じゃがいもの正しい保存方法とは?鮮度の良いじゃがいもの見分け方や長持ちさせるコツもご紹介
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。
カレーやフライドポテトなど家庭で人気の料理に使われるじゃがいも。スーパーでも一年中よく見かけ、様々な料理に使うことができる野菜です。しかし、保存しているといつの間にかじゃがいもから芽が出てきてしまっている…なんてこともありますよね。
そこで今回は、じゃがいもの正しい保存方法についてお伝えします。じゃがいもを長持ちさせるためのコツや、鮮度の良いじゃがいもの見分け方などもご紹介しているのでぜひ、参考にしてくださいね。
- じゃがいもの正しい保存方法を知りたいという方
- 美味しいじゃがいもの見分け方を知りたいという方
- 野菜の保存方法など基本的知識を身につけたいという方
目次
じゃがいもを保存する際の基本
じゃがいもは、常温保存・冷蔵保存・冷凍保存が可能です。その中でも基本的には常温での保存を推奨しています。じゃがいもは日光などの光が当たると芽が出たり、皮の色が変色したりとするため、理想は、風通しが良く光の当たらない場所に常温で保存するのがよいでしょう。
ただし、夏場の暑い時期は常温で保存してしまうとじゃがいもが傷みやすくなるため、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。また、じゃがいもは加熱調理したものであれば冷凍での保存もおすすめです。季節やそれぞれの用途に合わせて保存方法を選ぶとよいでしょう。
保存する前にチェックすることは?
じゃがいもを保存する前に重要となるのが、じゃがいもの状態を確認することです。これは、じゃがいもを長い期間、良い状態で保存するためには必要な作業となります。具体的には、じゃがいもの芽が出ていないか、変色はしていないか、じゃがいもに傷はついていないかなどを中心に確認するようにしましょう。
また、じゃがいもから異臭や液体が出ていないかも大切なポイントになりますよ。触った感触も重要となるので、しっかりとじゃがいもを一つ一つ手に取りながら確認するのが良いでしょう。
じゃがいもの芽が出ていないか
じゃがいもには食中毒の原因にもなる天然毒素の「ソラニン」が含まれています。ソラニンはじゃがいもの芽の部分や、傷がついたじゃがいもから増殖するので注意しましょう。じゃがいもの芽の色は白色や緑色、ピンク色をしていて、じゃがいもの表面の窪みのある部分に生えています。じゃがいもの芽が出ている場合には、じゃがいもの芽とその周辺部分をピーラーや包丁の角を使い、えぐるようにしてくり抜き取り除きましょう。
じゃがいもの芽が生えにくい環境を整えることも大切です。じゃがいもは高温で光の当たる場所に保存していると発芽しやすくなります。保存する際には気温が10度ほどの涼しい場所に保存することで、芽が生えるのを防ぐことができますよ。
また、夏場などはじゃがいもとりんごを一緒に保存袋に入れて冷蔵保存しておけば、じゃがいもの芽の発生を防ぐことができます。これはりんごから放出されるエチレンガスによって、じゃがいもの発芽を抑制してくれるからだと言われています。
また茹で汁に毒素が流れでる可能性もあり、毒素が確実に減ることは期待できないので調理前にしっかりと処理しておきましょう。
じゃがいもの加工調理によるソラニン・チャコニンへの影響:農林水産省
傷はついていないか
じゃがいもに傷がついていないかどうかも重要なポイントとなります。じゃがいもの傷は天然毒素のソラニンが増加するだけでなく、傷がついた場所から水分が発生しカビが生える原因にも繋がります。
じゃがいもは一見、丈夫な野菜に見えますが、実は傷がつきやすい野菜でもあります。収穫時に傷つきやすいだけでなく、じゃがいもを落としてしまった、何かにぶつけてしまった、などのちょっとした衝撃でも傷がつきます。保存する前にじゃがいもに傷がついていないかを確認しておきましょう。特に、新じゃがいもは皮が薄く柔らかいため傷もつきやすくなるので注意しましょう。
皮の変色はないか
じゃがいもの皮の色が変色しているものがあれば取り除いておきましょう。全体的に変色しているものもあれば部分的に変色しているものもあるので、注意してくださいね。
また、一般的に冷暗所で保存されているものの場合はじゃがいもの皮は茶色をしています。しかし、光に当たったじゃがいもは緑色に変色してしまいます。この緑色になった皮の部分にも、じゃがいもの芽と同様にソラニンが微量に含まれているのです。皮が緑色をしているじゃがいもの場合は、なるべく厚めに皮を剥いて調理するようにしてくださいね。
この斑点は、じゃがいもが作られる過程で細菌によって発生する「輪腐病(わぐされびょう)」や「そうか病」といった病気によるものの場合もあります。
基本的には黒い斑点部分を見つけたら、その部分を取り除いて調理するようにしましょう。
常温で保存する場合
ここからは、じゃがいもの保存方法について詳しくお伝えしていきましょう。まずはじゃがいもの保存の基本となる常温保存からご紹介します。
じゃがいもを常温で保存する場合には、風通しが良く、湿気のこもりにくい冷暗所で保存するようにしましょう。7度〜15度の環境下であれば常温での保存が適切だと言われています。
保存する際には、一つ一つ新聞紙やキッチンペーパーに包んで保存するようにしましょう。この一手間を加えることで、湿気を防ぐことができ、保存期間を長くすることが可能となります。新聞紙やキッチンペーパーが湿ってきたらその都度取り替えることも忘れないようにしてくださいね。湿ったままの状態にしておくと、そこから湿気が加わりじゃがいもを傷める原因となってしまいます。
たくさんのじゃがいもを保存する場合には、底に新聞紙を敷いたダンボールを用意し、その中に新聞紙などで一つ一つ包んだじゃがいもを入れて保存するのがおすすめです。
土はついたままで保存!
