ブーケとはどんなもの?お部屋に飾るブーケと結婚式のブーケを詳しくご紹介
記事の監修
赤田 加奈子
プロインテリアアドバイザー
インテリアショップに勤務し、サイズオーダーに対応した高級家具の販売を担当。
家具・インテリアに関する知識と経験を深める。
その後、フリーライターとして独立。
家具販売や接客経験を活かした、インテリア・住宅関連の執筆を主体に活動中。
フランス語で「花束」という意味のブーケ。いくつもの花材を組み合わせることによって、ナチュラル、可愛らしい、エレガントなど、あらゆるテイストに仕上げることができます。最近は気軽に花を飾れるように、生花店の店頭で可愛らしいサイズのブーケが販売されています。また、ブーケといえば結婚式で新婦が持つものを真っ先に思い浮かべる方も多いでしょう。
そこで今回は、インテリアブーケとウェディングブーケについてお伝えします。それぞれのデザインの種類も詳しく紹介しているので、どうぞ最後までお読みください。
- 花を暮らしに取り入れたい方
- 切り花のお手入れの方法を知りたい方
- こだわりのウェディングブーケを持って結婚式に臨みたい方
目次
ブーケと花束の違いとは
先述のとおり、言葉の意味としては「ブーケ」と「花束」は同じです。しかし、日本では両者の間に少し違いがあります。
花束とは茎が長い状態で束ねられ、デザインに前後があるもののことを指します。正面からきれいな花が見えるようにアレンジメントされ、背面はラッピングペーパーなどでカバーされています。一方、ブーケは花束ほど茎が長くなくコンパクトです。デザインに前後はなく、どの角度から見てもきれいな花を楽しめるようにアレンジメントされてます。
ブーケにはあまり使われないしっかりした枝ものが、花束には積極的に使われていることも、この説に由来するのかもしれませんね。
たくさんの人の前で花を贈る場合や華やかさを重視するシーンでは、大きくて見栄えがする花束が向いています。逆に、あまり大袈裟にしたくない場合や、気軽なプレゼントとして花を贈りたい場合にはブーケがおすすめです。
インテリアブーケとウェディングブーケ
ブーケには、大きく「インテリアブーケ」と「ウェディングブーケ」の2種類があります。一般的に生花店などで購入するブーケは、室内に家で飾ることを目的とした「インテリアブーケ」です。季節の花や色合わせを楽しむことができ、生活に彩りを添えてくれます。アーティフィシャルフラワーのように、生花以外の花材で作られたものもありますよ。
一方、結婚式で新婦が持つのは「ウェディングブーケ」です。ウェディングブーケは純白のドレスに合わせて白とグリーンで作られたり、カラードレスに合わせてデザインされたり、着用するドレスや新婦の希望を反映して作られた特別なものです。
ここからは、インテリアブーケについてご紹介します。花を長持ちさせる方法も解説しているので、参考にしてください。
生花のインテリアブーケならではの良さとは
ブーケのほかに生花店で人気の商品といえば、フラワーアレンジメント。器の中にセットした吸水フォームに花を挿して作られています。きれいにデザインされていてすぐに飾れる点はブーケと同じなのですが、違うのは材料費。ブーケは花器などを使用せずに済む分、花にお金をかけることができるメリットがあります。
また、フラワーアレンジメントは器のサイズによって飾れる場所がある程度決まります。一方、ブーケはあまり大きくないため、広いところはもちろん、ちょっとした空間にもさりげなく飾れます。
ほかにもブーケ特有の良さがあります。ご紹介していきましょう。
飾るときに花の量や長さを調節できる
ブーケは、きれいにデザインされているためラッピングを外すとそのまま花瓶などに生けることができます。手軽に飾れるのは嬉しいポイントですが、加えて、解くことも可能。飾りたい場所に合わせて花のボリュームを変えて楽しみましょう。
例えば、食卓にインテリアブーケの半分の花を、残りは別々に一輪挿しに生けて、玄関やキッチンなどに飾ってみてはいかがでしょう。あちこちに花を飾ると、家の中が明るく華やかな雰囲気になりそうですね。
