宮下 恵介・宮下 菜実子(みやした けいすけ・みやした なみこ) 「MUKUTOU」オーナー
綺麗な色味で、ボリュームのあるドライフラワーをお届けしたい
埼玉県さいたま市浦和区にあるアトリエで、2021年からご夫妻で運営されているドライフラワー専門店「MUKUTOU」。
実店舗は無く、ウェディング用のドライフラワーのオーダーメイドやギフト、インテリアとしてのドライフラワーを全国のお客様にお届けしています。
ドライフラワーとは思えない鮮やかな色味とボリュームのあるアレンジメントが人気を集めています。
年間200件以上のオーダーメイドやインスタグラムなどでネット販売されている宮下 恵介さん・宮下 菜実子さんご夫妻に、お花にかける思いや生活にお花を取り入れるためのポイントをお伺いしました。
コロナ禍をきっかけに夫婦2人で立ち上げたドライフラワー専門店
— MUKUTOUを立ち上げるまでは、それぞれどんなお仕事をなさっていたのでしょうか? —
宮下 恵介さん(以下恵介さん):私は高校卒業後、「トリオザトリオ」という3人組のお笑い芸人で活動していたんですが、売れる未来が見えなくて、26歳位の時に就職を考えました。職業訓練校に通い、WEBのHTMLやCSSを学んだのですが、お笑い芸人をしていたこともありコーディングやデザインよりも、コミュニケーション能力が活かせるディレクターに魅力を感じました。
その後、WEB制作会社に就職をして、WEB関係の仕事に就きました。
2020年に「MUKUTOU」を立ち上げた後も、お花のお仕事以外にフリーランスとして稼働もしており、WEB制作の仕事をお引き受けしています。
宮下 菜実子さん(以下菜実子さん):私は、美容短大で3年間学び、卒業後、21歳から23歳まで美容師をしていました。その後、トリマーの専門学校に2年通って、トリマーになりました。
主人とは学生時代のバイトの先輩と後輩という関係で、27歳の2014年に結婚しました。そして、29歳で長男の産休、育休後にトリマーを辞め、次男を31歳の時に出産しました。 子ども2人が幼稚園に通うタイミングでコロナ禍にはいってしまい…、仕事復帰もなかなか難しい中で、家にいる時間が増えて植物にハマっていきました。
インテリアとして家に飾る植物の奥深さや魅力にふれたことで、お花屋さんにも行くようになりました。
— どうしてお二人で協働なさろうと考えたのですか? —
菜実子さん:最初は趣味でスワッグをつくったり、多肉植物を植えてみたりしていたのですが、たくさんの作品ができたのでWEB販売に挑戦してみたんです。けれども、SNSが苦手でどうして良いか分からなくて…。そこで主人がWEB関係だったので、手伝ってもらおうと思い、声を掛けました。
恵介さん:私は、会社に所属してWEBの仕事をしている時に、精神的に厳しかった時期があり休職をしたことがあったんです。身体のことなどを考えると「一生この仕事はできない」と思い、他の収入源を模索している時に妻から声をかけられました。ブログを書いてアフィリエイトに取り組んでみたり、ライターにも挑戦してみたりしたのですが、WEBマーケティングの勉強になるしWEB販売に挑戦してみようと思いました。
菜実子さん:店名の「MUKUTOU」は、長男と次男の名前をくっつけてあるんです。愛着が持てる名前はなにかなと考えたときに、最初に出てきたのが息子たちの名前だったので、あまり深く考えずにつけました。
「MUKUTOU」はドライフラワー専門店で、リアルの店舗はありませんが、最近アトリエを借りたんです。以前は自宅の片隅で作業をしていたので、スペース的な問題もあり制約があったのですが、アトリエを借りたことでできることが広がりました。
生花から自分でドライにすることで、綺麗で鮮やかなドライフラワーを作る
— WEB販売は競合も多いですよね? 苦労した所を教えてください —
恵介さん:立ち上げ当初は、私がフリーランスではなく会社員だったので「MUKUTOU」にあまり時間を使えませんでしたし、妻も子どもの時間を優先したかったので子どもが通園中の時間のみの稼働でした。イベントに出店したり、レンタルスペースを借りて作品を販売したりもしたのですが、なかなか思うように結果を出すことが出来なくて…。
Instagramで人気の作家さんなどを参考にSNSの運用をはじめたものの、当初は全く反応がありませんでした。最初はやみくもにやっていたのですが、どうせやるなら目標や戦略を立てようと思い、twitterで募集をかけてSNSの企画を手伝ってくださる人を募集しました。企画会議を行い、施策に取り組んで、毎日更新を心がけたら少しずつ伸びていったんです。
私は、長い時間をかけて大きな成果を狙うよりも、短いスパンで少しでも結果が得られることでモチベーションが上がるタイプなんです。1つ2つと商品が売れていくことで、ヤル気が出ましたね。
菜実子さん:私は数字が苦手で、とにかく作ることが楽しいので、作品作りをメインに頑張っています。宣伝や販売は全て主人に任せています。
— ドライフラワー専門店ということですが、こだわりを聞かせてください —
菜実子さん:こだわりとしては、生花からドライフラワーにして、販売までしている所ですね。月に一度くらい市場に足を運んで生花を仕入れています。
