花を気軽に楽しめるハーバリウムとは?基礎知識と作り方・飾り方

記事の監修

赤田 加奈子

プロインテリアアドバイザー

インテリアショップに勤務し、サイズオーダーに対応した高級家具の販売を担当。
家具・インテリアに関する知識と経験を深める。

その後、フリーライターとして独立。

家具販売や接客経験を活かした、インテリア・住宅関連の執筆を主体に活動中。

気軽に飾れるフラワーアイテムとして人気のハーバリウム。瓶に閉じ込められた花の独特の雰囲気や透明感が魅力的で、ご自宅用としてだけでなくプレゼントにも選ばれています。お花屋さんや雑貨屋さんで見かけることが多いですが、ハーバリウムとはどのようなものか、詳しくは知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、ハーバリウムとはどのようなアイテムなのか、基礎知識をお伝えするとともに、上手な扱い方や飾り方をご紹介します。また、ハーバリウムは簡単に手作りできるため、基本的な作り方も解説します。ハーバリウムについて詳しく知りたい、自分でも作ってみたいという方は、ぜひ参考してください。

この記事はこんな人におすすめ

  • ハーバリウムとはどのようなものか、詳しく知りたい方
  • ハーバリウムの扱い方を知り、飾ったりプレゼントしたりしたい方
  • 自分でハーバリウムを作ってみたい方

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目次

ハーバリウムとは

ハーバリウムとは

「ハーバリウム(Herbarium)」とは、「植物標本」という意味です。また、植物サンプルを保管する「植物標本室」という意味もあります。現在では、ドライフラワーやプリザーブドフラワーなどの花材をガラス製の容器に閉じ込め、オイル浸けにしたフラワーアイテムを指す言葉として浸透しています

ハーバリウムは気軽に楽しめるフラワーアイテムとしてお花屋さんや雑貨屋さん、インテリアショップなどでも広く取り扱われています。ここからは、ハーバリウムとはどのようなものか、詳しく見ていきましょう。

ハーバリウムの特徴と魅力

ハーバリウムの特徴と魅力

ハーバリウムは保存性が高く、扱いやすいという2つのメリットがあります。ハーバリウムはドライフラワーやプリザーブドフラワーをオイルに浸けて、瓶に密閉して保存します。空気を遮断することで中身の劣化が緩やかになり、美しい状態で長く花を楽しむことができます。

また、瓶に密閉されていることで、埃やカビなどの影響を受けにくくお手入れも簡単です。瓶の表面を布で拭くだけでお手入れが完了するため、忙しい方や植物のお世話が苦手な方でも気軽に花のある暮らしを楽しめます。さらに、花粉が飛び散らないためアレルギーなどの心配がないのも嬉しいポイントです。

色の鮮やかさも魅力
ハーバリウムは保存性の高さや扱いやすさだけでなく、独特の美しさも魅力です。
花にオイルが浸透することで色がより鮮やかになり、透明感のあるカラーリングを楽しむことができます。

ハーバリウムはどのくらい長持ちする?

ハーバリウムはどのくらい長持ちする?

ハーバリウムの劣化は非常に緩やかですが、作り立ての状態を永久に維持できるわけではありません。年月の経過とともに少しずつ花材の色や形、オイルの透明度が変化していきます。ここでは、ハーバリウムの保存期間について解説します。

美しい状態を楽しめる期間の目安
美しい状態でハーバリウムを楽しめるのは、半年~1年程度が目安とされています。
一般的に、1年を過ぎた頃から花の色が褪せてきたり、オイルが濁ったりというように少しずつ見た目が変化していきます。

しかし、上記の期間はあくまでも目安であり、使用する花材やオイル、保管する環境によってハーバリウムの寿命は異なります。経年による変化を一つの味として楽しめるなら、1年以上、長ければ5~10年もの間飾り続けても問題はありません。ハーバリウムを美しいと思えない状態になったら、寿命が来たのだと考えるとよいでしょう

ハーバリウムの扱い方

ハーバリウムの扱い方

ハーバリウムはそのまま飾ることができるため、特別なお手入れは不要です。しかし、埃をかぶった状態だと見た目が悪いだけでなく、衛生的にもよくありません。埃や汚れが気になったら、柔らかい布で瓶の表面を優しく拭き取りましょう。

