プラントベースでできる体と地球にやさしい蒸し料理3選
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。
沸騰した湯の蒸気で作る蒸し料理は、茹でる、煮る調理と違って水中で加熱する料理ではありません。そのため野菜などに多い水溶性のビタミンが、水分中に溶け出すことが少なくなります。また、油を使う焼く、揚げる調理とは違って、油分が少なくカロリーをおさえたヘルシーな料理になります。
今回は、蒸し料理のメリットやデメリット、そしてヴィーガンやベジタリアンの方にもおすすめな「プラントベース」のレシピもご紹介いたします。
- 蒸し料理とはどんなものか学びたい方
- 蒸し料理のメリットやデメリットを知りたい方
- 蒸し料理を使ったプラントベースのレシピを作りたい方
目次
ヘルシーな調理法の蒸し料理
蒸し料理は、蒸籠(せいろ)や鍋を使って蒸気を85度から100度に保ち加熱する調理方法です。煮たり、茹でたりする調理と違って水中に栄養素が流れ出すことも少なくなります。また、焼いたり、揚げたりしないので油の量もおさえられヘルシーな料理になります。
蒸し料理のメリット
蒸し料理には、高温の蒸気で加熱するため食品の水分量が保ちながら、しっとりとした味わいになります。また、蒸し器で調理した食品は、栄養素が外に流れ出ることがなく、味が凝縮されます。
特にビタミンCなどの水溶性のビタミンは、通常の茹でる、煮るに比べると1.5倍以上も栄養価が保たれます。
- 食品の水分・栄養価を損なわない
- 旨味が凝縮され素材の味を楽しめる
- ムラがなく均一に火が通る
蒸し料理のデメリット
蒸し料理は、蒸籠を使い蒸気で熱を通すため100度以上の温度にはなりません。そして蓋を開けると更に温度が低くなり、調理時間や加熱コストがかかるのがデメリットとなります。また、煮る料理は、食品に徐々に味をつけ足していくことができますが、蒸し料理は後から味を浸透させることができません。
そのため蒸し料理は、味をつけ足しながら水分を飛ばす料理や強火の短時間で作る料理は向いていません。
- 調理時間がかかる
- 味を付け足していく事が難しい
- 長時間の加熱で電気代・ガス代がかかる
蒸し料理に向いた食材
野菜類
蒸し料理は、水分を補いながら栄養素を保って加熱できるため、野菜ではキャベツや白菜などの芯がある固めの葉もの野菜、人参、ジャガイモなどの根菜類、旨味が凝縮され加熱で引き出されるきのこ類などが向いています。
肉・魚介類
新鮮なお肉や魚介類も蒸し料理には向いてます。魚や肉を調味料と野菜などと一緒に、ホイルやキッチンペーパーで包んだホイル焼き、貝類を酒と一緒に蒸したアサリの酒蒸しなどが美味しくできます。また、汁ごと一緒に煮込む鶏料理も、低温でじっくりと火を通すことができるためしっとりとパサつかず美味しく仕上がります。
卵料理
卵は、80度前後の加熱で固まる性質があるので茶碗蒸しの様なあらかじめ卵液を作った料理は、美味しく仕上がります。蒸し器の蓋を少しづらす、弱火にするなどの方法で80度位の低温で蒸すと「す」(茶碗蒸しにできる気泡・温度が高すぎたり加熱時間が長いとできる)の入らない綺麗な仕上がりになります。
おこわ・赤飯
もち米を使ったお赤飯やおこわ、蒸しパンなどの米や小麦などの穀物を使った料理も蒸し料理であれば、適切な水分量を保ちながらしっとりとした味になります。
点心
焼売や蒸し餃子、肉まん、あんまんなどの点心類は、水分を補いながら作る蒸し料理です。焼くよりも固くならずしっとりと、それでいて油を使わないためさっぱりとした味に仕上がるのが特徴です。
向いてない食品
逆に向いていない食品は、灰汁の強いワラビやゼンマイ、ふきのとうなどの山草類、色の変わりやすいブロッコリーなどは、塩茹でや灰汁抜きをしてからご利用ください。
蒸し料理を美味しくする3つのコツ
「蒸し料理は難しそう」と思っている方も上手に仕上げる3つのコツをお伝えします。
コツ1 旬のものを使う
蒸し料理は、味が凝縮され旨味成分が閉じ込められるので、鮮度の悪い香りが出るものは向いてません。旬の食材を新鮮な状態で使うのが美味しくできるコツです。
