食物繊維をたっぷり使った低カロリーのダイエットレシピ3選
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。
食物繊維は野菜や海藻などに含まれる食品の成分で便秘解消に役立つものと考えられています。この食物繊維には2種類あり、上手に食事に取り入れることでダイエットの効果も期待できます。
今回は、そんな食物繊維についてのお話と3つのレシピをナチュラルフードスタイリストの筆者がお伝え致します。
- 食物繊維はどんなものか学びたい方
- ダイエットを目指した食物繊維の取り方を知りたい方
- 食物繊維の多い料理を作りたい方
目次
食物繊維とは
野菜や果物、海藻類に含まれている炭水化物の中には、人の体の中で消化のできない食物繊維と呼ばれる機能性成分があります。食物繊維は、エネルギーとして体の中で利用されることはありませんが、生活習慣病の予防や心筋梗塞、便秘などの予防に役立つ栄養素であることがわかってきました。
また、食物繊維は量があって低カロリーであるため、ダイエットにも効果的な栄養素で積極的に摂ることをおすすめします。
種類の食物繊維
食物繊維を分類すると、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の二つに分けられます。
水溶性食物繊維は、昆布などのネバネバした「アルギン酸」と呼ばれるものと、小麦などに含まれたサラサラしたものがあります。
また、果物に多く含まれる「ペクチン」は、ジャムの粘性を高めるためにも利用されています。他にもとうもろこしのでんぷんから作られた「難消化デキストリン」なども水溶性食物繊維の一つです。
不溶性食物繊維は、硬い繊維質があるのが特徴で大腸の中で発酵してビフィズス菌の餌となる役割があります。不溶性食物繊維の中には「セルロース」「ヘミセルロース」やカニやエビの殻に含まれる「キチン」などがあります。
食べ物の中には、この水溶性食物繊維も不溶性食物繊維のどちらも含んでいることがあり、より多く含まれるもので分けられています。
食物繊維の働き
食物繊維は、体の中のエネルギーとして活用されるわけではないので「不要なカス」とされていました。しかし食物繊維の研究が進み、様々な健康の維持のために役立つ効果があることがわかってきました。
食物繊維の働きは、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維によっても違いはありますが、どちらも食べ物のエネルギーとはなりません。また食物繊維を多く含む食品は、量がありカロリーが低いものが多いためダイエットにも役立ちます。毎日の食生活の中で積極的に食物繊維を摂っていきましょう。
- ネバネバとした性質で胃腸の中をゆっくり移動するため満腹感がでる
- 保水性があるので便の水分量を適正にして便秘の解消に役立つ
- 糖質の吸収をゆるやかにして血糖値の急激な上昇を抑える
- ビフィズス菌の餌となり腸内環境を整える
- 水を含み腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にして便通が良くなる
- 固い繊維質のためよく噛みあごの発達を促し満腹感を得れる
- 体の中に溜まった不要な脂肪を外に出す
- ビフィズス菌の餌となり腸内環境を整える
食物繊維の必要量
様々な働きを持つ食物繊維ですが、肉や米が中心の外食では不足しやすい栄養素です。
日本の食事摂取基準では成人では、1日に必要な食物繊維は成人男性で21g・成人女性は18g以上摂ることを推奨されています。
食物繊維は、野菜や果物、きのこ、海藻類に多く含まれていているので、色々な食べ物から不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく組み合わせて毎日の食生活で積極的に摂っていきましょう。
アメリカのマサチューセッツ医科大学の報告(2006年)によると、食物繊維を最も多くとるグループ(1日:22.36g)は、最も少ないグループ(1日:10.22g)と比較して、CRP濃度が63%も低いことがわかっています。CRP濃度が高いと、糖尿病のリスクも高まることから、食物繊維の摂取による心疾患や糖尿病の予防効果が期待されています。
*参考サイト:オムロンヘルスケア
食物繊維の多い食品
唐辛子のように100g中に食物繊維が多く含まれていても量を食べるのが難しい食べものもあります。毎日の食事で手軽に使えて、食物繊維を無理なくとることができて、ダイエットにも役立つ栄養素も含まれている優良食品をいくつかご紹介します。
切り干し大根
切り干し大根には、水溶性食物繊維が100g中 5.2gと不溶性食物繊維16.1gと、合わせて21.3gの食物繊維が含まれています。他にも余分な塩分を体から出して、むくみ対策に効果的なカリウムや骨粗しょう症の予防となるカルシウム、貧血を防ぐ鉄分も多く含まれています。
きくらげ
きくらげは、きのこの一種で食物繊維の他に、カルシウム、鉄分、ビタミンDなどが豊富です。生のきくらげには、食物繊維が100g中に5.6g、乾燥きくらげの場合は57.4g含まれています。一般的に出回っているのは黒きくらげですが、薬膳料理でよく利用される白きくらげもあります。乾燥した白きくらげには、100g中68.7gと黒きくらげよりも多くの食物繊維があります。
またカルシウムやリン、鉄の他に紫外線でビタミンDに変化する「エルゴステロール」が多いのも特徴の一つです。
赤いんげん豆
