自分好みのドライフラワーを手作りしよう!初心者にもおすすめの作り方をご紹介
記事の監修
【経歴】
25歳で単身渡英、ロンドンの生花店でワークエクスペリエンス
帰国後、ブライダルフローリストとして約1,000組を担当
フローリスト歴は15年で、日本・ロンドンの生花店で生け込み・ブライダル・店頭販売を経験してきました。ひとつひとつの作品により丁寧に向き合うために、2021年よりフリーでの活動をはじめました。
お気に入りの花や大切な方からいただいた花は、せっかくなら長い期間楽しみたいですよね。花を長く保存できる方法の一つに「ドライフラワー」があります。ドライフラワーは自宅で手作りすることも可能です。
今回は、初心者にもおすすめなドライフラワーの作り方をご紹介します。ドライフラワーは生花とは異なる魅力があり、長期間飾ることができるのがポイント。ぜひ、オリジナルのドライフラワーを作ってみましょう。
- ドライフラワーを手作りしてみたい方
- 花を長く楽しみたい方
- 花のアレンジやハンドメイドに興味がある方
目次
ドライフラワーの定義
ドライフラワーと聞くと、どのようなものを想像しますか?「枯れた花」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、ドライフラワーは枯れている花という訳ではありません。単に生花を乾燥させるだけでなく、綺麗な形や色を残しつつ、シャビーな印象に仕上がるようこだわって作られた、装飾的なアイテムなのです。これからご紹介するドライフラワーの歴史に触れながら、さらに理解を深めていきましょう。
ドライフラワーの始まり
ドライフラワーの歴史はかなり古くまで遡ります。古代エジプトではピラミッドのミイラの首飾りとしてもドライフラワーが添えられていたそうです。ギリシャ神話の中にもドライフラワーが登場しており、王の娘が恋人から届く花を乾燥させて長く保存する方法を思いつき、いつまでも大切にしたという話が記載されています。
一般的に世の中にドライフラワーが広まったのは、17世紀以降のヨーロッパで用いられたことがきっかけなのだとか。あまり花が咲かない冬の時期にも花を楽しむことができるようにと作られたものが、ドライフラワーの始まりだといわれています。
どのくらい保存できる?
ドライフラワーの美しさをキープできるのは3ヶ月〜半年程とされています。「枯れた花」と誤解される一方で、「枯れない花」というイメージも強いドライフラワー。永久に状態を保つことができるようにも見えますが、実はとても繊細なアイテムなのです。そのため、保管場所や保管方法など、周りの環境によって保存期間は大きく変化します。
ドライフラワーにとって最適な環境状態を保つことで、より長い期間美しい状態をキープすることができるのです。
ドライフラワーの保管場所
ここからは、ドライフラワーにとって最適な飾り場所や保管場所の条件をご紹介しましょう。実際にドライフラワーを飾る際に覚えておくと役立つので参考にしてくださいね。やみくもに飾るのではなく、ドライフラワーに適した環境を整えることが大切です。
直射日光に当てない
ドライフラワーにとって直射日光は大敵です。光が当たることで花びらの褪色にも繋がります。なるべく直射日光の当たらない場所に飾るようにしましょう。ガーランドのように壁に飾る場合は、日差しが当たらない壁面がおすすめ。スワッグのように吊るして飾る場合には、直射日光が当たらない窓辺や玄関などに吊るして飾るといいでしょう。
蛍光灯の光が強く当たる場所に飾るのも避けましょう。
風通しの良い場所
ドライフラワーを飾る際には風通しの良い場所を選んで飾るようにしましょう。階段下やカーテンのかかっている直射日光の当たらない場所などがおすすめです。風通しの良い場所であれば、汚れが溜まりにくカビなどの発生も防ぐことができるので、ドライフラワーを良い状態に保つことができます。また、花同士がなるべく重なり合わないように飾るのもポイント。隙間を作ることで、風通しが良くなりますよ。
湿気は大敵
