食欲を抑える方法とは?今すぐできることと身につけたい生活習慣
記事の監修
岩川 祥子
管理栄養士・サプリメントアドバイザー
管理栄養士、サプリメントアドバイザー。
その他、ファスティングインストラクター、美肌食マイスターなど、「食」について数多くの資格を持つ。
ローフードマイスター名古屋守山東校を開校後、セミナー講師や食事指導を行いながら、専門家として多くの記事やコラムを監修。
日々、臨床現場での食事指導を続けながらも、イベント出演や料理教室を精力的に行うなど、活動は多岐に渡る。
Instagramやブログなどでは女性の健康をサポートする情報を発信している。
食欲がどうしても止められなくて、つい食べ過ぎてしまう…という人は少なくありません。美味しいものを食べることは楽しみでもありますが、思うがままに食べ続けていると、気がつかないうちにカロリーオーバーになってしまうことも。健康的な食生活を送るには、ご自身で食欲をコントロールすることも大切です。
そこで今回は、食欲を抑える方法をご紹介していきます。食欲を落ち着かせて適量の食事でストップしたい、間食の摂り過ぎを防ぎたいという場合には、本記事でご紹介する方法をぜひ試してみてくださいね。
- 簡単に食欲を抑える方法を知りたい方
- ダラダラ食べてしまう、間食を摂り過ぎてしまうという方
- 効率よくダイエットして健康的な身体をつくりたい方
目次
食欲が止まらなくなるのはなぜ?
健康な状態なら、本来空腹になったときに食欲を感じます。身体が栄養やエネルギーを必要としている状態ですので、空腹なときに食欲を抑える必要はありません。ところが、空腹ではないのに食欲を抑えられない場合は注意が必要です。それには、下記のような要因が考えられます。
- ストレスや疲れなどの心理的要因
- 不規則な食生活や睡眠不足
- 過度な食事制限による栄養不足
ストレスや疲れ、不安などがあり精神的に満たされていない状態では、食欲が湧きにくくなりそうですよね。ですが、逆に食べることで満たそうとすることから食欲が強くなる場合もあるのです。たとえば、疲れたときに甘いものを食べるとリラックスできますが、それがやめられなくなり結果的に食べ過ぎにつながるケースも。
また、食事のタイミングが不規則だと「空腹になって食欲が出る」というリズムが崩れやすくなり、食欲がダラダラ続く原因になります。睡眠不足は脳の働きやホルモンバランスを乱し、食欲のコントロールを鈍らせます。食事制限のし過ぎも、かえって反動による食欲増進を招くことに。まずは、このような要因がないか見直すことが、食欲を抑えるための大切な一歩です。
食欲を抑える方法は2パターンある
食欲は、衝動的に湧いてくる場合と、ダラダラと続く場合があります。今湧いてきた食欲をすぐに抑えたいときに効果的な方法と、継続して食欲を上手にコントロールするために行う方法は異なります。そこで、ここからは、衝動的な食欲を抑える「短期的な対処法」と、日常的に食欲を抑える「長期的な対処法」の2パターンに分けて、具体的な方法をご紹介していきます。
- 短期的な対処法:すぐに食欲を抑えたいときに効果的。湧いてきた食欲を止めたいときに実践する
- 長期的な対処法:普段から食欲を抑えるために行う。ただしすぐには効果が出ないため、継続する必要あり
今すぐ食欲を抑える方法(短期的な対処法)
食べたいけれど我慢しないといけないという状況は、とても辛いですよね。そこで、食べたいという気持ちがなくなるような行動をとることで、食欲を抑えましょう。美味しそうな食べ物のあるお店に行かない、食べ物を目の前に置かないということは大前提として、「何か食べたい」と思ったら次のようなことを試してみてください。
歯みがきをする・ガムを噛む
口の中が寂しくなると、ついつい食べたくなりますよね。食欲を抑えたいときは、歯みがきをして口の中をさっぱりとさせましょう。清涼感のあるミント系の歯みがき粉を使うとより効果的です。歯みがきをした直後は食べても美味しく感じにくいですし、きれいな状態を維持したいという意識が働きやすいため、食欲を抑えられます。マウスウォッシュやマウススプレーを使う方法もおすすめです。
