バラってこんなに持つの?簡単に切り花を長持ちさせる方法
記事の監修
切り花を買って部屋に飾っても、すぐにくたっとしおれたり枯れてしまう…そんな悩みを持つ人は少なくありません。せっかく花を飾ってもすぐダメになると思うと、花を暮らしに取り入れるのも気が進まないですよね。
しかし、長持ちさせるコツは意外と簡単なことなのです。今回は、バラの切り花を長持ちさせるために押さえておきたいポイントをご紹介します。
- バラの切り花を長持ちさせるコツを知りたい方
- 花を生けてもすぐにしおれたり枯れたりしてしまうと悩んでいる方
- 切り花を部屋に飾ってみたいけれどお手入れの仕方がわからない方
目次
まずはしっかりと水揚げさせよう
バラは、花の中でも茎が細いわりに花の部分が大きいという特徴がありますよね。この特徴もあり、バラは花が目立ち見栄えがする一方で、水揚げがしにくいというデメリットもあるのです。そのためバラを長持ちさせるためには、茎から十分に水を吸わせて花蕾の部分まで届けるために意識的にしっかりと水揚げする=水分を吸わせるようにしなければなりません。
花屋で購入してきたバラの切り花は、正しく水切りされ水揚げも十分にされた状態ですので、すぐに特別な処置を行う必要はありません。庭で育てているバラを切り花として飾る場合や、購入したバラの切り花を生けるまでに時間が経ってしまった場合は、しっかりと水揚げを行いましょう。もっとも一般的な方法が「水切り」です。
水切りの手順
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STEP. 1
バケツや洗面器などの容器に水を張る
茎を切るためにバケツや洗面器などの容器に水を張ります。
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STEP. 2
茎の端を水の中に入れて、斜めに切る
花ばさみなどを使い、水中で茎の端から数cmのところを斜めに切ります。
水中で切ることで断面が空気に触れず、水圧で早く吸水できます。
茎は斜めカットすることで断面が広くなり、効率よく吸水させることができます。
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STEP. 3
水に浸ける
花瓶やバケツに水を入れます。
水切りした花を入れて、1時間ほど水を吸収させます。
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STEP. 4
完成
ただ茎を水に入れるだけでなく、水切りをすることでより効率的に水揚げができます。水の中で切ることで空気が入らず水圧もかかるため水を吸いやすくなり、斜めに切ることで断面の面積が増えます。また、水の中で切ることで切り口の乾燥を防ぐことができます。
下記の動画は、水揚げ方法の「水切り」をご紹介しています。参考にしてみて下さい。
水切りと深水で効率よく水揚げ
水切りだけでは十分にお水を吸ってくれないお花には、「深水」がおすすめです。水切りのみでは水を吸いきれない弱った花など水揚げが悪いお花にぴったりの方法です。深水で大切なことは、水の量ではなく深さです。水圧の勢いによって水の吸収率が良くなるので、花瓶の4分の3くらいの水を準備しましょう。
花首をまっすぐにして新聞紙で巻き、水切りした茎をたっぷりの水に浸けることで、水圧が上がり、効率よく水揚げさせることができます。
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STEP. 1
バケツや大きな花瓶に水を入れる
バケツや大きな花瓶など、水がたっぷり入る深めの容器に水を準備します。
この時、水は量ではなく深さが大切。水圧の勢いによって水の吸収率がよくなる為、バケツや大きな花瓶の4分の3くらいの水を入れます。
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STEP. 2
新聞紙で花と葉の部分を巻く
吸収した水分が葉から蒸発しないように新聞紙を巻きます。
花の部分は優しく巻いていき、葉と茎の部分はしっかりと巻きます。この時、新聞紙て巻いた状態で葉と茎が固定されるので、葉は上を向くように巻いて下さい。
新聞紙が取れないように根元をセロハンテープで止めます。
水に浸かりそうな葉は取りましょう。
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STEP. 3
水切りをする
ボウルや洗面器に水を入れ、花ばさみを使って水中で茎を斜めにカットします。
この時に、茎の断面を潰さないようにする為に切れ味の良い花ばさみを使います。
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STEP. 4
深水に浸ける