ドライフラワーは湿気を苦手とします。湿気のこもりやすい洗面所などにドライフラワーを飾ることは避けましょう。湿気の多い場所にドライフラワーを飾ると、湿気を吸収してドライフラワーが柔らかくなったり、硬くなったりを繰り返します。この状態が続くことで次第にドライフラワーの形が崩れてしまい、ドライフラワーの劣化に繋がってしまいます。
また、日本でドライフラワーを飾る場合には季節にも注意が必要です。湿気が多くなる梅雨の時期は、ドライフラワーにとっては苦手な季節となります。カビが生える原因となるため、梅雨の時期はドライフラワーを飾ることを避けるのが懸命です。
コーティングスプレーを使用することで、湿気の吸い込みを防げます。また、ドライフラワーの型崩れや花落ちの予防にもなるのでおすすめです。
通販や花材屋さんなどで購入することができますよ。
階段下やフックなどに吊るしたり、姿見(鏡)の隅に引っ掛けて吊るして飾るのもおしゃれですよ。
ドライフラワーの保管方法
ドライフラワーの保管方法も覚えておくとよいでしょう。梅雨の時期などは飾らずに正しく保管しておけば、季節が変わるタイミングでまたドライフラワーを飾って楽しむことも可能です。ドライフラワーは、長期間に渡って楽しむことができるのが魅力です。環境や季節に合わせながら、ドライフラワーのある暮らしを1年を通して楽しみましょう。
飾って保管する場合
飾って保管する場合には、直射日光が当たらない場所に吊るしておくのがよいでしょう。花のディスプレイとしても楽しむことができますよ。その他に、ボトルフラワーやガラス容器に入れて飾るのもおすすめです。容器に閉じ込めることでインテリア性が高くなるたけでなく、ほこりからドライフラワーを守ることもできます。綺麗な状態がより長く続きますよ。
飾らずに保管する場合
梅雨の時期などは、飾らずに保管するのが良いでしょう。花が崩れない大きさの段ボールを用意し、乾燥剤や防虫剤とともに保管しておけば、綺麗な状態で保管することができます。乾燥剤は、お菓子についてくるものや100円ショップで販売しているものでOKです。箱に入れての保存は難しそうにも見えますが、実は簡単な作業なので覚えておきましょう。お気に入りのドライフラワーを長く楽しむことができますよ。
自宅でドライフラワーを作ろう
ドライフラワーは花屋さんなどで購入するだけでなく、自身でハンドメイドすることも可能です。お気に入りの花をより長く手元に置いておきたいという方はぜひ、ドライフラワーにしてみてくださいね。自宅でドライフラワーをハンドメイドする場合、初心者の方にもおすすめな作り方が3種類あります。
ここからはドライフラワーの作り方や、ドライフラワーにおすすめの花などをそれぞれご紹介していきます。花に合わせた方法で、ドライフラワー作りを楽しんでみましょう。
- ハンギング法…吊るしてドライフラワーにする方法
- ドライインウォーター法…徐々に水分を蒸発させていく方法
- シリカゲル法…シリカゲルを使う方法
ドライフラワーにしやすい花とは?
まずは、「ドライフラワーに向いている花」と「ドライフラワーに不向きな花」があることを覚えておきましょう。ドライフラワーにしやすい花を選べば、初心者の方でも失敗することなく作ることができますよ。一般的に花に水分が少なく、変色しにくい花はドライフラワーに向いているといわれています。
ドライフラワーに向かない花とは?
花に水分が多く、花びらが薄い花はドライフラワーには不向きです。ドライフラワーは乾燥させて作るため、水分量が多いと乾燥までに時間がかかり、花の色が悪くなってしまいます。また、乾燥させるとさらに小さくなってしまうため、小さな花もドライフラワーにはあまりおすすめできません。小さな花をドライフラワーにする場合には、シリカゲル法を用いてみるのがよいでしょう。
ハンギング法
ハンギング法とは、花や植物を下に向けて吊るして乾燥させ、ドライフラワーにする方法のことをいいます。植物を吊るすだけという手軽さのため、初心者の方でも簡単に挑戦することが可能です。初めてドライフラワー作りをするという方は、まずはハンギング法を試してみてはいかがでしょうか?