また、ガムを噛んで気を紛らわせることもできますね。ミント系のフレーバーを選べば、歯みがきと同様に清涼感を得られます。さらに、噛むこと自体も満腹中枢を刺激し食欲抑制に役立つといわれています。
水分(水やお茶)を摂る
食欲のまま何か食べるのではなく、水やお茶を飲んで一息つくというのも効果的です。口の中が寂しいという気持ちが落ち着きますし、喉が潤うことで食欲が一時的に抑えられます。カフェインの入ったコーヒーや紅茶のほか、ハーブティーやレモン水などもおすすめです。また、炭酸水もお腹が膨れやすくなるため、食欲を抑えたいときに飲むといいでしょう。
ただし、これらの飲料は腹持ちがいいわけではありません。食欲が湧くたびに摂る必要がありますので、すぐに飲めるように手元に置いておくといいかもしれませんね。
砂糖のたっぷり入ったミルクティーや、フルーツジュースなどはカロリーも高いため不向きです。
身体を動かす・掃除をする
すぐに食べられる環境から身を遠ざけましょう。家から出て散歩をしたり、ストレッチをしたりして身体を動かすと気が紛れます。また、掃除などの家事や時間のかかる作業を始めるのも効果的。食べ物以外のことに意識を向けて集中することができると、食欲が落ち着くケースは多いです。
特に、トイレや排水口など、水回りの掃除をするとぬめりやゴミを目にすることで食欲がなくなりますよ。身体を動かすとカロリーも消費できますし、掃除をすれば家の中もきれいになり一石二鳥。無理のない範囲でぜひやってみてください。
運動後はまず水分補給をしてから、食べ過ぎに気を付けながら間食を摂ってもOKです。
(間食の摂り方については後ほどご紹介します)
食欲がなくなるようなものを見る
美味しそうな食べ物の画像や映像を見ると、自然と食欲が湧いてきますよね。その逆で、たとえば気持ちの悪い虫や怪物など、食欲がなくなるような画像や映像をわざと見るという方法もあります。水回りの掃除やゴミ処理を行うのと同じ効果が期待できるでしょう。また、ホラー映画を見ながらごはんをもりもり食べる人はあまりいませんので、恐怖映像などもおすすめです。
このように、視覚や嗅覚からアプローチして食欲を抑える方法も、やや荒療治的ではありますが効果は期待できます。ただし、本当に気分が悪くなってしまう場合もあるため、最終手段として頭の片隅に置いておくくらいがいいかもしれません。
普段から食欲を抑える方法(長期的な習慣)
これまでは一時的に食欲を抑える方法をご紹介してきました。ここからは、習慣的に食欲をコントロールする方法をお伝えしていきます。基本的には、食欲が止まらなくなってしまうような生活習慣を見直し改善することが大切。それに加えて、食事の仕方を中心に日常的な行動の中でできることを実践していきましょう。
- 食事の仕方:1日3食規則正しく、よく噛んで、腹8分目を心がけて食べる・食べ終わったらすぐに片付ける
- 生活習慣:ストレスを溜めない・睡眠を十分にとる
これらの方法について、一つずつ詳しく見ていきましょう。
1日3食規則正しく食べる
空腹になったら自然と食欲が湧くというリズムを整えるためには、規則正しい食生活が重要です。1日3食だいたい決まった時間に食事を摂ることで、食事の前にお腹が空き、食事が終われば食欲が満たされるようになります。逆に1日1食や2食で済ませてしまうと、空腹の時間が長くなり食欲が落ち着かず、ダラダラ食べを招いてしまいます。
また、3食規則正しく食べることで、インスリンの過剰な分泌を抑えることができます。空腹が長引いた状態で食事をすると血糖値が急上昇しやすくなるのですが、それを下げるために分泌されるホルモンがインスリンです。インスリンの過剰分泌は食欲の増加を招くため、規則正しい食事で予防するようにしましょう。
参考元:医療法人社団慈昂会
よく噛んで食べる
同じ食事でも、早食いとよく噛んで時間をかける食べ方では、食後の満足度が違います。それは、噛むことにより満腹のサインが脳に伝わりやすいからです。よく噛んで食べることを習慣づけると、少量の食事でも満腹感を得やすくなるため、食欲を抑えることができます。
