フラワーデザイナーとして独立するには?気になる収入や自宅で開業する方法もご紹介
花を使ってさまざまな作品を作るフラワーデザイナー。きれいな花に囲まれる華やかな仕事という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。フラワーデザイナーは生花店などに所属して仕事をしているケースもありますが、数年勤めて仕事を覚えた後に独立・開業し、フリーランスとなって自分のセンスや専門性を生かした仕事をする人も多いです。
独立というと「自分の店舗を持つ」というイメージがあるかもしれませんが、自宅で開業することも可能です。かさばる費用を抑えられるだけでなく、ほかにもさまざまなメリットがあります。
今回は、フリーランスで働くフラワーデザイナーの仕事内容や収入を得る方法、また、独立して自宅で開業する方法に関する情報をお届けします。将来、独立・開業することに興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。
- フラワーデザイナーの仕事内容や収入源を知りたい方
- 自宅で開業することに興味がある方
- フラワーデザイナーが自宅で仕事を始めるまでの流れについて知りたい方
目次
フラワーデザイナーの収入
先述のとおり、フラワーデザイナーの中には、フリーランスで活動している人も多くいます。一般的な年収は約260万円ともいわれていますが、ほかの職業と同様に非常に幅があるようです。
また仕事分野についても、ブライダルやインテリア、葬儀、イベント、メディア中心など、いくつかに分かれています。それぞれの専門性を生かして活動しているフラワーデザイナーもいれば、あまり区別せずにオールマイティにこなしている場合もあります。
このように、細かく見ていくとさまざまな違いがありますが、ここでは一般的なフリーランスのフラワーデザイナーの仕事内容と収入源についてご紹介しましょう。
収入の柱は主に2つ
多くのフラワーデザイナーは「作品制作」とフラワーアレンジメントスクールの「講師」の2つの仕事を中心に活動しています。作品の価格は千差万別。例えばネットショップなどで販売されている商品はリーズナブルな価格のものが多いですが、パーティやイベント会場の装花となると、かなり高額になります。
また、講師としてレッスンを行う場合も、1クラスの人数やレッスンの頻度、制作する作品によって、収入は大きく変わります。ですが、手頃な受講料のレッスンをするのか、豪華な作品を作る高単価なものにするのかを自分で決められるのは、フリーランスの特権。いずれにせよ、お客様にとって魅力的な内容となるよう、レッスンのクオリティを上げる努力は欠かせません。
花以外の仕事の方で人脈ができ、思わぬところからアレンジメント制作の依頼を受ける可能性もあります。
徐々にフラワーデザイナーとしての仕事を増やしていけるよう、地道な積み重ねが必要です。
高収入を得ているフラワーデザイナーの仕事
第一線で活躍するフラワーデザイナーは、自身の店舗での販売に加え、大手企業のイベントやCM、テレビ番組、雑誌などで使用される装花の仕事なども行っています。また、全国でレッスンツアーや展示会を行うこともあります。
また、花瓶や花器をデザインし、店舗やネットショップで販売することでも収入が得られます。
今やメディアに名前や顔が知れ渡っているフラワーデザイナーも、ブランディングを練ったり、オリジナリティを求めていくつもの作品を作り続けた時期があったはず。絶え間ない努力で技術とセンスを磨き続けた結果が、現在に繋がっているのではないでしょうか。
花の資格を取る
フラワーデザイナーは特別な資格がなくても仕事ができます。しかし、取っておくに越したことはありません。資格は花に関する知識や作品を制作する技術があることの証明になります。同時に、お客様にとってはそのフラワーデザイナーの技術を信用する材料となるでしょう。
花の資格には、国家資格である『フラワー装飾技能士』やフラワーデザイナー協会(NFD)が主催する『フラワーデザイナー資格検定試験』などがあります。ほかにもそれぞれの花の協会が特色のある検定試験を実施しています。詳細はホームページで紹介されていますので、比較検討してはいかがでしょう。
支払わなければ、せっかく取得した資格を公表できなくなることもあるので、金額が妥当かということも含めて、あらかじめ確認しておきましょう。
経費を抑えて自宅で開業しよう
店舗を構えるフラワーデザイナーがいる一方で、お店を持たずに自宅で開業する人も増えています。一番のメリットは、店舗の賃貸料や光熱費などの経費を抑えられること。また、通勤にかかる時間も費用もカットできます。さらに、時間を比較的自由に使えるので、家事や子育てとの両立もしやすくなるでしょう。
加えて、自宅ならお客様により身近に感じてもらえるという利点もあります。アットホームな雰囲気の中、くつろいで過ごしてもらえるのは自宅サロンならではのこと。また、レッスンで使用する部屋のインテリアや飾られている花をご覧になったお客様が「私の家にも取り入れられる」「今度やってみよう」と感じて、より親しみを持ってもらえるかもしれません。
ここからは、店舗を持つよりも開業のハードルが下がり、そのときどきの事情に合わせて仕事量を調整しやすい「自宅で開業する方法」についてご紹介します。
自宅の中に仕事場を作る
まずは、仕事ができる環境を整えます。アレンジメントの受注制作のみを行う場合は、作業台や洗い場、資材や作品の保管場所があれば可能です。加えてレッスンもする場合は、専用の部屋を確保するのが望ましいですが、家族と共用の部屋を使う際には、雰囲気作りにも気を配りましょう。
