さつまいもの正しい保存方法とは?季節や用途に適した方法を用いて長持ちさせよう!
記事の監修
平井 杏奈
管理栄養士・オンラインフードクリエイター
食に関わる資格を活かし、美容エステサロンで体調や減量に悩まれる方へ食事指導を担当。
その後、糖質オフやナチュラルな食品を中心として取り扱う飲食事業で商品企画や開発などを経験。
現在は、「安定した豊かな心とからだの健康を保つ食事」を広めるため、オンラインフードクリエイターとして独立。
日々、仕事や家事・子育てなど今を忙しく生きる全ての方へ向けた、食に関する記事の執筆やレシピ監修などの活動をしている。
野菜の中でも甘みのあるさつまいもは、大人だけでなく子どもにも人気の野菜ですよね。さつまいもの天ぷらや炒め物だけでなく、素材の味をそのまま楽しむことができる焼き芋、そのほかにもスイーツでもよく使われる食材です。子どもにも人気の食材のため、常備しておきたい!という家庭も多いことでしょう。
そこで今回は、さつまいもの保存方法についてお伝えします。長持ちさせる保存方法など、用途や季節に合わせた保存方法をぜひ試してみてくださいね。
- さつまいもの保存方法について知りたい方
- さつまいもが好きな方
- さつまいもを美味しく長持ちさせる方法を知りたい方
目次
さつまいもの基本
さつまいもは程よい甘みがあり、さつまいもの天ぷらやさつまいもご飯、ポタージュなどの料理から、シンプルな味が楽しめる焼き芋やデザートまで、他の種類のいもに比べて多用途に活用することができます。
また、日本各地でいろいろな品種のさつまいもが作られており、現在では、50〜60種類の品種が存在すると言われています。「紅あずま」や「紅はるか」、甘みに特徴がある「安納芋」などは、スーパーでもよく見かけ、私たちにも馴染み深い品種なのではないでしょうか。
中身が黄色のものが一般的ではありますが、中身まで紫色をしたものや、オレンジ色・白色のものなど、見た目も変わったタイプのさつまいもも存在しますよ。
様々なさつまいもを食べ比べてみるのも面白いかもしれませんね。
- ほくほく系・・・紅あずま・紅さつま・なると金時
- しっとり系・・・シルクスイート・クイックスイート
- ねっとり系・・・安納芋・紅はるか・べにまさり
さつまいもの旬
さつまいもの収穫は夏頃から始まります。しかし、収穫直後のさつまいもは主成分である炭水化物のほとんどがデンプンであるため実は甘くありません。収穫後に2〜3ヶ月ほど貯蔵して追熟させることで、デンプンの糖化が進み甘さが増して美味しくなります。
さつまいもの旬はやはり「秋」。収穫時期は9〜11月頃。そこから約2ヶ月貯蔵して追熟するため、食べ頃である旬は11月〜翌年1月頃。旬の時期はスーパーでもお手軽な価格で、甘さが増した美味しいさつまいもを手にすることが出来ます。
さつまいもの栄養素
さつまいもは、食物繊維が豊富に含まれています。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランス良く含まれており、便秘解消にも有効な野菜です。さらにさつまいもは、ビタミンCが豊富で、ほかにもβ−カロテンやカリウムなどが含まれています。
美味しいだけでなく、健康にも良い食材です。
ビタミンCは加熱によって壊れやすいといわれている栄養素ですが、さつまいものビタミンCは、デンプンに包まれているため流出しにくく、失われにくいため効率よく吸収することができます。
また、さつまいもを切ると、切り口から白い液体が出てきます。この白い液体はヤラピンと呼ばれる樹脂成分で、腸の運動を促進する働きがあり、さつまいもに多く含まれている食物繊維との相乗効果でお腹の中をキレイに整えてくれる効果があると言われています。
- 食物繊維・・・便秘解消
- β-カロテン・・・抗酸化作用
- ビタミンC・・・免疫アップ
- カリウム・・・むくみ予防
さつまいもを保存するには?