また、噛むことで脳内物質が働き、内臓脂肪の分解が促進されるそうです。唾液が分泌されやすくなることで、消化も促されるというメリットもあります。早食いの習慣がある人はそうでない人に比べて肥満になりやすいという研究報告も出ています。早食いは避けて、1食あたり20分以上を目安に時間をかけて食べるようにしましょう。
参考元:農林水産省
腹8分目を心がける
食事を毎回満腹になるまでガッツリ食べていると、満腹になるまで食べるのが当たり前になってしまいます。そのため、少しでもお腹が空いてくると口寂しくなりやすいのです。そこで、普段から腹8分目くらいの食事量を定着させることで、満腹ではない状態を通常運転だと身体に覚えさせましょう。「満腹じゃないと満足できない」という状況から脱却できれば、食欲をコントロールしやすくなります。
家族で食事を摂る場合、大皿料理で好きなだけおかわりできるという環境はおすすめできません。自分がどれだけ食べたかわかりづらくなってしまいますし、好きなだけ食べられてしまうため危険です。あらかじめ8分目を目安に取り分けた量だけを完食し、おかわりはしないことを習慣づけましょう。
また、食事の内容も大切です。食間の食欲を抑えるには、腹持ちのいい食べ物を取り入れるのがおすすめ。下記のような食品を調理に使用しながら、腹8分目を目安に規則正しく3食摂りましょう。
- 高タンパクな食品:脂質の少ない肉類(鶏ささみなど)・魚類、チーズ、ヨーグルト、鶏卵、大豆製品(納豆、豆腐など)
- 食物繊維の多い食品:こんにゃく、きのこ類、海藻類、根菜類、玄米、オートミールなど
- 良質な脂質を含む食品:ナッツ類、アボカド、青魚など
脂質は腹持ちがいいですが、たんぱく質に比べて高カロリーです。摂取し過ぎると肥満を招きやすいため、脂質の多い食品は特に食べ過ぎに気を付けましょう。
食後は速やかに片付け歯みがきをする
食事が終わってもダラダラと食べ物をつまんでしまうのはNG。規則正しい食生活にするには、メリハリをつけることが大切です。食事が終わったら速やかに食器を下げて、そのまま片付けてしまいましょう。食後に食器や調理器具を片付けることで、腹8分目でも食事が終わったと区切りをつけやすくなります。
さらに、片付けが終わったら歯みがきも済ませてしまうのがおすすめ。歯みがき自体にも前述のように食欲を抑える効果がありますので、食後に何かつまみたくなる欲求を紛らわせることができますよ。
日持ちするものの場合は、保存容器に詰めて冷蔵庫に入れるか、冷凍保存してしまいましょう。
食事の時間以外は、食べ物が目に入らないような環境づくりを心がけることが大切です。
ストレス発散や趣味に没頭する時間を作る
何もすることがなくてボーっとしている時間は、口寂しくなってつい食べ物をつまんでしまいがち。また、溜め込んだストレスを食欲を満たすことで発散する方も少なくありません。ですが、それらを食べること以外に向けてみましょう。たとえば、ウォーキングやジョギングなどの軽い運動や、読書、音楽鑑賞、ハンドメイド、ガーデニングなど、日常的に楽しめる趣味を持っておくのがおすすめ。趣味に没頭することで、食欲が抑えられます。
また、スポーツ観戦や観劇、音楽ライブ参戦などの非日常的な趣味も、ストレス発散に役立ちます。料理やお菓子作りなど、食に関する趣味とは別に没頭できるものを見つけると、食べ物をつまむ暇がなくなり食欲が落ち着きますよ。
その結果、食欲を抑制しようとするセルフコントロール力も高まることが期待できます。
睡眠をしっかりとる
睡眠不足が続くと疲労感が残ってしまい、重度になると生活にさまざまな支障をきたします。それだけでなく、食欲に関しても睡眠不足はマイナスに働いてしまうのです。睡眠が足りないと、ホルモンバランスが崩れやすくなることはよく知られています。食欲の調整に関わる「レプチン」というホルモンは、睡眠不足により減少してしまうといわれています。レプチンを正常に分泌させて食欲を抑制するためにも、睡眠は十分にとるようにしましょう。
参考元:医療法人社団慈昂会
食欲に負けてしまったら?
