花のある暮らしを楽しもう!花の生け方の基本と簡単な飾り方
記事の監修
JFTD学園日本フラワーカレッジ卒業
一度、花業界を離れましたが接客業を経て、ウェディング装飾のお花屋さんへ。経験を積んだ後に「花藤 Wisteria京町店」をオープン。お客様の立ち寄りやすいお店にゆったり、マイペース。
「花は好き」という方はたくさんいると思います。しかし、花を生けるとなると、なんだか急にハードルが高くなった気がしてしまうのではないでしょうか。花を長い期間楽しむための基本の生け方はもちろんありますが、これからご紹介するちょっとしたコツさえ押さえれば、案外簡単に楽しむことができます。
あまり難しく考えず、もっと気軽に花を暮らしに取り入れてみませんか。そこで今回は、飾り方を自分なりに見つけるヒントもお伝えしていきます。
- 花は好きだけど生け方がわからない方
- 飾った花を長い期間楽しみたい方
- 生花をセンスよく暮らしに取り入れたい方
目次
花を飾る前にしておきたい下準備
まずは、切り花を飾る前の準備を行いましょう。花屋で購入してきた切り花は、店頭に並ぶ前に下処理がされています。その代表的なものが「水揚げ」です。あらかじめ茎にたっぷり水を吸わせた状態にしてから販売されているのです。
水揚げにより瑞々しい状態がキープされていますが、購入してそのまま放置しているとどんどん水が枯れて元気がなくなってしまいます。そのため、切り花の鮮度を落とさないよう持ち帰ったらできるだけ早く生けるのがポイントです。そして、長持ちさせるために行っておきたいのが「水切り」です。
購入した切り花はブーケなどにアレンジされていない限り、そのまま飾るには茎が長いです。生ける時にちょうどいい長さになるように、水切りで長さを調整しましょう。水切りをすることにより、茎の断面から勢いよく水を吸い上げて花が元気になり、鮮度を保つことができます。
ちなみに枝物全般は、茎の切り口に縦にハサミを入れて割る水揚げ方法を用います。枝物の中でもあじさいの場合は、茎の中に綿がつまってます。ハサミで割って、二つに分かれた片側を折り、残った茎に綿がつまっているので、削って取り除くと水の上がりが良くなります。
水切りをしたら新鮮なお水に生けることも大切です。この最初の水切り作業を行うことによって、何もしないで生けるよりもお花が長持ちしますよ。
水切りの手順
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STEP. 1
ボウルや洗面器に水を張る
茎を切るためにボウルや洗面器に水を準備します。
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STEP. 2
余分な葉を落とし、水の中で斜めにカット
余分な葉を落とし、水中で花ばさみなどを使い斜めにカットします。
茎の断面を潰さないようにするために花ばさみは切れ味の良い物を準備しましょう。
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STEP. 3
水に浸ける
花瓶に水を入れます。
水切りをした花を花瓶に入れ、1時間ほど水を吸わせます。
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STEP. 4
完成
スパッと切れないと茎の断面が潰れてしまい、吸水を妨げることになり逆効果です。できるだけ鋭利な刃物を使い、断面を潰さないように切りましょう。
下記の動画は、水揚げ方法の「水切り」をご紹介しています。参考にしてみて下さい。
水切りの効果アップ!深水とは
水切りだけでは十分にお水を吸ってくれないお花には、深水をしてみましょう。水切りのみでは水を吸いきれない弱った花など水揚げが悪いお花にぴったりの方法です。
深水は、水の量ではなく深さが大切です。水圧の勢いによって水の吸収率が良くなるので、花瓶の4分の3くらいの水を準備しましょう。
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STEP. 1
バケツや大きな花瓶に水を入れる
バケツや大きな花瓶など、水がたっぷり入る深めの容器に水を入れます。
この時、水は量ではなく深さが大切です。水圧の勢いによって水の上がりが良くなるので、バケツや大きな花瓶の4分の3くらいの水を入れます。
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STEP. 2
新聞紙で花と葉の部分を巻く
茎から吸収した水分が葉から蒸発しないように新聞紙を巻いていきます。
花の部分は優しく巻き、葉と茎の部分はしっかりと巻きます。この時、葉は上を向くように巻いて下さい。
新聞紙が取れないように根元をセロハンテープで止めます。
水に浸かりそうな葉は取ります。
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STEP. 3
水切りをする
ボウルや洗面器に水を張り、花ばさみを使い、水中で茎を斜めにカットします。
この時に、茎の断面を潰さないようにする為に切れ味の良い花ばさみを使います。
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STEP. 4
深水に浸ける
STEP.1で用意した深水に最低2~3時間程浸けておきます。
包んだ新聞紙は濡れても大丈夫ですが、花が水に濡れないように気をつけてください。花が濡れてしまうと痛んだり、色褪せたりする場合があります。
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STEP. 5
完成
花瓶の選び方と花の生け方
下準備が終わったら、次に必要なのが花瓶です。でも、「花瓶なんて持っていない」という人もいるのではないでしょうか。わざわざ花瓶を買いに行く必要はありません。花瓶がなくてもお家にグラスやピッチャーなどがあれば十分代用できますよ。家の中にある、花を生けるのに使えそうな容器を探してみて下さい。
