エアプランツを加えておしゃれなインテリアに!おすすめの20種類をご紹介
記事の監修
古川 まさ美
インテリアコーディネーター
プラン数1200件以上の豊富な実績で、インテリアのお悩みやお好みを引き出すコンサルティングが好評。あなたが主役になる住空間をつくる、リノベーションのプラン、内装コーディネートが得意。
令和4年度 キッチン空間アイデアコンテスト入賞。
個性的でおしゃれな植物として人気のエアプランツ。熱帯アメリカの砂漠や山林が原産で、どこか異国の雰囲気が漂う見た目が、ほかとは一味違うインテリアを演出してくれます。気軽にグリーンをインテリアに取り入れたい方にはぴったりです。根が発達しないため、ハンギングやガラスの器、小物との組み合わせで、さまざまな飾り方ができる点も嬉しいですね。
ご自宅用に選びたい気持ちはあっても、とても多くの種類がありますし、それぞれに際立つ特徴がありますので、なかなか選びにくいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、育てやすさや見た目の特徴別におすすめの種類をご紹介します。エアプランツならではの育て方や飾り方もお伝えしますので、どうぞ最後までお読みください。
- エアプランツの種類について興味がある方
- エアプランツの育て方を知りたい方
- インテリアにグリーンを取り入れたい方
目次
エアプランツとは
エアプランツはチランジア(ティランジア)とも呼ばれており、交配種まで含めると1,500種以上あるといわれています。栽培にあまり手間がかからない気軽さに加え、何気なく置いておくだけでも様になる独特なフォルムで、インテリアグリーンとして人気を集めている植物です。
エアプランツとほかの植物の大きな違いは「根」にあります。一般的な植物は土の中に張った根から水分や養分などを吸収しますが、エアプランツの根の主な役割は、木の枝や岩石などに着生して株を固定すること。中には、根を発達させずに地表を転がりながら育つタイプや、葉の方を枝に絡めて生長する品種もあります。
その後、子株を出して世代交代をしたり、受粉して種を作ったりしながら5年ほど経つと枯れるため、平均的な寿命は10年前後といわれています。
ですが、品種や個体によって大きな差があります。
生長が早いものは5年ほど、逆にゆっくり大きくなる場合は30年以上生きるものもあるようです。
エアプランツには葉がシルバーグリーンの「銀葉種(ぎんようしゅ)」と緑色の「緑葉種(りょくようしゅ)」の2つのタイプがあります。ここからは、それぞれのタイプの特徴やおすすめの品種をご紹介します。
銀葉種のエアプランツ
葉の色がシルバーあるいは白に近い緑色をしているもののことをいいます。白っぽく見えるのは「トリコーム」という器官が全体を覆っているためです。銀葉種が自生している乾燥地帯では、雨や夜間に発生した霧の水分をトリコームが保持し、それを葉の表面の細胞で吸収しています。また、日中の強い日差しから身を守る役割も果たしています。
このトリコームのおかげで銀葉種は乾燥や強い光には比較的強いですが、原産地と環境が異なる日本では水分を蒸発しにくいため、蒸れないように配慮する必要があります。
初心者の方におすすめの育てやすい品種
「キセログラフィカ」は「エアプランツ(チランジア)の王様」とも称されていて、緩やかにカーブした葉が美しい品種。生長スピードはゆっくりですが、最終的には直径60㎝ほどになる大型種です。屋外で遮光した日光を十分に当てると、葉色が美しくなります。花は紫色で、2週間以上咲き続けますよ。
生長が早くて丈夫なのは「イオナンタ」。「菫色の花」という意味を持ち、その名のとおり紫の筒状花を咲かせます。一方で変種も多く「アルバ」や「ドゥルイド」は葉が黄色く染まり白い花を咲かせますし、葉が桃色に染まる「ピーチ」など魅力的な株も多いです。そのほか、有茎タイプや大型になるものもあります。
「ベルゲリ」は乾燥に強いだけでなく、耐暑性、耐寒性もあるので育てやすいです。茎があって、葉の部分が連なるように長く伸びていくタイプで、薄紫のきれいな花が咲きます。子株もよく出てくるので、群生させて育てる面白さも味わえます。
印象的な見た目のもの