コツ2 下味を付ける
煮物の様に徐々に途中から味をつけ足し、中まで浸透させていくことができない蒸し料理は、先に下味として塩、砂糖、お酒、だし汁などの調味料で味付けしていくことが大切です。
コツ3 温度と蒸気を調整する
80~100度と、蓋をずらして温度調整ができる蒸し料理は、蒸気が上にあがっていくため材料の置き方によっては温度のムラができてしまいます。材料を並べる時に均一に置き、蒸気がかかりすぎる場合は布巾などを覆っていきましょう。
体にも地球にも優しいプラントベースの蒸し料理
旬の野菜の美味しさを最大限に引き出せる蒸し料理は、マクロビオティックやヴィーガン、ベジタリアンのようにプラントベース(植物性食品をベースとする)の食生活の方々にも愛されている調理方法です。
また、マクロビオティックでは、「マイクロ波の影響で食材が極陰になる」と考えているため加熱調理の際に電子レンジなどを利用しません。そのため、ごはんの保温にも蒸し器を使って温めるので、マクロビオティックを始める方は、蒸し器を用意されると良いでしょう。
健康のために食事や生活を、陰陽論(全てのもの陰と陽があり、そのバランスが大切と考える思想)で考えながらバランスを保つ食生活を送ることを目指しています。
主食は、玄米のように丸ごと食べられるものを摂りながら、化学調味料を使わず豆類、野菜、海草などを使用し料理を作ります。
蒸し料理は、丸ごと旬の食材をそのまま食べるのに向いている調理方法なので、その土地でとれた旬のものを食べられる「地産地消」の考えにもつながります。無駄がない食事は、サスティナブルで体にも地球環境にも優しい調理方法ですね。
ベジタリアンは、「菜食主義」であるけれども、動物の生み出した食品は利用することもあります。
一方ヴィーガンは、「完全菜食主義」で動物の命を利用した行い全般を避けているため、動物からとれる乳製品や卵、蜂蜜などの動物由来のものは利用しません。
そして、他にも宗教上の理由から菜食主義の方もいたり、野菜を中心とするプラントベースの食生活の方は、細かく食事の制限が分類され、個々の食への考え方にも違いがあります。
プラントベースで作る蒸し料理のレシピ3選
今回は、美味しく簡単にできるプラントベースの蒸し料理のレシピを3つご紹介いたします。
ヘルシーな味つけでダイエット中の方にもピッタリです。
① 丸ごと玉ねぎの豆乳茶碗蒸し
中に新玉ねぎを半分にして入れ、豆乳で作った茶碗蒸しができるヘルシーな料理です。新玉ねぎは火も通りやすく甘さが豆乳にぴったりです。
他にもスライスした人参やアボカド、丸ごとトマトなど、生でも柔らかく食べられる野菜を使って簡単に作れます。植物性食品なので、ヴィーガン、ベジタリアンの方にもおすすめです。
- 新玉ねぎ・・・1個
- 豆乳・・・400cc
- にがり・・・小さじ5
- しょう油・・・適量
- ワサビ・・・適量
作り方
-
STEP. 1
新玉ねぎを切る
新玉ねぎの皮をむいたら良く洗って、上下を平らになるように少し切り落とし、半分(繊維を断つ方向)に切ります。
-
STEP. 2
豆乳液を作る
豆乳を計量カップに入れて、泡立たないようにゆっくりにがりを加え、スプーンでしっかりと混ぜます。
-
STEP. 3
新玉ねぎを焼く
半分に切った新玉ねぎの切り口のを下にして、焦げ目がつく程度にフライパンで焼きます。
-
STEP. 4
器に盛り付ける
「STEP. 3」で焼いた新玉ねぎの焼いた部分を上にして、深みのある器に入れ、「STEP. 2」で作った豆乳液をゆっくり注いでいきます。
-
STEP. 5
蒸す
「STEP. 4」で盛り付けた器を蒸籠に入れて蓋をし、弱火で10分ほど火を通します。
器に水滴が入るようなら、布巾を一枚かぶせて蒸し器の蓋をしてください。
-
STEP. 6
完成
器を蒸籠から取り出して、ワサビしょう油を添えてお召し上がりください。
耐熱用のタッパやザル、シリコンスチーマーなど、レンジ対応の蒸し料理の調理器具を活用してもOKです!
