どんな風に作る?初心者にもわかりやすいプリザーブドフラワーの基本の作り方をご紹介
まるで生花のようなみずみずしい見た目をしたプリザーブドフラワー。生花に比べて長い期間楽しむことができ、ドライフラワーよりも色鮮やかに仕上がるため、様々なシーンで使うことができる人気のアイテムです。そんなプリザーブドフラワーは、お店で購入するだけでなく、自宅で作ることも可能です。
今回は、プリザーブドフラワーの基本の作り方やプリザーブドフラワーに関する基礎知識をご紹介します。初心者の方やハンドメイドが好きという方はぜひ参考にしてくださいね。
- プリザーブドフラワーが好きな方
- プリザーブドフラワーを手作りしたいと思っている方
- ハンドメイドをすることが好きな方
目次
プリザーブドフラワーとはどんな花?
プリザーブドフラワーの「プリザーブド」は「保存された」という意味をもちます。プリザーブドフラワーは、生花で一番美しい状態の頃に色素を一旦抜き、新たに色をつけるという特殊な加工を施して作られた花のことをいいます。生花のように水やりをする必要がなく、そのほかのお手入れも少ないのが特徴。さらに、お手入れが少なくても長い期間美しい状態を保つことができる特殊な花です。
水がない場所でも気軽に飾ることができ、その色鮮やかな美しさを長い期間堪能することができるのがプリザーブドフラワーの魅力といえるでしょう。
- ウェディングブーケ
- ボックスフラワー
- フラワーリース
保存期間はどのくらい?
プリザーブドフラワーの日本での一般的な保存期間は、正しい管理下で2年〜3年ほどといわれています。ヨーロッパのような比較的湿度の低い地域であれば、5年〜10年ほど美しい状態を保つこともできます。日本は湿気が多いため、プリザーブドフラワー発祥のヨーロッパに比べるとどうしても保存期間は短くなるのです。
保存期間を過ぎた花は花びらの色が変色したり、花びらが丸まったりと見た目が変化していきます。
プリザーブドフラワーは飾る場所の環境が重要
プリザーブドフラワーの美しさをより長く保つためには、飾る場所の環境を整えておくことが大切になります。せっかく長い期間楽しむことができるプリザーブドフラワーでも、飾る環境によってはすぐに劣化してしまうこともあるのです。
もし、ご自宅に飾っているプリザーブドフラワーがなぜかすぐに変色してしまった、カビが生えてしまった…などのトラブルが起きた場合には、一度プリザーブドフラワーを飾っている場所がどんな環境なのかを確認してみましょう。ここからは、プリザーブドフラワーを飾る際の注意点をご紹介していきます。
直射日光は避けて飾る
プリザーブドフラワーを飾る場合には、直射日光の当たる場所を避けて飾るようにしましょう。プリザーブドフラワーは光に弱いため、直射日光が当たることで、花びらの色褪せの原因につながってしまいます。また、強い光が当たり続けることで、花びらがひび割れてしまい、花がぼろぼろと落ちてしまう原因にもなります。
強い光はプリザーブドフラワーにとって大敵。飾る際には注意しましょう。
高温多湿な場所は避けて飾る
プリザーブドフラワーは、高温多湿な場所も苦手です。洗面所やキッチンなど湿気がこもりやすい場所にプリザーブドフラワーを飾ると、花びらの透明化や液だれの原因となってしまいます。プリザーブドフラワー発祥のヨーロッパでは比較的乾燥しているため起こりにくい現象ですが、日本の場合は湿度が高いため注意が必要です。特に湿気の多い梅雨の時期には、湿度の管理が難しい場合プリザーブドフラワーを飾るのは避けた方がよいでしょう。
作業の際には汚れやすくなるので、新聞紙を敷いておくのがおすすめです。その後、吊るすなどして乾燥させてください。
飾りっぱなしにするのではなく、時々お手入れを行うことで劣化を防げます。
お手入れの際には、繊細なプリザーブドフラワーの花びらを傷つけないよう、メイクブラシなどで優しく汚れを取るようにしましょう。
プリザーブドフラワーの作り方
ここからは、プリザーブドフラワーの基本的な作り方をご紹介していきます。
プリザーブドフラワーをハンドメイドする際には、花材はもちろん、さまざまな道具の準備が必要です。ハンドメイドをするのは少しハードルが高いかも…という方も、はじめに道具さえ準備してしまえば、プリザーブドフラワー作りも気軽に行えるようになります。 準備するものは少し多いですが、どれも身近なお店で購入することができますよ。
- 花材・・・新鮮なもの、プリザーブドフラワー加工にふさわしいもの
- ハサミ・・・切れ味の良いもの
- ピンセット・・・溶液(脱色液、着色液)から花材を取り出す際に使用
- 容器(蓋付き)・・・溶液を入れるために使用。密閉できるものが良い
- ゴム手袋・・・溶液が手に触れないようにするために使用(ビニール手袋でも可)
- バット・・・溶液から取り出した花を一時的に置くために使用
- キッチンペーパー・・・花の水分や溶液などを拭き取るために使用
- 新聞紙・・・作業スペースが汚れないようにするために敷く(ビニールシートなどでも可)
- 紙皿・・・花を乾燥させる際の受け皿として使用
- 紙コップ・・・花を乾燥させる際に乾燥台として使用
- エタノール消毒液・・・脱色や脱水の際に使用
- 精製グリセリン・・・着色の際に使用
- インク・・・着色の際に使用
- 乾燥剤(シリカゲルなど)・・・乾燥を早めたい場合に使用
道具はどこで購入する?