細く細かい葉が生い茂って、長く垂れ下がるように伸びていく「ウスネオイデス」。「スパニッシュモス」とも呼ばれ、50㎝ほどに生長することもあります。原産地の中南米では緩衝材に使われていたそうですよ。以前は「細葉」タイプが多かったのですが、最近は少ししっかりした「太葉」も増えてきました。風に揺れる様子も素敵なので、ハンギングスタイルで飾りましょう。4〜5月に黄緑の小さな花が咲くと、夜に甘い香りが漂います。
「ドゥラティ」は細長い葉の先がくるくるとカールしていて、その葉を樹木の枝などに絡ませて自身を固定します。大株になると迫力満点で、紫色の香りのある花を何百輪も咲かせることもあるそうです。ご自宅でも棒状のものに絡ませて育てると、生長に伴って形を変えながら伸びていく様子を楽しめますよ。
一方、長くうねる葉を持つのは「カプトメデューサエ」。ギリシャ神話に出てくるメデューサの髪のような見た目から、この名がつきました。置かれた環境によって葉が伸びる方向に変化があり、時間の経過とともに少しずつ形を変えていく面白さがあります。赤紫色の花が咲き、子株も比較的出やすいです。葉が紫色に染まるカプトメデューサエ・パープルという品種もあります。
「ストレプトフィラ」は、乾燥しているときは葉が丸くカールし、水分があるときはしゅっと伸びるという、水分量によって姿が大きく変わる品種です。水やりを多めにして、ボードや岩に着生させると大きくなりやすいです。また、葉と葉の間に空間があってアリが住めるようになっています。アリの出す排泄物が栄養源となるため、共生するのだそうです。
美しいと評判の種類
「テクトラム」はトリコームが長く、ふわふわとした印象の美しいチランジア。ゆっくりと時間をかけて生長するタイプで開花もなかなかしませんが、きれいな紫色の花が咲きます。バラの花のような形に葉を展開するタイプに加え、茎を伸ばして縦方向に生長していくものもあります。
細めの葉が放射状に広がる「ハリシー」は丈夫で育てやすい品種。こちらも生長スピードは早くはありません。葉はやや多肉質で折れやすいので、優しく扱ってください。赤い花苞に紫色の筒状の花を咲かせる、観賞価値が高いエアプランツです。
かわいい名前の「コットンキャンディー」もおすすめ。「チランジア屈指の美花種」とも呼ばれ、ふわっとした葉にピンクの花が咲く様子が魅力的です。よく子株が出るので、群生させたり、株分けしたりして育てましょう。初心者の方にも育てやすい種です。
緑葉種のエアプランツ
緑葉種のエアプランツはトリコームが少ないので、葉の本来の色がよく見えます。中には緑1色だけでなく、斑点や帯状の模様のものもありますよ。原産地は熱帯雨林のジャングルなど湿度の高い地域で、木の枝や幹などに着生しています。このため銀葉種より水分を多く必要とし、強い光には弱いです。
土の代わりにバークチップや軽石、水苔を入れて栽培します。
それでは、緑葉種のおすすめ10種をご紹介しましょう。
緑葉種の定番品種
「ブラキカウロス」は広く出回っているので、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。比較的生長が早く、エアプランツ初心者の方にも育てやすい品種です。放射状に伸びる葉は開花時には緑から赤に変わり、紫色の花が咲きます。この独特な見た目で、インテリアのアクセントになることからも人気があります。
株が小さいうちはブラキカウロスと見分けがつきにくいほどよく似ているのが「カピタータ」です。カピタータの方が葉に厚みがあり、生長するとパイナップルの葉によく似た尖った形状になります。流通量が多いのはカピタータ・レッドですが、ほかにイエローやサーモン、そして40㎝以上になるモーブジャイアントなどもありますよ。
細くて硬い葉を持つのは「トリコロール」。根本は黒っぽく、全体としてシャープな印象です。赤と黄色の花序に紫の筒状の花を咲かせることから、トリコロール(3色)という名前がついたとされています。通常、葉の色は緑ですが、明るい場所で育てると赤くなります。そのまま置いておくよりも、着生させたり、素焼きの植木鉢で管理したりする方が安定して育ちます。
うねうねと葉が伸びる種類
「球根」という意味を持つ「ブルボーサ」は、その名のとおり、まるで球根のような壺型の株元から、細くうねった緑の葉が伸びていきます。開花時は花序が赤くなり、紫の筒状花を咲かせますよ。生長スピードは比較的ゆっくり。子株が付いたら、親株の1/3くらいの大きさになるまで待って株分けしましょう。