さつまいもを保存する際には、「温度」や「湿度」に注意をすることが大切です。温度や湿度に合わせた正しい方法で保存すれば、長期間保存をすることも可能ですよ。ただし、保存期間に関してはさつまいもの品種や保存する環境や季節によっても異なるため、状況に合わせた保存方法を選択するようにしましょう。
長期間ができる食材のため、定期的にさつまいもの状態を確認し、傷んだり腐ったりしていないかを確認するとよいでしょう。
実は寒さに弱い
さつまいもといえば、秋を代表する野菜というイメージですが、実はさつまいも自体は寒さに弱い食材なんです。
さつまいもは5℃以下の環境になるとさつまいも内の細胞が寒さで死んでしまう「低温障害」という現象を起こすと言われています。低温障害を起こしたさつまいもは、カットした時に断面に黒色の斑点が現れるなど、黒く変色してしまいます。
黒く変色してしまったさつまいもは甘さがなく苦味が強くなるため、切り取るのがよいでしょう。黒く変色した箇所のみ取り除けば、他の箇所を食べることもできます。
適した温度で保存管理しないことで、黒ずみなどの変色、食感の変化、変質、味の低下といった症状が出てきます。
さつまいもの保存に適した温度は?
さつまいもは5℃以下の寒い環境だと、上記で説明したように低温障害を起こしてしまいますし、20℃以上の高温の環境で保存すると傷みやすくなってしまいます。
そのため14℃〜16℃の環境で保存するのを意識するとよいでしょう。
季節別の保存する際のポイント
さつまいもは保存する際の温度に注意が必要となるため、季節によって適している保存方法も異なります。
春から夏にかけてさつまいもを保存する際には、気温が高くなる時期なので冷蔵庫で保存するようにしましょう。冷蔵庫で保管する際は低温障害が起きないよう野菜室に入れるのがおすすめです。
逆に秋から冬にかけての涼しい時期にさつまいもを保存する際には、基本的には常温保存をするとよいでしょう。
常温保存
ここからは、さつまいもに関するそれぞれの保存方法について詳しくお伝えしていきましょう。
さつまいもを常温で保存する場合、正しい方法で保存すれば約1ヶ月ほどの保存が可能となります。保存する際には、数本ある場合でもまとめて保存するのではなく、一本ずつ分けて保存するのがポイントです。
また、さつまいもを保存する際には水分や湿気にも注意が必要です。土がついた状態のさつまいもであっても水洗いは厳禁です。土がついた状態のまま保存するようにしましょう。土がたくさんついている場合には、水洗いはせずに軽く土を払うようにしましょう。
常温保存の手順
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STEP. 1
さつまいもを一本ずつ新聞紙やキッチンペーパーで包む。
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STEP. 2
紙袋や麻袋、段ボールなどに入れる。
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STEP. 3
風通しがよく、直射日光に当たらない冷暗所などで保存する。
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STEP. 4
完了
さつまいもに湿気や水分が触れてしまうと、傷みを加速させる原因となります。
万が一、さつまいもに水分が触れてしまった場合には、一度しっかりと乾かしてから保管するようにしましょう。
冷蔵保存
夏場などの20℃を超える時期には、さつまいもが傷みやすくなるので常温保存ではなく冷蔵庫の野菜室で保存をするようにしましょう。冷蔵保存の場合も、まとめてポリ袋などに入れて保存するのではなく、さつまいもを一本ずつ新聞紙やキッチンペーパーに包んで保存するようにしてください。さつまいもが苦手とする湿気や水分からも守ることができ、より長い期間保存することができますよ。
さらに、一本ずつキッチンペーパーに包んださつまいもをポリ袋に入れて保存することで乾燥も防ぐことができます。
冷蔵庫の野菜室保管なら約1か月もち、カット状態の水に浸した状態であれば3日ほどで食べ切ることが目安となります。水に浸して保存する方法の手順をご紹介しているので、そちらの方法もぜひ試してみてくださいね。
水に浸して冷蔵保存する手順
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STEP. 1
さつまいもを水洗いする。
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STEP. 2
サイズが大きすぎる場合は、さつまいもを適当なサイズにカットする。
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STEP. 3
さつまいもを保存容器に入れ、完全に浸る量の水を張る。
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STEP. 4
ふたをするかラップをかけて冷蔵庫で保存する。
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STEP. 5
完了
また、カットして保存する場合は、なるべく早く使い切るようにしましょう。
冷凍保存
さつまいもは収穫時期になると大量になることも。そんな時には、常温保存だけでなく冷凍保存も活用するのがおすすめですよ。冷凍保存する場合には、そのままの状態でなく、カットしたり加熱するなど一手間加えた状態で保存するのがよいでしょう。保存期間も約3週間〜最大1ヶ月程と長いため、重宝しますよ。
冷凍することで、味が落ちてしまうのでは?と思う方もいるかもしれませんが、さつまいもは冷凍保存をしても甘さなどは常温保存したものとほとんど変わりません。逆に時短調理に繋がったり、冷凍保存をすることで様々な料理にも使いやすくなる場合もあります。
今回は「生のまま冷凍する方法」と「加熱調理してから冷凍する方法」の2パターンをご紹介しています。ぜひ、さつまいもの冷凍保存も活用してみてくだいね。
