たけのこにはどんな保存方法がある?基本の保存方法をご紹介
記事の監修
福光 佳奈子
漬け込み酒マイスター・ECサイト「イエノミライフ」運営
札幌市生まれ。
大学卒業後、広告会社やメーカーに勤務。会社員時代より漬け込み酒作りをはじめ、これまでに1,000種類を超える漬け込み酒レシピを開発。
現在は、食や健康に関する執筆や監修、セミナー講師などをしている。
麦焼酎「いいちこ」を使ったレシピ開発も多数手がける。
著書「体にうれしい果実酒・野菜酒・薬用酒200」(秀和システム)は、台湾やシンガポールなど世界5か国で翻訳版も出版。女性セブン、AERA、FLASH、Yahoo!ニュース、日本経済新聞など取材実績が多数ある。
保有資格は、野菜ソムリエプロ、薬膳インストラクター、睡眠コンサルタントほか。
たけのこは、春から初夏にかけて収穫される日本の伝統的な食材です。新鮮なたけのこは、その独特の歯ごたえや、爽やかな味わいが特徴であり、たけのこご飯や煮物など多くの料理に使われています。
旬の時期にはたけのこ料理を楽しみたいと思っていても、保存方法や下処理などが難しそう…と思われている方も多いことでしょう。
そこで、今回は、たけのこの保存方法についてご紹介します。正しい保存方法を知ることで、より長く美味しいたけのこを楽しむことができますよ。
- たけのこの保存方法を知りたいという方
- たけのこ料理が好きな方
- 食材の正しい保存方法を学びたいという方
目次
たけのこの基本
たけのこの旬の時期は、一般的に3月〜5月頃の春から初夏にかけてと言われています。新芽が地上に出始める春に収穫され、その時期がたけのこの最もおいしい時期とされています。具体的な時期は地域や気候によって異なることもありますが、春先の旬の時期のたけのこはまだ柔らかくて食感が良く、風味も豊かです。特に、たけのこの皮が薄くてやわらかい状態のものが最も美味しいとされています。
旬のたけのこは、煮物や炒め物、天ぷらなどさまざまな料理にして美味しくいただくことができます。また、サラダや炊き込みご飯にも彩りや風味を添えたりと、季節を感じる食材として楽しむことができます。
たけのこの旬の時期には、地元の市場やスーパーなどでも新鮮なたけのこを手に入れることができるので、ぜひ手に取ってみてくださいね。
たけのこの栄養素
たけのこには様々な栄養が含まれています。主にタンパク質やカリウム、食物繊維、チロシンなどが含まれており、実は栄養価の高い食材でもあります。
たけのこは身体を作る上で欠かすことのできないタンパク質を含んでいるなど、栄養面でも魅力のある食材です。旬の時期には、上手にたけのこ料理を取り入れて健康にも気をつけた食事を堪能するとよいでしょう。
- タンパク質・・・身体を作る上で重要な役割を持つ栄養素の一つ。
- 食物繊維・・・便秘の予防・解消に効果があり。
- カリウム・・・高血圧の予防やむくみの改善に効果あり。
- チロシン・・・脳を活性化させる効果あり。
- ビタミンB・・・疲労回復の効果や、脂肪燃焼に効果あり。
ただし、食物繊維を大量に摂取することで、消化器官に負担がかかり、逆にお腹が緩くなってしまう場合もあるので食べ過ぎには注意しましょう。
穂先の部分なら1/3程度、根本なら3㎝ほどが、1日の適切な摂取量の目安となります。
まずはアク抜きをしよう!
皮付きのたけのこは、収穫した直後からアクが発生し、時間が経過するとともにアクがどんどんと強くなっていきます。アクをそのままにしておくと、えぐみを感じおいしさが半減する原因となります。たけのこを入手したらなるべくその日のうちにアク抜きを行うようにしてください。
たけのこのアクは米ぬかや重曹などを使って下茹でをすることで、取り除くことができます。手順としてはシンプルなものなので、アク抜きをしたことがないという方でも安心して作業することができますよ。
- 米ぬか
- 米のとぎ汁
- 重曹
米ぬかや重曹を使用しないとなぜダメ?
たけのこのアク抜きには米ぬか米のとぎ汁、重曹を用いるのが一般的だと言われています。もちろんたけのこが新鮮であれば必要ない場合もありますが、スーパーなどで手に入るものは収穫から日が経っているものが多いため、これらを使って水をアルカリ性にした状態でアク抜きする方がアクやえぐみがより抜けやすくなるでしょう。
アク抜きしないとどうなる?