ハンギング法での作り方
- 花材
- 花材用ハサミ
- 輪ゴム
- 麻紐
手順
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STEP. 1
茎の長さを揃える
花材用ハサミで、花材を好みの長さにカットして長さを揃えます。
水が浸っていた部分は傷みやすいため、取り除いておくとよいでしょう。
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STEP. 2
余分な葉っぱを取り除く
傷んでいる葉っぱや、変色している葉っぱがあれば取り除いておきましょう。
また、葉っぱが多すぎて重なる箇所が多いと、風通しが悪くなるため適度に減らしましょう。
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STEP. 3
茎に紐を結ぶ
ハンギング法は花材を下に向けて吊るします。
吊るしやすくするために、茎に麻紐を結びつけていきます。輪っかを作っておくと吊るしやすいですよ。
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STEP. 4
吊るす
風通しがよく、直射日光の当たらない場所に吊るします。
早く乾燥させるために、一輪ずつ吊るしていくのが基本です。
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STEP. 5
完成
芯がしっかりとしてドライフラワーにしやすくなります。
湿気の多い洗面所やキッチンなどに吊るすのはNGです。
下記の動画では、ハンギング法を用いたドライフラワーの作り方をご紹介しています。参考にしてみてください。
ドライインウォーター法
ドライインウォーター法とは、ドライフラワーにしたい花を花瓶などに生けた状態でドライフラワーにする方法です。少しずつ蒸発させながら、花に含まれている水分を抜き取っていくことでドライフラワーにしていきます。上記で説明した「ハンギング法」のように逆さまにする必要がないため、花びらの形が崩れにくいというメリットがあります。茎がしっかりとしている花や、ふんわりとした形状の花におすすめです。
ドライインウォーター法の最大のポイントは「手軽さ」でしょう。難しい作業は特になく、花材と花瓶さえあればドライフラワーを作ることができます。また、花を飾りながらドライフラワーにすることができる点もポイント。乾燥させている間も花を楽しむことができますね。
- バラ
- かすみ草
- 秋色あじさい
ドライインウォーター法での作り方
- 花材
- 花瓶
- 水
- 花材用ハサミ
手順
-
STEP. 1
茎をカットする
花材の茎を花瓶に合わせた長さにカットしていきます。
用意する花材はなるべく新鮮なものを用意しましょう。仕上がりが綺麗になります。
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STEP. 2
余分な葉っぱを取り除く
余分な葉っぱもあらかじめ取り除いておき、花瓶に生けやすい状態にします。
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STEP. 3
花瓶に花を生ける
花瓶に深さ1〜1.5cmほどの水を入れて花を生けます。水の量は少なくてOKです。
花瓶の水が蒸発してなくなるまで花を生けておきましょう。約2週間を目安にしてください。
飾る場所は、風通しが良く直射日光の当たらない場所を選びましょう。
-
STEP. 4
完成
- 水替えの必要はなし…ドライフラワーに仕立てることが目標のため、水替えの必要はありません。
- 風通しの良い場所に飾る…乾燥に時間がかかると花の色が悪くなるため、風通しの良い場所で早く乾燥させる。
- 直射日光は避ける…直射日光に長時間当てると、色が悪くなってしまうので注意しましょう。
また、花瓶に生けた状態でドライフラワーを作成するので、細い茎の花材の場合、茎が曲がりやすくなってしまいます。茎のしっかりとした花材を選ぶようにすると、綺麗に仕上がりやすいですよ。
シリカゲル法
シリカゲル法とは、密閉した容器に花材とドライフラワー用のシリカゲルを入れて乾燥させ、ドライフラワーにする方法です。バラなどの立体感のある形状の花材でも花の形をキープした状態で仕上げることができます。また、鮮やかな色の花をそのまま綺麗に残すことができる点も特徴になります。