生のまま冷凍保存する手順
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STEP. 1
さつまいもを水洗いする。
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STEP. 2
さつまいもを輪切りや短冊切りなどにカットする。
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STEP. 3
ボウルに水を入れ、カットしたさつまいもを2〜3分程水にさらしアクを抜く。
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STEP. 4
アク抜きをしたら、キッチンペーパーなどでしっかりと水気を拭き取る。
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STEP. 5
ジップロックなどの保存袋に平らになるように入れて冷凍庫で保存する。
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STEP. 6
完了
ボールなどに水を入れておき、カットしたらすぐに水にさらしアクを抜くことで、変色を避けることができます。
生のまま冷凍保存した場合には、なるべく早めに使い切ることを心がけましょう。
加熱調理してから冷凍保存する場合
続いては、加熱調理をした状態でさつまいもを冷凍保存する方法をご紹介します。
冷凍時に一手間加えるという手間はかかりますが、加熱調理しておくことで、解凍するだけですぐに調理に使えて、保存期間もより長くなるなどのメリットもあります。
①下茹でして冷凍する手順
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STEP. 1
さつまいもを水洗いする。
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STEP. 2
さつまいもを皮がついた状態で輪切り等にカットする。
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STEP. 3
電子レンジなどで加熱(下茹で)する。
※アク抜き不要。 -
STEP. 4
加熱したさつまいもを完全に冷ます。
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STEP. 5
冷ましたさつまいもを、ジップロックなどの保存袋に平らになるように入れて冷凍庫で保存する。
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STEP. 6
完了
- 電子レンジ・・・時間がない時におすすめ
- 鍋で茹でる・・・火が通るまでに時間はかかるが、しっとりとした食感に仕上がる。
- 蒸し器で蒸す・・・さつまいもの甘みをより引き立たせてくれる。
②マッシュしてから冷凍する手順
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STEP. 1
さつまいもを水洗いする。
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STEP. 2
さつまいもを皮がついた状態で輪切りにカットする。
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STEP. 3
電子レンジなどで加熱(下茹で)する。
※アク抜き不要。 -
STEP. 4
加熱したさつまいもを熱いうちに滑らかになるまで潰していく。
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STEP. 5
潰したさつまいもが冷めたら、ジップロックなどの保存袋に平らになるように入れて冷凍庫で保存する。
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STEP. 6
完了
- コロッケ
- サラダ
- ポタージュスープ
完全に冷めていない状態で冷凍保存すると、味の劣化につながったり、冷凍庫自体の故障にもつながります。
また、ジップロックなどの保存袋を使用する際には、空気をしっかりと抜いて保存するのがポイント。空気が残っている状態で冷凍保存すると腐りやすくなってしまいます。
美味しいさつまいもの選び方
美味しいさつまいもの選び方についてもご紹介しておきましょう。
スーパーなどでさつまいもを選ぶ際には、さつまいもの皮の色はもちろん、形状やひげ根などの状態も確認しながら選ぶのがおすすめですよ。鮮度の良いものを選んで美味しいさつまいもを味わいましょう。
皮の色
さつまいもを選ぶ際には、皮の色味が均一で鮮やかなものを選ぶようにしましょう。皮の色が良いものは健康に育っている証拠です。
さらに、皮の色が濃いさつまいもは、熟してる証拠だと言われています。また、はりと艶のある綺麗なさつまいもは鮮度が良い証拠なのでおすすめです。
形
品種によって違いはありますが、同じ品種の中で選ぶときには、できるだけ太くて丸々として、凸凹が少ないものがおすすめです。細いものは繊維が多く筋っぽいさつまいもであることが多いため、避けるようにしましょう。
一般的に、ずっしりと重みがあり、紡錘形(ぼうすいけい)と言われる、真ん中がふっくらと太っている形のものは、栄養分をたくわえた美味しいさつまいもだと言われています。
ひげ
快適な環境で育ったさつまいもはひげ根が少ないのが特徴です。さつまいもを選ぶ際には、ひげ根が少なく、均等にあるものがおすすめですよ。
ひげ根が多く、それぞれの根が太いさつまいもは、さつまいも自体が繊維が多く筋っぽいことが多いので避けるようにしましょう。
ただし、糖度が高いものは切り口に飴色の蜜が染み出てきます。黒い密の跡があるものは甘味のあるさつまいもの証拠になりますよ。
傷んださつまいもの見分け方とは?
