがあります。実店舗を構えての営業に比べると開業のハードルは低くなりますが、競合がひしめく中、売上を伸ばすことは簡単ではありません。
また、開業にあたってはしっかりとした準備が必要。開業資金の調達やホームページ制作など、よく調べてから取りかかった方がいいことがいろいろとあります。花屋の仕事に関してはもちろん、ネットショップ経営のノウハウなども学びながら、夢を叶えましょう。
- ネットショップは気軽に開業でき、マイペースで仕事が進められる
- 開業前にはしっかりと準備し、必要であれば各分野のプロの手を借りることも検討するとよい
- ネットショップ開設後も常に改善し続けることが欠かせない