観葉植物をきれいに大きく育てたい!モンステラの植え替え方とは
トロピカルな雰囲気の観葉植物といえば、モンステラが真っ先に浮かぶ方は多いのではないでしょうか。切れ込みの入った濃いグリーンの大きな葉が美しく、個人のお宅だけでなくカフェやショップ、美容院などでもよく見かけますね。おしゃれなインテリアプランツとして人気の品種です。
栽培自体はそれほど難しくはありませんが、きれいな樹形を保ちながら育てるには、タイミングよく植え替えることが欠かせません。そこで今回は、モンステラの植え替えについて詳しくお伝えします。基本的な育て方についても併せてご紹介しますので、モンステラをインテリアに取り入れることをご検討中の方も参考になさってくださいね。
- モンステラを好みのサイズに育てたい方
- モンステラを見栄えよく育てたい方
- 観葉植物の支柱の立て方を知りたい方
目次
人気の観葉植物、モンステラの特徴
団扇(うちわ)のような形の大きな葉を持つモンステラは、熱帯原産の蔓性の植物。自生地のジャングルでは木に絡んで伸びていきます。名前の元になっているのはラテン語の「モンストラム」で、「怪物」という意味なのだそう。大きなものでは1mにもなる葉の見た目からつけられたといわれています。
葉にあいた穴から光が差し込む様子から、ハワイではモンステラは「希望の光を導く」と考えられています。また、花言葉は「嬉しい便り」や「壮大な計画」で、明るい未来を連想させますね。お部屋に飾ると幸運を運んできてくれそうです。
ですが、気温や株の状態など、条件が揃わないとなかなか開花しないため、観葉植物サイズのモンステラが花をつけるのは難しいようです。
モンステラの育て方
モンステラはもともとジャングルに自生していますので、高温多湿の日本でも育てやすく、加えて耐陰性もあります。そのため、室内でも栽培できますが、生長するにつれて日光を必要とするようになります。室内で育てる場合、置き場所は明るいスペースを選びましょう。直射日光に当たると葉焼けするので、場所によってはレースのカーテンなどで調節してください。
水は、鉢底から出るくらいたっぷりあげましょう。暖かい時期によく生長するため、春から夏にかけては土が乾いたタイミングで。気温が10℃を下回る秋以降は生長が緩慢になるので、土が乾いてから2日ほど後に行ってください。逆に、室内で暖かさをキープできる環境であれば、頻度を変えずに水やりをして問題ありません。
モンステラは葉が大きいため、葉水も積極的に行いましょう。葉水を行うと埃やゴミが水で流れますので、見た目の美しさを保てます。同時に、害虫予防にもなりますよ。
剪定の仕方
モンステラは葉の数が増えると重みで傾いてしまいます。そうならないように定期的に葉を間引いて、きれいな樹形を保ちましょう。
剪定は生育期である5〜9月に行ってください。回復力のあるこの時期であれば、株への負担を抑えることができます。剪定する際は、まず、変色したり枯れたりしている葉から。次に、混み合っている箇所の葉を間引きます。最後に、株全体を見てバランスの悪い葉を落としましょう。
皮膚の弱い方はかぶれる可能性があるので、作業をする際は園芸用の手袋をつけることをおすすめします。
無い場合は、樹液の侵入を防げればいいので、ゴム手袋でも代用できますよ。
もし皮膚などについてしまったら、すぐに流水で洗い流しましょう。
小さなお子様やペットを飼っていらっしゃるご家庭では、特にご注意ください。
気根はどうする?