綺麗な色が残るので、ハーバリウムやアクセサリーの資材など、二次利用されるドライフラワーとして人気です。
シリカゲル法での作り方
- 花材
- 密閉容器(タッパーなど)
- ドライフラワー用シリカゲル
- 花材用ハサミ
- スプーン
- 新聞紙
手順
-
STEP. 1
花をカットする
シリカゲル法は容器の中に入れて作成します。
まずは、花の部分だけが残るように根元部分で茎をカットしておきます。
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STEP. 2
容器にシリカゲルを入れる
密閉容器に、シリカゲルを1〜2cmほど敷き詰めておきます。
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STEP. 3
容器に花を並べる
シリカゲルを敷き詰めた容器に、花を並べていきます。
花同士が重ならないよう注意しましょう。なるべく大きめの容器を準備しておくのがおすすめです。
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STEP. 4
さらにシリカゲルを入れる
花を並べたら、さらにシリカゲルを振りかけていきます。スプーンを使うと作業がしやすくなります。
花全体がすっぽりと埋まるように、シリカゲルをまんべんなく振りかけていくのがポイントです。
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STEP. 5
蓋をして1週間ほど置き、取り出す
蓋をして密閉させたら1週間ほど置いておきましょう。
日が当たらない涼しい場所に置いておくのがベストです。
様子を見て花びらが乾燥していたら、新聞紙の上に花を取り出します。
-
STEP. 6
完成
ピンセットなどを使って取り出すのがおすすめです。
また、花びらの間に挟まっているシリカゲルは、花を逆さまにして優しく振り払いましょう。それでも取れない場合には、フェイスブラシなどを使ってそっと落としてくださいね。
粒子が細かく花びらの隙間にも入り込みやすいため、花の形が綺麗な状態に仕上がります。
下記の動画では、シリカゲル法を用いたドライフラワーの作り方をご紹介しています。参考にしてみてください。
完成したドライフラワーの楽しみ方
ドライフラワーを作ったら、様々な方法で空間に取り入れてみましょう。ドライフラワーの楽しみ方は豊富です。吊るして飾るだけでなく、束ねてスワッグやリースに形を変えて楽しむこともできますよ。お気に入りの花瓶と合わせて飾れば、より自分好みのインテリアにもなりますね。また、ハーバリウムやポプリ、サシェなどの材料として使うのもおすすめです。
飾り方も工夫しながら、空間をドライフラワーで彩ってみましょう。おしゃれな空間を演出することができますよ。
- スワッグ
- ハーバリウム
- ポプリ
- サシェ
- アクセサリー
まとめ
今回は、ドライフラワーについて詳しくご紹介しました。保管方法や保存期間、歴史などドライフラワーの基礎を知ることで、ドライフラワーの新たな魅力を発見することができます。
また、ご紹介したドライフラワーの作り方は、初心者の方でも気軽に始められる簡単な方法ばかりです。まずは基本的な知識を身につけながら、お好みの花を使ってドライフラワー作りに挑戦してみましょう。ドライフラワーを飾るだけでなく、作る過程も楽しむことで、ドライフラワーをより身近なものに感じることができますよ。
出来上がったドライフラワーは、お部屋に合ったアレンジを加えながら空間に取り入れてみるといいですね。
- ドライフラワーの美しさをキープできるのは、3ヶ月〜半年。ドライフラワーの寿命は環境によっても大きく変化する
- ドライフラワーの作り方は一つではない。ハンギング法やドライインウォーター法、シリカゲル法など花の特性によって作り方を変える必要がある
- ドライフラワーはスワッグやハーバリウム、サシェなどアレンジの幅が広く、さまざまな形で楽しむことが可能
記事の監修
【経歴】
25歳で単身渡英、ロンドンの生花店でワークエクスペリエンス
帰国後、ブライダルフローリストとして約1,000組を担当
フローリスト歴は15年で、日本・ロンドンの生花店で生け込み・ブライダル・店頭販売を経験してきました。ひとつひとつの作品により丁寧に向き合うために、2021年よりフリーでの活動をはじめました。