さつまいもは、傷んでしまうとどんな状態になるかをご存知ですか?保存方法次第では、傷みやすくなってしまうこともあるので、傷んださつまいもの特徴についても把握しておくとよいでしょう。
さつまいもが傷んでくると、黒ずんできたり、カビが生えてきたりします。さつまいも全体が黒ずんでいるようであれば、既に腐敗が進んでいる可能性が高いため、食べるのは控えるようにしましょう。
カビが生えている場合には、表面の一部分のみであれば、その部分を取り除けば食べることも可能です。ただし、さつまいも全体にカビが生えているような状態であれば食べるのは避けて破棄するようにしましょう。
また、皮に張りがなくシワシワになっている場合は、水分が抜けて乾燥している可能性があります。この状態であれば、味が落ちてしまっていることがほとんどです。食べることは避けたほうが良いでしょう。
その他にもさつまいもに芽が生えてしまっている場合などは、芽の部分を取り除けば食べることは可能です。
見た目以外の変化
さつまいもが傷んでくると、見た目の変化だけでなく、匂いや触った感触にも変化が現れます。
酸っぱいような匂いがしたり、カビが生えている匂い、腐敗臭がしている場合には、食べるのを控えて破棄するのが賢明です。
また、触った感触がブヨブヨとしている場合も要注意です。さつまいもは新鮮なものであれば硬くて皮にはりがありますが、傷んでくると徐々に柔らかくなって皮のはりも失います。その他にも表面にヌメリを感じた場合は、さつまいもの腐敗が進行しているサインになります。
まとめ
今回は、さつまいもの正しい保存方法についてお伝えしました。さつまいもは温度管理が長持ちさせるためのポイントとなります。季節や気温に合わせて適切な保存方法を選択するようにしましょう。
また、基本の常温保存以外にも、冷凍保存なども活用しながら、日頃の調理時間の短縮にも上手に役立てられるといいですね。
甘味のある食材で大人から子供まで人気の高いさつまいも。正しい方法でさつまいもを保存をして、上手に使い切るようにしましょう。
- さつまいもには多くの品種が存在する。しっとり系、ほくほく系、ねっとり系など料理に合わせて品種を選ぶのがおすすめ
- さつまいもは基本的には常温での保存が適している。ただし、夏場の気温の高くなる時期には冷蔵保存をするのが良い
- さつまいもは寒さに弱いため、保存する時にも「低温障害」に注意が必要。14℃〜16℃の環境で保存するのが最適である
記事の監修
平井 杏奈
管理栄養士・オンラインフードクリエイター
食に関わる資格を活かし、美容エステサロンで体調や減量に悩まれる方へ食事指導を担当。
その後、糖質オフやナチュラルな食品を中心として取り扱う飲食事業で商品企画や開発などを経験。
現在は、「安定した豊かな心とからだの健康を保つ食事」を広めるため、オンラインフードクリエイターとして独立。
日々、仕事や家事・子育てなど今を忙しく生きる全ての方へ向けた、食に関する記事の執筆やレシピ監修などの活動をしている。