モンステラは茎から白っぽい根(気根)を伸ばしています。自生地では、地中の根だけでなく気根からも酸素や水分を吸収するほか、ほかの植物に気根を伸ばして、茎を支えることにも使われます。ですが、観葉植物のサイズであれば、気根は残さなくても生長に問題はありません。
ですから、気根を切ってしまうか残すかは、お好み次第。すっきりした見た目がお好きな方は、剪定時に一緒に切りましょう。逆にエキゾチックな雰囲気を楽しみたい方は、そのまま伸ばしても面白そうですね。また、株が大きくなって支柱が必要になった場合は、気根を支柱に誘導すると、しっかり自立するようになりますよ。
ですが、気根の途中で切ると、切り口の近くからまた新しく出てきます。
気根を切るときは、その後どんなふうに育って欲しいかを考えて、切る場所を変えましょう。
モンステラの植え替えは必須?
茎や葉の生長とともに土の中では根がどんどん伸びていきます。長期間そのままにしておくと、植木鉢の中で根が行き場を失い、根詰まりを起こすことに。根詰まりした状態を放置すると、根から十分な水分や養分、酸素を吸収できなくなるため、株が弱ってしまいます。落ちてしまう葉が増えてきたら、根詰まりを疑いましょう。
また、植木鉢に対して株が大きくなり過ぎると、見た目にバランスが悪いだけでなく、ちょっと触っただけで植木鉢ごと倒れてしまうことも考えられます。株が傷ついたり、植木鉢が割れたりしては大変ですから、そうなる前に植え替えておきましょう。
伸びた気根を土の方に誘導すると、気根が土の中で通常の根と同様に伸び、株が一段とよく生長しますよ。
植え替えるタイミング
植え替えは植物にとっては負担が大きいこと。生長が鈍る休眠期に行うと、変化に対応できず枯れてしまうこともあります。植え替えた後、新しい土に根を張って順調に生長し始めるまでの期間を考慮して、植え替えは5〜7月に行いましょう。
- 水が土に染み込みにくくなった
- 鉢底から根が出ている
- 水やりしているのに葉に元気がない
- 変色している葉がある
- 葉数が減った
- 2年以上植え替えていない
なお、生育期であっても、根を傷つけてしまったり、植え替え後の環境が悪かったりすると、株が弱ることがあります。早く根付いて安定して生長するように、植え替えるときは慎重に作業を進めましょう。
植え替え時に準備するもの
植え替えは少し手間のかかる作業ではありますが、気に入った道具を揃えておくことで気分が上がり、取り掛かりやすくなります。色や柄などさまざまな商品が販売されているので、チェックしてみると楽しいかもしれません。
準備するものの中には、少し注意が必要なものがあります。モンステラに限らず、観葉植物全般の植え替えに共通する内容も含まれていますので、基本を改めて確認するためにも、植木鉢・土・ハサミについて押さえておきましょう。
ひとまわり大きい植木鉢とは
植え替える際は、それまでよりひとまわり大きいサイズの植木鉢を用意します。例えば、5号の鉢を使用している場合は、直径が3㎝大きい6号のものを準備しましょう。
「すぐに大きくなるから」と大きすぎるサイズの植木鉢にしてしまうと、土の量も増えます。すると、根が吸収できる水分量以上の水が土の中に溜まり、根腐れを起こしやすくなります。植え替えは1号大きいサイズの鉢で行いましょう。
植木鉢の材質は、通気性のいいテラコッタや素焼きの鉢がおすすめです。モンステラは重さがあるので、転倒防止の点でも安定感と重量のある植木鉢がいいでしょう。
モンステラの植え替えに最適な土
植物にとっては、水を蓄える「保水性」、養分を蓄える「保肥性」、空気の出入りがある「通気性」、そして、余分な水を排出する「水はけ」の能力がある土が理想的です。また、酸性とアルカリ性のバランスや植物にあった肥料が入っているかどうかもポイントになります。
モンステラはホームセンターなどで販売されている観葉植物用の培養土で十分に育ちます。ですが、もっと凝ってみたい方は、自分で土を配合してみてはいかがでしょう。基本のバランスとしては、赤玉土を70%、腐葉土を30%の割合がおすすめ。ただし、室内で育てる場合は、腐葉土を使用すると害虫などが発生しやすくなるため、代わりに無菌で清潔なピートモスを使ってみましょう。
また、水はけをよくしたい場合は、赤玉土を60%、ピートモスを20%、川砂を20%混ぜて作ってみてください。