いんげん豆は、100g中に19.3gと大豆の量よりも多くの食物繊維が含まれています。特に世界中で利用される赤色のいんげん豆(レッドビーンズ)には、食物繊維の他にたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどもバランスよく含まれています。
他にも抗酸化作用のある「スーパーオキシドディムターゼ」「ポリフェノール」「プロアントシアニジン」などの栄養素もあるのでダイエット中の方にもおすすめの食材です。
じゃがいも
じゃがいもは、100g中に1.3gの食物繊維が含まれていて、特に水溶性食物繊維が豊富です。水溶性食物繊維は、粘性がありゲル状になって他の栄養素を包み込んで運ぶ働きがあり、ゆるやかに吸収されるため腹持ちもよく食べすぎの防止につながります。
また、じゃがいもには、お肌の調子を良くする作用のあるビタミンCも多く含まれているため、バランスの崩しやすいダイエット中の食生活の助けになります。
まいたけ
まいたけは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどちらも含まれていますが不溶性食物繊維の方が多くなっています。まいたけの不溶性食物繊維には「βグルカン」と呼ばれる腸内環境を整える作用のあるものが含まれています。
100g中にまいたけの食物繊維は3.5gですが量を食べることができる食品なのでおすすめです。
ダイエットにおすすめの食物繊維を使ったレシピ3選
それでは、食物繊維の多い食材を使って、簡単に作れるダイエットレシピを3選ご紹介します。
ダイエットを意識した食事は、低脂肪、高たんぱく、低カロリーのものが理想的です。そのため食物繊維を多く含む食品の野菜や果物、海藻、きのこ、豆類などを副菜の一品として上手に取り入れていくことでダイエット食につながっていきます。普段食べている主食の米やパスタ、うどんなど糖質が高くカロリーの多い食品を切り干し大根やじゃがいもなどに変えるだけでグッとヘルシーな料理になります。
また、加工食品で塩分が多めの料理も、食物繊維やカリウムが豊富な野菜やきのこの旨味を使って減塩しながら美味しく仕上げていきましょう。
① 切り干し大根のラタトゥイユパスタ
食物繊維がいっぱいの切り干し大根をパスタ風にアレンジしました。
パスタも切り干し大根に変えると低カロリーで食物繊維もたくさん摂ることができます。全ての材料が植物性食品だけなのでヴィーガンやベジタリアンの方にもおすすめです。
- 切り干し大根(乾)・・・20g
- なす・・・1/2個
- パプリカ・・・1/2
- にんにく・・・1/2片
- プチトマト・・・3個
- トマトソース(缶詰)・・・100㏄
- ★野菜スープ・・・100㏄
- オリーブオイル・・・適量
- 塩、コショウ、砂糖・・・適量
【★野菜スープ】
- 野菜いろいろ合わせて・・・200g
- にんにく・・・1個
- ローリエ・・・一枚
- 水・・・800cc
- 昆布・・・5センチ
- 塩・・・小さじ1
作り方
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STEP. 1
下準備(★野菜スープを用意する)
野菜スープは、人参、大根、ごぼうの皮や端っこ、玉ねぎは皮以外の端っこ、キノコの軸など、捨ててしまう場所でも大丈夫です。
昆布を水と一緒に鍋に入れて半分の量になるまで煮詰めます。
半分の量になったら野菜を取り除き、塩で味を整えます。
市販の野菜スープの素や固形ブイヨンをお湯に溶かして使ってもOKです。
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STEP. 2
下準備(きりぼし大根を戻す)
きりぼし大根は、手でよくもみ洗いをして汚れと臭みをしっかり落とします。
洗ったら軽く絞って、ぬるま湯に10分つけてしっかりと戻します。
使うときは水気を軽く絞って使います。
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STEP. 3
野菜を切る
なす、プチトマト、パプリカは、1センチ角に切って、にんにくはスライスします。
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STEP. 4
野菜をオリーブ油で炒める
フライパンを温めオリーブ油を入れ、スライスしたにんにくを炒めます。
切った玉ねぎ、なす、パプリカは、火が通るまで炒めます。
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STEP. 5
きりぼし大根を加える
フライパンを温めオリーブ油を入れ、スライスしたにんにくを炒めます。
切った玉ねぎ、なす、パプリカは、火が通るまで炒めます。
全体的にしんなりとしたら、切り干し大根を加えてよく混ぜます。
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STEP. 6
トマトソース・野菜スープを入れる
トマトソースと「STEP. 1」で準備した野菜スープ入れて、全体的に混ぜたら弱火で15分ほど煮詰めます。
汁気がなくなったら強火にして全体にソースが絡まるように混ぜます。
最後に塩、コショウ、砂糖で味を調節して器に盛りつけます。
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STEP. 7
完成
② まいたけ&きくらげの食物繊維スープ
まいたけをたっぷり使って、グルタミン酸の旨味成分が豊富なスープです。このスープは、麺を加えたり、卵を加えたりアレンジができるスープです。片栗粉の量を増やせばあんかけにもできるので是非お試しください。
