たんぱく質の補給にピッタリ!保存もできるおかずレシピ3選
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。
人の体に必要な栄養素のたんぱく質は「プロテイン」として知られています。そして、このたんぱく質は、肉や魚、大豆製品などに多く含まれているのもご存じかと思います。
今回は、たんぱく質の必要量や、他の栄養素との組み合わせ方と一緒に、お弁当のおかずにもできるたんぱく質の補給にピッタリなレシピをナチュラルフードスタイリストの筆者がお伝え致します。
- たんぱく質はどんなものか学びたい方
- たんぱく質の効果的な摂り方を知りたい方
- 保存できるたんぱく質のおかずレシピを作りたい方
目次
たんぱく質とは
人の体の構成に必要な三大栄養素の一つのたんぱく質には、体をつくる働きや「生理活性物質」と呼ばれる体に必要な酵素やホルモンなどをつくる働き、エネルギーをつくる働きがあります。そのためたんぱく質が不足すると、髪や肌が荒れたり、体力が落ち免疫機能が低下しやすくなったりします。
このたんぱく質の構成成分は20種類からなる「アミノ酸」と呼ばれるものがつながってできています。そして、人の体の中で作ることのできない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼び食事から摂取する必要があります。
アミノ酸とは
人の体に必要な三大栄養素の1つのたんぱく質は、アミノ酸からできています。食事として摂ったたんぱく質は、小腸で小さく分解されるとアミノ酸となって血中に運ばれていきます。その後、門脈を通り肝臓に運ばれアミノ酸プールというところに集まります。
このアミノ酸プールは、決まった場所にあるものではなく体に一定量蓄えられていて、食事由来のたんぱく質と体にあるたんぱく質を分解してつくられる「体タンパク」と呼ばれるもので作られ、常にプールが空にならないように調整されています。
たんぱく質の代謝
食事から摂ったたんぱく質は体の中で消化されながら小さなアミノ酸に分解されて最終的には、アミノ酸プールで貯えられながら体をつくる筋肉や髪や骨などの組織や酵素、ホルモンなどになります。
また、他にも体の栄養状態やたんぱく質の過不足によって、糖質や脂質にも変わるアミノ酸もあります。そのため、たんぱく質が不足すると体のたんぱく質が分解されてしまうので、良質なたんぱく質を毎日摂っていくのが大切なのです。
アミノ酸の種類
人の体に必要なアミノ酸は20種類あり、中でも体から合成できない9種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれています。必須アミノ酸は、食事からとる必要があります。
- トリプトファン
- ロイシン
- イソロイシン
- リジン
- バリン
- スレオニン
- フェニルアラニン
- メチオニン
- ヒスチジン
他にもアミノ酸にはいくつかの分類がありますが、プロテインなどに記載されているBCAAについてご紹介します。
分岐鎖アミノ酸は「BCAA」と呼ばれ、骨格筋で代謝され筋肉が好んで使うアミノ酸です。そのため筋力をUPしたい方や肝機能の低下した方に必要なアミノ酸です。
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
芳香族アミノ酸は「AAA」と呼ばれ、肝臓で代謝されます。肝硬変などになるとこのAAAが増加して、BCAAが不足します。芳香族と呼ばれるだけに、独特の香りがあるのが特徴です。
- フェニルアラニン
- チロシン
- トリプトファン
たんぱく質の必要量
日本の食事摂取基準では成人では、成人男女が1日に必要なたんぱく質の量は、体重×1gと言われています。アスリートや運動を行っている方は、体重当たり1.2~2.0を目安にすると良いでしょう。
他にも、たんぱく質だけに偏らず、三大栄養素である糖質や脂質とのバランスも大切です。色々な食品を組み合わせてバランスよく食べましょう。
たんぱく質の多い食品
たんぱく質は肉や魚、豆腐、卵、牛乳などに多く含まれているイメージがありますが、野菜や穀物、イモ類にもたんぱく質は含まれています。そして肉や牛乳などには、たんぱく質以外にも脂質も多く含んでいるためダイエットを意識した時は、低脂肪、高タンパクの食品がおすすめです。
今回は、レシピにも利用しているたんぱく質が多めで、脂質が比較的低い食品をいくつかご紹介していきます。
鶏ササミ肉(たんぱく質 100g中23.0g)
肉類の中では一番たんぱく質の多いのが鶏ササミ肉です。たんぱく質の多さの他にも、脂質も低いため筋力アップやダイエットを意識した方にはおすすめの食材です。
また鶏ササミ肉には、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6も多く含まれているのが特徴です。他にも、アミノ酸にはトリプトファンが多く含まれているためジャガイモやキャベツと一緒に食べると良いでしょう。
木綿豆腐(たんぱく質 100g中7g)
木綿豆腐は、大豆食品の中でもたんぱく質の多い食品ですが、製造過程で水を絞って作るため栄養成分が圧縮されています。そのため、たんぱく質や、鉄分、カルシウムなどの栄養価が絹ごし豆腐よりも2~3割多く含まれています。
キハダマグロ(たんぱく質 100g中24.3g)