アク抜きをしていないたけのこを食べると、えぐみを強く感じたり、アクの成分で口がピリピリするなどの症状が現れます。また、アクの成分となるシュウ酸は多く取りすぎると、尿路結石の原因の一つにもなると言われています。
安全に美味しくたけのこを食べるためにも、調理前にアク抜きをするという一手間が大切になります。
アク抜きの手順
ここからは、米ぬかを使ったアク抜きの手順をご紹介します。アク抜きの基本的な手順を覚えておけば、毎年旬の時期に困ることなく、たけのこ料理を楽しむことができますよ。米のとぎ汁を使用したアク抜きの手順もほぼ同じ流れとなります。ぜひ、覚えておきましょう。
手順
- たけのこ
- 米ぬか(米のとぎ汁)
- 大きめのお鍋
- 唐辛子(なしでもOK)
- 水
- 落とし蓋
- 竹串
-
STEP. 1
たけのこの外側の皮を2~3枚はぐ
-
STEP. 2
根元に硬い部分が残っていれば切り落とし、穂先は5cmほど斜めに切り落とす
-
STEP. 3
縦に1~2cmほどの切り込みを入れる
-
STEP. 4
鍋にたけのこを入れ、しっかり浸かるくらいの水を入れる
-
STEP. 5
米ぬか、唐辛子(あれば)を入れ中火~強火にかける
-
STEP. 6
沸騰したら弱火にし、1時間ほど茹でる
-
STEP. 7
たけのこが浮いてこないように、重みのある落とし蓋をする
※落とし蓋がない場合は、一回り小さい鍋のフタや耐熱皿でも代用可能。
-
STEP. 8
1時間ほど茹で、硬い部分に竹串を刺し、スッと通るようであれば火を止めてそのまま冷ます
※まだ硬いようであればさらに15~30分茹でて様子をみましょう。
-
STEP. 9
完全に冷めたらたけのこを取り出し、水洗いして皮を剥く
-
STEP. 10
下に硬い部分が残っていたら、包丁で切り落とす
-
STEP. 11
完了
アク抜きの際のポイント
自宅にあるお鍋の中でも大きめのものを使用してアク抜きを行うのがよいですが、たけのこが大きすぎて丸ごと茹でることができない場合には、鍋に入る大きさにカットしてもOKです。カットしたことで、アク抜きがうまくできなかったり味に変化が出てしまうということはないので安心してくださいね。
また、アク抜きに失敗してしまい、えぐみが残ってしまった場合には、もう一度同じ手順でアク抜きを行えば問題ありません。
アク抜きしたたけのこを保存するには?
アク抜きしたたけのこは、食べ切れる量であれば冷蔵での保存がおすすめですが、冷凍での保存も可能となります。ただし、冷凍保存をする際には、食感が変わってしまうこともあるので、適切な方法で冷凍保存するようにしましょう。
ここからは、それぞれの保存方法について詳しくお伝えしていきます。用途にあった方法でたけのこを保存してくださいね。
たけのこを冷蔵保存する方法
たけのこを冷蔵で保存する場合には、水に浸けて冷蔵庫で保存するのがよいでしょう。
たけのこが入る深めの保存容器や器にたけのこを入れて、たけのこが浸るくらいの水を入れて保存するというシンプルな方法となります。保存したたけのこの様子はこまめに確認し、においやぬめり、変色が起きていないかどうかをチェックするようにしましょう。
冷蔵での保存期間は、1週間ほどとなります。ぬめりや変色がない場合には、1週間以上経っていも食べることは可能です。しかし、水に長く浸けることでたけのこの風味が抜けやすくなっているため、なるべく1週間以内には食べ切るようにするのがおすすめです。
冷蔵保存の手順
- たけのこ
- 包丁
- 保存容器
- 水
-
STEP. 1
アク抜気をしたたたけのこを、適当なサイズにカットする
-
STEP. 2
深めの保存容器にたけのこが浸かる程度の水と、たけのこを入れる
-
STEP. 3
密閉して冷蔵庫で保存する
-
STEP. 4
完了
水に浸すことで、みずみずしく食感の良いたけのこの状態を保つことができます。
水は1日〜2日(できれば毎日)に1回交換し、新鮮な状態を保つようにしましょう。
たけのこを冷凍保存する方法
たけのこは冷凍保存で、約1ヶ月ほど保存することができます。ただし、どうしても冷蔵保存したものに比べて食感が悪くなりやすくなるため、その点は注意しておきましょう。
冷凍保存したたけのこは活用方法の幅も広がったり、料理の時短にもつながります。冷蔵で保存するだけでなく、たけのこの冷凍保存もぜひ挑戦してみてくださいね。
冷凍保存の失敗を防ぐコツとは?