プリザーブドフラワーを作る際には、お伝えしたように様々な道具の準備が必要になります。一つひとつが抜けないようしっかりと準備しておくことで、作業もスムーズに進めることができますよ。それぞれの道具は100円ショップなど身近なお店で購入できるものばかりです。もちろん、自宅にあるものを使ってもいいでしょう。エタノール消毒液や精製グリセリンについては、ドラッグストアなどで調達できます。
最近では、プリザーブドフラワーのアイテムを専門に取り扱っているネットショップもあるので、そのようなお店でまとめて購入するのもおすすめです。通販であれば、自宅にいながらじっくりと検討して購入することができますね。
作業は汚れてもOKな環境で
プリザーブドフラワーを作る作業は、工程が多く、溶液やインクなどを使用するため汚れやすくなります。そのため、作業の際には必ず汚れても差し支えない服装を選びましょう。また、作業する場所や作業台に新聞紙やビニールシートを敷いておくなど、汚れ対策を事前に済ませておくと安心です。ゴム手袋(ビニール手袋でも可)をつけて作業することも忘れないようにしてくださいね。
また、着色した花を乾燥させる工程の際には、乾燥台にインクが付着してしまう可能性が高いです。網などを使用してもいいですが、紙皿や紙コップなど使い捨てできるものを乾燥台として使うと、後片付けの際もラクになるのでおすすめです。
そこに花を固定するようにセットして乾燥させます。溶液が垂れるので、紙コップで作った乾燥台の下に紙皿をセットしておくと乾燥台の下の部分も汚れずに済みます。
「エタノール消毒液」の役割とは?
エタノール消毒液は、花の色を脱色させたり脱水させるために使用します。また、脱水・脱色だけでなく、染色した花を洗浄する際にもエタノール消毒液を用います。ドラッグストアなどで簡単に入手することができ、500mlほどのものであれば数百円で購入可能です。プリザーブドフラワー専用の脱水・脱色液というものも販売されているので、そのような専用品を購入して使用してももちろんOKです。
透明な容器を使用する場合には、アルミホイルなどを容器に巻いて遮光しておくと良いでしょう。
「精製グリセリン」はどのように使う?
精製グリセリンは、プリザーブドフラワーを作る際には「保存液」として使用します。精製グリセリンを花に吸わせることで、生花のような質感と自然な色合いをキープすることができるのです。また、自然な色合いを保つことにも繋がります。
精製グリセリンはそのまま使用するのではなく水と合わせて「グリセリン液」にし、さらに着色に必要となるインクなどの着色料も加えて使用します。エタノール消毒液と同様に、ドラッグストアなどで購入可能です。
花材の選び方
プリザーブドフラワー作りで最も大切なのが、花材選びです。プリザーブドフラワーに仕立てる花は、なるべく新鮮な状態なものを用意しましょう。花びらが萎れているものや傷がついているものは仕上がりが悪くなるため避けてくださいね。また、付け根が茶色く変色している花も鮮度が落ちているためNGです。ふっくらと張りのある見た目で、花の色が良いものを選ぶことが、プリザーブドフラワーの仕上がりを良くするためのポイントです。
- 葉っぱ・・・色艶が良く、張りのあるもの。葉っぱが枯れているものは避けましょう。
- 茎・・・茶色く変色しているものは避けましょう。切り口が変色しているものは、鮮度が落ちている証拠。
- ガク・・・意外と見落としがちですが、ガクの状態からも鮮度がわかります。ガクが変色しているものは避けましょう。
また、プリザーブドフラワーに仕立てる花を選ぶ際には、「6分咲き〜7分咲きの花」を選ぶようにしましょう。完全に咲ききっている花を選ぶと、花びらが散りやすくなり加工している段階で花びらがバラバラになってしまう可能性があります。また、バラバラにならなかったとしても、枯れやすくなってしまうこともあるので避けた方が無難です。
プリザーブドフラワーに「向いている花」と「不向きな花」とは?