食欲を抑える方法について、短期的な方法・長期的な方法に分けてご紹介してきました。これらを実践しながら、食欲を上手にコントロールしていきましょう。ただ、やはり人間ですのでときには食欲に負けてしまうこともありますよね。いろいろな対策をしてもどうしても食べたい、気を紛らわせるのが難しい…という場合は、無理に我慢する必要はありません。
どうしても食欲を抑えることができないときは、潔く食べてしまいましょう。ただし、食べてから後悔しないために、2つのポイントを押さえておくことをおすすめします。
- 間食の目安カロリーを守って食べる
- 食べた分だけ消費する
この2点を心がけていれば、食欲に負けてしまうことがあっても大丈夫です。間食の摂り方と摂取と消費の調整の仕方について、もう少し詳しく見ていきましょう。
間食の上手な摂り方
1日3食の食事以外に食べるものを間食といいます。子どもの場合は「おやつ」として、食事で不足するエネルギー源や栄養素を補給するという重要な役割がありますね。大人の場合も本来の意味合いは同様ですが、基本的には食事のみで必要なエネルギーを摂取できるケースが多いです。そのため、間食は栄養素の補給というよりは、楽しみの一つとして位置づけられているのではないでしょうか。リラックスできるなど精神面での効果は高い反面、注意も必要です。
成人の間食による摂取エネルギーの目安量は1日あたり200kcalまでとされていますので、この目安量を超えないように低カロリーなものを選ぶといいでしょう。気軽に食べられて腹持ちのいい高タンパクな食品(チーズやゆで卵など)に、こんにゃくゼリーなど、噛みごたえがあり食物繊維を含む食品を組み合わせるのがおすすめです。
半分にカットして食べるか、カロリーを摂り過ぎた場合は次の食事量を調整するなど、工夫が必要です。
参考元:厚生労働省
食べた分だけ運動する
間食に限らず高カロリーなものを食べてしまった、今日は口寂しいことが多くていろいろつまんでしまった。そのような日は、摂取カロリーがいつもより多くなっている可能性があります。食事から摂取したエネルギーが、基礎代謝や運動による消費エネルギーを上回る状態が続くと、やがて太ってしまいます。逆にいえば、摂取した分だけ消費すれば、太らずに済むのです。
そのため、間食でケーキをまるまる1個食べてしまったというようなときは、いつもより運動量を増やしてエネルギーを消費しましょう。食事量を減らすか低カロリーな食品中心の献立にして、トータルのエネルギーを調整することに加え、消費エネルギーを増やすことも意識すると効果的です。
「絶対に食べてはいけない」「食欲を抑えなければいけない」と神経質になり過ぎるよりも、「食べてしまったら他でカバーしよう」というくらいの気持ちでいた方が、ストレスも溜まりにくいのではないでしょうか。
まとめ
食欲を抑える方法を考えるときは、まずご自身の生活習慣を見直すことから始めましょう。睡眠不足や食生活の乱れがないか、ストレスが溜まっていないかというところからチェックし、改善することも食欲を抑えるのに役立ちます。
今すぐに食欲を抑えたいときには、歯みがきなどで口腔内をすっきりさせるという簡単な方法をはじめ、他の作業をするなど食べ物をつまめる環境を遠ざけて気を紛らわせるといいでしょう。
ですが、あくまでもそれは一時的な方法。長期的に考えるなら、腹持ちのいい高タンパクな食材、食物繊維を豊富に含む食材を使った献立で、1日3食規則正しく食べることが効果的です。睡眠の充実や適度な運動、ストレスの緩和も併せて意識し、ときにはほどよく間食も取り入れながら、無理なく食欲をコントロールしていきましょう。
- 食欲を抑える方法には、その場限りで役立つ短期的な方法と、継続が必須な長期的方法がある
- 日常的に食欲をコントロールしたい場合は、生活習慣の見直しやストレス緩和などの心理的なアプローチも必要
- 間食は目安カロリーを守れば摂ってもOK!食べ過ぎてしまった場合はその分運動して消費しよう
記事の監修
岩川 祥子
管理栄養士・サプリメントアドバイザー
管理栄養士、サプリメントアドバイザー。
その他、ファスティングインストラクター、美肌食マイスターなど、「食」について数多くの資格を持つ。
ローフードマイスター名古屋守山東校を開校後、セミナー講師や食事指導を行いながら、専門家として多くの記事やコラムを監修。
日々、臨床現場での食事指導を続けながらも、イベント出演や料理教室を精力的に行うなど、活動は多岐に渡る。
Instagramやブログなどでは女性の健康をサポートする情報を発信している。