たけのこを冷凍保存する際には、そのまま冷凍保存してしまうと食べた時に筋っぽい食感になってしまいます。繊維を分断して薄く切って保存したり、水分が外に逃げないようにして、保存すると美味しい状態で保存することができますよ。また、だし汁につけたり、砂糖をまぶして冷凍保存することで、食感が変わりにくくなると言われています。
冷凍保存の方法を2つご紹介しているので、ぜひ試してみてくださいね。
- たけのこの繊維を分断して薄く切って冷凍保存する。
- 水分が外に逃げないようにして冷凍保存する。
冷凍保存の手順:だし汁に浸す方法
- たけのこ
- 包丁
- だし汁
- 保存袋
- 金属製のトレー
- 保冷剤
-
STEP. 1
たけのこを小さくカットする。(薄切りがおすすめ)
-
STEP. 2
保存袋を用意し、カットしたたけのことともにだし汁を加える
-
STEP. 3
金属製のトレーの上などにだし汁を加えたたけのこを載せて冷凍する
※たけのこの上に保冷剤をのせて冷凍するのがおすすめです。
-
STEP. 4
完了
冷凍したたけのこの解凍方法は?
冷凍したたけのこは、使う分量をだし汁ごと保存袋からだし、お鍋などに入れ、一度火にかけて沸騰してから料理に使用します。たけのこのみを使用するだけでなく、だし汁ごと煮物などの料理に使用することもできますよ。
また、解凍せずにそのままお鍋やフライパンなどに入れて、炒め物やスープ、炊き込みご飯などの料理に活用することも可能です。凍ったまま料理することができるので、解凍する手間がかからず調理時間の短縮にもなります。また、食感の変化を防ぐこともできるので、冷凍したまま料理に使うのがおすすめです。
水分を保持することで、たけのこの風味が抜けにくくなります。
冷凍保存の手順:砂糖をまぶす方法
- たけのこ
- 包丁
- 砂糖
- 保存袋・ラップ
-
STEP. 1
たけのこを小さくカットする
-
STEP. 2
カットしたたけのこに砂糖をまぶす
※たけのこ一本に対して大さじ1程度
-
STEP. 3
保存袋やラップに包んで冷凍する
-
STEP. 4
完了
どうしても甘味が気になるという方は、煮物などに使うのがおすすめです。
たけのこの塩漬けにも挑戦!
上記で説明した保存方法以外にも、たけのこを塩漬けにするという方法もあります。塩漬けは昔ながらの方法でもあり、微生物を繁殖しづらくして、食べ物の腐敗を防ぐことができると言われています。
たけのこの塩漬けは、一年程と長期保存することが可能です。メンマなどにアレンジするのがおすすめですよ。
たけのこの塩漬けの手順
- たけのこ
- 包丁
- 保存袋
- 塩
-
STEP. 1
たけのこを薄くカットする
-
STEP. 2
保存袋を用意し、まずは底に塩をまぶす
-
STEP. 3
その上にたけのこをのせていき、さらに塩を上からもまぶす
-
STEP. 4
塩を全体にまぶしたら、袋を振って馴染ませる
-
STEP. 5
馴染んだら、袋の空気を抜き、口を閉じる
-
STEP. 6
冷暗所の1日おき、出てきた水を抜く
-
STEP. 7
塩(約25グラムほど)をさらに加えて、再び馴染ませる
-
STEP. 8
空気を抜いて、冷蔵庫にて保存する
-
STEP. 4
完了
使う時には塩抜きを!