「ブッツィー」も壺型で人気のエアプランツです。独特の斑点模様を持った細長い葉がうねるように伸びていく姿が魅力的。先述の銀葉種「ストレプトフィラ」同様、屋外で育てるとアリが住みつき、共生することもあります。赤い蕾から紫の筒状の花を咲かせます。開花後は子株を多く出すので、群生させたい方に特におすすめです。
大型の緑葉種
「サマンサ」は、銀葉種のキセログラフィカの葉を緑色にしたような見た目。葉がやや薄く、夏はカーブすることがありますが、秋になるとまたハリが出てきます。黄緑色の花は肉厚でしっかりしていますよ。
「ストラミネア」は葉の数が増えるにしたがって茎が太くなり、大きく生長します。ハンギングで育てると新しい葉は上へ伸び、古い葉は下の方に垂れ下がっていきます。50㎝ほどになることもある存在感のある品種です。
さらに大きな株がお好みの方には「ファシクラータ」がおすすめ。80㎝まで大きくなることもあり、植木鉢で育てる方も多いです。葉はかなり硬く、紫や赤、黄色の花が咲きます。
細い葉が魅力的な品種
「フィリフォリア」には「針のように細い」という意味があるとか。その名のとおり、1mmほどの濃い緑色の葉が放射状に伸びています。乾燥すると葉の先から枯れてくるので、空気中の湿度が下がらないように注意しましょう。小さくて薄紫色の可憐な花を咲かせますよ。
「アンドレア」は、中央に咲くオレンジ色の花を包むように細い葉が伸びて球体を作る品種です。その美しい姿から「チランジアの宝石」とも呼ばれています。デリケートな品種なので、しっかり様子を見ながら育てましょう。
エアプランツの飾り方
さまざまな飾り方ができるのは、エアプランツの魅力のひとつでもあります。自由度の高いディスプレイをして楽しみましょう。エアプランツはとても軽いので、ハンギングスタイルでも飾りやすく、あまり場所をとらずに気軽にインテリアにグリーンを取り入ることができます。ひとつずつワイヤーなどで繋いで吊るすのもいいですし、ハンギンググラスやフィンランドのモビール、ヒンメリにセットするのも素敵ですね。
垂れ下がるタイプのものは、シンプルにフックに引っ掛けるだけでも素敵ですが、板やコルクボード、流木などに着生させて壁に掛けることもできます。長い間、水にさらされてきた流木は、独特の質感があり、砂漠が原産のエアプランツとの相性もバツグンで、個性的なインテリアを演出してくれるでしょう。
ここでは、エアプランツを板などに取り付ける方法をご紹介しましょう。
エアプランツの取り付け方
- エアプランツ
- 着生させる板や流木
- 電動ドライバー
- ワイヤー
- ペンチ
-
STEP. 1
エアプランツの枯れた根を取り除く
茶色くなった根を取り除くことによって見た目がよくなるだけでなく、蒸れにくくなり、さらに発根しやすくなります。
-
STEP. 2
フックをつける
吊るして飾れるように、板や流木などの上部にドライバーで穴を開け、ワイヤーを通してフックにします。
-
STEP. 3
エアプランツを固定する
板や流木の上で根が安定しそうな場所にエアプランツを置き、動かないように1〜2箇所固定します。
流木であれば、そのままワイヤーを一周させて、裏で捻っておきましょう。
板の場合はエアプランツの近くにドライバーで穴を開け、そこにワイヤーを通して裏で留めます。
-
STEP. 4
完成
また、一部の根が浮き上がってしまうときは、マスキングテープで貼り付けておくと着生しやすくなります。
どちらもホームセンターや100円ショップなどで手に入ります。
エアプランツはシンプルなプレートの上に置くだけでも絵になります。お気に入りの小物や雑貨と組み合わせて飾ると質感を統一でき、素朴な雰囲気を演出することができます。エアプランツは、色が目立ちすぎないので、どんなアイテムともマッチしますよ。
また、ガラスの器の中にウッドチップやカラーサンドを入れて、その上にエアプランツを乗せるのもおしゃれです。小さなサイズなら、可愛らしい雰囲気も作れますね。株が蒸れないように、間口が広いデザインのものを選びましょう。
良い株の選び方
