花冠を手作りしよう!花材別の下準備と作り方
美しい花を1輪ずつ繋げた花冠。結婚式で花嫁さんや可愛いフラワーガールが頭に着けている姿が思い浮かびます。ドレスに合わせたデザインの花冠は可憐で美しく、印象に残りますね。そのほかにもフォトスタジオでの撮影や、友人同士のパーティの際にみんなで着けるなど、特別感を演出するアイテムとして人気があります。
ところが、いざ花冠を使おうと思っても、あまり販売されているところは見かけないものですね。それならいっそ自分で作ってみようと思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、花冠の作り方をご紹介します。ワイヤリングやテーピングといった下準備の方法から、生花やプリザーブドフラワーなど花材別の作り方までお伝えしますので、参考になさってくださいね。
- 自分好みの花冠を作ってみたい方
- フラワーアレンジメントに挑戦したい方
- ワイヤリングやテーピングの仕方を知りたい方
目次
懐かしいシロツメクサの花冠
子どもの頃、野原に咲いているシロツメクサを摘んで花冠を作ったことはありませんか?シロツメクサ(白詰草)の別名は、四葉が見つかるとラッキーとされているクローバー。春から初夏にかけて白い花が咲きます。ここでその作り方を思い出してみましょう。茎をつけたまま20輪ほど摘んでから始めます。
シロツメクサの花冠の作り方
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STEP. 1
2輪を交差させる
1輪は縦に、もう1輪はその上に交差するように乗せます。
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STEP. 2
縦に置いた花の茎にもう1輪を巻きつける
縦の花の茎が芯になります。
横向きに置いた花の茎を芯に一周させたら、茎の先を上から出して、芯の茎と平行になるように合わせます。
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STEP. 3
同じ作業を繰り返す
次の花をまた横向きにして芯の上に乗せ、STEP 2の作業を繰り返していきます。
輪になるように形作りながら進めましょう。
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STEP. 4
輪にする
花1輪分の間を空けて、最初の花の部分と茎の束を合わせて輪にします。
空いているところに1輪加えて茎を巻きつけて留めます。
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STEP. 5
完成
小さければブレスレット、大きく作ればネックレスになりますね。
下記の動画では、シロツメクサの花冠の作り方をご紹介しています。参考にしてみてください。
それでは、ここからは結婚式やフォトシューティングのときに使われる花冠の下準備についてお伝えしましょう。
花冠作りの下準備
花材にはワイヤリングやテーピングをします。このため、ワイヤーやフローラルテープが必要ですが、花材の種類によって使用する材料が若干異なるので、予め調べてから必要なものを揃えましょう。材料は花材の専門店や手芸品店、ホームセンターなどで購入できます。店舗によっては100円ショップでも揃えられますよ。
花冠に使われる花材には生花、プリザーブドフラワー、ドライフラワー、アーティフィシャルフラワーなどがあります。ハサミはそれぞれの花材に合わせたものを準備してください。花や枝ものだけでなく、細いワイヤーも切れるタイプが便利です。
一般的なフラワーアレンジメント用のハサミではなく「アーティフィシャルフラワーシザー」や「ワイヤーカッター」と書かれている商品を選びましょう。
ワイヤリングとは
花材にワイヤーをつけることをいいます。ワイヤリングすると、茎の長さを自由に変えられる、ワイヤーを曲げることで花の向きを固定できるなどのメリットがあります。フラワーアレンジメントには欠かせない手法のひとつです。
ワイヤーは14番から30番まであり、全て偶数の番手が振られています。数字が小さいものほど太く、大きいものほど細いです。
ですが、「この花にはこの番手」といった細かな決め事があるわけではありません。また、花材の種類や作る人によってもどの番手を使うかに差があります。
状況に合わせて使いやすいものを選びましょう。
生花やプリザーブドフラワーの場合はワイヤーを直接花材に挿すため、滑りやすい裸ワイヤーを使用します。挿さずに茎に沿わせるときやドライフラワーで作る際も、裸ワイヤーを使います。
一方、アーティフィシャルフラワーの茎はつるつるした材質のものが多いので、滑りにくい地巻きのワイヤー(裸ワイヤーに薄い紙が巻かれているもの)を使用します。色は緑・白・茶色があります。
テーピングとは
ワイヤリングをしたあと、ワイヤーを目立たなくするためにフローラルテープで巻くことをテーピングといいます。フローラルテープには緑・白・茶色があります。多くの場合は茎と同化するように緑を使いますが、花冠の場合は髪の色に近づけるため茶色を使用することが多いです。
フローラルテープは少し引っ張ることで粘着力が出ます。ワイヤーに巻きつけるときは予めテープを伸ばしておきましょう。切るときは、ハサミを使わずに手でちぎることができます。
