これで失敗しない!ドライフラワーをきれいに仕上げる作り方のコツは?
記事の監修
大切な人からいただいた生花を、捨ててしまうのは悲しい…。そんな思いを救うのがドライフラワーです。昔は、家庭で花が枯れる前に長持ちさせるためによく作られていました。今では、ドライフラワー専門店ができたりギフトとして使われたりと、生花とはちょっと違った色合いを楽しめるドライフラワーは、密かな人気を集めています。
しかし、実際ドライフラワーを作りたいけど、きれいに仕上げるにはどうしたらいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ドライフラワーの作り方やコツ、ドライフラワーにおすすめの花などについてご紹介します。
- ドライフラワーに興味がある方
- 生花からドライフラワーを手作りしたい方
- 大切な花をできるだけ長く楽しみたい方
目次
ドライフラワーは手作りがおすすめ
ドライフラワーは、生花の美しい状態で水分を抜き、乾燥させて作られています。生花とは違う落ち着きのある色だからこその味があり、インテリアにも馴染みやすく、独特な存在感がドライフラワーの魅力です。
ドライフラワー専門店で売られているようなものは、生花の色鮮やかな状態をキープできるよう特殊な方法で作られているので家庭で同じように作るのは難しいですが、初心者でも簡単にドライフラワーを手作りできる方法もあるので、ぜひ家庭で手作りしてみましょう。
ドライフラワーに使える花とは
ドライフラワーをきれいに仕上げるには、まずは花選びが肝心です。なぜなら、生花の中にはドライフラワーに向いている花とそうでない花があるからです。そのことを踏まえて、ドライフラワーを作りやすい花を選ぶことから始めましょう。 水分量が多く乾燥までに時間のかかる花は、ドライフラワーになる頃には色もかなりあせてしまって残念な見た目に…ドライフラワーの魅力を楽しむことができません。
また、花びらが柔らかすぎる花も乾燥させるとギュッと縮んでしまいます。花びらが落ちにくくある程度の硬さもあり、水分量が少ない花を選んで下さいね。
- 蕾が完全に開いた元気な花
- 水分量が少ない花
- 花びらが落ちにくい花
- 花びらが変形しにくい花
ドライフラワーに向く花・向かない花
ドライフラワーは簡単に手作りできるのが魅力ですが、どんな花でも作れるかというと、やはり向き・不向きがあります。基本的に、生花の段階で花びらがポロポロ取れやすいような花や、花びらが薄すぎる花はドライフラワーにしてもすぐにボロボロになりやすいです。そもそも乾燥させてもあまりキレイには仕上がりません。
バラやカスミソウ、ミモザなど、ドライフラワーとしてよく目にするものはドライフラワーに向いている花です。中でもラベンダーは観賞用だけではなく香りも楽しむ事ができ、ポプリやサシェにして使うことができます。
ユリ、チューリップ、椿、多肉植物など、水分の多い植物は乾燥に時間がかかり、乾燥が完了するまでに花の色が悪くなるためドライフラワーには向きません。
ドライフラワーでもキレイな状態をキープしやすいのは、花びらが薄すぎず、花びらが落ちにく、元々の水分量があまり多くない花です。なぜなら、水分量が少ない方が早く乾燥するため、色あせが抑えられるからです。
- バラ
- 千日紅(せんにちこう)
- カスミソウ
- ラベンダー
- ミモザ
- アジサイ
- ユーカリ
- スターチス
- ユリ
- 椿
- サクラ
- キク
- カラー
- チューリップ
- スイセン
ドライフラワーを作るタイミング
ドライフラワーの作り方のコツとして、生花の状態を見てベストなタイミングで作るということが大切です。
ベストなタイミングとは、蕾が完全に開いたその時です。開ききる前の蕾の状態では、水分が抜けにくいため乾燥に時間がかかり、色が悪くなりやすくなってしまいます。逆に開ききってから時間が経ってしまった場合も、色あせが進行しやすく、花びらも落ちやすいのできれいなドライフラワーになりません。
花屋さんで購入するときは、蕾のものを選び、しっかりと水揚げをしながら開花まで鑑賞を楽しみ、元気な状態のうちにドライフラワーにしましょう。
ドライフラワーを作る方法とは
ドライフラワーを作る方法は、4種類あります。ハンギング法、ドライインウォーター法、シリカゲル法、グリセリン法です。順番にご紹介していきます。
ドライフラワーを作る方法は4種類ありますが、どの方法を取っても最も大事な事は、早く乾燥させるということです。時間が経つに連れて、花の色も褪せてきてしまいます。短時間で水分を抜くことで、きれいなドライフラワーを作ることができます。
基本のハンギング法とは
ドライフラワーを作ると考えた時に、ほとんどの人が逆さに吊るした花を想像するのではないでしょうか。この作り方は、ハンギング法と呼ばれる基本的な方法です。手間もかからず吊るすだけの簡単な方法でできるのでドライフラワーを作ったことがないという人は、まずはこの作り方を試してみるといいでしょう。
ハンギング法は、ラベンダーやミモザ、スターチス、ユーカリなど、水分量が少ない花におすすめです。
ハンギング法の手順
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STEP. 1
生花を花瓶などから出し、水に浸されていた葉や茎をカット
水に浸されていた葉や茎はカットします。
ドライフラワーにする生花を生ける際には水は少量にしておきましょう。
