知らないと損!チューリップの切り花を長持ちさせるコツとは?
記事の監修
春の花と言えばチューリップですよね。カラフルな色合いと形の可愛らしさに癒される人も多いのではないでしょうか。そんなチューリップは、丈夫な花としても人気があります。切り花を部屋に飾るとき、ちょっと工夫するだけで長持ちするようになりますよ。
そこで今回は、チューリップの切り花を長持ちさせるための方法をご紹介します。
- チューリップの切り花を長持ちさせてゆっくり鑑賞を楽しみたい方
- 花屋さんで長持ちするチューリップの選び方を知りたい、賢く選びたい方
- 切り花を長く楽しむためのコツ、水替えなどのお世話の仕方をマスターしたい方
目次
チューリップの選び方
チューリップの切り花を購入する時点から、実は長持ちさせられるかどうかが決まってきます。長持ちするチューリップを選ぶことが大切ですので、まずはチューリップの選び方を変えるだけでも楽しめる期間は変わってきますよ。
花屋さんでチューリップの切り花を購入する場合、華やかで手に取りたくなるのは花が大きく開いたものかもしれません。しかし、長く楽しみたい人が探すべきなのは、蕾が開いていない状態のチューリップなのです。
見た目の美しいものに惹かれがちですが、長持ちさせたい場合は視点を変えて。これからゆっくり楽しもうといている人には、まだ開いていないチューリップこそが最もおすすめです。
開いていないチューリップを選ぶべき理由とは
開いているチューリップは、その瞬間は一番大きく美しく見えるものです。でもその分、散ってしまうのも一番早いのです。つまり、開いている美しいチューリップは花屋さんに並んでいるその瞬間に既にピークを迎えてしまっているということなんですね。
そのため、これからゆっくりお家で鑑賞したい、長持ちさせたいという場合はあまりおすすめできないのです。できるだけ長く楽しみたいという場合は、開く前の蕾の状態のチューリップを選ぶといいでしょう。
花屋さんでピークを迎えているチューリップは、自宅で楽しめる期間はごくわずか。それよりも今はちょっと寂しい感じに見えるくらいの、まだ開いていない蕾を選ぶのが正解です。蕾が開いていく変化をゆっくりと楽しみましょう!
開いていない状態のチューリップは、持ち帰って花瓶に生けてから2日後くらいに蕾が開きます。蕾の状態でも可愛いですし、開けばまた違った風合いになるので一石二鳥。お庭などで育てているチューリップを切って部屋に持ち込む場合も、花が開く前のものを選ぶことで切り花として長く楽しめます。
このように、まずは若いチューリップを選ぶということから始めて下さい。
水切りと水替えでキレイな水を吸わせよう
チューリップを長持ちさせるためには、新鮮な水をたっぷり吸わせてあげることが大切です。そのために必要なことが、水切りと水替えです。花屋さんで購入したチューリップの切り花は、しっかりと水揚げされた状態です。
茎の断面は空気に触れないよう包んでくれていますので、そのままの状態で持ち帰り乾燥させないように気をつけましょう。そして、花瓶に生ける前にできるだけ早く水切りを行うことをおすすめします。
基本の水切りの手順
チューリップに限らず、切り花を長持ちさせる方法として水切りはぜひ行いましょう。
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STEP. 1
ボウルに水を張る
茎を切るためにボウルに水を張ります。
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STEP. 2
余分な葉を落とし、水の中で斜めにカット
余分な葉を落とし、水中で花ばさみなどを使いカットします。
茎を水中でカットすることで茎の断面が空気に触れることなく吸水しやすくなります。
この時、茎は斜めカットします。そうすることで断面が広くなり、効率よく吸水させることができます。
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STEP. 3
水に浸ける
花瓶に水を入れます。
水切りをした花を花瓶に入れ、1時間ほど水を吸わせます。
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STEP. 4
完成
水切りの際は茎の断面を潰さないようにすることが大切です。せっかく水切りをしても刃物の切れが悪いと断面にある導管が潰れてしまい、うまく水を吸い上げられなくなってしまいます。水切りをする前に切れ味を確認しておくと安心ですね。
下記の動画は、花の水揚げ方法「水切り」をご紹介しています。参考にしてみて下さい。
水切りと深水で吸収率アップ!