園芸用ハサミの取り扱い
植え替えや剪定に使用するハサミは、必ず消毒しておきましょう。消毒を怠ると、刃に残っていた菌が切り口から入り、植物が病気になってしまうかもしれません。
手軽に行えるのは、台所用漂白剤を使用する方法です。植え替えなどの作業が終わったら、漂白剤を100倍に希釈した水に、広げた状態のハサミを2〜3分つけましょう。その後、水洗いし、キッチンペーパーなどで水気を拭き取ってください。
予め希釈されているので、液にハサミをつけるだけで消毒ができます。
煮沸消毒も効果があるといわれています。水洗いしたハサミに満遍なく熱湯をかけたり、ハサミを熱湯につけたりすればOK。薬剤を準備せずに済む点は嬉しいですね。
植え替えの手順
植え替えの数日前から水やりは控え、土を乾燥気味にしておきましょう。土が湿っていると根にまとわりつき、土の重さで根が切れてしまうことがあります。
- モンステラ
- ひとまわり大きな鉢
- 鉢底石
- 観葉植物用培養土
- スコップ
- 園芸用ハサミ(消毒済みのもの)
- 園芸用手袋(ゴム手袋も可)
- 先の細い割り箸
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STEP. 1
新しい鉢を準備する
現在使用している鉢よりも1号大きい植木鉢を用意します。
鉢底石を入れ、培養土を鉢の半分〜2/3ぐらいまで入れておきましょう。
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STEP. 2
モンステラを鉢から取り出し、少し土を落とす
抜けにくい場合は、鉢の外から拳で叩くと、土が緩んで取り出しやすくなります。
根を傷つけないように優しく土をほぐしましょう。
その際、変色したり、乾燥していたり、弱々しく伸びていたりする根があれば、ハサミで切り落としてください。
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STEP. 3
新しい鉢にモンステラを植えつける
鉢の中にモンステラを置き、土を追加しましょう。
割り箸で土を突つくと、隙間に土が入るので株が安定します。
縁から2〜3㎝下まで土を入れてください。
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STEP. 4
水やりをする
鉢底から出るくらいたっぷりの水を与えましょう。
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STEP. 5
完成
植え替え後の管理
いきなり日向に置くと葉焼けする可能性があります。植え替え直後は直射日光を避け、風通しのいい半日陰で1〜2週間育ててください。無事に根が張ると株が元気になってきます。そうしたら日当たりのいい場所に移しましょう。このときも急に明るいところに持っていくのではなく、環境に慣れさせながら徐々に移動させるのがポイントです。
植え替え後は土が湿っている状態を保つことが大事です。水切れを起こさないように管理しましょう。また、培養土の中に肥料が入っているため、追肥は1〜2ヶ月は行う必要がありません。むしろ、根が安定していない時期に必要以上に肥料を与えてしまうと、モンステラの負担になるので控えましょう。
モンステラには支柱が必要
先述のとおり、モンステラは木などの植物に気根を着生させ、それを支えにして生長する特性があります。このため、支えになるものがない限り上方向には伸びず、横に広がります。また、放っておくと生長に伴って葉の重みで茎が曲がってしまうため、見た目にも影響が出ます。ですから、モンステラをすっきりと整った樹形で縦方向に伸ばすには、支柱が必要なのです。
支柱を立てると、見た目がよくなるだけでなく、葉が重なってしまうのを防げるので全ての葉に日が当たりやすくなるというメリットも。同時に通気性も確保できて蒸れにくくなり、病害虫の発生を防ぐことにもつながります。
倒れた茎を大きく動かして支柱に結びつけることや、その後曲がっていた茎がまっすぐに伸びるようになることを考えると、モンステラの回復力がある時期が望ましいです。
支柱選び
それぞれ特徴を持った支柱が販売されています。見た目や設置のしやすさなどを考慮して、お好みのものを選んでください。