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STEP. 2
花や植物を束ねて麻紐などでしばる
早く乾かすために、少ない本数を束ねて麻紐などで縛ります。
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STEP. 3
風通しのいい場所に吊るす
麻紐などで束ねた花や植物を輪ゴムや紐、クリップなどを使って風通しのいい場所に吊るします。
短時間で水分を抜くことで、きれいなドライフラワーを作る事ができます。
扇風機やエアコンの前に吊るして風を当てたり、浴室乾燥機などを使うことがきれいに作るコツです。
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STEP. 4
約1~2週間ほど吊るす
花の種類や環境にもよりますが、吊るして約1~2週間ほど吊るします。
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STEP. 5
完成
水に浸されていた葉や茎をカットしますが、カットする部分を少なくするためにも、生花を生ける際には水は少量にしておいて下さい。そして、早く乾燥させる為にできれば一輪ずつに分けて風通しのいい場所に吊るします。このとき、直射日光の当たらない涼しい場所を選びましょう。
短時間で水分を抜くことで、きれいなドライフラワーを作る事ができます。なるべく風を当てたり、扇風機やエアコンの前に吊るしたり、浴室乾燥機などを使うことがきれいに作るコツです。花の種類や環境にもよりますが、吊るして約1~2週間ほどでできあがります。
下記の動画は、ハンギング法でドライフラワーの作り方をご紹介しています。参考にしてみて下さい。
ドライインウォーター法
ドライインウォーター法とは、少量の水を入れた容器に花を挿し、室内の風通しの良い場所に置いておきます。その水が少しずつ蒸発することでゆっくりと乾燥させる方法です。逆さにしないことで、花の形をきれいに保つことができますが、ハンギング法と同様に乾燥までに約1〜2週間かかるため花の色が悪くなりやすいので注意が必要です。
ドライインウォーター法は、あじさいやカスミソウなど、形を崩したくない花におすすめです。
ドライインウォーター法の手順
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STEP. 1
花瓶に水を少量入れて、花を入れる
花瓶に1~5cmの水を入れ、花を入れます。
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STEP. 2
室内の風通しの良い場所に置いておく
室内の直射日光の当たらない、風通しの良い場所に花瓶をおきます。
少しずつ水を蒸発させて、約1〜2週間ほど置いておきます。
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STEP. 3
完成
グリセリン法
グリセリン法とは、グリセリン溶液に花を挿して吸い上げてさせて乾燥させる作り方です。少し手間がかかるグリセリン法ですが、花のボリュームを落とさずに生花の鮮やかな色を残しつつドライフラワーにすることができる方法です。
茎に切り込みを入れておくとグリセリン溶液を吸い上げやすので全体によく行き渡るようになります。
グリセリン法の手順
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STEP. 1
溶液を作り、冷ます
グリセリン1:熱湯3の溶液を作り、溶液を冷まします。
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STEP. 2
溶液に花を挿して冷暗所で保管
冷ました溶液に花を挿して冷暗所で保管します。
約1週間〜10日ほどでグリセリン溶液が葉や花びらなど、全体に液が浸透します。
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STEP. 3
完成
- 古いお花でグリセリン法を行うと失敗してしまう可能性があるため、グリセリン溶液が花の全体によく行き渡るように、咲きはじめの新鮮で元気な花を使う
- 花部分にグリセリン溶液が浸かってしまうと失敗する原因となるので、茎の部分のみ入れるようにする
- 花の状態によっては首が曲がってしまう可能性も、その時はグリセリン溶液から出して、ハンギング法で吊るして干す
下記の動画は、グリセリン法でドライフラワーの作り方をご紹介している海外の動画です。参考にしてみて下さい。
シリカゲル法
シリカゲル法は、茎部分を切り、ドライフラワー用のシリカゲルをいれた密封容器に花部分を入れて乾燥させる作り方です。
シリカゲル法は花の型崩れを抑えることができ、生花の鮮やかな色が残りやすいので、バラなどの花びらが多い立体的な花やスターチスのような色鮮やかな花に向いた方法です。
シリカゲル法の手順
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STEP. 1
花首2cmほど下でカットした花を準備する
シリカゲル法では茎を使わないので花首2cmほど下でカットした花を準備します。
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STEP. 2
密閉容器に1〜2cmほどドライフラワー用シリカゲルを敷き詰める