②彩り野菜のスチーム
ただ蒸しただけのシンプルな野菜ですが、一緒に添えるソースは、バジルと松の実で作るジェノバソースを手に入りやすいパセリとピーナッツで作り、味のアクセントになっています。
今回の野菜は、人参やジャガイモ、芽キャベツなど、皮ごと食べられる野菜で作りましたが、白菜やキャベツ、小松菜などの葉もの野菜、サツマイモやゴボウなどの根菜類、シイタケなどでも美味しく召し上がれます。
- ジャガイモ・・・2個
- 芽キャベツ・・・8個
- 人参・・・中1本
- パセリとピーナッツのソース
- パセリ・・・200g
- ピーナッツ・・・70g
- ニンニク(むいて芽をとった状態)・・・30g
- EXオリーブ油・・・1カップ
- 塩・・・小さじ1
【パセリとピーナッツのソース】
- パセリ・・・200g
- ピーナッツ・・・70g
- ニンニク(むいて芽をとった状態)・・・30g
- EXオリーブ油・・・1カップ
- 塩・・・小さじ1
作り方
-
STEP. 1
野菜を洗って切る
人参は皮のまま良く洗って食べやすい一口大の乱切りにします。
ジャガイモは、良く洗って芽を取り、皮のまま1/4の大きさに切ります。
芽キャベツは良く洗っておきます。
-
STEP. 2
蒸籠に野菜を入れる
切った野菜を蒸籠に均等に入れます。
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STEP. 3
蒸し器で蒸す
蒸気の上がった蒸し器に蒸籠をのせ、中火で15分〜20分、野菜が柔らかくなるまで蒸します。
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STEP. 4
パセリとピーナッツのソースを作る
洗ったパセリ、皮をむいたピーナッツ、皮をむいて半分に切って芽を取り除いたニンニク、塩、EXオリーブオイルをフードプロセッサーに入れてまわします。
均等に混ざって滑らかになったら、パセリとピーナッツのソース出来上がりです。
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STEP. 5
完成
野菜とソースを器に入れて、食べる際にソースをかけながら召し上がってください。
野菜に火が通って柔らかくなっていたら出来上がりです。
③野菜入り大豆ミート団子
たっぷりの野菜が入った大豆ミートの蒸し団子です。甘辛の餡をかけるとおもてなし料理としても綺麗な一品になります。
たくさん作って冷蔵庫で保存すると3~4日もちますので、お弁当のおかずとしてもおすすめです。
- 大豆ミート(乾燥タイプ)・・・100g
- 木綿豆腐・・・200g
- 人参・・・80g
- ピーマン・・・100g
- 塩昆布・・・大さじ2
- 上新粉・・・100g
【調味料】
- 塩・・・小さじ1/2
- 胡麻油・・・小さじ2
- てんさい糖・・・小さじ1
【甘辛餡】
- しょう油・・・50㏄
- みりん・・・50cc
- 水・・・200㏄
- 片栗粉・・・大さじ1
- 白ゴマ・・・少々
作り方
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STEP. 1
大豆ミートと豆腐を茹でる
沸騰した湯に、乾燥した大豆ミートと崩した木綿豆腐を入れて、5分ほど弱火で茹でて火を止めます。
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STEP. 2
団子種の味付け
「STEP. 1」で茹でた材料をザルにあけて布巾に包み、しっかりと水気を切って、調味料の塩、胡麻油、てんさい糖を加えてよく混ぜます。
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STEP. 3
団子種に野菜を混ぜる
「STEP. 2」の種にみじん切りにした、人参、ピーマン、塩昆布を加えて、良く混ざったら上新粉を少しずつ入れて団子の種にします。
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STEP. 4
丸める
「STEP. 3」の団子の種を12個分に丸めていき、クッキングシートをのせた蒸籠に並べていきます。
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STEP. 5
蒸す
中火~強火で、15分ほど蒸したら団子は出来上がりです。
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STEP. 6
餡をつくる
餡の材料を全て鍋に入れて、片栗粉が均等に混ざるように良く混ぜます。
この時、水は冷たい状態でないと片栗粉が固まってしまいます。
全てが混ざったらゆっくりと弱火にかけて、だんだんと固まってくるので、ダマにならないように丁寧に良く混ぜて餡を作ります。
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STEP. 7
完成
器に盛り付けて餡をかけたら白ゴマをふりかけて、出来上がりです。
皿の上に団子をのせて水を入れて、蓋をして中火で10分加熱します。
蓋の水滴が落ちてくるときは、ぬらした布巾やキッチンペーパーをフライパンと蓋の間に挟んで蒸しましょう。
まとめ
美味しい野菜を丸ごと食べるのにピッタリの蒸し料理は、プラントベースの食生活の方に活用できてとってもヘルシーです。
蒸し器がない時は、電子レンジやフライパンを使っても作れるので是非お試しください。
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。