濱田 昌代(はまだ まさよ) 「プティクール・エーム」店主
お花は人生に寄り添ってくれる大切な友達
東京都武蔵野吉祥寺の雑踏から一歩入った閑静な住宅街にある「プティクール・エーム」。
店内には色とりどりの季節の花が咲き、道を行く人が思わず足を止めます。
30年以上に渡り、生花の魅力を伝えるために、花市場での仕入れから花屋での接客、アレンジメントの作成やレッスン等、多岐に渡る活動を勢力的になさっています。
プティクール・エームの店主を務める濱田昌代さんに、お花の持つ魅力や特徴、お花に触れることで広がる世界をお伺いしました。
生花に魅せられてお花に携わる仕事に
私は、6年くらい服飾関係の仕事に就いていました。子どもを産んで復職を考えた時に、服飾のお仕事はハードだったので、もうちょっと生活に密着した仕事にしたいと考えて。
お花は色が綺麗ですよね。それで、「生活にお花があると良いな」って思ったんです。お洋服の組み合わせもお花も、色合わせがあるんです。またお花には、季節毎の移ろいがあり香りもあるし。
お花のレッスンに通う所からスタートして、当時は30年前くらいだったので、ハーブがまだ新鮮で。ハーブの会を仲間たちと立ち上げたんですね。使い方や育て方をレクチャーしたりもして。ハーブって凄く可愛い花が咲くし、ブーケにしても素敵なんですよ。
そこで、お花と仕事が繋がってきたんです。
自宅の玄関先に花を並べるところからスタートして、今はレッスンをしたり、オーダーを受けたりしています。オーダーは生花だけではなくプリザーブドフラワーのニーズもあります。
「お花が好き」という思いが繋げる人の輪
仕事のやりがいは「人との繋がり」です。「お花が好き」という思いで繋がっていくんですね。
教室の生徒さんも、長い方は20年以上通ってくださっています。親御さんの介護や子育てとかを経て、また復帰してくださる方が多いですね。皆さんお花が好きで、レッスンをずっとやっていくことで、どんどん上手になっていくんですよ。
ニコニコと幸せな生徒さんの顔を見ると、こちらまで胸が暖かくなります。コロナ禍だからこそ、特に感じますね。
お花を仕事にするのはシビアな面も
お花って入り口が広いので、どなたでも受け入れてくれる温かさがあるのですが、「いかにお客様に喜んでもらえるお花を提供できるか?」に常に向き合う必要があります。自分で花を選んで色合わせをして形を作るのは難しいんですよね。
継続するには根気が必要ですし、お客様を裏切ることがないようして、喜んでいただけるように心掛けています。喜んでもらえないと次がない、厳しい仕事でもあります。
レッスンは、初心者から上級者まで幅広いニーズに対応
レッスンは、お花に関する知識が全くない方向けの「レギュラーコース」に、ある程度ご存知の方向けの「フリースタイル」、そして「ブーケコース」もあります。今はコロナ禍なので近隣の方が多いですが、都内や千葉、もう少し遠くからも足を運んでくださる方がいらっしゃいます。
レッスンでは、手指消毒を行い、アクリルパネルを活用しています。感染の防止や予防には気を使っています。冬場でもドアを少しだけ開けているので、参加なさる方には温かい格好をして来ていただきます。
定期レッスンの他に、単発レッスンを毎月開催しており、2月はミモザを扱いました。
3月は、桜と春の草花を使ったコンポジション(器付きのアレンジメント)を作成します。
単発レッスンは、通常の生徒さんだけではなく、一般の方も参加しやすいように、季節の花を取り入れています。
例えば、春には球根を寄せたりするのも良いですね。球根にはお花が咲いていく楽しみもあるし、根っこにだけお水をあげておけば楽しむことが出来ます。こうした提案をすることで、「お花を日常生活に取り入れて貰いたい」と思っています。
「生け花」?それとも「フラワーアレンジメント」?
迷った時の選び方
「お花を好きな気持ち」があれば、お花のレッスンはハードルは高くないんです。季節限定の単発レッスンに参加なさって、そこから定期レッスンに通う方も多くいらっしゃいます。当店で扱うレッスンは「フラワーアレンジメント」ですが、実は私は「生け花」も経験があるんです。
フラワーアレンジメントは花の種類や量が多いですが、生け花は数本の枝ぶりの良い枝とポイントのお花で小宇宙を創ります。
生け花に触れた20代前半の私には、お花が沢山ある方が楽しかったのですが、行きつくところは一緒です。フラワーアレンジメントは、テーブルや玄関など気軽に飾ることが出来ますが、生け花の場合は床の間等、置く場所を選ぶのも特徴のひとつです。ご自身の趣味や趣向にあわせて選ぶのが良いと思います。
お花ある生活の魅力を知ってもらうためにも
「正しい知識」を伝えるのも大切な仕事のひとつ
ドライフラワーには適した季節があるんですよ。冬は室内が乾燥しているので、ドライフラワーを作るのに良いです。夏場は湿気が多くて、あまり綺麗なドライフラワーにはならないかもしれません。秋口から冬にかけて、4月くらいまでなら、綺麗なドライフラワーになると思います。
日当たりの良いところは鉢の花は良いんですが、切り花を長く楽しみたいときには日差しが強くない所に飾るのがおすすめです。どんどんお花が咲いちゃうんで、長く楽しめなくなってしまいます。
お花を贈る場合には、一番ある程度咲いてる花が良いですが、自宅用に買うのであれば、咲く前のほうが長く楽しめます。用途で考えると良いと思います。お花にもTOPがあるので、贈り物の場合には用途やあげる方の好みや服装なんかもお伺いします。
お花に詳しくない方は、全てのお花を指定せずに、「ピンク系を中心にして、チューリップを入れてください」というオーダーだと素敵にできることが多いです。細かい指定があると、色が合わなかったりすることもあるので…。
ホームページに作例を掲載しているので、好きなものを教えて頂いたり、写真を見せて頂けるとイメージに近づけやすいです。
お花に触れることをきっかけに、広がっていく世界がある
花のある生活は、心が豊かになりますよね。そういうことを伝えて、定着させていきたいですね。お1人でもご家族がいらしても、おうちにお花が1輪でもあると全然違うんです。気持ちのゆとりを大事にして、花のある生活の楽しさを実感して実践してもらいたいですね。
お花は年齢に関係なく、シニアからスタートなさる方も多いんです。お花に触れると写真を撮りたくなりますし、そうすると今度は写真の勉強をしたり、折角撮った写真を見てもらうためにInstagramを始めたり…。どんどん世界が広がっていくんです。
お花は人生に寄り添ってくれる大切な友達
昨年はコロナ禍でお店を2ヶ月閉めたのですが、「濱田セレクト」というお家で楽しめるお花を提案したらものすごく反響がありました。中々お花屋さんに足を運ぶことが出来ない方にも寄り添っていきたいので、HPやFacebook、Instagramからでも気軽にお声がけ頂ければと思います。
お花は、日常だけではなく、節目で寄り添ってくれます。
ハレの日にも悲しみの時にも。
いつもお花がある生活を提案し、1人でも多くの方に実践して頂けるよう、これからも色んな試みに取り組んでいきたいです。
濱田 昌代(はまだ まさよ)
「プティクール・エーム」店主
ファッション関係の仕事を経て、生花の魅力を伝えるために、
1990年プティクール・エームの前身となる花屋を自宅で開業。
30年以上レッスンやアレンジメントを手掛けながら、
「お花のある暮らし」を提案している。