お花を綺麗に咲かせてから干したりするので、ドライフラワーにする前にも下処理が必要です。
ドライフラワーは「くすんだ色味」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、しっかり下処理をしてアトリエで乾燥させることで鮮やかで綺麗な色味を出すことができます。
生花は仕入れたら即日販売できますが、ドライフラワーは下処理をしたりお花の種類によっては水分が多くて乾き辛かったりもするので、販売まで1週間から3週間くらいの時間が掛かります。そのため、オーダーを頂いた時に準備できているものでご提案させていただくことが多いですね。
オーダーを頂く際にお客様が参考になさるのは、SNSやショップの写真なのですが、主人が全て撮影してくれています。
恵介さん:Instagramを見て注文してくださる方が多いので、写真でも作品の魅力が伝わるように写真にもこだわっています。
綺麗な色味とボリュームのあるアレンジメントが魅力
— ドライフラワーは長く楽しめる印象がありますが、より長持ちさせるコツはありますか? —
菜実子さん:ドライフラワーを楽しめる期間は、好みにもよりますし、飾る場所や時期、そして種類によっても異なります。光と高温多湿を避けるのは生花と変わらない点ですね。
ドライフラワーは、注意点を守ればより長く綺麗な色を楽しむことができます。色褪せたら外して違うものを飾ることが多いですが、1年以上楽しむ方もいますし、ウエディングで使ったブーケをマタニティフォトでも使ったお客様もいました。色がセピア化してしまうのは防げないのですが、色の変化を楽しみたい方もいらっしゃいます。埃がついてしまったり、セピア色になってしまったりと、ご自身の気になるタイミングで変える方が多いです。
恵介さん:ドライフラワーを長持ちさせるためには、「直射日光を避ける」のが大切です。劣化がどんどん進んでしまうんです。飾る場所に迷ったら、室内の日光が当たらない所をお勧めしています。
— 生花からドライフラワーにする際の注意点はありますか? —
菜実子さん:私の場合には、ドライフラワーを作品に用いることが多いので、要らない部分の葉を取るようにしています。一概には言えないのですが、葉が付いていると葉から乾燥がはじまり、その後、茎・花と乾燥が進むので、葉を取ることでお花の乾燥が早いんです。お花が綺麗に咲いているタイミングが一番ドライにするのに向いているので、満開の時に下処理をするのがおすすめです。
それと、ドライフラワーに向く花・向かない花があります。カスミ草やスターチスなどの水分が最初から少ないお花はドライになりやすいです。ドライフラワーの研究は常に続けていますが、どうしてもドライフラワーにするのが難しいお花は花材屋さんで仕入れることもあります。
「ソラフラワー」というソラの木の皮を使ったものなど、造花とはまた違う魅力のある素敵な花材もあるんですよ。
— お客様からどのようなご要望が多いですか?また、オーダーに対して心掛けていることを教えてください —
菜実子さん:私は、お客様に作品を見て頂くのが嬉しいですし、皆さん目的があって買ってくださるのでご期待に応えたいですね。
例えばウエディングであれば、「誰よりもかわいいものを」とか。ウエディングブーケは生花のイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、「長く形に残したいのでドライフラワーのブーケを」というご要望もあるんです。
ドライフラワーは、生花より日数がシビアではないので、ウエディングなら5〜7日前にお客様にお送りしています。万が一、破損や配達遅延があった場合にリカバリーできるように考えています。ウエディングブーケは、特別なものですので完璧なものをお届けしたいですね。
ブーケを事前に用意できるのは、ドライフラワーならではのメリットだと思います。
恵介さん:「MUKUTOU」にオーダーしてくださる方は、綺麗な色味を求めてくださいます。
それと、Instagramの中で保存数が多いのが、オレンジ系の色味です。今は、テラコッタやオレンジのニーズが高いです。
多様なニーズにお応えします!
— 最後に、読者の方にメッセージをお願いします —
菜実子さん:先ほど触れたように、2023年の1月からアトリエを借りて、扱うお花の量が格段に多くなりました。そのため、個人のお客様だけではなく、カフェやフォトスタジオなど店舗用のお花のご要望もお受けしています。
恵介さん:Instagramに掲載されていないドライフラワーでもご相談いただければ対応しますので、「こういう所にこのようなお花が欲しい」というご要望があれば是非お聞かせください。お声がけ、お待ちしております。
宮下 恵介(みやした けいすけ)
宮下 菜実子(みやした なみこ)
「MUKUTOU」オーナー
ご主人の恵介さんは、「MUKUTOU」のWEB担当だけではなく、WEB制作のフリーランスとしても活躍中。
妻・菜実子さんは、生花をドライにするところから手掛けるフラワーアーティスト。
2020年、オンラインショップを立ち上げ「MUKUTOU」をスタート。