その後、割り箸の先に布を巻き付けて輪ゴムでとめたものを入れて、傷つけないように優しく洗いましょう。
最後によくすすぎ、乾燥させてください。
日々のお手入れで、花を長く持たせることができる
きれいに咲いている花をできるだけ長持ちさせるためには、花瓶の水を清潔に保つことが大切です。夏は毎日、冬でも2、3日に一度は水を替えましょう。その際、水に浸かっていた部分の茎や花瓶の内側もきれいに洗うと、雑菌の繁殖を抑えられます。さらに、水を替えるタイミングで水切りも行えば、花が水を吸い上げやすくなりますよ。
切れ味の悪いハサミだと茎の切り口がつぶれて、水が上がらなくなることも。できるだけ切れ味の良いハサミを使って、水の吸い上げをサポートしましょう。
また、水の中に切り花の延命剤を入れると一層長持ちします。表示されている分量を守って使用しましょう。
インテリアブーケの種類
生花店の店頭にプロのフローリストがセンスを生かして作ったミニブーケがディスプレイされているのを、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。おしゃれに束ねられたカラフルな花が500〜1,000円ほどで購入できることもあります。小さなものは、花瓶でなくグラスやカップに生けても素敵ですよ。
インテリアブーケにはさまざまな種類があり、インテリアや好みに合わせて選択できます。ここでは、インテリアブーケの種類やそれぞれの特徴をご紹介します。
花瓶いらずのスタンディングブーケ
花瓶いらずで飾れるのが、スタンディングブーケです。
スタンディングブーケは花に必要な水分や、栄養などを含んだゼリーごとラッピングされているため、花瓶がなくてもそのまま飾ることができます。栄養たっぷりの水分を吸収することで、通常より花持ちが良いケースもあります。水替え不要なので、受け取った方の負担にならないプレゼントとしておすすめです。
フルーツや野菜を使ったブーケ
フルーツブーケとは、カットしたフルーツを花束のように美しく盛り付けたアレンジメントです。旬の果物が使われることが多く、季節感を演出できます。フルーツと一緒に、チョコレートやグミなどが加えられたものもあります。
フルーツブーケはサイズバリエーション豊富で、大きなものはパーティにおすすめ。カラフルでインパクトが強いため、プレゼントにしても喜ばれるでしょう。
また、野菜を中心にハーブやエディブルフラワーなど、食べられる素材で作られているのがベジブーケです。瑞々しい野菜本来の色や形を活かしたフレッシュなアレンジメントで、飾ったあとは丸ごと食べられます。自分用にはもちろん、美容や健康志向の高い方へのプレゼントにもおすすめです。
生花以外の花材を使ったブーケ
アーティフィシャルフラワーやプリザーブドフラワー、ドライフラワーなどで作られたインテリアブーケなら、生花よりも長く楽しむことができます。生花同様に花瓶に飾ったり、水がいらないという特性を活かしてそのまま家具の上に置いたりすることもできるため、手軽に花を暮らしに取り入れられます。お手入れはときどき埃を払う程度で完了するため、手間いらずで花を楽しめるのも魅力です。
また、おしゃれな写真を撮りたいときには小道具としても活躍します。特にカラフルなブーケは置き方や角度によって違う色を見せることがでるため便利です。花があるとそれだけで様になりますし、少しぼかした感じで撮影すると一層素敵に映ります。
ソープフラワーには花粉がないため、アレルギーがある方へも安心してプレゼントできます。
高温多湿や強い光を避ければ、数ヶ月から、数年ものあいだ飾って楽しむことができます。
おしゃれに見える花器選び
どの色の花とも相性がよいのは白い花器ですが、緑やグレー、ベージュも比較的多くの色と合います。また、同じ花でも黒い花器に挿すとガラリと印象が変わり、スタイリッシュな雰囲気に。逆に、ポップな感じにしたいときは明るく淡い色の花器を選ぶと、軽やかな雰囲気を演出できます。