また、置き場所によってはハーバリウムの劣化を早めてしまう可能性があるため注意が必要です

特に、直射日光の当たる場所に置き続けていると、花の退色が早まったり、オイルが変色しやすくなったりすることも。窓際に飾る場合は直射日光が当たらないようレースカーテンを引くか、明るい日陰を選ぶのがおすすめです。湿気を避ける必要はありませんので、トイレや洗面所などの水回りに飾るのは問題ありません。ただし、ガラス製の瓶は割れるおそれがありますので、落下しにくい場所や、倒れても安全な場所を選ぶようにしましょう。

ハーバリウムの適切な置き場所

  • 直射日光の当たらない場所:特に窓際は注意が必要。レースカーテンの使用や優しい光の入る場所ならOK
  • 水回りのインテリアにもおすすめ:密閉されているため、湿気で劣化する心配はない
  • 安全な場所:倒れにくい場所や下に落ちにくい広めのスペース、マットを敷いて衝撃を吸収など、工夫するとよい

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ハーバリウムの材料

ハーバリウムの材料

ハーバリウムは、花材・オイル・瓶(容器)があれば気軽に手作りできます。適切な素材を選ぶことが、美しく長持ちするハーバリウムを作るためには重要です。ここでは、ハーバリウムに使う素材の選び方をご紹介します。

基本の素材を揃えて、ハーバリウム作りに挑戦してみてくださいね。

ハーバリウム向きの花材とは

ハーバリウム向きの花材とは

ハーバリウムには、水分を含む生花を使うことはできません。生花は長期保存ができないため、オイル漬けにしてもやがて劣化してしまいます。ハーバリウムに使えるのは、水分の少ないドライフラワー、プリザーブドフラワー、アーティフィシャルフラワー(造花)です。

プリザーブドフラワーは高級感があるため、ギフト用におすすめです。ドライフラワーはくすんだ色合いが特徴ですが、オイルによって色がやや鮮やかになります。リーズナブルながら美しい作品ができるため、ご自宅用にもギフト用にもおすすめです。

また、アーティフィシャルフラワーは化繊が原料のため、丈夫で扱いやすいという特徴があります。瓶に入れる際にも崩れにくいため、初心者でも扱いやすいです。

花材により異なる特徴

  • ドライフラワー:生花を乾燥させたもの。リーズナブルで独特の色合いが特徴。花由来の自然な美しさを楽しめる。
  • プリザーブドフラワー:生花を特殊加工したもの。瑞々しい質感を長期間キープできる。高価なためギフト向き。
  • アーティフィシャルフラワー:主に化繊で作られた高品質な造花。本物の花ではないが最も丈夫で劣化しにくい。

生花をドライフラワーやプリザーブドフラワーに加工してハーバリウムの材料として使う場合は、十分に乾燥させることが大切です。水分が残った状態だと、カビや腐敗の原因になります。また、花材を湿気の多い場所で保存するのもNG。乾燥剤などと一緒に保存し、しっかりと乾いた状態で使うようにしてくださいね。

専用オイルとは

専用オイルとは

オイルはハーバリウム専用のものを選びましょう。一般的に販売されている専用オイルは、シリコンオイルとミネラルオイルの2種類。いずれも無色透明、無臭です。それぞれ下記のような特徴を持ちます。

2種類の専用オイルの特徴

  • シリコンオイル:引火しにくいため安全性が高く、低温でも白濁しにくい。高価なためギフト向き。
  • ミネラルオイル:リーズナブルで入手しやすい。シリコンオイルと比べると引火点が低く流動しやすい。

シリコンオイルは安全性の高さや低温に強いなどメリットが多い反面、価格が高めです。一方、ミネラルオイルはシリコンオイルよりもリーズナブルですが、安全性面(引火点の低さ)に劣ります。ただし、自分が楽しむためのハーバリウムに使うなら問題はないでしょう。2つのオイルを混ぜて使うことはできません。よって、品質の高いものを作りたい場合にはシリコンオイルを使用し、練習用にはミネラルオイルを使用するというようにシーンに応じて使い分けるとよいでしょう。

粘度もさまざま
ハーバリウム専用オイルには、さまざまな粘度があります。
数字が大きいほど粘度も高く(ドロッとした質感)、小さいほど粘度も低い(サラッとした質感)です。
初心者でも扱いやすいのは350cs程度の粘度とされているため、オイル選びの目安として覚えておきましょう。