鮮度や咲き方だけでなく、花の種類によってもプリザーブドフラワーの仕上がりは変わってきます。一般的に、プリザーブドフラワーに仕立てるのに向いている花は「花びらが分厚く、花びらが散りにくいもの」といわれています。具体的には、バラやカーネーション、アイビーや紫陽花などがおすすめです。
逆に、「花びらが薄く、散りやすいもの」は加工している間に花びらがバラバラになり崩れてしまうので、プリザーブドフラワーには不向きだといわれています。桜やコスモス、アネモネやスイートピーなど花びらの薄いものはプリザーブドフラワーにするのは避けましょう。
- 向いている花・・・花びらが分厚く散りにくいもの(バラ、カーネーション、アイビー、紫陽花など)
- 不向きな花・・・花びらが薄く散りやすいもの(桜、コスモス、アネモネ、スイートピーなど)
プリザーブドフラワーに必要な道具と花材について、詳しくご紹介してきました。道具と花材の準備ができたら、プリザーブドフラワー作りを始めていきましょう。ここからは、基本の作り方の手順をご紹介します。
プリザーブドフラワーの作り方の手順
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STEP. 1
花を水切りする(下準備)
まずは下準備として、花の水切りを行います。
プリザーブドフラワーを作る際には、新鮮な花を使用することが大切です。
水切りを行いしっかりと花に水を吸わせておきましょう。
新鮮な花を使うことで、保存液や着色液をしっかりと吸い上げることができるようになります。
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STEP. 2
脱水と脱色を行う
続いて、花の水分と色を抜いていきます。
花全体がつかる大きさの容器にエタノール消毒液(脱色液)を入れ、手袋とピンセットを使用しながら花材を全て沈めていきます。
花を脱色液に沈めた状態で、直射日光の当たらない場所で2~3日置きます。
色が抜けているかの判断は、ガクの状態を目安にしましょう。ガクが白っぽくなっていたら引き上げてOKです。
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STEP. 3
グリセリン液を作る
脱水と脱色が完了したら、花に着色をしていきましょう。
まずは、精製グリセリン+水でグリセリン液を作ります。
そして、グリセリン液とインクなどの着色料を混ぜていきます。着色料は、グリセリンに対して数滴でOKです。
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STEP. 4
花に着色する
グリセリン液が完成したら、ピンセットとゴム手袋を使用しながら花を液の中に沈めていきます。
しっかりと空気を抜いて花をグリセリン液に沈めることが大切です。
そのまま1~2日つけ置きします。着色液の浸透具合は、花の種類によって異なります。様子をみながら調整していきましょう。
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STEP. 5
洗浄する
花全体に色が吸収され、着色が完了したらピンセットで花を取り出しバットに置きます。
再び脱色液(エタノール消毒液)を容器に入れ、そこに取り出した花を沈めていきます。
脱色液内でをそっと花を揺り動かし、花の表面についている着色液を落としていきましょう。手早く行うことが大切です。時間をかけるとせっかく染まった花が脱色してしまうので注意してください。
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STEP. 6
乾燥させる
脱色と着色が完了したら、紙コップで作った乾燥台に花をのせて花を乾燥させましょう。
今回は使い捨てができる紙コップでの乾燥台をご紹介していますが、水切りネットや猫よけネットを乾燥台として使用することも可能です。
自然乾燥の場合は、直射日光の当たらない場所に2~3日ほど置いておきます。
早く乾燥させたい場合には、シリカゲルなどの乾燥剤を使用してもOKです。
乾燥にかかる日数は、花のサイズや環境(湿度や温度)によっても異なります。花の様子をみながら、乾燥させる日数を決めるとよいでしょう。
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STEP. 7
完成
着色液が残ってしまうと、花びらがベトベトになってしまい色移りする原因にもなってしまいます。脱色が始まらないように注意をしながらも、洗浄をしっかりと行うようにしましょう。
また、洗浄の際の脱色液は、新しいものを準備することをおすすめします。
下記の動画では、市販の専用液を用いたプリザーブドフラワーの作り方をご紹介しています。参考になさってください。
まとめ
今回は、プリザーブドフラワーについての基礎知識や、プリザーブドフラワーを作る際に必要な道具や花材の選び方、作り方の手順について詳しくご紹介しました。プリザーブドフラワーは長く飾ることができる花として人気のアイテム。自分でお気に入りの花を使って作ることができたら、さらに楽しみの幅も広がりそうですね。
道具や材料の準備などもぜひ本記事を参考にしていただきながら、プリザーブドフラワー作りに挑戦してみてくださいね。手作りしたプリザーブドフラワーは、ブーケやボックスフラワー、フレームアレンジなどのアイテムにも活用できます。大切な方へのプレゼントなど、さまざまなシーンで活躍させることができますよ。
- プリザーブドフラワーの日本での寿命は2年〜3年ほど。直射日光や高温多湿な場所を避けて飾ることで、良い状態で長期保存が可能
- 綺麗なプリザーブドフラワーを作るためには、バラやカーネーション、紫陽花のような花びらが厚く、散りにくいものを選ぶことが大切
- プリザーブドフラワーは手作りする際には、洗浄をしっかりと行うことがポイント。着色料をしっかりと洗浄することで、花同士の色移りを避けることができる