じゃがいもを保存する際の大切なポイントは、土がついたまま保存するということ。ついつい土を洗い流した状態で保存したくなりますが、土を洗い流さないことが長持ちにつながるポイントとなります。
水洗いをすることで水分がつき、湿気でじゃがいもが傷みやすくなってしまいます。じゃがいもについた土は、手で軽く払い、その後新聞紙に一つ一つ包んで保存するようにしましょう。
畑で育てたじゃがいもを収穫して保存する場合は、雨が続いて湿った状態の時は収穫を避けるのが賢明です。晴れた日が続き、土が乾いている状態の時にじゃがいもを収穫し、土を軽く払って保存するようにしましょう。
冷蔵で保存する場合
野菜は冷蔵庫で保存するものが多いですが、じゃがいもは乾燥している冷蔵庫で保存をすると、水分が抜けてシワシワになってしまうため不向きだと言われています。水分が抜けてしまうことで、見た目がシワシワになってしまうだけでなくボソボソとした食感となり味も落ちてしまうのです。そのため、じゃがいもの保存場所は基本的には常温保存がよいとされています。
しかし、夏場の暑い時期には、気温が高くなりすぎてじゃがいもが傷んでしまうため、冷蔵での保存をおすすめします。冷蔵保存しておけば、夏場でも安心しておいしいじゃがいもを食べることができますね。
季節によって適切な環境で保存することが大切です。
冷やし過ぎには注意!
じゃがいもを冷蔵保存する際に気をつけておきたいのが、「温度」です。じゃがいもを冷蔵保存するとでんぷん質が低温障害を引き起こして、じゃがいもの色が黒色や褐色に変色し、水分が抜けて硬くなってしまうこともあるのです。じゃがいもを冷蔵で保存する場合には、5度〜10度ほどの環境である「野菜室」で保存するようにしましょう。
また低温や乾燥から守るための対策として、常温保存の時と同様にじゃがいもを一つ一つ新聞紙やキッチンペーパーで包み、さらに野菜袋や市販されている根菜専用の保存袋に入れて保存するのがよいでしょう。
スーパーなどで販売されているじゃがいもは、ビニール袋に入っているものが多いのですが、ビニール袋は通気性が悪く湿気がこもりやすくなるため、じゃがいもの腐敗の原因にもつながります。ビニール袋から、通気性の良い保存袋などに入れ替えることを心がけましょう。
保存期間や味は変わる?
じゃがいもを冷蔵保存すると、じゃがいもの中に含まれているでんぷんが糖分へと変わり、糖度が高くなる(甘みが増す)と言われています。甘みのあるじゃがいもは、肉じゃがやカレー、煮物料理に使うのがおすすめですよ。
また、じゃがいもを冷蔵保存すると、じゃがいも独特のシャキシャキ感は無くなってしまいますが、糖分が増し甘みのあるじゃがいもになるので、芋もちなどにアレンジするとよいでしょう。
冷蔵保存することで、食感が変わる、甘みが増すなどの変化が出てくるので、それぞれに合った調理法を選択できると美味しくいただくことができますね。
冷凍で保存する場合
じゃがいもは本来冷凍での保存はあまりおすすめしていません。しかし、保存の仕方に工夫をすれば、冷凍での保存も可能となります。
じゃがいもを冷凍保存する場合には、生のまま保存することはやめましょう。生のままのじゃがいもを冷凍してしまうと、じゃがいも内にある水分が凍ってしまいます。一度冷凍したじゃがいもを解凍すると、どうしても凍ってしまった水分が流れ出てしまい、スポンジのようにスカスカな状態のじゃがいもとなってしまうのです。スカスカな状態のじゃがいもは、でんぷんが破壊されてしまうことから調理しても美味しくありません。
冷凍でじゃがいもを保存する場合には、丸ごとの状態で保存するのではなく、カットや加熱加工してから冷凍するのがベスト。。じゃがいもの食感や風味を損なうことなく冷凍保存することができます。
カットして冷凍保存する場合には、棒状やくし状など使いやすい大きさにカットしたじゃがいもを水にさらし、水分をしっかり拭き取ってからジッパー袋などの保存用袋に入れて冷凍庫で保存します。
じゃがいもの冷凍保存は一般的にはあまりおすすめされていませんが、上手に活用することで、日頃の調理に役立てたり、時短料理に役立つアイテムとして重宝してくれますよ。
じゃがいもを冷凍保存する場合には、棒状や櫛状にカットをする、加熱するなどの調理方法を行って保存するのがおすすめです。
長期間に渡って冷凍保存をしていると、水分量が少なくなってしまい味が劣化してしまいます。
保存期間である1ヶ月を目安に使い切ることができる量を冷凍することを心がけましょう。
おすすめの冷凍保存方法:マッシュポテト
特におすすめしたいじゃがいもの冷凍保存法は、マッシュポテトに加工して冷凍保存する方法です。マッシュポテトに加工しておけば、使いたい時にさっと使うことができるので料理の時短アイテムとしてもとても重宝します。ポークソテーや揚げ物などの付け合わせとしてもぴったりです。