また、手持ちの花瓶に合うものがない場合は、紅茶の缶やコーヒーカップなどに活けるのもおすすめです。
バランスの取り方
ブーケ(花瓶の口から花の先端まで)と花瓶の高さの比率は、1:1が基本です。しかし、背の高い花瓶しかない場合は、細いリボンを花瓶に巻くとバランスが取れます。デザインのアクセントにもなりますね。
10cm以下の小さな花瓶に活ける場合の比率は、花瓶1:花0.5がおすすめです。特にバラやシャクヤクのようなボリュームのある花は、茎を短く切って全体を低く活けるとバランスよくまとまります。
また、数種類の花を一つの花瓶に活ける場合は、あらかじめ主役と脇役を決めておきましょう。主役は大きく存在感のある花、脇役は花弁が小さいものやグリーンを選ぶとバランスを取りやすいです。一番目立つ位置に主役の花をおき、花瓶との隙間を埋めるように脇役を配置していくとおしゃれに仕上げられます。
また、風が通り抜ける場所は花瓶が倒れる心配があるため、避けた方がいいでしょう。
続いて、ウェディングブーケについて解説します。ウェディングブーケには、インテリアブーケとは異なる魅力があります。披露宴で行われている、ウェディングブーケを使ったイベントもご紹介します。
華やかで美しいウェディングブーケ
ウェディングブーケはウェディングドレスとともに新婦を美しく見せる大切なアイテムです。上質な花だけを使用し、どこから見ても美しく、決して型崩れしないように、フローリストが技術とセンスを結集させて丁寧にウェディングブーケを制作しています。ウェディングブーケが高額なのには、れっきとした理由があるということですね。
また、アーティフィシャルフラワーの品質が向上したことによって、造花を使ったウェディングブーケの人気も高まっています。アーティフィシャルフラワーは近くで見ても生花と遜色ないほど完成度が高く、傷んだり枯れたりしないという大きなメリットがあります。前撮りにも結婚式当日にも使えるほか、思い出の品として長期間飾って楽しむことができます。
さらに、個性的なデザインの花材が多いドライフラワーや、生花のようなみずみずしさが魅力的なプリザーブドフラワーを使ったものなども展開され、ウェディングブーケの選択肢は広がっています。
中世ヨーロッパでは、プロポーズする際に男性が女性のために野の花を集めて花束にして贈っていました。
女性は返事がYESのときには受け取った花束の中から花を一本抜き取って男性の胸元に挿したとのことから、ブーケとブートニアは同じ花が使われるようになったといわれています。
ウェディングブーケの種類
ここからは、たくさんあるウェディングブーケのデザインの中から基本の形をご紹介します。新婦の雰囲気やドレスとの相性を考えながら、ウェディングブーケのデザインを選択してくださいね。
ラウンドブーケ
上から見ると円、横から見るとドーム型の丸い形状は、ウェディングブーケの定番です。華やかさに加えて可愛らしさもあり、どんなシルエットのドレスともよく合います。小さめのサイズであれば、レストランウェディングやガーデンウェディングといったカジュアルなシーンにもおすすめです。
キャスケードブーケ
キャスケードには「小さな滝」という意味があり、上から水が流れ落ちるように縦に長い形が特徴です。。格調高く、大人っぽい印象のウェディングブーケなので、縦のラインが強調されたスレンダーなドレスと好相性です。特に、トレーン(引き裾)の長いドレスなら、とても印象的な立ち姿になるでしょう。
ティアドロップブーケ
涙の雫をモチーフに作られたもので、キャスケードブーケよりも下の垂れ下がる部分が短いのが特徴です。使用する花の数が多く、豪華で高級感のある仕上がりになります。中には、クリスタルなどのきらきら光るパーツを入れて作られたものもありますよ。長いトレーン(引き裾)のドレスやデザインに変化のあるAラインのドレス、ビーズ刺繍やレースが特徴的なドレスなど、ゴージャスな衣装におすすめです。
クラッチブーケ