ワイヤリングの方法
フラワーアレンジメントのワイヤリングにはさまざまな手法があります。ここでは、花冠を作る際に知っておくと役立つ5つの方法をご紹介します。
生花やプリザーブドフラワー、ドライフラワーにワイヤーをかける際は、裸ワイヤーの24番や26番、28番を使用しましょう。花に挿す場合は、斜めにカットして先端を鋭くしておくと作業しやすいです。アーティフィシャルフラワーを使用するときは、地巻きワイヤーの22番・24番を準備してください。なお、インソーションメソッドの場合は、もう少し太い20番や18番のものを使用します。
ピアスメソッド
生花やプリザーブドフラワーで花の下の方が膨らんでいるものに向いている方法です。バラやカーネーション、トルコキキョウなどに用います。
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STEP. 1
裸ワイヤーを花に通す
茎を1.5㎝ほど残してカットします。
ガクの近くの膨らんだ部分に横向きに裸ワイヤーを通します。
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STEP. 2
下に折って茎に沿わせる
裸ワイヤーを折り曲げて茎に沿わせます。
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STEP. 3
裸ワイヤーをカットする
制作するものに合わせて長さを決め、ワイヤーが切れるハサミで切ります。
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STEP. 4
完成
下記の動画では、ピアスメソッドの仕方をご紹介しています。参考にしてみてください。
クロスメソッド
ピアスメソッド同様、生花やプリザーブドフラワーで行います。十字になるように裸ワイヤーを2本通すため強度が上がります。花の部分が大きくて重い花材(大輪のバラ、ユリ、カラーなど)に向いています。
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STEP. 1
裸ワイヤーを十字になるように花に通す
茎を1.5㎝ほど残してカットします。
ガクの近くの膨らんだ部分に横向きに裸ワイヤーを通します。
その後、90度回してもう1本、裸ワイヤーを通してください。
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STEP. 2
下に折って茎に沿わせる
裸ワイヤーを折り曲げて茎に沿わせます。
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STEP. 3
裸ワイヤーをカットする
制作するものに合わせて長さを決め、ワイヤーが切れるハサミで切ります。
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STEP. 4
完成
下記の動画では、クロスメソッドの仕方をご紹介しています。参考にしてみてください。
フックメソッド
生花のデイジーやガーベラ、ヒマワリなどの花芯に厚みがある花に使います。プリザーブドフラワーの場合は、ピアスメソッドをする前に花のヘッド部分を安定させる目的でも行います。特にバラによく使われる手法です。
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STEP. 1
裸ワイヤーの片方の先端を曲げる
裸ワイヤーの先端をペンチの先で掴んで曲げて、フックのような形にします。
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STEP. 2
花の上から裸ワイヤーを挿す
曲げていない方の先端を花の中心に挿して、茎に貫通させます。
茎が硬い場合は、茎を通さずに脇に出しても問題ありません。
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STEP. 3
フック部分を花芯の中に隠す
フックになっている部分が見えなくなるまで裸ワイヤーをゆっくり下に引っ張ります。
強く引っ張ると花が割れてしまうので、注意しましょう。
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STEP. 4
裸ワイヤーをカットする
制作するものに合わせて長さを決め、ワイヤーが切れるハサミで切ります。
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STEP. 5
完成
下記の動画では、フックメソッドの仕方をご紹介しています。参考にしてみてください。
ツイスティングメソッド
紫陽花など、ワイヤーを通すことができない花や枝分かれしているものなどに向いています。カスミソウのような小花を数本まとめる際もこの方法を使います。生花、プリザーブドフラワーのほか、ドライフラワーやアーティフィシャルフラワーなど全ての花材に使える手法です。
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STEP. 1
ワイヤーを曲げて茎に沿わせる
茎を1.5㎝ほど残してカットします。