容器選びも重要

容器選びも重要

ハーバリウムには、ガラス製の容器が最もおすすめです。ガラスは耐油性・耐溶性が高く、使用する素材によって変形したり変色したりしにくいという特徴があります。さらに、傷付きにくく密閉度も高いため、破損しない限りオイルが漏れだす心配もありません。

一方、プラスチック製の容器は材質によっては耐油性・耐溶性が低く、時間が経つとオイルが染み出す可能性があります。また、ガラスに比べると傷つきやすく透明度も劣るため、チープな印象に仕上がることも。ただし、プラスチックは落としても割れにくく、破片も飛び散りにくいという大きなメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットを考慮して容器を選択しましょう。

ハーバリウム作りが初めての方や慣れていない方は、細長い形状の容器が扱いやすいです。花材を底から順番に重ねるように入れていくだけで、おしゃれなハーバリウムが完成します。また、花材が浮きにくいためバランスよく仕上がるというメリットもあります。同じ細長い容器でも四角柱や円柱、円錐など、さまざまな形状が展開されているため仕上がりのイメージに合わせて選択しましょう。

口が広いタイプのものを選ぼう
ハーバリウム用の容器は、花材を入れやすいよう口が広くなっています。
専用の容器以外のものだと口が狭く作業しにくい場合があるため、購入の際は口の広さを必ずチェックしましょう。

丸っこい形状のものや、四角い形状のものなども、もちろんハーバリウムに使えます。容器のカタチによって花材の配置にテクニックが必要になるため、ハーバリウム作りにある程度慣れたらレベルアップを兼ねて挑戦してみるとよいでしょう。

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簡単にできる!ハーバリウムの作り方

簡単にできる!ハーバリウムの作り方

これまでご紹介してきた材料は手芸店やお花屋さんを中心に、ネットショップなどでも入手できます。材料を揃えたら、ハーバリウムを手作りしてみましょう。ここでは、ハーバリウムの基本の作り方をご紹介します。

材料と道具
  • 花材(ドライフラワー、プリザーブドフラワー、アーティフィシャルフラワー)
  • ガラス製の瓶(密閉できるもの)
  • ハーバリウム専用オイル
  • リボン、タグなど(必要に応じて)
  • ピンセット・はさみ・竹串
  • ティッシュペーパー、ビニールシートなど(汚れ防止用)


下準備

  • 瓶の消毒:事前に瓶を煮沸消毒かアルコール消毒してよく乾燥させ、清潔な状態にしておきましょう。
  • 花のレイアウト考案:だいたいの花の配置をイメージしておくと、作りやすくなります。
  • 作業場の準備:作業台にビニールシートなどを敷いて、汚れてもいい状態にしておきましょう。

基本の手順

  • STEP. 1

    花材をはさみでカットする

     

    茎の長い花材は瓶の高さに合わせてカットし、枝分かれしている花材は使いやすいように切り分けて使いましょう。

  • STEP. 2

    花材を瓶に入れていく

     

    カットした花材を瓶の中に一つずつ入れていきます。ピンセットや竹串を使用して配置していきましょう。

    ギュウギュウにならない程度に瓶の上部まで花材を詰めると、オイルを注いだときに浮きにくくなります。

  • STEP. 3

    オイルを注ぐ

     

    瓶を傾けながら、専用オイルをゆっくりと注いでいきます。

    満タンにすると溢れるおそれがあるため、口の部分に少し空間を残して(ねじり部分の下まで)注ぐようにしましょう。

    5分ほど置いて気泡を抜いたのち、しっかりと蓋をします。

  • STEP. 4

    完成

下記の動画では、ハーバリウムの基本の作り方をご紹介しています。参考にしてみてください。

上手に作るコツ

上手に作るコツ

ハーバリウム作りで最も難しいのが、花材の配置です。特に、慣れないうちはオイルを注いだときに花が浮いてきてしまった…という失敗談がよく聞かれます。花材を瓶の口いっぱいまで詰めることも一つの解決策ですが、カット方法を工夫するのもおすすめです。茎を瓶の高さと同じくらいに長く残したものは、オイルを注いでも浮きにくいです。長いものと短いものを上手に組み合わせれば、長いものが全体のストッパーとなり花材が浮きにくくなります。

また、上から下まで花材をぎっしり詰めると窮屈な印象になり、ハーバリウムの魅力である透明感を演出しづらくなります。瓶の中間部分に紫陽花やカスミソウのような、花びらが薄くや軽やかな印象の花を使うと、透明感を保ちつつ花材をしっかりと固定できます