マグロには、たんぱく質の他にも鉄分や質の良いDHA,EPAなどの脂質が豊富に含まれているためダイエットにもむいた食品と言えます。魚の中でもTOPクラスのたんぱく質含有量のマグロは、炒めても美味しくできるのでお勧めの食材です。
アミノ酸は、リシンを多く含むので穀物と合わせると吸収率がアップします。
豚ロース(たんぱく質 100g中19.3g)
牛肉と比較して赤みの多い豚ロースにはたんぱく質が豊富で、脂質もおさえてあります。豚肉には、ブドウ糖をエネルギーに変える時に活躍する疲労回復のビタミンB1も多く、糖質に偏った食生活の時、疲れた時の体づくりの食材として役立ちます。
粉チーズ(たんぱく質 100g中44.0g)
乳製品には、アミノ酸スコアも高くカルシウムも多いので手軽に摂れる食品が多くありますが、中でも粉チーズは、消化吸収が良く手軽にかけて食べることができるたんぱく質の1つです。
ただし、脂質も高くなるので、脂質を気にしている方は注意しながらご利用ください。
たんぱく質の吸収を良くするポイント
たんぱく質の吸収を良くして効果的に摂るためのポイントをいくつかご紹介します。
アミノ酸スコアの良いものを選ぶ
アミノ酸の集まりのたんぱく質の栄養価は、その種類と量で決まります。体で合成できず食事から摂る必須アミノ酸は、その一つの部分が少ないとその少ないアミノ酸の量に合わせて吸収されます。
樽桶の板で例えると、その一枚の板が欠けるとそこから水がこぼれ落ちてしまうようなものです。この欠けた部分を「第一制限アミノ酸」と呼び、全体のアミノ酸バランスの評価を「アミノ酸スコア」と言います。
アミノ酸スコアは100が満点で、卵をはじめ魚や肉、大豆などのたんぱく質が主成分の食品はアミノ酸スコアが100となっています。たんぱく質を摂る時には、量と一緒にこのアミノ酸スコアを意識して他の食品との組み合わせを考えるのも大切です。
そのため日本食である「米と魚」を一緒に食べる組み合わせは、たんぱく質の吸収にも優れた献立と言えます。
ビタミンB6を合わせて摂る
たんぱく質がアミノ酸に分解されるときに必要となるビタミンがビタミンB6です。ビタミンB6は、体の中で補酵素として働き、たんぱく質の居合者に役立ちます。他にも、ドーパミンやアドレナリン、セロトニン、ギャバなどの神経伝達物質の合成にも役立っています。
ビタミンB6の多い食品は、にんにく、レバー、マグロ、カツオ、鶏ひき肉、バナナ、アボカド、玄米、などがあります。たんぱく質を摂る際に合わせて使うと吸収が良くなります。
妊婦の通期で+0.2mg、授乳期には+0.3mgの付加が推奨されています。
PFC比率バランスを意識した献立にする
ダイエットや健康のためにはたんぱく質の摂取量だけでなく、脂質・糖質とのPFCバランスが大切です。PFCバランスとは、たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のバランス(エネルギー産生栄養素バランス)のことです。
ダイエットを意識した場合には、摂取エネルギー量におけるPFCの比率は、2:3:5(たんぱく質20%:脂質30%:炭水化物50%)が理想的とされています。
健康的な体づくりの食生活のためには、たんぱく質の量を考えながらこのPFCバランスを意識して、野菜や果物、穀物も合わせた一汁三菜の献立作りを目指していきましょう。
保存もできるたんぱく質のおかずレシピ3選
それでは、たんぱく質の多い食材を使って、保存もできるおかずレシピを3選ご紹介します。
① 豆腐と鶏肉のひじきバーグ
豆腐と鶏肉、ひじきを使ってお弁当のおかずにもピッタリなハンバーグのご紹介です。
鶏肉は大豆ミートで代替し、卵を使わずに作ると植物性食品となるので、ヴィーガンベジタリアンの方にもおすすめです。
※保存期間:冷蔵3日、冷凍1週間
- 鶏ササミひき肉・・・400g
- 人参・・・100g
- 生ひじき・・・65g
- 木綿豆腐・・・150g
- 卵・・・1個
- 塩・・・小さじ1
- 片栗粉・・・適量
- トマトケチャップ・・・適量
- 添えのもやしナムル・・・適量
作り方
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STEP. 1
下準備(豆腐の水気をきる・ひじきを洗う)
豆腐はつぶして、重しをして30分ほど置き、水気をきっておきます。
生ひじきは、水洗いをして水気をきっておきます。
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STEP. 2
人参を切る
人参は、みじん切りにします。
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STEP. 3
材料を混ぜる
下準備した豆腐、ひじき、にんじん、鶏ササミひき肉、塩、卵を全てボールに入れて、粘りが出るまでよく混ぜます。
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STEP. 4
材料を形にする
材料を8~10等分にして、丸めて片栗粉で衣をつけます。
この時、ビニール手袋をはめて、手を水でぬらしながら丸めると作業しやすくなります。
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STEP. 5
焼く
温めたフライパンに、オリーブオイルを入れて中火で2分焼きます。