たけのこの塩漬けをした場合には、必ず使用前に時間をかけて塩抜きを行いましょう。そのままでは、塩辛くて食べるのが難しくなります。塩抜きには時間がかかるため、使う日の前日から準備しておくのがおすすめです。
まずは使いたい分量のたけのこを水洗いして、塩を落としていきます。ボールにたっぷり水を張り、そこに塩漬けしたたけのこを入れ塩抜きを行っていきます。水を2〜3回ほど替えながら、9〜12時間ほど時間をおきましょう。
途中でたけのこの味をみながら、塩の抜け具合を確認し、ちょうどよい塩加減になったら塩抜きの完了です。
美味しいたけのこの選び方
最後に、美味しいたけのこの選び方についてもお伝えしておきましょう。
たけのこを購入する際には、鮮度のよいものを選ぶことが大切です。新鮮なたけのこはみずみずしく美味しいものになります。購入する際には、たけのこの皮や切り口の様子をしっかりと確認して選ぶとよいでしょう。いくつかのポイントごとに説明しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
ずっしりと重みのあるもの
たけのこを手に持った時にずっしりと重みのあるものがよいでしょう。また、穂先が伸びすぎておらず、先端までしっかり巻いているものを選びましょう。軽いものほど水分が飛んで、鮮度が落ちてしまっています。
皮が乾いていないもの
たけのこの皮の部分がしっとりとしていて、乾いていないものを選ぶようにしましょう。皮の色が黒っぽくなっているものは、アクが強いものが多いとされています。薄い黄色をしたものが美味しいたけのこだと言われています。
切り口はみずみずしいもの
たけのこのアクのえぐみは、時間が経つにつれ強くなっていきます。カットされたたけのこを選ぶ場合には、切り口が白くてみずみずしいものを選ぶようにしましょう。
たけのこが変色しているものは時間が経っている証拠です。えぐみが強いため、選ぶのは避けましょう。
穂先が黄色く、つやのよいもの
皮の色が薄く、穂先が黄色いたけのこを選ぶようにしましょう。皮の色が濃かったり、成長して穂先が開きはじめているものは長い期間、日に当たっていてアクが強いため、選ぶのは避けましょう。
根の部分のぶつぶつが少なく、白いもの
たけのこの根元の部分には、ぶつぶつがあります。このぶつぶつが多いものほどアクが強いとされているので、なるべくぶつぶつが少ないものを選ぶのがよいでしょう。また、ぶつぶつの色は白いものを選ぶようにしましょう。赤黒いものはたけのこ自体が硬く、さらにあくも強くなります。
太いもの
たけのこの形状は、よりずんぐりとしていて太いものを選ぶようにしましょう。太いもののほうが、食べられる部分も多く美味しいとされています。細長いものは、伸び過ぎていてアクが強いため避けたほうがよいでしょう。
まとめ
今回は、たけのこの保存方法についてご紹介しました。たけのこは一見扱いが難しそうにも感じますが、アク抜きの手順や保存方法を覚えてしまえば旬の食材として楽しむことができます。どうしても保存方法によって食感がわかりやすい食材のため、だし汁を使ったり、砂糖をまぶすなどの一手間を加えた方法と取り入れるのがおすすめです。日持ちしにくいと言われるたけのこですが、冷凍保存なども活用すれば保存期間を大幅に延ばすこともできます。
季節を感じる食材でもあるたけのこ。いくつかご紹介した方法を参考に、上手にたけのこを保存をして春ならではの味覚を様々な料理で堪能してくださいね。
- たけのこを入手したらまずは、米のとぎ汁や重曹などを使ってしっかりと「アク抜き」を行いましょう。アクが残っているとえぐみを感じて美味しさも半減してしまう
- たけのこを冷蔵保存する際には、水分が抜けないようにすることが大切。たけのこを水に浸して保存するのがおすすめ
- たけのこは冷凍保存も可能だが、食感がわかりやすくなるため、砂糖をまぶしたりだし汁に浸して冷凍したりすることで食感の悪さや水分の抜けを防ぐことができる
記事の監修
福光 佳奈子
漬け込み酒マイスター・ECサイト「イエノミライフ」運営
札幌市生まれ。
大学卒業後、広告会社やメーカーに勤務。会社員時代より漬け込み酒作りをはじめ、これまでに1,000種類を超える漬け込み酒レシピを開発。
現在は、食や健康に関する執筆や監修、セミナー講師などをしている。
麦焼酎「いいちこ」を使ったレシピ開発も多数手がける。
著書「体にうれしい果実酒・野菜酒・薬用酒200」(秀和システム)は、台湾やシンガポールなど世界5か国で翻訳版も出版。女性セブン、AERA、FLASH、Yahoo!ニュース、日本経済新聞など取材実績が多数ある。
保有資格は、野菜ソムリエプロ、薬膳インストラクター、睡眠コンサルタントほか。