花を気軽に楽しめるハーバリウムとは?基礎知識と作り方・飾り方

初心者でも楽しめるハーバリウムの基本の作り方!インテリアやギフトにもおすすめ

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ハーバリウムの飾り方と楽しいアレンジ

ハーバリウムの飾り方と楽しいアレンジ

ハーバリウムは、好みの場所に置くだけで気軽に花を楽しめるアイテムです。玄関やリビングにはもちろん、洗面台やトイレの棚など、飾る場所を選びません。ここからは、ハーバリウムの飾り方やアレンジ方法、プレゼント向きのアイテムなどを詳しくご紹介します。

おすすめの飾り方

おすすめの飾り方
ハーバリウムは、光を当てると透明感が際立つため、窓際などに置いて自然光とのコラボレーションを楽しむのがおすすめです。夜は、LEDライトで照らしてもキレイですよ

また、ハーバリウムは複数個並べて飾るのも素敵です。花材の色や種類を変えたハーバリウムを3~4本並べるだけで、華やかな花コーナーを作れます。リースやスワッグなどの壁掛けアイテムと一緒にディスプレイしてもおしゃれ。キャンドルやアクセサリー、お気に入りの雑貨とコーディネートしてもステキです。

プレゼントにも!アレンジいろいろ

プレゼントにも!アレンジいろいろ

ハーバリウムは瓶だけでなく、さまざまなアイテムに活用されています。代表的なのは、ソープディスペンサーやボールペンなどの生活雑貨です。実用的かつ、花の美しさを気軽に楽しめるため、使うたびに気分が上がります。専用のキットを活用すれば、簡単に手作りすることもできます。

また、お手入れ要らずで花を長く楽しめるハーバリウムは、プレゼントにも最適です。コンパクトでかしこまらないアイテムのため、ちょっとしたお礼にもおすすめです。

花を気軽に楽しめるハーバリウムとは?基礎知識と作り方・飾り方

今日から花のある暮らしを!ハーバリウムを手作りしてプレゼントしよう

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ハーバリウムの片付け方

ハーバリウムの片付け方

ハーバリウムの退色や劣化が目につき始めたら、寿命をむかえたと思って処分しましょう。オイルや花材は再利用できないため新聞紙などに染み込ませ、牛乳パックやビニール袋で密封したら、家庭ゴミとして捨てます。ミネラルオイルはオイル凝固剤、シリコンオイルはオイル吸着剤を使用してもOKです。

ガラス瓶は再利用できるため、きれいに洗って乾燥させましょう。内側に付着したオイルを落とすには、ペットボトル用や試験官用のスポンジを使うのがおすすめです。新しいハーバリウムを作る際には、先述の通り消毒して使用します。

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まとめ

ハーバリウムとは花材を瓶に入れてオイルを注いだアイテムのことです。コンパクトで飾りやすく、お手入れがほとんど不要なため、気軽に花のある暮らしを楽しめます。また、劣化が緩やかで長期保存が可能。直射日光による中身の変質や落下による破損には注意が必要ですが、比較的飾る場所を選びません。

また、ドライフラワーやプリザーブドフラワー、アーティフィシャルフラワーと専用オイル、ガラス製の瓶を用意すれば簡単にハーバリウムを作ることができます。上手に仕上げるには、茎の長さや花材の詰め方を工夫しましょう。一般的な瓶に入ったハーバリウムのほか、生活雑貨にアレンジされたものも豊富です。プレゼントにも最適なハーバリウムを、ぜひ気軽に暮らしに取り入れてみてくださいね。

この記事のまとめ

  • ハーバリウムとは、花を瓶に入れてオイルを注いだアイテムのこと。元々は「植物標本」を指す言葉である
  • ハーバリウムは、透明感のある美しさやコンパクトで飾りやすいのが魅力。お手入れ要らずで長持ちする点も人気の理由
  • 簡単に手作りできてプレゼント向きのハーバリウムは、アレンジされたアイテムも豊富

記事の監修

赤田 加奈子

プロインテリアアドバイザー

インテリアショップに勤務し、サイズオーダーに対応した高級家具の販売を担当。
家具・インテリアに関する知識と経験を深める。

その後、フリーライターとして独立。

家具販売や接客経験を活かした、インテリア・住宅関連の執筆を主体に活動中。

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