また、しいたけやしめじ、えのき、エリンギなどのきのこを合わせて使っても美味しくできます。
- まいたけ・・・100g
- しいたけ・・・50g
- えのき・・・50g
- きくらげ・・・50g
- 水・・・400㏄
【合わせ調味料】
- ★ 黒酢・・・大さじ1
- ★ しょう油・・・大さじ1
- ★ 塩・・・小さじ1/3
- ★ 片栗粉・・・大さじ1
- ★ ごま油・・・小さじ2
- ★ コショウ・・・少々
- ★ 水・・・100㏄
作り方
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STEP. 1
まいたけ・しいたけ・えのき・きくらげを切る
まいたけは、洗わずに汚れを落として、食べやすい大きさに手でさきます。
しいたけは、根元の固い部分(石づき)を切って、薄くスライスします。
えのきは、根元を切って食べやすい大きさに切ります。
きくらげは、よく水洗いした後、石づきの部分を切って、薄くスライスします。
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STEP. 2
切ったきのこを炒める
鍋に切ったきのこを入れて、強火で押しながらきのこの量が半分くらいになるまで炒めていきます。
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STEP. 3
水ときくらげを加えて、煮込む
「STEP. 2」の鍋に、400㏄の水ときくらげを一気に加えて、沸騰させたら弱火にして2分加熱します。
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STEP. 4
調味料を合わせる
計量カップに水100㏄を入れ、「★」の調味料(黒酢、しょう油、塩、片栗粉、ごま油、コショウ)を合わせておきます。
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STEP. 5
とろみをつける
「STEP. 3」に「STEP. 4」の調味料をまわし入れ、優しくかき混ぜます。
再度火をつけ、かき混ぜながらとろみがついたら器に盛りつけます。
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STEP. 6
完成
③ じゃがいも&レッドビーンズのグラタン
食物繊維の多いじゃがいもとレッドビーンズ(赤いんげん豆)のグラタンです。カロリーをおさえるためにチーズは半分の量をカッテージチーズにしています。
食物繊維の多い全粒粉のパンと一緒に食べてもおいしく召し上がれます。
- じゃがいも・・・1個(250g)
- レッドビーンズ(缶詰)・・・150g
- カッテージチーズ・・・50g
- ナチュラルチーズ・・・50g
- 粉チーズ・・・適量
- 牛乳・・・100㏄
作り方
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STEP. 1
じゃがいもをスライサーで切る
じゃがいもは、皮をむいてスライサーで2~3ミリの薄切りにします。
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STEP. 2
耐熱皿にじゃがいもを並べる
切ったじゃがいもを耐熱皿に軽く重なるように並べていきます。
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STEP. 3
じゃがいもを電子レンジで加熱する
「STEP. 2」のじゃがいもに牛乳をまんべんなくかけてラップをします。
電子レンジを600wで4分間加熱し、じゃがいもに火が通って柔らかくなったらOKです。
加熱が足りない時は、さらに30秒加熱します。
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STEP. 4
レッドビーンズとチーズをのせて加熱する
「STEP. 3」の皿に水気を切ったレッドビーンズを軽くつぶしてのせます。
カッテージチーズ、ナチュラルチーズ、粉チーズの順にレッドビーンズの上にのせていきます。
電子レンジ600wで3分間加熱します。
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STEP. 5
オーブントースターで焼く
チーズが溶けたらオーブントースターで焦げ目をつけます。
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STEP. 6
完成
まとめ
食物繊維を補う食事を意識することで自然と野菜を食べる量が増え、カロリーも抑えられダイエットにつながります。
主食である米や小麦も殻のついた玄米や全粒粉を利用すると毎日の食事の中から無理なく補っていけます。
記事の監修
松下 和代
ナチュラルフードスタイリスト
保育士、栄養士、調理師の資格を活かしハーブ料理レストラン、保育所、児童養護施設、ミルク会社などの現場で働き、その後フリーのライターとして独立。
過去にはALLABOUT「子どものアレルギーガイド」として活動。現在は「ナチュラルフードスタイリスト」として、地球環境や体に優しい植物性食品を中心としたレシピの考案や、食のライフスタイルを提案。
ヴィーガンやマクロビオティック方向けのサイト「VEGEWELL」、栄養ポータルサイト「ライフミール」、NHK出版の「趣味どきっ!10~11月号」学研出版の「かんたん10分弁当」など多数のメディアに掲載中。