フラワーアレンジメントのレッスンに来られるお客様の中には、非日常の雰囲気を味わいたい方も多くいらっしゃいます。レッスンの間だけでも、できるだけ生活感を排除した空間にすることをおすすめします。
自宅ならキッチンやテーブルウェアを自由に使え、準備がしやすいですね。
必要な備品を購入
花材以外にも、名刺やショップカード、ギフト用の箱、ラッピングペーパー、リボンなども必要です。また、ネットショップから注文を受ける場合は梱包して発送するため、作品のサイズに合わせた段ボールもストックしておくといいでしょう。
なお、生花を扱う場合は、必須ではありませんが、花を低温で保管するためのフラワーキーパーがあると便利。ただ、中古でも数十万円するので、慎重に選ぶ必要があります。
レッスンを行う場合は、お客様用の花切りバサミやグルーガン、延長コード、お持ち帰り用の袋なども揃えましょう。また、テーブルに傷がついたり、グルーガンからこぼれたグルーがついてしまうことがあるので、テーブルマットも用意することをおすすめします。
あるいは、ショップのロゴでシールを作って、それを貼り付けるだけでも雰囲気が出ますね。
仕入れ先を決める
生花を扱う場合は、花市場や仲卸業者、あるいは生産者から直接仕入れる方法があります。ですが、あまり量が多くない、あるいは仕入れる頻度がそう高くないのであれば、生花店で購入する方が便利なケースもあります。近くに品質のいい花を仕入れているお店がないか調べて、顔馴染みになっておくといいでしょう。
生花と合わせて使用することもあるプリザーブドフラワーやドライフラワー、アーティフィシャルフラワーなどは、仕入れ先の企業と直接契約を結べば、割引価格で花材を仕入れられます。花の協会が認定した資格が必要な場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
取引量や条件によって割引率は変わることがあるので、契約する前にしっかりチェックしましょう。
開業届を提出する
フラワーデザイナーに限らず、フリーランスで仕事を始める場合は、開業後1カ月以内に開業届を税務署に出す義務があります。出さなかったからといって罰則はありませんが、個人事業主として事業を行なっているという客観的な証明となるため、提出しておいた方がいいでしょう。
開業届を出していれば、屋号を使って銀行口座を作ることができますし、資金の融資を受ける際に重要な証明証書として使えます。また、税制上のメリットがある青色申告もできるようになります。
また、赤字を最長3年間繰り越し、所得から差し引くことができます。
例えば、開業したばかりの年が赤字だったとしても、翌年以降黒字になれば、初年度の赤字分を次の年度以降の所得からマイナスすることが可能。その結果、支払う税金が安くなるので大きなメリットとなります。
国税庁:青色申告制度について
なお、開業届に記入するフラワーデザイナー事業の名称(屋号)は自由に決めることができます。自分らしい名称を考えるのも楽しみですね。
ホームページやSNSの活用は必須
開業したばかりのフラワーデザイナーは、仕事を得るチャンスを自分で作る必要があります。ですから、自身のホームページやSNSに作品を投稿したり、どんな仕事ができるかを伝えたりするPRを行いましょう。写真や動画は、どんなデザインをするのかが伝わりやすいのがポイント。求めているテイストかどうか、お客様も判断しやすいでしょう。
インターネットを利用すると情報が広く伝わるだけでなく、ご覧になった方からの反応もわかるので、改善につなげることができます。また、花や作品に込めた思いも文章で表現すると、ご覧になる方にフラワーデザイナーの人となりも伝わります。
作品のデザインだけでなく、写真の撮り方、加工の仕方、わかりやすいページ構成などを工夫しましょう。ホームページ作りやSNSの活用には終わりがありません。ひとりでも多くの方の目に留まるよう改善し続けましょう。
まずは地道に顧客を開拓してレッスンする
教室を開く場合は、SNSだけでなくフライヤーを作って宣伝する方法もあります。ポスティングをしたり、近所のお店などに置かせてもらったりして、集客につなげましょう。自宅で開業するということは、近所に知り合いも多いということ。そのメリットを生かし、積極的に声をかけてフラワーアレンジメントのレッスンをしていることを伝えましょう。
例えば、クリスマスやお正月の飾りは、ほかの時期よりも多くの方が興味を持つもの。そのチャンスを生かして、気軽に作れるリースやしめ飾りのレッスンを行ってみてはいかがでしょう。一度フラワーアレンジメントの楽しさを知ってもらえると、次のレッスンへとつながるかもしれません。
「ここはもっとこうした方がいい」「こういった備品があるといい」など忌憚のない意見をもらうと、実際のレッスンに備えられます。
まとめ
フリーランスのフラワーデザイナーは、開業してから軌道に乗せるまでが大変。最初のうちは副業と割り切って、技術や知識、センスを磨きながら活動するのもひとつの方法です。
店舗を持つとなると、毎月多くの経費がかかります。その点、自宅で開業するとかなり節約できますね。時間の融通が利くというメリットもあります。ホームページなどで作品をアピールする、フライヤーを配って顧客を開拓するといった地道な活動も続けましょう。
やるべきことはいろいろとありますが、好きな仕事をするためなら苦にはならないのではないでしょうか。自分らしい活動ができるフリーランスという働き方を検討してみるのもいいかもしれません。
- 花の資格は知識や技術の証明になるので、取っておいて損はない
- 作品制作とレッスンの両輪で収入を得ているフラワーデザイナーが多い
- 自宅を拠点にしてフラワーデザイナーとして活動することも可能。メリットも多い