切り揃えた花の茎がそのまま見えるデザインです。可愛らしい雰囲気の花を集めた場合は、緑が背景に見えるガーデンウェディングにぴったり。一方、カラーリリーなどすっきりとしたフォルムの花だけで作られたものなら、都会的な雰囲気に。大人っぽいデザインのドレスに合います。
メリアブーケ
たくさんの花びらが重なっている「椿(カメリア)」が語源になったデザインです。1輪の花のまわりに花びらを1枚ずつ加えていく「メリア」という手法で、大きなひとつの花ができあがります。豪華な見た目でとても印象的。すっきりとしたデザインのドレスにぴったりです。
形を変えて楽しまれているブーケトス
新婦がトスしたブーケをキャッチした女性は次に結婚できるといわれ、結婚式のイベントとして親しまれてきたブーケトス。近年は、ブーケ目がけて走らずに済むよう、ブーケトスの代わりに「ブーケプルズ」を行うことが増えています。
これは、花嫁が持つたくさんのリボンの中の1本だけがブーケに繋がっていて、それを引いた参加者にブーケをプレゼントするというもの。ブーケに繋がっていないリボンの先にもちょっとしたプレゼントをつけておくと、参加者全員が楽しめますね。
また、未婚の女性だけでなく、もっと多くのゲストに参加してもらおうと趣向を凝らしたイベントもあります。そのなかから3つをご紹介しましょう。
キャンディブーケトス
花ではなく、キャンディで作られたブーケを投げます。キャンディに限らず、いろいろな種類のお菓子の詰め合わせを作ってトスするケースもあるそうですよ。大人にはもちろん、小さいお子様にも喜ばれそうですね。
パラシュートベア
バズーカのような形をしたエア式クラッカーの中にクマのぬいぐるみを入れて、ゲストに向かって打ち上げる演出です。新郎新婦がクラッカーを放つと、パラシュートをつけたクマがふわふわと降りてきます。可愛らしいぬいぐるみの様子に、みんな笑顔になりそうですね。
ブロッコリートス
新郎が未婚の男性ゲストに向かってブロッコリーを投げます。受け取った人が次に結婚できるという点もブーケトスと同じです。ブーケのように華やかに飾り付けたブロッコリーが使われることもあるそうです。
ウェディングブーケをオーダーする方法
せっかくの結婚式。ほかにはないデザインのブーケを持ちたい方はオーダーメイドで作ってもらってはいかがでしょう。ウェディングに関連する雑誌やカタログ、画像などを参考にして、イメージを具体的に伝えると希望に沿ったブーケができあがります。
のちのち問題にならないように、早い段階でウェディングプランナーの方に確認しておきましょう。
また、オーダーメイドブーケは、結婚式の2ヶ月以上前から注文を受け付けるところが多いようです。状況によっては希望の花材が準備できない場合があるので、そのときには代わりにどんな花を入れるかなどを綿密に打ち合わせしておくと安心です。
まとめ
インテリアブーケとは、どの角度から見てもきれいな花が見えるように束ねられたものです。そのまま飾ったり、アレンジメントを解いて別々の器に生けたりして、気軽に花のある暮らしを楽しめます。花器との色合わせで遊んでみるのもいいですね。
また、ブーケというとウェディングブーケを思い浮かべる方も多いでしょう。ウェディングブーケにはさまざまな種類のものがあるので、ご自分の好みやドレスのデザインを考えながら選んでください。オーダーメイドの場合は時間に余裕を持って注文し、トラブル防止のためしっかりと打ち合わせしましょう。
- インテリアブーケはコンパクトで飾りやすいため、暮らしに取り入れやすい
- 生花以外の花材で作られたものもあり、インテリアブーケの選択肢は広がっている
- 好みに合った美しいウェディングブーケを持てるよう、打ち合わせは綿密に
記事の監修
赤田 加奈子
プロインテリアアドバイザー
インテリアショップに勤務し、サイズオーダーに対応した高級家具の販売を担当。
家具・インテリアに関する知識と経験を深める。
その後、フリーライターとして独立。
家具販売や接客経験を活かした、インテリア・住宅関連の執筆を主体に活動中。