その後、焼き色がついたところで裏返して弱火で3~5分じんわりと焼きます。
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STEP. 6
焼き上がり
つくねバーグの真ん中を押して、透明な汁が出てきたら焼き上がりがOKです。
もやしのナムル、ブロッコリーなどを添えて、ケチャップをかけて出来上がりです。
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STEP. 7
完成
② マグロとほうれん草のタイ風ソテー
たんぱく質がたっぷりのマグロをナンプラーと豆板醤で味付けをしたシンプルなソテーです。
マグロには、米や小麦に不足しやすいアミノ酸のリシンが含まれているためご飯のおかずとしても、パスタの具材としても、焼きそばの具材としてもおすすめです。
※保存期間:冷蔵3日、冷凍1週間
- キハダマグロ・・・340g
- 塩コショウ(下味用)・・・適量
- 片栗粉(下味用)・・・適量
- ほうれん草・・・100g
- 赤パプリカ・・・70g
- オリーブ油・・・大さじ1
- ナンプラー・・・小さじ1と1/2
- 砂糖・・・小さじ1
- コチジャン・・・小さじ1/2
作り方
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STEP. 1
マグロを食べやすい大きさに切って下味をつける
マグロは、刺身用に切ってあるものはそのままで使います。
サクで購入したものは、食べやすい大きさにスライスします。
切ったマグロは、塩コショウをして、片栗粉をまぶします。
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STEP. 2
ほうれん草、赤パプリカを切る
ほうれん草はよく洗って、茎の部分に十文字の切り込みを入れて、十分に水を吸わせておきます。
シャッキリとしたほうれん草を3センチほどの食べやすい大きさに切ります。
赤パプリカは、良く洗って半分に切り中の種を取り出し、縦3センチのスライスに切ります。
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STEP. 3
マグロをソテーする
フライパンにオリーブオイルを入れて、「STEP.1」のマグロの両面がカリッとした状態になるまでソテーします。
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STEP.4
野菜をソテーする
「STEP. 3」に「STEP. 2」の材料を入れて全体に火が通るまで炒めます。
全体に火が通ったら、分量のナンプラー、砂糖、コチジャンを加えて絡めるように炒めていきます。
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STEP. 6
完成
③ 豚ロース肉の黒胡麻蒸し焼き(ミヌダル)
豚ロース肉に下味をつけて黒胡麻でコーティングして蒸した料理です。沖縄の郷土料理「ミヌダル」と言われるハレの日の料理です。蒸しあげているためあっさりとした味わいになっています。
下味は、塩麹に付け込んで作っているため肉も柔らかく食べやすいため、お弁当のおかずが少し足りない時やハムの代わりにもおすすめです。
また、キャベツのアミノ酸には、トリプトファンが不足しているため豚肉で補うことでアミノ酸スコアがアップし、たんぱく質の吸収率を高めます。
※保存期間:冷蔵1週間、冷凍1ヶ月
- 豚ロース・・・700g
- 塩麹・・・適量
- すり黒胡麻・・・適量
- キャベツ・・・1/4個
- リンゴ酢・・・適量
- 粉チーズ・・・適量
作り方
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STEP. 1
下味をつける
豚ロースに塩麹をなじませて一晩寝かせます。
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STEP. 2
豚ロースに黒胡麻をまぶす
塩麹を軽くふき取り、黒胡麻を全体にまぶします。
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STEP. 3
蒸す
「STEP. 2」の豚ロース肉とキャベツを一緒に沸騰した蒸し器に入れ、20分加熱します。
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STEP. 4
盛り付け
蒸しあがった豚ロースが冷めたら、薄切りにして蒸したキャベツと一緒に盛り付けます。
お好みで粉チーズ、りんご酢をかけてお召し上がりください。
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STEP. 6
完成
まとめ
たんぱく質は、色々な種類のアミノ酸から構成されていてその組み合わせや他の食品とのバランスが大切であることがわかりました。
ただしたんぱく質だけの食生活では、腎機能の障害が出てくることもあるので、炭水化物や脂質やビタミン・ミネラルを十分に補いながら摂っていきましょう。
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
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