茎が枝分かれしているところにワイヤーを引っ掛けると、花材が抜けにくくなります。
枝分かれしていない場合は、茎に沿わせるだけでOKです。
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STEP. 2
ワイヤーを3回巻きつける
曲げたワイヤーの一方と茎がずれないようにしっかり持って、もう一方を3回巻きつけます。
アーティフィシャルフラワーの場合は、きつく巻きましょう。
それ以外の花材はあまり力を入れると切れてしまうので、弛まない程度にしてください。
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STEP. 3
ワイヤーをカットする
制作するものに合わせて長さを決め、ワイヤーが切れるハサミで切ります。
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STEP. 4
完成
下記の動画では、ツイスティングメソッドの仕方をご紹介しています。参考にしてみてください。
インソーションメソッド
生花の場合は、茎の中に裸ワイヤーを通すことをいいます。ワイヤーが入ると、花をしゃんと立たせたり、茎に緩やかな曲線を作ったりと、アレンジメントに表情をつけることができます。ガーベラやスイートピーのように茎の中に空洞があるものや、茎が柔らかいカラーなどに用いられることが多いです。
アーティフィシャルフラワーでもよく使われる手法ですが、こちらは花材のヘッドパーツが取り外せるものに対して行います。元々の茎が太くてアレンジしにくい場合に、茎の部分を地巻きのワイヤーに替えて扱いやすくします。
ここでは、アーティフィシャルフラワーのインソーションメソッドのやり方を説明します。
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STEP. 1
花材から茎を抜く
多くのアーティフィシャルフラワーは、引っ張ると茎が抜けるようになっています。
元々茎が挿してあった部分は空洞になっているため、その穴を利用します。
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STEP. 2
グルーをつけて、地巻きワイヤーを挿す
ヘッドパーツの茎が挿さっていた穴に少しだけグルーを出します。
その後、20番か18番の地巻きワイヤーを挿します。
グルーは数秒で固まってしまうため、素早く行いましょう。
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STEP. 3
地巻きワイヤーをカットする
制作するものに合わせて長さを決め、ワイヤーが切れるハサミで切ります。
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STEP. 4
完成
それでは、花冠の作り方に移りましょう。ここでは、アルミワイヤーを土台にして1輪ずつ花材をフローラルテープで留めていき、後ろはリボンで結ぶデザインをご紹介します。
生花の花冠の作り方
生花は時間が経ったり、室温が高かったりすると傷みます。使用するときにきれいな状態を保っているように、注意して作りましょう。できあがったら、すぐに涼しい場所に移して保管してください。
- 生花
- アルミワイヤー(60㎝)
- フローラルテープ(茶色)
- ハサミ(生花と細いワイヤーが切れるもの)
- 水揚げ用の器
- 水
- 切り花の延命剤
- 24番の裸ワイヤー
- リボン(30㎝のものを2本)
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STEP. 1
花の水揚げをする
茎を2㎝ほど残して水の中で切った後、水を張った器に挿しておきましょう。
水の中に切り花の延命剤を入れておくと、花の持ちが良くなります。
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STEP. 2
アルミワイヤーをフローラルテープで巻く
花冠の土台になるアルミワイヤーにフローラルテープを巻いておくと滑りにくくなり、作業がしやすいです。
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STEP. 3
アルミワイヤーの両端に輪を作る
リボンを通すための輪を作ります。
端から4㎝のところでアルミワイヤーを曲げたら、フローラルテープで留めましょう。
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STEP. 4
全ての花にワイヤリングとテーピングをする
茎の部分の長さが3〜4㎝になるようにワイヤーをカットしてください。
小さく切ったコットンに水を含ませて茎の切り口に巻いておくと、花が長持ちします。
最後にテーピングしましょう。
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STEP. 5
アルミワイヤーに花をつけていく
アルミワイヤーに花を乗せたら、フローラルテープを巻いてワイヤーに取りつけます。
1輪つけたらテープの部分が隠れるように次の花を乗せ、またテープで固定します。
このときワイヤー部分を少し折ることで花の向きや高さを調節できます。