それでは、花瓶の選び方と花の生け方を解説していきます。
花瓶は花とのバランスを見て選ぼう
様々な容器を花瓶として使えますが、気を付けたいのは、花と器のバランスを見ることです。当たり前なことですが、チューリップなど茎を長く残して楽しみたい花に高さのないボウルなどは使えませんよね。逆に、茎が短い花に背の高い瓶を使うのもアンバランスです。ちぐはぐにならないよう、茎の長さと器の高さがマッチするように生けるのが基本です。
また、一輪だけ飾る場合は細くて茎を支えてくれるような容器を、たくさんの花を一つの器に生ける際には、口の広がったゆったりとしたタイプの器を選ぶと無理なく生けられますよ。長さだけでなく、飾りたい花の量も考慮して花瓶や器を選ぶといいでしょう。
花を生けるコツ
花瓶・器を選んだら、半分から7割ほどまでお水を入れます。ただし、茎に起毛のあるものを生ける際には水に浸かる部分が多いと雑菌が発生しやすくなってしまいます。茎の断面が常に水に浸かっていればOKなので、花瓶に入れる水の量は5㎝程度に留め、水の入れ替えをこまめに行うといいでしょう。
ちょうど良い水の量は花によって異なります。花を購入する時に花屋さんに聞いてみるのがおすすめです。
また、花は水をどんどん吸っていきます。生けた後は気付かないうちに水がかなり減って、茎の断面が水から出てしまっていた…なんてこともあるかもしれません。細くて水が少ししか入らないタイプの花瓶を使う場合は特に気を付けて下さい。こまめにチェックできない場合は、水がたっぷり入る太めの花瓶、器を選ぶと安心です。太めの容器でも口が細いものなら一輪挿しとしても使えます。
様々な飾り方を楽しもう
たとえば花束を飾る場合、そのままの状態で花瓶に生けてまとめて飾ることもできますが、小さな瓶に小分けにして飾るのも素敵です。また、花瓶をテーブルやカウンターなどに置くだけでなく、壁や天井に掛ける・吊るすといったユニークな飾り方もあります。遊び心を持って、自由に様々な飾り方に挑戦してみましょう。
それぞれの飾り方のコツをご紹介します。
- まとめて大きな花瓶に。小さな花瓶に小分けにして。
- 置いて飾る。掛けて飾る。吊るして飾る。
まとめて飾る・分けて飾る
数種類の花を同じ器にまとめて生ける場合、大きく背の高い花をまず中心になるよう生けて、周りに小さめの花を添えていくように生けるときれいにまとまります。花は器に添わせて外側に向くように生けましょう。花が埋もれてしまわないよう、すべての花が見えているか気にしながら生けて下さい。
また葉物を花と一緒に一つの器に生ける時は、花が高い位置に、葉が低い位置になるよう意識してまとめるとバランスよく見えますよ。
小分けにして飾る場合は一輪挿しをいくつも並べて飾ったり、雑貨やキッチン道具などと一緒に置いたりしてお花のコーナーのようにするとおしゃれです。まとめて飾ると部屋のアクセントになり、分けて飾ると花が分散されるため部屋全体の雰囲気を変えやすいというメリットがあります。どんなインテリアにしたいか、目的に合わせて飾り方を選び分けてみてはいかがでしょう。
掛ける・吊るす
生花を飾るというと花瓶に生けて置く飾り方が定番ですが、壁や天井を使って飾ることもできます。壁掛けタイプの一輪挿しや、シリコン製の変形するタイプの花瓶を使えば簡単に壁に飾ることができますよ。壁にさりげなくちょっとした花が飾られているのも、心和むインテリアになるでしょう。
また、観葉植物を天井から吊るす人は多いですが、花を生けた器を吊るすことだってできます。花が吸水できるようにしてあげることさえ守れば、飾り方は意外と色々と自由に遊べるのです。
花を長く楽しむためのポイントとは
花を生けたら水を清潔に保つために水替えをこまめに行うことに加え、長持ちさせるために水切りを行いましょう。毎日水替えをしていても、特に夏場など気温が高いと花の鮮度はどうしても落ちやすくなります。特に切り花の水に浸かっている茎の部分がヌルヌルしてきたら、花が痛んでいる証拠です。その場合は、洗った後に水切りをしましょう。
水切りを繰り返すことでだんだん茎が短くなっていきますが、短くなることでさらに違った花の飾り方で楽しむことができますよ。花の高さに合わせて、随時花瓶・容器を変えてあげるのも雰囲気が変わって楽しいですよね。
また、買ってきた切り花だけでなく鉢やプランターなどで育てた小花をカットして家の中に飾るのもおすすめです。たくさん花がある場合は、小さなボウルやお椀のような丸いガラス容器に生けても可愛いですし、スパイスなどの小さな空き瓶もちょっとした花瓶になります。日常的に花を飾るなら、やがて茎が短くなった時に小さな容器が役立ちますので、可愛い空き瓶など、少し保管しておくといいでしょう。
- 水替えをする際には花瓶を軽くすすぐだけでなく、スポンジなどを使用してしっかり洗う。
- 切り戻しをして短くなっていく花に合わせて、器も変えていく。
- 傷んでしまった花は雑菌の温床となるため、見つけたら処分する。
まとめ
花の生け方・飾り方の基本をお伝えしてきました。長持ちさせるポイントやおしゃれに楽しむコツを踏まえ、自分なりのアイディアを生かしながら花をインテリアに取り入れてみて下さいね。
花の組み合わせ方、色合いなどのセンスは人それぞれですので、好きな花を一輪飾ってみることから始めてみましょう。飾ることに慣れれば、やがて花を自然に暮らしに取り入れられるようになるはずです。
- 生花は水切りを正しく行うことで長持ちする。
- 花を生ける容器は花瓶だけじゃない!花とのバランスを見て選ぶことが大切
- 飾り方に決まりはない。遊び心を大切に様々な飾り方を楽しもう!
記事の監修
JFTD学園日本フラワーカレッジ卒業
一度、花業界を離れましたが接客業を経て、ウェディング装飾のお花屋さんへ。経験を積んだ後に「花藤 Wisteria京町店」をオープン。お客様の立ち寄りやすいお店にゆったり、マイペース。