手に入りやすいのはプラスチック製のものです。園芸店やホームセンター、100円ショップでも購入できます。棒状のもののほか、リング支柱なら株の外側に設置するため、作業は比較的簡単です。一方、円筒形になっているプラヘゴという商品は、株の内側に立てるもの。網目状になっていて通気性がいいです。プラスチック製は価格がリーズナブルな点も嬉しいですね。
おしゃれでナチュラルな見た目を重視したい方には、ヘゴ棒がおすすめです。ヘゴという植物の太い茎を乾燥させた支柱で、適度な凹凸があるためモンステラの気根が絡みつきやすいです。また、ココヤシの繊維を使用したココスティックもナチュラルな雰囲気で、モンステラによく馴染みます。
太くて長い流木でおしゃれにするのも素敵です。
支柱の立て方
細い棒状のものやリング支柱を立てる場合は、モンステラの根を傷つけないように、ゆっくり土に挿しましょう。根にぶつかった際は、少し場所や角度を変えて挿し直してください。あとは、麻紐などで支柱と茎を結びつけるだけです。モンステラの負担にならないように、少し余裕を持たせて8の字に結び、結び目が支柱の方に来るように留めてください。
株の内側に支柱を立てる場合は、植え替えの際に行いましょう。詳しい手順をお伝えします。
植え替え時に支柱を立てる方法
- モンステラ
- 新しい鉢
- 鉢底石
- 培養土
- スコップ
- 支柱
- 麻紐
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STEP. 1
新しい鉢に土を入れて支柱を立てる
鉢底石を入れた植木鉢の中央に支柱を立て、培養土を鉢の半分〜2/3ぐらいまで入れましょう。
支柱の周りの土を押さえて、支柱を安定させてください。
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STEP. 2
モンステラを植えて、支柱に仮止めする
バランスが良くなるように支柱の周りにモンステラを植えます。
麻紐を使って、茎を支柱に結んでください。
8の字になるように紐を通して、結び目は支柱の方に来るようにしておきましょう。
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STEP. 3
土を追加し、株全体のバランスを見る
鉢の縁から3㎝ほど下まで土を加え、株と支柱を安定させます。
全体のバランスを見て、支柱と茎を結びつける位置や広がり方を調整してください。
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STEP. 4
完成
株分けしてモンステラを増やそう
元々複数の株をひとつの植木鉢に寄せ植えして販売されていることがあります。生長とともに窮屈そうになったら、植え替える際に株分けしましょう。
植木鉢からモンステラを取り出したら、土を落として少しずつ根鉢をほぐしてください。中心部分から外に向かってほぐしていくと、株が分かれやすいです。その後、通常の植え替えと同様に新しい鉢に1株ずつ植えつけてください。予め支柱も一緒に立てておきましょう。
この節より下で茎をカットし、水の入ったガラスの器などに挿しておくと発根します。
水には根腐れ防止剤を入れておくと、水をきれいに保てますので管理が楽です。
水栽培だと土栽培ほどには大きく育ちませんが、見た目に透明感があって素敵なインテリアになります。
まとめ
トロピカルな雰囲気のモンステラは、人気の観葉植物。大きな葉が印象的ですが、生長すると根詰まりを起こしたり、重さでバランスを崩しやすくなったりします。そうなってしまう前に植え替えましょう。生育期である5〜7月に行うのがおすすめです。
モンステラは鉢に支柱を立てると気根が絡んで株を固定でき、美しい樹形で伸びていきます。植え替える際には支柱も一緒に立てておきましょう。また、株分けして増やすことも可能です。おしゃれなインテリアグリーンであるモンステラを育てて、緑のある暮らしを楽しみましょう。
- モンステラの植え替えは生育期である5〜7月に行うのがおすすめ
- 植え替える際に支柱も立てると、モンステラが美しい樹形に育ちやすくなる
- さまざまなタイプの支柱の中から気に入ったものを選び、モンステラを美しく育てよう