ドライフラワーにしたい花が入るように、少し余裕があるくらいの大きさの密封容器を準備しましょう。
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STEP. 3
シリカゲルを敷き詰めた上に準備した花を並べる
シリカゲルを敷き詰めた上に花を並べます。
花が重ならないように注意しましょう。
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STEP. 4
スプーンなどを使って、花を埋める
スプーンなどを使って、並べた花の上から静かにシリカゲルをかけて、花を完全に埋めます。
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STEP. 5
約1週間置き、シリカゲルの中から花を取り出す
密閉容器の蓋を閉め、花の種類によって乾燥にかかる日数は違いますが、そのまま約1週間置きます。
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STEP. 6
シリカゲルの中から花を取り出す
容器の中身を静かに空けます。
ドライフラワーになった花は壊れやすいため、扱いには十分注意してください。
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STEP. 7
完成
- 並べた花の上からシリカゲルをかけるときは、勢いよくかけてしまうと花が痛む原因になるので、やさしくかける
- シリカゲルの中から花を取り出すときは、ピンセットなどをつかって丁寧に取り出す
- 花びらの隙間などにもシリカゲルが入っていることもあるので、軽く振ったり、筆などを使ってやさしく落とす
下記の動画は、シリカゲル法でドライフラワーの作り方をご紹介しています。参考にしてみて下さい。
花や使い方に合わせた方法で作ろう
ドライフラワーには4種類の作り方があるということがわかりましたが、ドライフラワーにする花に合わせて、またはドライフラワーにした後、どのように使いたいかによって作り方を使い分けるということも、きれいに仕上げるコツとして大事なことなので押さえておきましょう。
ハンギング法は、水分量が少ない花に合った作り方です。しかし、水分量が多い花や花びらが薄い花などはハンギング法ではきれいに仕上がりません。シリカゲル法なら水分量が多い花や花びらが薄い花でも上手にドライフラワーにすることができます。
また、シリカゲル法は花部分のみを使うため、茎を長く使うドライフラワーの花束やスワッグなどを作るときには向きません。そして、シリカゲル法で作ったドライフラワーの色を保つためには、ハーバリウムのように密閉容器に入れて乾燥状態を保つ必要があります。リースなど空気に触れるアイテムには少し使い辛いかもしれませんね。
花の特徴、そして作ったドライフラワーをどのように飾るかということも踏まえて、作る方法を選んで下さいね。
- バラ…ハンギング法・シリカゲル法
- 千日紅(せんにちこう)…ハンギング法
- カスミソウ…ハンギング法、ドライインウォーター法
- ラベンダー…ハンギング法
- ミモザ…ハンギング法
- アジサイ…ドライインウォーター法
- ユーカリ… ハンギング法
ドライフラワーには寿命があるの?
ドライフラワーは乾燥させられているので、寿命がないと思われがちですが、実際はそうではありません。何年も飾れると思われているドライフラワーも花によっても違いますが、ドライフラワーの寿命は大体半年〜1年と言われており、2~3ヶ月も経てば徐々に色が褪せてきます。
見た目は乾燥して水分も必要ありませんが、ドライフラワーも生花と同じように呼吸をして美しさを保っているのです。ドライフラワーを少しでもキレイな状態でキープするため、ドライフラワーにとって最適な環境に飾りましょう。
- 風通しの良い場所に飾る
- 湿気の多い場所・直射日光が当たる場所は避ける
- カビや虫の発生につながるため、こまめにホコリを取る事が大事
まとめ
ドライフラワーの作り方のコツについてご紹介しました。ドライフラワーは向いている花・向かない花があり、選び方には注意が必要ですが、もっとも簡単なハンギング法を使って作れば、誰でも簡単にドライフラワーを作る事ができます。
ドライフラワーを作る上でもっとも大事な事は、できるだけ短時間で水分を抜くことということです。これをしっかりと覚えておきましょう。
また、花の特徴に合わせて、ドライフラワーを作る4つの方法をうまく使い分けることができれば、もっと幅広くドライフラワーを楽しむことができるのではないでしょうか。どれもコツさえ押さえていれば、難しい方法ではありません。ぜひ様々な花を使ってドライフラワー作りに挑戦してみましょう。
お手入れが簡単なのが魅力のドライフラワーですが、意外とデリケートだということも覚えておきたいですね。少しでも長くきれいな状態を楽しむためにも、ドライフラワーに優しい環境で管理するようにしましょう。
ドライフラワーを使い、暮らしの中にもっと気軽に花を取り入れていきましょう。
- ドライフラワーに向く花・向かない花がある
- ハンギング法を使えば簡単にドライフラワーを作ることができる
- 短時間で水分を抜くことできれいなドライフラワーができる
記事の監修
松山市のフラワーデザイン事務所で勤務。その後母がしていた花屋を継ぎました。
花屋を始めて23年。誰もが笑顔になれる、愛される花屋を目指しています。