STEP.1で用意した深水に最低2~3時間程浸けておきます。
包んだ新聞紙は濡れても大丈夫ですが、花が水に濡れないように気をつけてください。花が濡れてしまうと痛んだり、色褪せたりする場合があります。
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STEP. 5
完成
- 焼き揚げ…茎が太いバラは、断面から2㎝程度の範囲を火であぶり炭化させてから水揚げすると水をよく吸うようになります。焼き揚げを行う場合は、花や葉の部分を必ず湿った新聞紙で包み、熱が伝わらないようにしましょう。
茎を時々カットして水揚げを促す
バラを生けたあとは、随時水を入れ換えて清潔に保ちながら、もう一つ行うといいことがあります。それが、茎をさらにカットするというもの。バラを生けているうちにだんだん茎の断面がふやけたり雑菌が付着したりしてくるので、最初に一度カットしただけでは次第に水揚げがしづらくなってきます。
そこで、水を入れ替える時などに茎の状態をチェックし、水切りを行うと水揚げがしやすくなり、バラを長持ちさせることができます。
また、水切りによって少しずつ茎が短くなっていくと、断面から吸い上げた水が花蕾に届くまでの距離が縮まっていきます。そのため、茎を時々カットすることにより効率よく水揚げすることができるようになるというメリットもあります。
バラを飾ったばかりの最初のうちは茎の長い状態を楽しみ、日にちが経つにつれ少しずつ短くしていくことで、長持ちさせられるだけでなく、また違った風合いのバラを楽しめるのもいいものですよ。
茎が短くなってくると、最初に使っていた花瓶とサイズが合わなくなってくるでしょう。見た目のバランスも悪くなってしまいますので、水切りを続けて短くなったら、茎の長さに合った花瓶に変えることをおすすめします。茎の短いバラなら、グラスやマグカップ、スパイスの空き瓶などに生けても可愛いですね。
置き場所も重要!温度管理を心がけて
バラを長持ちさせるためには、花瓶の置き場所にも注意が必要です。バラに限らず、切り花は高温が苦手。直射日光の当たる場所や風通しの悪いジメジメした場所は避けましょう。せっかく手間をかけて水揚げや水切りを行っても、劣悪な環境に置いていてはあっという間に傷んでしまいます。
バラを飾る場所の温度管理を心がけることも長持ちさせるコツなのです。
- 水中に雑菌が増える…雑菌は冷たい水よりぬるい水の中で増殖します。水中に雑菌が増えると茎が浸食され水も吸えなくなってしまいます。
- 直射日光で花が傷む…花や葉に直射日光が当たり続けると、焼けて傷んでしまうことがあります。
バラが長持ちしやすい環境とは
バラが好むのは、私たち人間が快適だと感じるような環境だと思っていいでしょう。とにかく、高温を避けるのはマストですので、なるべく涼しいところに飾って下さい。直射日光の当たらない涼しい日陰を意識するといいですね。夏場はエアコンを使って適度に下がった室温の元で飾れば安心です。
ただし、気温が低ければいいかというとそういうわけでもありません。特に冬場はあまり寒い場所に置いておくと蕾が開かないなんてこともあります。エアコンの風が直接当たるような場所も乾燥しすぎてバラにとってはよくありません。基本は涼しい場所を好みますが寒すぎるのもNGですので、長時間快適な状態に保ちやすいリビングなどが、やはり最も飾りやすいのではないでしょうか。
人がいる時は涼しくても、夏場は留守中に気温が上がってしまうこともあるでしょう。直射日光が入らないよう南側の窓は雨戸やブラインド、遮光カーテンを閉めて出かけるなどの工夫をすると安心ですね。出かける時だけいつもの場所からより涼しい場所へ移動させておくというのも一つの方法です。
水と花瓶を清潔に保つ
高温になると雑菌が増えて水の鮮度が落ちてしまいます。せっかく十分に水を吸わせても、その水が新鮮でなければ意味がありませんよね。特に夏場は水を毎日取り換えることはもちろん、花瓶を洗って清潔に保つことが大切です。花瓶の内側や茎にも汚れや雑菌が付着しますので、花瓶に付いた汚れやぬめりはブラシなどでこすり落とし、茎は指でしごくように洗って清潔な状態を保ちましょう。
また、バラの切り花を生ける前には、水に浸かる部分の葉はすべて取り除きます。葉が水に浸かってふやけた状態を放置すると、雑菌が繁殖しやすくなるからです。
- 夏(初夏~初秋)…毎日
- 春秋…3日に1回程度
- 冬…5日に1回程度
適量の水と栄養補給を
水を衛生的に保つためには、水の量にも工夫が必要です。多すぎても茎が傷みやすくなりますし、逆に少なすぎるとすぐに蒸発してしまい水が足りなくなってしまうでしょう。
また、水道水のみに生けても温度管理や衛生面にしっかり配慮していれば長持ちしますが、適切な栄養補給を行うことによりさらにバラを長持ちさせることができますよ。適切な水の量と栄養補給の方法について見ていきましょう。
バラを生ける水の適量ってどのくらい?