水切りだけでは十分にお水を吸ってくれないお花には、「深水」と方法もあります。水切りのみでは水を吸いきれない弱った花など水揚げが悪いお花にぴったりの方法です。深水で大切なことは、水の量ではなく深さです。水圧の勢いによって水の吸収率が良くなるので、花瓶の4分の3くらいの水を準備しましょう。
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STEP. 1
バケツや大きな花瓶に水を入れる
バケツや大きな花瓶など、水がたっぷり入る深めの容器に水を準備します。
この時、水は量ではなく深さが大切です。水圧の勢いによって水の吸収率がよくなるので、バケツや大きな花瓶の4分の3くらいの水を入れます。
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STEP. 2
新聞紙で花と葉の部分を巻く
吸収した水分が葉から蒸発しないように新聞紙を巻いていきます。
花の部分は優しく巻き、葉と茎の部分はしっかりと巻きます。この時、葉は上を向くように巻いて下さい。
新聞紙が取れないように根元をセロハンテープで止めます。
水に浸かりそうな葉は取りましょう。
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STEP. 3
水切りをする
ボウルや洗面器に水を入れ、花ばさみを使って水中で茎を斜めにカットします。
この時に、茎の断面を潰さないようにする為に切れ味の良い花ばさみを使います。
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STEP. 4
深水に浸ける
STEP.1で用意した深水に最低2~3時間程浸けておきます。
包んだ新聞紙は濡れても大丈夫ですが、花が水に濡れないように気をつけてください。花が濡れてしまうと痛んだり、色褪せたりする場合があります。
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STEP. 5
完成
水替えのコツ
チューリップを生けた後はこまめに冷たい水を入れ替えて、花瓶を衛生的に保つようにしましょう。よく水を吸いますので、基本的には毎日水替えを行います。チューリップは水が足りなくなってしまうとすぐに曲がってしおれてしまうので水がなくならないよう注意が必要です。
水をよく吸うチューリップですが、あまり深く入れすぎると茎の大部分が水に浸かることとなり、茎が傷みやすくなってしまいます。衛生面では水は浅めに入れて、こまめに入れ替えるのがベスト。蒸発しない程度の水量を常にキープし、清潔な水を吸わせるのが長持ちさせるポイントです。
茎をまっすぐに保つ
水が足りなくなるとチューリップは茎が花の重力に耐えられずどんどん曲がってきてしまいます。しおれたチューリップはこうべを垂れたような状態に見えますよね。元気がないことが一目瞭然なのですが、茎をまっすぐにしてあげることもチューリップを長持ちさせるためには大切なことなのです。
水を上手く吸えていない、このまま放置するとしおれて枯れてしまうというサインです。チューリップをできるだけまっすぐにしてあげることが大切です。
茎が曲がると長持ちしない
チューリップは、茎が曲がってしまうとそのままの状態では長持ちしなくなってしまいます。花と茎の形状を見てもわかるように、チューリップは細い茎で大きな花を支えていますよね。そのため、ただでさえ曲がりやすい花なのです。花首の部分が垂れてくるのは、吸水がうまくいっていない証拠。
そして、曲がった状態にしておくと導管がつぶれてさらに水を吸いづらくなるという悪循環に陥ってしまうのです。でも、早い段階で気付いてまっすぐに修正してあげれば、チューリップの吸水を促し長持ちさせることはできますよ。
茎が曲がるのは水不足も一因ですが、そのままの状態で水をあげても曲がったままでは長持ちしません。「茎をまっすぐにしながら吸水を促すこと」が大切です。
茎をまっすぐに保つ方法
チューリップの茎が細いタイプのものは、わりとすぐ重力で曲がってきてしまいがちです。できれば最初に生ける段階から、細長い花瓶を選び茎がまっすぐになる状態を保つようにして下さい。茎の支えとなるようなものがあると曲がることも防げるのです。花瓶に十分な高さがあれば、チューリップがもたれかかっても茎が曲がってしまうことはないでしょう。
花瓶が細すぎて窮屈だと花が傷みやすくなってしまいます。チューリップ一本一本に若干スペースを確保できるように、あまりぎっしり詰めないようにしましょう。