その他にも少しアレンジを加えれば、コロッケやいも餅、ポテトサラダなどに活用することもできますよ。1から作るのは大変ですが、事前に作って冷凍しておけば、意外にも使い勝手の良い食材に早変わりしてくれます。マッシュポテトは冷凍保存をしても、風味や食感を損なうことがないという点も嬉しいポイントです。
マッシュポテトの作り方・冷凍保存方法
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STEP. 1
じゃがいもをカットする
じゃがいもは皮をむき一口大にカットします。
カットしたじゃがいもを5分程度水にさらす。
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STEP. 2
加熱する
軽く水を切ったじゃがいもを耐熱容器にうつします。
電子レンジで加熱していきます。(目安は600Wで5分〜6分加熱する)
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STEP. 3
じゃがいもを潰す
加熱して柔らかくなったじゃがいもを熱いうちにマッシャーで潰していきます。
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STEP. 4
小分けにして冷凍保存
粗熱が取れたら、ラップに小分けに包み、さらに冷蔵袋に入れて冷凍庫で保存します。
小分けにする際には、平に伸ばしておくのがポイントです。
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STEP. 5
完成
6時間〜8時間ほどゆっくりと時間をかけて解凍させるのがポイント
その他の保存方法
上記でお伝えした保存方法以外にも、じゃがいもを上手に美味しく保存する方法はあります。
例えば、付け合わせにもぴったりな粉吹き芋も冷凍での保存が可能です。粉吹き芋にディルを混ぜたものもおすすめですよ。
また、じゃがいもを干したものであれば、食感や風味を損なわずに保存することができます。干し芋は1センチほどにカットしたものを干しておくだけと作り方もとてもシンプルで簡単。子どもと一緒に作る工程を楽しむこともできそうですね。出来上がった干し芋は、そのまま素揚げにしてポテトチップスにもできます。また水で戻してカットして使えば煮物などにも活用することができます。
ぞれぞれ活用できる調理方法も異なってくるので、じゃがいもがたくさんあって保存方法に困っているという時には、様々な保存方法を試してみてくださいね。
- 粉吹き芋・・・冷凍保存で約2週間の保存が可能です。
- 干し芋・・・常温保存で約1ヶ月〜1ヶ月半の保存が可能です。
鮮度の良いじゃがいもの見分け方
鮮度の良いじゃがいもを見極めるのも大切です。せっかく色々な活用方法がある野菜なので、鮮度が良く、美味しいじゃがいもの見分け方を知っておくのもよいでしょう。
じゃがいもを選ぶ時にはまずは表面の状態をチェックしてみましょう。表面が滑らかで傷や皺が少ないものを選ぶのがポイントです。また、手に持ってみた時にずっしりと重みを感じるものがおすすめです。重みがあるということは、中身が詰まっているという証拠ですよ。他にも、皮は薄く硬さのあるものを選ぶのが良いでしょう。
また、じゃがいもは数多くの品種が存在します。メークインは凹凸が少なく、男爵は凸凹しているなど品種によっても形状が異なるのでそれぞれの品種の特徴を知っておくことも大切ですね。
- 表面が滑らかで皺が少ない
- ずっしりと重みがある
- 皮が薄く硬さがある
まとめ
今回は、じゃがいもの保存方法について詳しくお伝えしました。日頃からよく食卓にも登場するじゃがいも。収穫時期にはたくさんのじゃがいもが手に入るということも多いですよね。基本は常温で保存しながら、保存する時期(季節)に合わせながら保存方法を検討してみて下さいね。
常温保存であれば、新聞紙に一つ一つ包むなどの一手間を加えることで、湿気からじゃがいもを守り長持ちさせることにも繋がります。また、一般的には冷凍保存には向かないと言われているじゃがいもですが、マッシュポテトなどに加工すれば、冷凍保存も可能となります。さまざまなアレンジ料理もできるのでぜひ冷凍での保存もお試ししてみてくださいね。
- じゃがいもを保存する前には、芽は出ていないか、皮は変色していないか、傷は付いていないかなど事前にチェックをしておくことが大切
- じゃがいもは水洗いをせずに、土を軽く払って保存することで長持ちさせることができる
- じゃがいもは常温で2〜3ヶ月ほど保存が可能。保存する際には、変色や発芽を防ぐために湿気や光に当てないよう注意が必要
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。