花瓶に水を入れる時、たっぷりと入れた方がいいと思われがちですが、実は多すぎると傷む原因になってしまうこともあるのです。水に浸かっている部分の茎はふやけて傷みやすいので、浸かっている部分があまり多いと雑菌が増えるリスクを高めてしまいます。バラの切り花の場合は、茎の長さにもよりますが深さ5~10㎝もあれば十分でしょう。
5~10㎝を目安に、毎日水替えができる場合は少なめに、そこまでは難しい…という場合は多めに入れておきましょう。その水中に茎の切り口がしっかりと浸かっていれば水はちゃんと吸えます。ただし、乾燥している季節は、水が蒸発しやすくなりますのでやや多めにと調整して下さい。
太めの花瓶や口は小さいが底にかけて広がっているような形状(円錐形)の花瓶を選ぶと、浅めの水でも量が確保できます。茎が浸かっている部分を極力減らせるうえ、水の蒸発も防げますので便利ですよ。
栄養補給の方法
バラをより長持ちさせるには、上手に栄養補給することも大切です。その方法に関しては様々な考え方があります。切り花を購入するともらえる小袋やボトルなどで市販されている栄養剤・延命剤を使う方法が一般的ですね。
他にも、炭酸飲料水を加えて糖分を補う・微量の塩や炭を加えてミネラルを補うといった方法もよく聞かれます。水だけで持たせるよりも、何らかの方法で栄養分を加える方が、断然長持ちの効果は高まりますよ。
サイダーなどの炭酸飲料水を少量水に加えましょう。もしくは、砂糖と塩を水の1/1000程度の割合で加えるのもおすすめです。いずれも食品ですので、蒸発して空中に拡散しても安全です。市販の栄養剤よりも人体には安心ということで、あえて代用している人も多いですよ。
バラの花びらが落ちにくくなる裏ワザ
バラは、時間が経つと花蕾が開いて花びらが広がった状態になります。そして、外側の花びらからポロポロと剥がれ落ちてしまいます。その花びらが落ちる早さを抑えるのに、裏技的な方法として漂白剤を1~数滴花瓶に入れるといった方法があります。 漂白剤には花の開きを促す酵素の働きを抑える役割があるため、水に加えることで切り花を長持ちさせる効果があるのです。もちろん、雑菌の繁殖を抑えるという意味でも効果がありますね。
バラに限らず、花びらが落ちやすいタイプの花を切り花として飾るときには、この方法を試してみてはいかがでしょう。漂白剤は、どこの家庭にもあるキッチンハイターを使えば大丈夫です。しかし、入れる量によっては、大切なお花の葉が枯れてしまうこともあるので注意が必要です。
漂白剤とともに、10円玉を花瓶に入れると銅イオンによりバクテリアの繁殖を多少抑えることは期待でき、水の鮮度を保つことができるといわれています。ただし、水替えや洗浄をしなくていいというわけではありません。併用しつつ水はこまめに入れ替えるようにしましょう。
まとめ
バラの切り花を長持ちさせる方法をお伝えしてきました。きれいな水をたっぷり吸わせるための一工夫、こまめなメンテナンスが長く楽しむためのカギということですね。バラも生き物と考えると、栄養補給をさせてお世話をすることの大切さもうなずけます。
ここでご紹介したポイントを押さえて、蕾から咲き終わりまでの美しい状態をゆっくりと楽しんで下さい。
- バラを長持ちさせるには適切な水揚げが効果的!水切りなども行いながら水をたっぷり吸わせよう
- バラは涼しい場所を好むため、高温や直射日光を避けて温度管理をしっかり行うことが大切
- 水の鮮度も重要!こまめに水を入れ替えて清潔に保つことや栄養補給がバラを元気に長持ちさせてくれる
記事の監修
松山市のフラワーデザイン事務所で勤務。その後母がしていた花屋を継ぎました。
花屋を始めて23年。誰もが笑顔になれる、愛される花屋を目指しています。