この作業を繰り返して端まで行ったら、最後の花のテープの部分を隠すように、1輪だけ逆向きに乗せ、花の間からテープを巻いて取りつけます。
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STEP. 6
リボンを取りつける
アルミワイヤーの端の穴にリボンを通して結びます。
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STEP. 7
完成
人気のカスミソウの花冠の作り方
ボリュームのあるカスミソウなら、1枝でも花冠ができあがります。ツイスティングメソッドだけで仕上げられるのもおすすめのポイント。そのままドライフラワーになるので、長く飾ることもできますよ。
- カスミソウ
- アルミワイヤー(60㎝)
- フローラルテープ(白)
- ハサミ(カスミソウと細いワイヤーが切れるもの)
- リボン(30㎝のものを2本)
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STEP. 1
アルミワイヤーをフローラルテープで巻く
花冠の土台になるアルミワイヤーにフローラルテープを巻いておくと滑りにくくなり、作業がしやすいです。
フローラルテープはカスミソウに合わせて白を使用します。
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STEP. 2
アルミワイヤーの両端に輪を作る
リボンを通すための輪を作ります。
端から4㎝ほどのところでアルミワイヤーを曲げたら、フローラルテープで留めましょう。
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STEP. 3
カスミソウを小分けしてワイヤリングとテーピングをする
カスミソウを枝分かれしているところから1.5㎝下で切ります。
2、3本ずつまとめてツイスティングメソッドでワイヤリングした後、テーピングします。
20束ほど用意してください。
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STEP. 4
アルミワイヤーにカスミソウをつけていく
アルミワイヤーに1束乗せたら、フローラルテープを巻いてワイヤーに取りつけます。
1束つけたらテープの部分が隠れるように次の1束を乗せ、またテープで固定します。
この作業を繰り返して端まで行ったら、最後の束のテープの部分を隠すように、1束だけ逆向きに乗せ、花の間からテープを巻いて取りつけます。
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STEP. 5
リボンを取りつける
アルミワイヤーの端の穴にリボンを通して結びます。
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STEP. 6
完成
プリザーブドフラワーやドライフラワーの花冠の作り方
プリザーブドフラワーやドライフラワーも生花と同じように裸ワイヤーとフローラルテープを使って下準備をします。生花と違って水切れの心配がないので、時間の心配をせずに前もって作っておけますね。また、数ヶ月はきれいな状態が続くので、しばらく飾って楽しむこともできます。
作り方は、生花の手順のSTEP 1の水揚げとSTEP 4のコットンを巻く部分を除いて、同じです。どちらの花材も軽いので、角度がつけやすいです。花だけでなく葉っぱや小枝も使うと、よりナチュラルな雰囲気が高まりますよ。ただ、デリケートな花材なので、やさしく扱ってくださいね。
フローラルテープを巻く際は、花冠はできるだけ動かさず、フローラルテープの方を回すようにしましょう。
予め30㎝ほどに切っておくと作業しやすいですよ。
アーティフィシャルフラワーの花冠の作り方
アーティフィシャルフラワーは比較的丈夫で、扱いやすい花材です。花の種類が豊富なのも嬉しいですね。また、年単位できれいな状態が続くので、思い出とともに長く飾れますよ。
先述のとおり、ワイヤリングの際は地巻きワイヤーを使用し、ツイスティングメソッドとインソーションメソッドの2つで対応できることが多いです。それ以外の点は、プリザーブドフラワーなどと同じ作り方でできます。小花を揃えて作れば上品で可愛らしいイメージになりますし、直径3㎝を超える花材で作ると、存在感のある花冠になりますよ。
できるだけ平らになるように、ワイヤーは交差させず、並行になるように合わせましょう。
下記の動画では、アーティフィシャルフラワーを使った花冠の作り方をご紹介しています。参考にしてみてください。
まとめ
花冠は顔周りをパッと華やかにするアイテム。ドレスやメイクと合わせると、普段とは一味違う素敵な雰囲気を楽しめるでしょう。
手作りする際は、花材の種類に合った下準備をしましょう。ワイヤリングにはいくつか種類がありますが、花材の特徴を見て、どのやり方にするか選んでくださいね。テーピングが済んだら、いよいよ花を組み合わせていきます。自分でデザインした作品ができあがっていくワクワク感を楽しみながら、素敵な花冠を完成させてくださいね。
- 花冠を作るときは、花材に合わせた下準備が必要
- ワイヤリングの仕方は花材の特徴に合わせて選ぶ
- 好みの花材を組み合わせて、花冠を作る楽しさを味わおう