また、チューリップには切り花にして生けてからも伸び続ける性質があります。そのため伸ばしっぱなしにしていると、茎がどんどん長くなりその分曲がりやすくなってしまいます。
チューリップの茎があまりに長い場合は、手持ちの花瓶に合う長さにカットしてしまいましょう。ただカットするだけでなくついでに水切りを行えば長持ちさせることができます。
こまめに水切りしていると花瓶のサイズもだんだん合わなくなってきます。水切りを繰り返し茎が短くなってきたら、チューリップの長さに合わせて適時花瓶も変えるようにするといいですね。
チューリップには光の方向に曲がる性質があります。日光が当たる場所に置いておくと、レースカーテン越しでも明かりに向かって曲がってしまうことも。そのため、常に同じ場所に同じ向きで置くのではなく、時々花瓶の向きや置く位置を変えながら鑑賞すると日に向かって曲がることも防げるので安心ですね。
もし曲がってしまったら、湿らせた新聞紙でチューリップを包み、切り口をぬるま湯につけて2~3時間置くとまっすぐになります。
- 茎を支えられる十分な高さのある花瓶を選ぶ
- 日光との位置関係を考慮して、花瓶の向きや位置を変えながら鑑賞する
- 湿らせた新聞紙に包みぬるま湯につけて、2~3時間置く
栄養剤の使い方
切り花を長持ちさせたい場合は、水道水だけで生けるよりも栄養剤を上手に使うことをおすすめします。栄養剤を使うか使わないかで、切り花の寿命は週単位で変わる場合もあるのです。
栄養剤は花屋で小袋やボトルで販売されていますので、チューリップを購入する際に併せて購入しておくといいでしょう。適量は水の量に比例していますので、説明書きをよく見て正しく使うようにして下さい。
栄養剤がない場合は、花瓶に10円玉や漂白剤を入れるという方法もあります。10円玉から出る銅イオンには除菌効果があるといわれています。漂白剤にも除菌効果が期待できるため、ほんの数滴垂らして水の鮮度を保つことができます。
また、レモンジュース、炭酸水を入れるといった方法も。炭酸水などは食品のため空気中に蒸発しても安全というメリットがありますね。
チューリップに適した環境とは
チューリップは比較的丈夫な花ではありますが、高温には弱いです。春はそこまで気温が高くないイメージが持たれがちですが、日当たりのいい日は室内が高温になることもあります。高温の空間にチューリップを置き続けると花が萎れたり傷んだりしやすくなってしまいます。
特に、チューリップに直射日光が当たり続けると傷みや葉焼けの原因となります。窓際に飾る場合は、必ずレースカーテンを引いて直射日光が当たらないようにしましょう。
チューリップは他の切り花と同様に涼しくて明るい日陰を好みます。高温になりにくい涼しい環境に置いておくことが、長持ちさせるためには大切なのですね。
裏ワザ的方法と注意点
チューリップの切り花を長持ちさせるための基本的な方法をお伝えしてきましたが、他にもチューリップならではの裏ワザ的な方法があります。
知る人ぞ知る方法の一つが、花と茎の境目である「花首」の部分を針で貫通させるというもの。これはチューリップの生産地として有名なオランダ発祥の方法で、花屋さんなどプロの間でも実践されることがあるそうですよ。針を刺すことで花が開きにくくなるため長持ちするとのことです。
チューリップの花首に穴を開けると「エチレン」という物質が花に流れるのを制御します。エチレンは他の花や野菜、果物などにも含まれている、植物の成長を促す物質です。エチレンの働きを抑制することで成長が緩やかになり、開花期間が延びる効果があるとされています。
また、チューリップを生ける際には覚えておきたい注意点があります。
チューリップを他の花と同じ花瓶で生けることは基本的には大丈夫です。ですが、スイセン類とは相性がよくありません。チューリップをスイセン類と一緒に生けると傷みが進行するため、長持ちさせたい場合は避けて下さい。
まとめ
チューリップを長持ちさせるには、若い花を選ぶ・まっすぐに保ち新鮮な水を吸わせる・涼しい場所で管理するということを守りましょう。栄養剤を上手に使えば、さらに長く鑑賞できます。
ご紹介したコツを押さえながら、チューリップを部屋に飾ってゆったりと春を楽しんで下さいね。
- チューリップは蕾の開いていないものを選び、水切りすることで長く鑑賞できる
- 茎をまっすぐに保つことでチューリップを長持ちさせられる。花瓶選びや水替え・水切り、適温での管理が大切
- 栄養剤の使用や針を使った裏ワザでさらに長持ち。スイセンを一緒に生けるのは避けよう
記事の監修
松山市のフラワーデザイン事務所で勤務。その後母がしていた花屋を継ぎました。
花屋を始めて23年。誰もが笑顔になれる、愛される花屋を目指しています。