店頭でエアプランツを選ぶときは、葉の傷みがなく、色がきれいなものを選びましょう。葉先が茶色くなっているものや、くすんでいるものは避けてください。株の根本も同様で、茶色やグレーに変色しているものはNGです。
また、株をそっと触ってみてスカスカになっている部分がないか確認してください。手で持ったときにとても軽い場合は、枯れていることも考えられます。
エアプランツは、園芸品店やホームセンター、インテリア雑貨店、100円ショップなど、さまざまなところで販売されています。店舗によって管理の状態に差があるので、購入の際は細部までよく見て、たくさんの商品の中から自分好みの1株を見つけてくださいね。
エアプランツの基本の育て方
エアプランツはあまり手間がかからないため、留守がちな方にも育てやすい植物とされています。また、土が不要で衛生的な点も嬉しいポイントですね。とはいえ、日当たりと風通し、水やりが大切なのは、一般的な植物と同様です。それぞれの株の特性に合った環境を整えて栽培しましょう。
枯れて茶色くなった根や葉があったら取っておきましょう。
通気性がよくなり、特に梅雨時は蒸れることで発生するカビを予防できます。
ここからは、エアプランツを栽培するのに向いている環境についてお伝えします。ディスプレイの仕方と合わせて、ご自宅ならどこで育てるか想像しながらお読みください。
場所を選ぶ
明るく風通しのいい場所を選びましょう。直射日光が当たると葉焼けしてしまうことがあるので、レースのカーテン越しの日が当たるような明るい場所がおすすめです。また、株は蒸れるとすぐに弱ってしまいます。特に水やりの後は、窓を開けたり、サーキュレーターを回したりするなど、空気が循環するようにしてください。ただし、エアコンの風が直接当たり続ける場所に置くのは、乾燥しすぎてしまうため避けましょう。
なお、エアプランツは気温が10℃を下回ると生長が止まります。冬場の窓際はかなり温度が下がるので、暖かい場所に移してくださいね。
水やりの仕方
エアプランツには、霧吹きを使って株全体に水をかける「ミスティング」という方法で水やりをします。頻度は春~秋は銀葉種が週に2回、緑葉種が週に2〜3回が目安ですが、冬はいずれも週1回程度に減らしてください。タイミングは夏場は夕方以降の涼しい時間に、冬は昼間に行いましょう。なお、冬でも一日中暖かい室温をキープできる場合は、夜にミスティングをしても問題ありません。
もうひとつの方法は「ソーキング」です。器に水を張り、エアプランツ全体を水に4時間ほど浸しましょう。普段の水やりに加えて月に1回程度行うことをおすすめしますが、特に乾燥が気にならない状態であれば行う必要はありません。逆に、水やりを忘れてエアプランツが乾燥してしまっているときには有効なので、是非行ってください。
ソーキングのあとはしっかり乾かすことがとても大事です。葉の間などに水が溜まったままになると、そこから腐ってしまうことがあります。逆さにするなどして大体の水分を取ったら、風通しのいい場所に置いて乾燥させましょう。
温度が低いと株への負担が増します。
まとめ
個性的な見た目で注目を集めるエアプランツ。一般的な植物とは一味違った雰囲気を楽しめるうえ、室内でも育てやすい種類のものが多いため、インテリアグリーンとして役立ちます。表面が白っぽい銀葉種と緑色の緑葉種の2種類がありますので、それぞれに合った育て方をして、おしゃれに飾りながら生長していく姿を楽しみましょう。
大型のものや葉がうねりながら伸びていくもの、群生するもの、花を囲むように丸くなるものなど、とても個性豊か。そのまま置くだけでも様になりますし、吊るして飾るのにも向いています。また、板や流木を用意して、ご自分で着生させるのも面白そうです。好みの品種を見つけて、インテリアにエアプランツを取り入れてみてくださいね。
- エアプランツには銀葉種と緑葉種の2種類がある
- エアプランツは日当たりと風通しのいい場所で乾燥気味に育てるのが基本
- 見た目が特徴的な品種が数多くあるので、好みのものをインテリアに取り入れよう
記事の監修
古川 まさ美
インテリアコーディネーター
プラン数1200件以上の豊富な実績で、インテリアのお悩みやお好みを引き出すコンサルティングが好評。あなたが主役になる住空間をつくる、リノベーションのプラン、内装コーディネートが得意。
令和4年度 キッチン空間アイデアコンテスト入賞。